手話言語のみならず、点字やひらがな表記など広く意志疎通手段を網羅する内容は全国初 |
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(仮称)明石市手話言語及び点字・ひらがな表記等条例検討委員会(2014年9月19日) |
2015年3月26日兵庫県明石市議会は、障害者差別解消法が制定されたことを踏まえ、手話言語や要約筆記、点字、音読、ひらがな表記など、障害のある人のコミュニケーション手段の促進を図ることを目的とする条例を可決した。
全国では「手話言語条例」を制定している自治体はあるが、障害者基本法においては全ての障害者に意思疎通のための手段について、確保と選択の機会拡大が図られるものと規定されていることから、明石市が制定した条例は、手話言語のみに特化せず、障害者の意思疎通のための手段をより広く盛り込んだ内容となっている。
この条例をよりよいものにするため、市民の意見を2014年12月18日から2015年1月16日まで募集。合計49名の方から、74件の意見があった。
また、条例の愛称(通称)についても併せて募集した。
意見の概要と市の考え方は公表している(様式はダウンロードできる通常版PDFファイル、テキストファイルに加え、本ホームページの音声読み上げ機能に対応するため、本文としても掲載)。
明石市は並行して、障害者差別全般を想定した条例整備も検討しており、障害者差別改正法施行に合わせて2016年4月の制定を目指す。
なお、「多様性に寛容なまち」を目指す泉房穂(いずみ・ふさほ)市長(51)は、手話言語等条例施行に備え、自ら多忙を縫って勉強を重ね、2014年の秋に手話検定2級を取得し、「日常会話はできるようになった」といい、障害者や子ども、犯罪被害者ら、社会的に弱い立場にある人の支援が「ライフワーク」と語った。
その原点は障害のある弟の存在。小学生の頃から「不合理な社会を変えたい」との思いを抱き、テレビディレクター、弁護士を経て政治の道に。衆院議員も務めたが、住民の近くで具体的な制度をつくり、困っている人の力になれると感じ、市長を志したという。
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1.制定趣旨
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(一般的には「障害者差別解消法」、以下「法」)の成立(平成25年6月)を受け、市は法施行(平成28年4月)を前に、障害者枠の職員採用や障害者施策担当課長を配置した。さらに2014年6月28日には、「障害のある人への差別について考えるフォーラムinあかし」を開催するなど、今年度から障害者差別の解消に向けた取り組みを本格化させる中、具体的施策の第一段として、手話言語や点字、ひらがな表記等障害のある人のコミュニケーション手段の促進を図るため、条例整備を図ろうとするものである。
2.条例の位置づけ
今回制定を予定する手話言語など障害者のコミュニケーション促進に関する条例は、法で規定される「合理的な配慮」に係る行政の制度支援に位置付けられている。
また、法を地域の実情にあわせて実効性を持たせるために、今後の市の障害者福祉施策を包括的にリードする指針として、障害者差別解消全般に係る制度整備(条例)についても検討を行っていく。
差別解消全般に向けた条例づくりでは、障害のある人の暮らしを幅広く支援する内容となるよう、関係者及び団体等の意見も十分に反映するために、より丁寧に、あらゆる面に配慮しながら、少し時間をかけた議論が必要と考えられる。
今回の手話言語など障害者のコミュニケーション促進に関する条例制定をはじめとし、市が早々に取り組める事業や施策について順次検討・実施をしていく過程の中で、差別解消全般を想定した条例整備についても同時並行的に検討を進めていくこととする。
3.条例構成項目案
@前文(背景、手話言語の認識や障害者のコミュニケーション手段促進の重要性等)
A総論(基本理念、取り組み方針、市・市民・事業者の責務等)
B手話言語(手話通訳者の養成、手話の普及等)
C点字・ひらがな表記等(点訳者・音訳者・要約筆記者の養成、点字・音訳・要約筆記の普及、ひらがな表記ほか障害者に対する配慮等)
