愛知県;手話言語その他の意思疎通のための手段の普及に関する条例

 

条例概要 条例 条例要旨 条例制定つい 知事会見 愛知県聴障協会理事長

 

愛知県障害者差別解消推進条例

 

全日本ろうあ連盟HP条例マップ

 

愛知県大村秀章知事は、手話のほか点字や要約筆記など、障害者の特性に応じたさまざまなコミュニケーション手段の利用促進を図る「手話言語その他の意思疎通のための手段の普及に関する条例(仮称)」案を、2016年9月の県議会定例会に提案し、2016年10月14日に可決された(10月18日公布・即日施行)

 

手話以外に幅広く対象を広げた言語条例の制定は、都道府県では初めて

 

手話言語のみならず、要約筆記や点字など、広く意志疎通手段を網羅する内容の条例制定は、2015年3月の兵庫県明石市の「手話言語を確立するとともに要約筆記・点字・音訳等障害者のコミュニケーション手段を促進する条例」、2015年12月の千葉県習志野市「手話、点字等の利用を進めて、障がいのある人もない人も絆(きずな)を深め、互いに心を通わせるまちづくり条例」、2016年3月の兵庫県小野市「手話、要約筆記、点字等意思疎通手段利用促進条例」に次いで全国で4例目。

 

手話条例としては、県レベルで9番目。全自治体としては、55番目

 

 県は、南海トラフ巨大地震といった大規模な災害時などには、障害者への的確な情報提供が課題とされることから、障害者団体からの意見を踏まえ、それぞれの特性に応じた対応が必要と判断した。

 

 手段の対象には、目と耳が不自由な人たちの手を取って手話で意思疎通する「触手話」、相手の指に自分の指で点字を打つ「指点字」、代筆、代読、平易な言葉などが、含まれる。

 

 県には市町村と連携して通訳者の養成など総合的な施策の推進を、事業者には障害者の各種のコミュニケーション手段の利用に配慮するよう求める。学校には、教職員にコミュニケーション手段の研修を受けさせ、子どもたちへの手話の学習機会の提供などを促す。

 

 手話言語条例は2013年以降、鳥取や三重、長野など8県で制定され、2016年7月には大村知事も参加し「手話を広める知事の会」が設立され、全日本ろうあ連盟は手話言語法の制定を国に求めている。

 

 なお、2016年4月の定例記者会見で大村秀章知事は「多様なコミュニケーションの普及で減災にもつながる」と述べていた。2016年4月の愛知県障害者差別解消推進条例の全面施行を受け、新条例で相互理解の手段を普及させ、障害者同士の意思疎通も高めるという。

 

条例制定に伴う普及・啓発予算は230万円(9月補正予算)

 

 愛知県の聴覚・平衡機能障害者は、18,900人(2012年3月末現在)。愛知県の障害者数(手帳(注1)所持者)は、約33万人で、県人口(7,414,863人)の割合は 4.42%。

 

 2016年9月1日現在の愛知県の人口(推計)は、7,507,553人(男3,755,132人、女3,752,421人)

 

 

手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例の概要

 

この条例は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図り、もって全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的として、基本理念を定め、その下に、県の責務、県民、事業者の役割及び学校等の設置者の取組を明らかにしています(2016年10月14日制定)。

 

【対象とするコミュニケーション手段〉

○手話、要約筆記、点字、触覚を使った意思疎通、筆談、代筆、音訳、平易な言葉、代読、実物又は絵図の提示、重度障害者用意思伝達装置等

 

〈基本理念〉

1 障害の有無に分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合うことが重要であるとの認識のもとに普及や利用の促進を行うこと。

2 手話が独自の体系を有する言語であり、手話を使い日常生活又は社会生活を営む者が受け継いできた文化的所産であることを認識して普及を行うこと。

3 コミュニケーション手段を利用することの重要性を認め、選択の機会の確保と利用の拡大が図られること。

 

