第64回全国ろうあ者大会 大会決議pdf

 

2016年6月8日〜12日、徳島県・アスティとくしまにおいて、第64回全国ろうあ者大会「水の都徳島で 未来につなぐ 輝きを広めよう」が開かれ、各都道府県から、約2,100名の参加者が集った。大会決議は以下とおり。

 

T.障害者権利条約にある理念に則り、手話による社会的障壁の除去を目指して

 

1.「情報・コミュニケーション法」、「手話言語法」の制定を実現させよう。

イ.「手話言語法」の法制化を実現させ、国民の手話に対するさらなる理解・普及を促進し、ろう者を取り巻く社会的障壁の除去を目指す。このことにより、ろう者が自己 選択・自己決定による社会参加の推進を求める。

ロ.国・地方公共団体、民間企業及び司法・医療・労働・教育等あらゆる分野での情報アクセシビリティを義務付けた「情報・コミュニケーション法」の制定を求める。とりわけ、手話通訳者、派遣コーディネーターの設置及び身分保障の確立、モデル要綱に沿った意思疎通支援事業の実施を求める。

ハ.障害者権利条約の理念を実現させるべく、障害者の尊厳と権利を保障し、あらゆる場面での差別を無くしていくために、障害当事者が主体となって連帯して、障害者差別解消法や障害者雇用促進法における支援措置、相談、紛争解決の制度充実に向けて、さらなる体制整備や法改正を求める。   

 

U.防災体制の強化を図り、ろう者のより安心した暮らしや、スポーツ・文化的な活動を向上させるために

 

1.東日本大震災等の被災経験を教訓にし、被災地への継続支援とともに、災害に負けない地域・組織づくりを目指した防災体制の強化を図ろう。

イ.東日本大震災の被災者、被災地域の聴覚障害関係団体やろう学校等への復興支援を継続する。

ロ.平常時の防災等に係る情報、避難訓練等、及び災害発生時における聴覚障害者への情報・コミュニケーション保障や避難所等の整備拡充など、災害時に避難が困難な障害者を支援する仕組みの整備を求める。

ハ.地域住民や関係団体とのつながりを深め、地域の防災計画や避難所運営マニュアル策定 に障害当事者が参画するなどして災害に強い地域・組織づくりを目指す。  

 

2.社会保障制度の充実を目指し、安心して利用できる社会資源の保障を求める。 

イ.障害者総合支援法の地域生活支援事業必須事業である手話通訳者の養成・設置・派遣を全国で格差なく実施し、講師の養成体制の整備及び手話を学びやすい環境の整備を求める。 

ロ.ろう重複障害者やろう高齢者が安心して生活できるよう、ろうあ者相談員等との連携を図り、就労・生活支援体制の強化と介護保険法等の社会資源の充実を求める。

ハ.全ての都道府県、政令指定都市に聴覚障害者情報提供施設を設置するとともに機能充実のための予算増額を求める。

  

3.ろう者の雇用と職場における情報及び支援環境の保障を求める。 

イ.ろう者が働きやすい職場環境づくりと、「聴覚障害」の特性を踏まえた合理的配慮の提供を求めるとともに、ろう者の職業開拓・技能習得の機会づくりを求める。 

ロ.職業安定所へ手話協力員の常勤設置及び身分保障を求めるとともに、手話協力員実施要領の改善を求める。 

ハ.障害者介助等助成金制度の手話通訳派遣の給付期間、給付額上限設定の撤廃等を求め、企業が利用しやすい制度への改善を求める。  

 

4.ろう児が手話による教育を受ける権利の保障を求める。 

イ.ろう児(乳幼児含む)が言語として手話を獲得・習得できる環境の整備と、ろう児が在籍する全ての学校において「ろう児の求めるあらゆる教育ニーズ」に対応した教職員の配置、及び障害に対する専門的な環境の整ったろう学校の存続を求める。 

ロ.ろう児のアイデンティティ確立のため、ロールモデルの役割を担うことができるろう者の教職員の採用を求める。

ハ.ろう児の安定した家庭環境を保障するために、ろう児と保護者のための相談窓口やスクールカウンセラー等の専門職配置を増やすとともに、放課後デイ・サービス事業の実施 などによって、手話に関する情報提供や、社会人ろう者との交流を推進する。

  

5.ろう者の参政権の保障を求める。      

イ.全ての政見放送に手話通訳及び字幕付与の義務付けを求める。   

ロ.中立・公正な立場である手話通訳者・士を「選挙運動に従事する者」とする公職選挙法の規定撤廃を求める。 

ハ.ろう者の候補者が自らの公約を市民に訴え、円滑な選挙活動が行えるよう、ろう者の被選挙権の保障を求める。 

 

6.ろう者のスポーツ活動の拡充とともに競技環境の向上を求める。 

イ.デフリンピック等国際的な規模の大会を目指すろう者アスリートの育成及び周辺環境の改善と拡充を求める。 

ロ.ろう児・者が学校及び地域で様々なスポーツに参加できる情報保障環境の整備を求める。 

ハ.2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてデフリンピックの認知度を高めるとともにデフスポーツ団体等の関係団体との連携を深める。  

 

7.テレビ番組等、各種映像作品への手話と字幕の付与の拡充により、格差のない情報保障

を図り、豊かな文化生活を営むことを求める。 

イ.テレビ番組への手話と字幕付与の義務付けのために放送に関する法の整備と、ネット発信映像、映画やDVD等、様々なメディアの映像作品全てに字幕をつけることを求める。 

ロ.ろう者が安心して使える「緊急放送・通信システム」の確立と、公的施設・避難所に「アイ・ドラゴンV」の設置を求める。 

ハ. 「文化芸術立国」に向けた国の取組みを見据え、ろう者による美術・演劇・芸能・映像・文学等の文化芸術活動の推進と支援の拡充を求める。  

 

V.全日本ろうあ連盟創立70周年記念事業の推進、連盟の組織強化と国内外の連帯のために

 

1.連盟創立70周年記念事業に並行して、ろう者の完全なる社会参加を推進できる強力な組織を目指そう。 

イ.連盟創立70周年記念事業(記念大会、記念誌編集、映画制作・上映)を推進し、ろう運動の前進につなげよう。 

ロ.会員を増やし、仲間とともに連盟・加盟団体・ブロックが一体となった組織改革を進めることにより、会員一人ひとりの声を活かしながら、国に対して具体的な政策の提言・要望を行う強力な組織を目指して運動を展開していこう。 

ハ.「日本聴力障害新聞」「季刊みみ」の読者拡大、出版物の普及、全国手話研修センター後援会への加入促進、新たな事業展開により、連盟と加盟団体の財政基盤確立と運動の強化を図ろう。  

 

2.アジアのろう児・者の支援を進め、国内外の国際連帯を深めるとともに世界平和を目指そう。 

イ.アジアろう児・者友好プロジェクトへの募金活動を積極的に進め、発展途上国のろう教育向上やろう団体の育成と支援を図る。 

ロ.各国のろう団体等と連携を図り、アジアにおける女性組織等の活性化及びろう団体の強化スキルを提供し、世界ろう連盟と国際的な障害組織及び国連と協同して世界各国の障害者権利・社会参加の充実を支援する。 

ハ.戦争に反対し、核兵器の廃絶・地雷等の非人道的兵器の完全撤去等を目指し、世界平和を守る運動に協力する。

 

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