目次 第4章 多様な障害者のコミュニケーション手段の利用促進(第16条) 第5章 明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会(第17条) 前文 手話は言語である すべての人は、さまざまな人と出会い、言葉を交わし、自分の生活にかかわる人との多様な関係をつくる中で、その人らしい豊かな生活をおくる権利を有している。 しかし、現実には、多くの障害者にあってはコミュニケーション手段の選択の機会が制限され、困難な状態におかれている。 中でも、ろう者にあっては、ろう教育において口話法が長年にわたって行われ、その結果、ろう者の言語である手話の使用が事実上禁止され、ろう者の尊厳が深く傷つけられた歴史をもつ。 平成18年に国際連合で採択され、平成26年1月に日本が批准したことにより、同年2月に日本国内で発効された障害者の権利に関する条約は、定義において、言語には、音声言語だけではなく、「手話その他の形態の非音声言語」が含まれるとした。 同条約で手話が言語として明確に定められたことで、手話がろう者にとって欠かすことができない生活上のコミュニケーション手段であることが国内外で認められることになった。 多様なコミュニケーション手段の促進のために 障害者の権利に関する条約は、コミュニケーション手段には手話を含む言語、文字の表示、点字、音声、触覚、平易な表現等による多様なコミュニケーション手段があるとし、同条約の趣旨を反映した障害者基本法の改正は、コミュニケーション手段の選択と利用の機会が確保されていない障害者に大きな変化をもたらし、自立と社会参加に大きな扉を開くものとなった。 その一方で、明石市において、実際には障害の特性や障害者のニーズに応じたコミュニケーション手段の選択と利用の機会が十分に確保されているとは言えず、地域社会で暮らす人と人との初歩的な関係づくりに日常的な困難をきたしている人たちが少なくない。こうした障害者のコミュニケーションの権利を実現するためには、障害者の権利に関する条約の理念を広く市民と共有する不断の努力が必要である。 多様な人と人との出会いと相互理解の第一歩がコミュニケーションであることをすべての市民が確認し合い、そのことをもって、お互いに一人ひとりの尊厳を大切にしあう共生のまち−明石市づくりを推進する新しいスタートラインとするため、この条例を制定する。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、手話等コミュニケーション手段についての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにし、総合的かつ計画的な施策を推進することにより、障害のある人がその障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境を構築し、もって障害のある人もない人も分け隔てられることなく理解しあい、お互いに一人ひとりの尊厳を大切にして安心して暮らすことができる地域社会を実現することを目的とする。 (基本理念) 第2条 すべての手話等コミュニケーション手段の選択と利用の機会の確保は、障害のある人とない人とが相互の違いを理解し、その個性と人格とを互いに尊重することを基本として行われなければならない。 2 手話等コミュニケーション手段を利用する人(以下「利用者」という。)が有している、障害の特性(以下「障害特性」という。)に応じてコミュニケーションを円滑に図る権利は、最大限尊重されなければならない。 3 手話の普及は、手話が独自の言語体系と歴史的背景を有する文化的所産であると理解されることを基本として行われなければならない。 (定義) 第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難治性疾患その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により、継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。 (3) 社会的障壁 障害者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (4) 手話等コミュニケーション手段 独自言語としての手話、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な表現、代筆及び代読その他日常生活又は社会参加を行う場合に必要とされる補助的及び代替的な手段としての情報及びコミュニケーション支援用具等をいう。 (5) 合理的な配慮 障害者が日常生活又は社会生活において、障害のない人と同等の権利を行使するため、必要かつ適切な現状の変更及び調整等を行うことをいう。 (6) コミュニケーション支援従事者等 手話通訳士・者、要約筆記者、点訳者、音訳者(朗読者を含む。)及び盲ろう者向け通訳・介助者並びに知的障害者又は発達障害者等への伝達補助等を行う支援従事者等をいう。 (市の責務) 第4条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる施策を推進するものとする。 (1) 公的機関及び事業者が合理的な配慮を行うことができるよう支援すること。 (2) 障害者、コミュニケーション支援従事者等、公的機関及び事業者の協力を得て、手話等コミュニケーション手段の意義及び基本理念に対する市民の理解を深めるための取組を行うこと。 (3) 障害者が地域社会において手話等コミュニケーション手段を利用することができる環境の整備を促進すること。 (4) 利用者、コミュニケーション支援従事者等その他の関係者が、手話等コミュニケーション手段を利用できるようにするために行う調査及び研究並びにその成果の普及に協力すること。 (市民の役割) 第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、手話等コミュニケーション手段の普及及び利用の促進に係る市の施策に協力するよう努めるものとする。 (事業者の役割) 第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、手話等コミュニケーション手段の普及及び利用の促進に係る市の施策に協力するよう努めるとともに、コミュニケーション支援従事者等と連携し、障害者が手話等コミュニケーション手段を利用できるようにするための合理的な配慮を行うよう努めるものとする。 (施策の策定方針) 第7条 市長は、手話等コミュニケーション手段の普及及び利用の促進を図るため、次に掲げる施策を策定するものとする。 (1) 手話等コミュニケーション手段に関する必要な情報提供その他の手話等コミュニケーション手段を容易に利用できるようにするための環境整備に関する施策 (2) コミュニケーション支援従事者等の配置の拡充及び処遇の改善その他のコミュニケーション支援従事者等の確保に関する施策 (3) その他手話等コミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関する施策 2 市長は、前項に規定する施策を策定する場合においては、明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会(以下「協議会」という。)の意見を聴き、その意見を尊重するものとする。 3 市長は、第1項の規定による施策を策定した場合は、当該施策を明石市障害者計画(障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項の規定に基づき策定された計画をいう。)に位置付け、総合的かつ計画的に推進するものとする。 (財政上の措置) 第8条 市は、手話等コミュニケーション手段に関する施策を推進するため、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。 第2章
手話言語の確立 (手話を学ぶ機会の提供) 第9条 市は、ろう者、手話通訳者、公的機関及び事業者と協力して、市民に手話を学ぶ機会を提供するものとする。 2 市は、公的機関及び事業者が手話に関する学習会等を開催する場合において、当該学習会等を支援するものとする。 (手話を用いた情報発信等) 第10条 市は、ろう者が市政に関する情報を速やかに得ることができるよう、手話を用いた情報発信を推進するものとする。 2 市長は、市が主催する講演会等に手話通訳者を配置するものとする。 3 市長は、地方独立行政法人明石市立市民病院その他の市長が適当と認める団体が主催する講演会等に手話通訳者を派遣するものとする。 4 市長は、ろう者が手話を身近に使うことができる環境及び手話による情報を入手することができる環境を整備するため、手話通訳者の派遣及びろう者に対する相談支援活動の支援等を行うものとする。 (手話通訳者等の確保及び養成) 第11条 市は、ろう者が地域社会において安心して生活できるよう、関係機関と協力し、手話を使うことができる者及びその指導者の確保及び養成を行うものとする。 (学校における手話の普及) 第12条 市は、学校において、ろう児童生徒が手話で学ぶことができるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 市は、市民が手話に関する理解を深めるため、学校教育における手話の普及啓発を行うものとする。 第3章