〈各主体の責務と役割及び取組〉

○県の責務

総合的な施策の策定・実施。市町村と連携した施策の推進。

○県民の役割

基本理念に対する理解を深めるとともに、県の施策に協力するよう努めること。

○事業者の役割

コミュニケーション手段の利用の促進のため、利用しやすいサービス の提供及び働きやすい環境の整備に努めること。     

○学校等の設置者の取組

障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する教職員の知識及び技能の向上のための研修に努めること。

 

〈県の取組〉

・啓発及び学習の機会の確保

手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段

に関する啓発に努めます。

市町村、関係団体と協力し、コミュニケーション手段の学習の機

会の確保に努めます。

・人材の養成等

市町村、関係団体と協力し、意思疎通を支援する者の養成等を行

うよう努めます。

・情報の発信等

 市町村等と連携し、災害時等におけるコミュニケーション手段を利用した連絡体制の整備に努めます。

 

〈施行日〉公布の日(平成 28 10 18 日)

 

手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例をここに公布する。

 

平成28年10月18日

愛知県知事 大 村 秀 章

愛知県条例第48号

 

手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例pdf

 

全ての県民が、障害の有無にかかわらず、互いに意思や感情を伝え合うとともに、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加し、心豊かに暮らすことは、私たちの願いである。

手話は、ろう者が知識を蓄え、文化を創造するために受け継ぎ、発展させてきた手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現される独自の体系を有する言語であるが、これまで手話を習得し、使用することに多くの制約があり、手話を使用することができる環境が十分に整えられてこなかった。

近年になって、障害者の権利に関する条約の採択や障害者基本法の一部改正により、手話が言語として位置付けられたものの、手話が言語であるとの認識が広く共有されているとはいえないため、私たち一人一人が手話言語の普及のための取組を進めていかなければならない。

また、障害のある者が日常生活又は社会生活において意思疎通を図るためには、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を選択し、利用することが欠かせないが、その機会が十分に提供されているとはいえず、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を選択し、利用しやすい環境づくりを進めていく必要がある。

加えて、愛知県障害者差別解消推進条例において求められている社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮をする場合や、南海トラフ地震などの大規模災害発生時において、障害のある者の安全を確保するための措置を講ずる場合においても、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用が必要である。

私たちは、このような認識を共有し、一体となって、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、安心して暮らすことができる地域社会を実現するため、ここにこの条例を制定する。

 

(目的)

第一条 この条例は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進について、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図り、もって全ての県民が、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生し、及び安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 手話言語の普及 手話が言語の一つであることを普及することをいう。

二 コミュニケーション手段 手話、要約筆記、点字、触覚を使った意思疎通、筆談、代筆、音訳、平易な言葉、代読、実物又は絵図の提示、重度障害者用意思伝達装置その他の障害者が他人との意思疎通を図るための手段(障害者の意思疎通を補助するための手段を含む。)をいう。

三 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条第二号に規定する社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 

 (基本理念)

第三条 手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合うことが重要であるとの認識の下に行われなければならない。

2 手話言語の普及は、手話が独自の体系を有する言語であって、手話を使い日常生活又は社会生活を営む者が受け継いできた文化的所産であるとの認識の下に行われなければならない。

3 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての県民が、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用することの重要性を認めるとともに、その選択の機会の確保及び利用の機会の拡大が図られることを旨として行われなければならない。

 

 (県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、市町村と連携を図りながら協力して、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の推進に取り組むものとする。

 

 (県民の役割)

第五条 県民は、基本理念に対する理解を深めるとともに、県が実施する手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

 (事業者の役割)

第六条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、県が実施する手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、基本理念にのっとり、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進のため、障害者が利用しやすいサービスを提供し、及び障害者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

 

(学校等の設置者の取組)

第七条 手話の利用を必要とする児童、生徒、幼児等が通学する学校等(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)、同法第百二十四条に規定する専修学校、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。以下同じ。)の設置者は、当該学校等に通学する児童、生徒、幼児等に対し、手話言語の普及のための学習の機会を提供するよう努めるものとする。

2 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用を必要とする児童、生徒、幼児等が通学する学校等の設置者は、当該児童、生徒、幼児等の教育に携わる教職員の障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する知識及び技能の向上のための研修を行うよう努めるものとする。

3 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用を必要とする児童、生徒、幼児等が通学する学校等の設置者は、当該児童、生徒、幼児等の保護者からの学校等における障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用に関する相談に的確に応ずるよう努めるものとする。

 

 (施策の総合的かつ計画的な推進等)

第八条 県は、障害者基本法第十一条第二項に規定する障害者のための施策に関する基本的な計画において、次に掲げる事項について定め、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るものとする。

 一 手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策についての基本的な方針

 二 前号に掲げるもののほか、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

2 知事は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を推進するために必要な専門的事項について、愛知県障害者施策審議会の意見を聴くものとする。

 

(啓発及び学習の機会の確保)

第九条 県は、県民が手話言語の普及の重要性に対する理解を深めることができるよう、手話言語の普及に関する啓発を行うよう努めるものとする。

2 県は、県民が障害の特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解を深めることができるよう、市町村及び関係団体と協力して、障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する啓発を行うよう努めるとともに、その学習の機会を確保するよう努めるものとする。

 

(人材の養成等)

第十条 県は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用した意思疎通を支援する者(以下「支援者」という。)が確保されるよう、市町村及び関係団体と協力して、支援者の養成その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 (情報の発信等)

第十一条 県は、障害者が円滑に県政に関する情報を取得することができるよう、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用して情報を発信するよう努めるものとする。

2 県は、障害者が災害その他非常の事態の場合において必要な情報を取得することができるよう、市町村その他関係機関と連携して、障害者の家族及び支援者の協力を得つつ、災害その他非常の事態の場合における障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用した連絡体制の整備に努めるものとする。

 

 (事業者に対する協力)

第十二条 県は、事業者が行う障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する活動を支援するため、事業者に対し、関係団体と協力して、必要な情報の提供その他の協力を行うよう努めるものとする。

 

 (調査の実施)

第十三条 県は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の策定及び実施に必要な情報の収集等の調査を行うよう努めるものとする。

 

(財政上の措置)

第十四条 県は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 附 則

この条例は、公布の日から施行する

                                                                   

「手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例」(要旨)

2016年10月18日公布・即日施行

 

○ 前 文(骨子)

・ 障害者が地域で生活していくためには、障害の有無にかかわらず互いにコミュニケーションを図り、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることが求められる。

・ 手話は、物事を考えコミュニケーションを図り、互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために受け継がれ、発展してきた手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現される独自の体系を有する言語である。

 障害者基本法の改正、障害者の権利に関する条約の批准により、手話が言語として位置づけられたが、これまで手話を習得し、使用することに多くの制約があり、手話を使用することができる環境が十分に整えられてこなかったことから、手話に対する社会の理解が十分とはいえない状況にある。このため、手話が言語であるとの認識に基づき県民の手話に対する理解の促進を図っていく必要がある。

・ 障害の特性に応じたコミュニケーション手段は、障害者が生活の様々な場面で意思疎通していくために重要なものであるが、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を選択し、必要なときに利用できる状況には至っておらず、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を知り、コミュニケーション支援を行う者の育成を図り、コミュニケーション手段を利用しやすい環境づくりを進めていく必要がある。

・ 本県は、大規模地震による被災が想定されており、通常利用できるサービスの利用が困難となる災害時には障害者に情報を的確に伝え、必要な支援につなげていく必要がある。

・ 更に、愛知県障害者差別解消推進条例の施行に伴い、県、事業者が障害の特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解を深め、利用を促進していくことが求められている。

・ 私たちは、このような認識を共有し、一体となって、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現するため、この条例を制定する。

 

○ 総 論

第1 目的

・ この条例は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進について、基本理念を定め、並びに県の責務並びに県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図り、もって全ての県民が、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生し及び安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