要約筆記・点字・音訳の促進 (要約筆記等を学ぶ機会の提供) 第13条 市は、手話等コミュニケーション手段のうち、要約筆記、点字又は音訳(以下「要約筆記等」という。)を必要とする障害者、コミュニケーション支援従事者等、公的機関及び事業者と協力し、市民に要約筆記等を学ぶ機会を提供するものとする。 (要約筆記等を利用するための環境整備) 第14条 市は、障害者が要約筆記等を身近に使うことができる環境及び要約筆記等による情報を入手することができる環境を整備するため、次に掲げる事項についての取組を推進するものとする。 (1) 要約筆記等に係るコミュニケーション支援従事者等の派遣及び要約筆記等による情報の利用に関する相談支援活動の支援等 (2) 市が主催する講演会等における要約筆記者の配置 (3) 地方独立行政法人明石市立市民病院その他の市長が適当と認める団体が主催する講演会等への要約筆記者の派遣 (4) 市の広報活動及び公的機関が障害者に送付する文書通知等における点字サービス及び音訳サービスの提供 (5) その他要約筆記等を利用できるようにするための環境整備に必要な事項 (要約筆記者等の確保及び養成) 第15条 市は、要約筆記等の手話等コミュニケーション手段を利用する障害者が地域社会において安心して生活できるよう、関係機関と協力し、要約筆記者、点訳者及び音訳者の確保及び養成を行うものとする。 第4章 多様な障害者のコミュニケーション手段の利用促進 (多様な障害者のコミュニケーション手段に対する支援及び配慮) 第16条 市は、日常生活又は社会生活において、障害特性に応じたコミュニケーション手段が障害者の年齢及び障害の種別又は状態等に応じてきわめて多様であることに鑑み、手話及び要約筆記等以外の手話等コミュニケーション手段について、利用の促進に関する施策を推進するものとする。 2 市は、触手話、指点字その他の盲ろう者のコミュニケーション手段を利用する場合に必要となるコミュニケーション支援従事者等の確保及び養成を行うものとする。 3 市は、次に掲げる手話等コミュニケーション手段の利用について支援を行うとともに、これらに対する市民の理解を促進するための取組を行うものとする。 (1) 知的障害及び発達障害の特性を踏まえた、平易な表現によるわかりやすい情報伝達及び絵図、写真、記号、サイン、ジェスチャー等によるコミュケーション手段 (2) 代用音声(喉頭摘出等により使用するものをいう。)及び重度障害者用意思伝達装置等(重度の両上下肢障害及び音声・言語機能障害により使用するものであって、まばたき等により操作するものをいう。)によるコミュニケーション手段 (3) その他障害者のコミュニケーション手段として必要な手段 第5章
明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会 (明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会) 第17条 手話等コミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関する施策について協議するため、協議会を置く。 2 協議会は、第7条第1項に規定する施策の策定について意見を求められた事項について、市長に意見を述べる。 3 前項に定めるもののほか、協議会は、この条例の施行に関する重要事項について、市長に意見を述べることができる。 4 協議会の委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。 (1) 障害者 (2) コミュニケーション支援従事者等 (3) 手話等コミュニケーション手段について優れた識見を有する者 (4) 公募による市民 (5) その他市長が特に必要と認める者 5 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。 附 則 この条例は、平成27年4月1日から施行する。 (提案理由) 本案は、手話等コミュニケーション手段の普及及び利用の促進のための施策に関する基本的な事項を定めることにより、障害のある人がその障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境を構築し、もって障害のある人もない人も分け隔てられることなく理解しあい、お互いに一人ひとりの尊厳を大切にしあう共生のまちづくりを推進するため、新たに条例を制定しようとするものである。 |
前文 手話は言語である すべての人は、さまざまな人と出会い、言葉を交わし、自分の生活にかかわる人との多様な関係をつくる中で、その人らしい豊かな生活をおくる権利を有している。しかし、現実には、多くの障害者がコミュニケーション手段の選択の機会が制限され、困難な状態におかれている。 中でも、ろう者にとっては、ろう教育において口話法が長年にわたって行われ、その結果、ろう者の言語である手話の使用が事実上禁止されることによって、ろう者の尊厳を深く傷つける歴史をもつことになった。 平成18年に国際連合で採択され、平成26年2月から政府の批准により日本国内で発効された障害者の権利に関する条約は、定義において、言語には、音声言語だけではなく、「手話その他の形態の非音声言語」が含まれるとした。 ここで手話が言語として明確に定められたことで、手話がろう者にとって、欠かすことができない生活上のコミュニケーション手段であることが国内外で認められることになった。 