第2 定義

・ この条例において「コミュニケーション手段」とは、手話、要約筆記、点字、触覚を使った意思疎通、筆談、代筆、音訳、平易な言葉、代読、実物の提示、重度障害者用意思伝達装置等その他の障害者が他人との意思疎通を図るための手段(障害者の意思疎通を補助するための手段を含む。)をいう。

・ この条例において「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条第2号に規定する社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 

第3 基本理念

・ 手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合うことが重要であることの認識のもとに行われなれければならない。

・ 手話言語の普及は、手話が独自の体系を有する言語であって、手話を使い日常生活又は社会生活を営む者が受け継いできた文化的所産であることを認識して行われなければならない。

・ 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての県民が、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用することの重要性を認めるとともに、その選択の機会の確保及び利用の機会の拡大が図られることを旨として行われなければなら

ない。

 

○ 責務及び役割

第4 県の責務

・ 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

・ 県は、市町村と連携を図りながら協力して、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の推進に取り組むものとする。

 

第5 県民の役割

・ 県民は、基本理念に対する理解を深めるとともに、県が実施する手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

第6 事業者の役割

・ 事業者は、事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、利用しやすいサービスの提供、働きやすい環境の整備その他の手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、県が実施する手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

○ 計画の策定等

第7 施策の推進

・ 県は、障害者基本法第11条第2項に規定する障害者のための施策に関する基本的な計画において、次に掲げる事項について定め、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るものとする。

@ 手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策についての基本的な方針

A 前号に掲げるもののほか、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

・ 県は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を推進するために必要な専門的事項について、愛知県障害者施策審議会の意見を聴くものとする。

 

○ 基本的な施策

第8 啓発及び学習の機会の確保

・ 県は、県民が手話言語の普及の重要性に対する理解を深めることができるよう、手話言語の普及に関する啓発を行うよう努めるものとする。

・ 県は、県民が障害の特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解を深めることができるよう、市町村及び関係団体と協力して、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の学習の機会を確保するよう努めるものとする。

 

第9 人材の養成等

・ 県は、市町村及び関係団体と協力して、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用した意思疎通を支援する者の養成その他必要な措置を講ずるものとする。

 

第10 情報発信

・ 県は、障害者が円滑に県政に関する情報を取得することができるよう、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用して情報を発信するよう努めるものとする。

・ 県は、障害者とその家族及び支援者が、災害その他非常の事態において必要な情報を取得できるよう市町村その他の関係機関と連携し、情報を発信するよう努めるものとする。

 

第11 学校における対応

・ 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用を必要とする児童、生徒、幼児等が通学する学校の設置者は、これらの者の教育に携わる教職員の障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する知識及び技能の向上のための研修を行うよう努めるものとする。

・ 手話を使い日常生活又は社会生活を営む児童、生徒、幼児等が通学する学校の設置者は、その学校に通学する児童、生徒、幼児等に対して手話言語の普及のための学習の機会を提供するよう努めるものとする。

・ 手話を使い日常生活又は社会生活を営む児童、生徒、幼児等が通学する学校の設置者は、当該児童、生徒、幼児等の保護者から学校における障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用に関する相談に的確に応ずるよう努めるものとする。

 

第12 事業者への支援

・ 県は、事業者に対し、関係団体と協力して、事業者が行う障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する活動を推進するため必要な情報の提供その他の協力を行うよう努めるものとする。

 

第13 コミュニケーション手段に関する調査

・ 県は、手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策の策定及び実施に必要な情報の収集等の調査に努めるものとする。

 

第14 財政上の措置

・ 県は、手話言語の普及及びコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

○ 協議の場として愛知県障害者施策審議会に新たに「障害者コミュニケーション部会」を設置する。

 

愛知県障害者施策審議会条例の一部改正により対応

専門委員の設置

(1)審議会に専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置くことができる。

(2)専門委員は、学識経験のある者、障害者並びに障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者のうちから知事が任命する。

(3)専門委員の任期は、2年とする。

(4)前項の専門委員は、再任されることができる。

専門部会の設置

(1)審議会にその所掌事務に係る専門的事項を調査審議させるため、専門部会を置くことができる。

(2)専門部会は、会長が指名する委員及び専門委員をもって構成する。

(3)専門部会に部会長を置き、専門部会に属する委員のうちから会長が指名する。

(4)部会長は、専門部会の事務を掌理し、専門部会の経過及び結果を会長に報告する。

(5)専門部会の運営に関し必要な事項は、部会長が会長の同意を得て定める。

 

 

2016年3月29日(火) 大村知事記者会見

             

手話言語その他の意思疎通のための手段の普及に関する条例(仮称)の制定について

 

【知事】    手話言語その他の意思疎通のための手段の普及に関する条例(仮称)の制定について申し上げます。

 4月1日の愛知県障害者差別解消推進条例の全面施行に伴いまして、障害の有無に関わらず、相互理解を得るために、手話、点字、要約筆記などによる意思疎通の必要性が高まっております。これに加えて、南海トラフを震源域とする大規模地震による被災が懸念される本県におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時における障害のある方への情報提供が課題となっております。

 このため、私といたしましては、言語である手話を始め、点字、要約筆記などの意思疎通手段の一層の普及を図るための条例を、平成28年度中に制定したいと考えておりまして、制定の準備を進めるよう、担当となる部署に指示をいたしました。

 なお、都道府県レベルでは、鳥取県始め6県で手話言語条例が制定されておりますが、手話に加えて、私どもは、点字や要約筆記等に対象を広げたいと思っておりまして、そういう条例の制定は、本県が都道府県初となるものと考えております。

 制定に当たりましては、障害当事者の方からも御意見をお聞きしながら進めてまいりたいと考えておりまして、障害者基本法に基づき、障害者に対する施策の推進について調査、審議するために設置し、障害のある方にも多数御参画いただいております愛知県障害者施策審議会、並びにその下にワーキンググループを設け、委員の皆様から丁寧に御意見をお聞きして、準備を進めてまいりたいと考えております。

 この条例制定を契機として、手話、その他、点字や要約筆記など様々な意思疎通のための手段の普及を進めることにより、障害のある方への情報提供や意思疎通の充実を図り、障害のある方、ない方が共に暮らせる社会づくりを進めてまいりたいと考えております。

 その次に資料がございますが、今私が申し上げたとおりのことでございまして、その「2対象とする意思疎通のための手段」でございますけれども、言語である手話、要約筆記等の文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、平易な表現、音訳、代筆及び代読など様々な手段を、意思疎通のために普及させていく、推進していく、そういった条例にしていきたいと思っております。その条例への意見聴取といたしまして、ここにありますような愛知県障害者施策審議会の下にワーキンググループをつくって、意見聴取を進めてまいりたいと考えております。

 その資料の裏ページに参考としてございますが、手話言語につきまして、平成26年1月に我が国日本が批准した「障害者の権利に関する条約」において、「言語」とは音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいうということでございまして、手話もその一つに位置付けられております。

 手話言語条例の制定状況ですが、今、都道府県では6県、この3月に3県追加になりまして6県でございますが、市町村は39市町。手話言語のほか、さらに意思疎通のためにその手段を広げているところは、兵庫県明石市、それから千葉県習志野市がございます。

そういったところも大いに参考にし、様々な意見をお聞きして、28年度中にその条例を議会に提案していきたいと思っておりまして、その作業に入りたいと思っております。

 今申し上げましたように、障害のある方とそうでない方の意思疎通を更に深めていくということで、そのためにこの条例、手話を始めとしたそういう手段を広く進めていければと思っております。

 内容は、そういった意思疎通の手段、コミュニケーション手段の普及を図ることを基本理念とし、県の責務、市町村との連携、それから県民・事業者の役割、そうしたコミュニケーション手段を推進していくための計画の策定、そして手話を始めとしたそういったコミュニケーション手段を学ぶ機会の確保、手話通訳者などの養成といったことを内容とするものにしていきたいと思っております。