多様なコミュニケーション手段の促進のために 明石市においては、障害の特性やニーズにもとづくコミュニケーション手段の選択と利用の機会が十分に確保されていないために、地域で暮らす人と人との初歩的な関係づくりに日常的な困難をきたしている人たちが少なくない。 障害者の権利に関する条約は、手話言語だけではなく、意思疎通には、言語、文字の表示、点字、音声、触覚を使った意思疎通、平易な言葉等の多様なコミュニケーション手段があるとし、同条約の趣旨を反映した障害者基本法の改正は、コミュケーション手段の利用が困難な障害者に大きな変化をもたらし、自立と社会参加の支援に大きな扉を開くものとなった。 こうした障害者のコミュニケーションの権利の実現に道を開く新しいスタートラインに立つことは、すべての市民にとって、多様な人と人との出会いと相互理解の第一歩がコミュニケーションであることを確認し合うことになり、そのことを以って、お互いに一人ひとりの尊厳を大切にしあう共生のまち−明石市づくりを目指すため、この条例を制定する。 1 総論(第1章総則) (1)目的 この条例は、言語(手話を含む。)その他のコミュニケーションのための手段の利用が困難な障害者にとって、障害特性に応じたコミュニケーション手段の選択と利用の確保が必要であるとの認識に基づき、手話その他のコミュニケーション手段の普及及び地域において手話その他のコミュニケーション手段を利用しやすい環境の構築に関し、基本的理念を定め、市の責務及び市民、事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって全ての人が相互に理解し合い、安心して暮らすことができる地域社会の実現を目的とする。 (2)定義 この条例において、各用語の意義は、次に掲げる当該用語の定めるところによる。 ア 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により、話すこと、聞くこと、見ること、書くこと、読むこと、認知することに困難があるため、手話その他のコミュニケーション手段を選択し、利用できない、又は音声や文字等による情報にアクセスできないことにより、日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう。 イ 社会的障壁 障害者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 ウ 手話等コミュニケーション手段 言語(手話を含む。)、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な言葉、必要があると認められる場合の代筆及び代読その他のコミュニケーション手段に関する補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(日常生活又は社会参加において利用しやすい情報・意思疎通支援用具等)をいう。 エ 合理的な配慮 日常生活又は社会生活の特定の場合において、障害者から手話等コミュニケーション手段の利用を妨げる社会的障壁の除去の実施を必要としている旨の意思表明があったときに、その実施において、実施に伴う負担が過重でない場合に行われる適切な調整及び変更等をいう。 オ コミュニケーション支援従事者等 手話通訳士・者、要約筆記者、点訳 者、音訳者(朗読者を含む。)、盲ろう者向け通訳・介助者、知的障害者・発達障害者等への伝達補助等を行う支援従事者等をいう。 (3)基本的理念 ア 手話等コミュニケーション手段の理解及び普及は、手話等のコミュニケーション手段を使用する人とそれ以外の人が相互の違いを理解し、その個性と人格を互いに尊重することを基本として行われなければならない。 イ コミュニケーション手段の促進に関する施策は、手話等コミュニケーション手段を利用する障害者がその障害特性に応じたコミュニケーション手段を選択し利用することにより、コミュニケーションを円滑に図る権利を有し、その権利を最大限尊重することを基本として、行われなければならない。 (4)市の責務 ア 市は、基本的理念にのっとり、関係機関と連携して、障害者が手話等コミュニケーション手段を利用し日常生活又は社会生活を営むことを妨げる社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮を行うことができるよう支援し、手話等コミュニケーション手段の普及及び地域社会において手話等コミュニケーション手段を利用することができる環境の整備を促進するものとする。 イ 市は、手話等コミュニケーション手段を利用する障害者及びコミュニケーション支援従事者等の協力を得て、手話等コミュケーション手段の意義及び基本的理念に対する市民の理解を深めるための取り組みを行うものとする。 (5)市民の役割 市民は、基本的理念に対する理解を深め、市の施策に協力するとともに、地域において手話等コミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に努めるものとする。 (6)事業者の役割 事業者は、基本的理念に対する理解を深め、市の施策に協力するとともに、コミュニケーション支援従事者等と連携し、障害者が手話等コミュニケーション手段を利用できるよう合理的な配慮の実施に努め、相互にコミュニケーションを図ることができる環境づくりに協力するものとする。 (7)施策の方針 @ 市は、障害者が手話等コミュニケーション手段を利用するための施策を策定する場合においては、4に定める明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会の意見を聞き、その意見を尊重するよう努めるものとする。 A 施策の策定及び障害者計画の推進 市は、手話等コミュニケーション手段を促進するために、次の施策を策定 し、同施策を市の障害者計画に位置づけ、以って施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。 ア 手話等コミュニケーション手段の理解及び普及を図るための施策 イ 障害者及び市民が手話等コミュニケーション手段に関する情報を得る機会の拡大のための施策 ウ 障害者が手話等コミュニケーション手段を選択することが容易にでき、かつ、手話等コミュニケーション手段を利用することができる環境の整備のための施策 エ コミュニケーション支援従事者等の配置の拡充及び処遇改善等、コミュニケーション支援従事者等のための施策 オ その他手話等コミュニケーション手段の促進のための施策
(8)手話等コミュニケーション手段に関する調査及び研究 市は、手話等コミュニケーション手段の利用者及びコミュニケーション支援従事者その他の関係者が、この条例で定める手話等コミュニケーション手段の促進に資するために行う調査及び研究の取り組み及びその成果の普及に協力するものとする。 (9)財政上の措置 市は、手話等コミュニケーション手段に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。 2 手話言語の促進(第2章) (1)手話言語を学ぶ機会の確保及び普及 ア 市は、手話は言語であるとの認識に基づき、ろう者、手話通訳者及び関係機関等と協力して、学校等その他の市民が手話を学ぶ機会の確保及び普及のための取り組みを促進するものとする。 イ 市は、公的機関及び事業者が手話言語に関する学習会等を開催する場合において、その職員が手話言語の意義等を理解し、手話を学習し普及する取り組みについて支援するものとする。 (2) 手話を用いた情報発信等 ア 市は、ろう者が市政に関する情報を速やかに得ることができるよう、手話等を用いた情報発信に努めるものとする。 イ 公的機関等が主催する講演会等の手話通訳者の配置 ウ 市は、ろう者が手話を身近に使え、手話による情報を入手できる環境を整備するため、手話通訳者の派遣、ろう者等の相談を行う拠点の支援等を行うものとする。
(3) 手話通訳者等の確保及び養成等 市は、関係機関と協力して、ろう者が地域において安心して生活できる環境づくりに資するため、手話通訳者等(ろう者を含む。)の手話を使うことができる者及びその指導者の確保、養成及び手話技術の向上を図るものとする。 (4) 学校における手話言語の普及 ア 市は、学校において、ろう児童生徒が手話で学ぶことができるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 イ 市は、手話言語に関する理解を深めるため、学校教育における啓発及び普及に資する必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 3 要約筆記・点字・音訳等の促進(第3章) (1) 要約筆記・点字・音訳等を学ぶ機会の確保及び普及 市は、要約筆記・点字・音訳等を必要とする障害者の障害特性によるコミュニケーション手段(以下「要約筆記・点字・音訳等コミュニケーション手段」とする。)は、日常生活において欠かすことのできないものであるとの認識に基づき、当該の障害者、コミュニケーション支援従事者等及び関係機関と協力し、市民が要約筆記・点字・音訳等コミュニケーション手段を学ぶ機会の確保及び普及のための取り組みを促進する。 (2) 要約筆記・点字・音訳等を用いた情報発信等 市は、障害者が要約筆記・点字・音訳等コミュニケーション手段を身近に使 え、関係情報を入手できる環境を整備するため、次の取り組みに努めるものとする。 