 愛知県におきましては、愛知県議会でも、平成26年3月に「手話言語法(仮称)の早期制定についての意見書」の採択をしていただいているところでございます。

 一般社団法人全日本ろうあ連盟におかれましては、国に対し「手話言語法」の制定を要請するとともに、全国の自治体議会に対しまして、その「手話言語法」の早期制定を求める意見書の採択の働きかけをしており、現在、全国全ての自治体1,788団体においてその意見書が採択されているところでございます。

 自治体に対しても、そういった条例の制定に向けた活動も進めているという状況でございます。そういった状況を踏まえ、この4月から障害者差別解消法、そして愛知県障害者差別解消推進条例の制定、施行に伴いまして、そうした検討を進めていくということでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思っております。

 

 

手話言語その他の意思疎通のための手段の普及に関する条例(仮称)の制定についてpdf

 

1 条例制定の趣旨

 平成28年4月1日の愛知県障害者差別解消推進条例の全面施行に伴い、障害の有無に関わらず、相互理解を得るために、手話などよる意思疎通の必要性が高まっていること。加えて、本県は、南海トラフを震源域とする大規模地震による被災が懸念されており、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時において、特に聴覚や視覚障害のある方への情報提供が課題となっている。

 こうしたことから、言語である手話を始めとして、点字や要約筆記等の意思疎通手段の一層の普及を図るため、条例整備を図ろうとするもの。

 

2 背景

(1)障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、愛知県障害者差別解消推進条例の施行

 合理的配慮の提供にあたり、建設的対話による相互理解を進めるため、手話の他、点字、要約筆記等による意思疎通の必要性の高まり

 手話通訳、要約筆記等の意思疎通支援に対する関心の高まり

 

(2)東日本大震災を踏まえた大規模地震被災時の意思疎通に関する課題

(災害時の障害者避難等に関する研究:全国社会福祉協議会)

 避難所における生活等の場面で必要な配慮がなされなかった

 ・医療関係者の派遣時のコミュニケーション手段の確保

 災害情報、避難情報、支援情報がきちんと伝わらなかった(共有できなかった)

・多様な情報伝達手段の活用と周知拡大の実施

・双方向性の確保を原則とした情報提供の実施

・避難所への手話通訳者,要約筆記者,ろうあ者相談員,ガイドヘルパーの配置

(3)手話言語法制定を求める意見書の採択

 ・本県議会での平成26年3月の意見書採択を始め、平成28年3月までに全国全ての自治体1,788団体において意見書が採択

 

3 他自治体における条例制定状況(平成28年3月末時点)

(1)手話言語条例

 ・都道府県 6県

 鳥取県、神奈川県、群馬県、長野県、埼玉県、沖縄県

 ・市町村 41市町(愛知県内なし)

 

(2)手話の他要約筆記、点字等に対象を広げた条例(再掲) 3市

 ・兵庫県明石市(平成27年3月)

 「手話言語を確立するとともに要約筆記・点字・音訳等障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例」

・千葉県習志野市(平成27年12月)

 「習志野市手話、点字等の利用を進めて、障がいのある人もない人も絆を深め、互いに心を通わせるまちづくり条例」

 ・兵庫県小野市(平成28年3月)

 「小野市手話、要約筆記、点字等意思疎通手段利用促進条例」

 

4 条例の基本的考え方

・言語である手話及び意思疎通のための手段の普及について、基本理念を定め、県、県民及び事業者の役割を明らかにすること。

・手話及び意思疎通のための手段の普及に関する施策の基本となる事項を定め、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること。

 

5 条例の位置づけ

・障害者基本法(昭和45年法律第84号)第3条第3項の趣旨及び、同法第22条第1項の規定を踏まえ、手話その他の意思疎通のための手段の普及に関する県の理念を示し、施策の大枠を定めるものとする。

 

6 対象とする意思疎通のための手段(案)

・手話

・要約筆記等の文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、平易な表現、音訳、代筆、代読、その他意思疎通の支援を図るための用具

 

7 条例構成項目(案)

@ 前文(背景、手話に対する認識)

A 目的

B 基本理念

C 定義

D 県、県民、事業者の役割

E 手話その他の意思疎通のための手段の普及 (学ぶ機会の確保、支援者の養成等手話言語その他の意思疎通のための手段の普及に関する条例(仮称)の制定について

 

 

言語条例案「手話を社会変える力に」 聴覚障害者協理事長に聞く(2016年8月11日配信『中日新聞』)

 

手話言語条例の意義を説く服部理事長=名古屋市中区の県聴覚障害者協会で

 

 大村秀章知事は、手話を言語と位置付け、点字や要約筆記など障害者の特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進を図る「言語条例」を、九月の県議会定例会に提案する。県や市町村が通訳を養成するほか、障害者が働きやすい環境整備を事業者に求める。かつて手話は使用が禁止された歴史もあり、社会に出ることに壁を感じている障害者は今も少なくない。県聴覚障害者協会の服部芳明理事長(42)にろうあ者らを取り巻く現状を聞いた。

 

 −条例を要望してきた

 「聞こえない人」はかつて、社会から疎外され、学校に通えず、子どもを産めないようにさせられた。高齢になって、鏡に向かって手話で独り言を言うという話も聞く。

 条例ができれば、聞こえない人がどこに行っても、手話でコミュニケーションでき、視覚的に情報を得られる。理解を持つ人を増やし、手話ができる人が増えれば、社会を変えていく力になる。

 

 −条例案の理念に「手話は独自の体系を持つ言語で、受け継がれてきた文化的所産」と書き込まれた

 人間がコミュニケーションを取る前提として、言語の獲得が必要になる。ろうあ者にとっては手話。

 手話は一九二五(大正十四)年から禁止され、発声訓練と口の動きを読み取る口話教育が始まった。生徒同士は内緒で手話を使ってきた。手話は守られ、受け継がれてきた。

 

 −条例案は、学校現場で手話を学ぶ機会の提供を促している

 子どもが言語としての手話を身に付けるために、親も、学校の先生も、手話を学べるような環境をつくってほしい。

 条例ができた他県を見ると、会社や学校などで手話を教えてほしいという依頼が増えている。協会でも、自分たちが学ぶ研修の場をつくり、講師の派遣準備をしていく。

 

 −手話以外のコミュニケーション手段の利用促進も盛り込まれた

 本音では、手話と、手話以外のコミュニケーション手段は、分けて条例化した方が望ましい。協会でも、いろいろ議論し、ろうあ者の福祉向上につながり、「手話は言語である」ということを広めていくことにつながればという結論になった。コミュニケーション手段に予算が偏らないか心配している。

 

◆大村知事「全国のひな型に」

 

 大村知事によると、条例案は現在、障害者団体などの意見を聞いて文案修正中。知事は「われわれの条例が全国のひな型になるようにしていきたい」と語る。

 手話言語条例は鳥取や三重など八県が先行しているが、手話以外のコミュニケーション手段も盛り込んだ条例は全国初。手話以外とは、要約筆記や点字、触手話、指点字、代筆、代読、平易な言葉など幅広い。知事は、インターネット配信もしている毎週の定例会見で、手話通訳者を配置することも「要望があれば検討したい」と話している。

 

愛知県障害者差別解消推進条例(2015年12月18日成立。2015年12月22日施行)

 

(目的)

第一条 この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進について、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

 

(定義)

第二条 この条例において「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。以下同じ。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 

(基本理念)

第三条 障害を理由とする差別の解消の推進は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

 一 全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることを旨とすること。

 二 全ての障害者が、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないことを旨とすること。

 三 障害を理由とする差別の多くが障害者に対する理解の不足から生じていること及び誰もが障害を有することとなる可能性があることを踏まえ、全ての県民が、障害についての知識及び理解を深める必要があること。

 四 県、県民、事業者及び市町村その他関係機関が、各々の役割を果たすとともに、社会全体で取り組むこと。

 

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

2 県は、市町村と連携を図りながら協力して、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の推進に取り組むものとする。

 

(県民の責務)

第五条 県民は、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めるとともに、県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

 

(事業者の責務)

第六条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

 

(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)

第七条 県及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。

 

(県における障害を理由とする差別の禁止)

第八条 県は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 県は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

 

(事業者における障害を理由とする差別の禁止)

第九条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。

3 事業者は、その事業を行うに当たっては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号。以下「法」という。)第十一条第一項に規定する対応指針に即して、適切な対応に努めなければならない。

 

(相談及び紛争の防止等のための体制の整備等)

第十条 県は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるようにするため、その相談に対応するための窓口を設置する等必要な体制の整備を図るものとする。

2 県は、市町村が実施する障害を理由とする差別に関する相談に関し、情報の提供その他必要な援助を行うものとする。

 

(協議会)

第十一条 医療、介護、教育その他の障害者の自立及び社会参加に関する分野の事務に従事する県の関係機関は、障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、協議会を組織するものとする。

2 前項の協議会を組織する県の関係機関は、必要があると認めるときは、当該協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。

 一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体

 二 学識経験のある者

 三 その他当該県の関係機関が必要と認める者

3 第一項の協議会は、法第十七条第一項に規定する障害者差別解消支援地域協議会とする。

 

(障害を理由とする差別の解消に関する啓発等)

第十二条 県は、障害を理由とする差別の解消について県民の関心と理解を深めるため、障害を理由とする差別の解消に関する啓発及び知識の普及に必要な措置を講ずるものとする。

 

(助言、あっせん又は指導の求め等)

第十三条 第九条第一項の規定に違反する不当な差別的取扱いを受けたと認める障害者及びその家族その他の関係者は、知事に対し、当該不当な差別的取扱いに該当する事案の解決のために必要な助言、あっせん又は指導を行うよう求めることができる。ただし、当該求めをすることが当該障害者の意に反することが明らかであると認められる場合は、この限りでない。

2 知事は、前項の求めがあった場合において必要があると認めるときは、愛知県障害者 差別解消調整委員会の意見を聴くものとする。

3 知事は、第一項の求めに係る不当な差別的取扱いをしたと認められる事業者が、あっ せん案が提示された場合において当該あっせん案を受諾せず、又は指導に従わなかった ときは、当該事業者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

4 知事は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた事業者がその 勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。

5 知事は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該事業者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

 

(愛知県障害者差別解消調整委員会)

第十四条 前条第二項の規定によりその権限に属させられた事項を行わせるため、愛知県障害者差別解消調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、委員十五名以内で組織する。

3 委員は、学識経験のある者、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者、事業者を代表する者その他知事が必要と認める者のうちから、知事が任命する。

4 前二項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

 

(障害を理由とする差別の禁止に関し職員が適切に対応するための要領)

第十五条 県の機関は、第八条に規定する事項に関し、当該機関の職員が適切に対応するために必要な要領を定めるものとする。

2 県の機関は、前項の要領を定めようとするときは、あらかじめ、愛知県障害者施策審議会の意見を聴くものとする。

3 県の機関は、第一項の要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

4 前二項の規定は、第一項の要領の変更について準用する。

5 県の職員は、第一項の要領を遵守しなければならない。

6 第一項の要領(公営企業管理者及び病院事業管理者が定める要領を除く。)は、法第十条第一項に規定する地方公共団体等職員対応要領とする。

 

(財政上の措置)

第十六条 県は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

附則

(施行期日) 1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第十五条(第六項を除く。)の規定 平成二十八年一月一日

 二 第九条、第十一条第三項、第十三条、第十四条及び第十五条第六項の規定 平成二十八年四月一日

(経過措置) 2 県の機関は、平成二十八年一月一日前においても、第十五条の規定の例により、同条第一項の要領を定め、これを表することができる。

3 前項の規定により定められた要領は、平成二十八年一月一日において第十五条の規定により定められたものとみなす。

(検討) 4 県は、この条例の施行後三年を経過した場合において、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。

 

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