ア 要約筆記・点字・音訳等のコミュニケーション支援従事者等の派遣又は当該障害者等の情報の利用に関する相談を行う拠点の整備及び支援等 イ 公的機関等が主催する講演会等の要約筆記者の配置 ウ 広報及び公的機関が当該障害者に送付する文書通知等における点字・音訳サービスの提供 エ その他の環境整備に必要な事項 (3) 要約筆記者・点訳者・音訳者等の確保、養成等 市は、関係機関と協力して、要約筆記・点字・音訳等コミュニケーション手段を利用する障害者が地域において安心して生活できる環境づくりに資するため、要約筆記者・点訳者・音訳者等の確保、養成及び技術の向上を図るものとする。 (4)その他の障害者のコミュケーション手段に対する支援及び配慮 市は、日常生活又は社会生活において、障害特性によるコミュニケーション手段が障害者の年齢及び障害の種別、状態等に応じてきわめて多様であるとの認識に基づき、次の事項に関するコミュニケーション手段を促進するための取り組みを行うものとする。 ア 盲ろう者のコミュニケーション手段として利用される触手話、指点字その他の手段を利用する場合に必要となるコミュニケーション支援従事者の確保及び養成 イ 知的障害及び発達障害の特性を踏まえた平易な言葉によるわかりやすい情報伝達手段及び絵図や写真・記号・サイン・ジェスチャー等によるコミュケーション手段の支援及び理解の普及 ウ 喉頭摘出等による代用音声や重度の両上下肢及び音声・言語機能障害におけるまばたき等による重度障害者用意思伝達装置等のコミュニケーション手段の支援及び理解の普及 エ その他の必要とされる事項 4 明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会(第4章) (1)設置 市は、次に掲げる事務を行うため、明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。 ア 1の(7)の定めに基づき、市長に意見を述べること。 イ この条例の施行に関する重要事項について、市長に意見を述べること。 ウ 協議会が必要と認める場合には、施策を専門的に協議する課題小委員会を置くことができる。 (2)組織 協議会は、委員10人以内で組織する。 (3)委員 ア 委員は、障害者、コミュニケーション支援従事者及び優れた識見を有する者のうちから市長が任命する。 イ 委員の任期は、3年とする。 5 附則 (1)施行期日 平成27年4月1日とする。 |
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西川あゆみ議員の一般質問(2014年6月17日) |
日本共産党の 西川あゆみです。発言通告に従い質問します。
手話言語条例の制定について
初めに、1項目目、手話言語条例の制定についておききします。
2011年、障害者権利条約を反映して、改正障害者基本法によって手話が言語として法的に認められました。具体化には別の法律、手話言語法の制定が必要ですが、いまだ法整備には至っていません。
そのようななか、各自治体では、手話を言語として位置づけ、普及に向けた環境整備をすすめる「手話言語条例」の制定の動きがひろがりつつあります。
昨年10月には鳥取県議会で、全国初の手話言語条例が全会一致で可決、成立しました。その後、北海道石狩市、新得町、三重県松阪市で条例が制定され、すでにさまざまな実効性のある取り組みが始まっています。また兵庫県下では篠山市で条例制定に向けた検討が行われています。
今回、質問するにあたって、明石市にお住いの耳の聞こえない方たちに直接お話を伺う機会をいただきました。皆さんからまずお聞きしたのはどこでも手話で話し、意思を伝えられる環境、情報を得られる環境を整えてほしいという願いでした。続いて手話で、日々の暮らしの中で、あるいは仕事上抱えている困難についていろいろと教えていただきました。
聞こえないため、職場でも口話の読み間違いでミスがおこりやすく、能力が低いとみなされる。学校教育では母語である手話での教育がまだ保障されていない。手話通訳者の派遣は自治体によって範囲に差がありますが、例えば明石市では冠婚葬祭は一親等までしか認められず、祖父母や兄弟の葬儀や結婚式は対象外になる。電話での意思伝達ができない不便。災害や火災、事故が起こったら、音声のアナウンスでは情報が伝わらず、何が起きてどうすればいいのかがわからない。
このような様々な体験をうかがう中で、私は、社会は、耳が聞こえることを前提に作られているということをあらためて感じました。コミュニケーションできることや情報が得られることは、生活していくうえで誰もが必要とする基本的な条件です。憲法でうたわれている基本的人権の問題です。明石市においても手話言語条例を制定し、聞こえない市民とそうでない市民が理解を深め共生しあえる社会環境を作ることが望まれています。
そこで1点目、手話言語条例の制定に対する市長の見解をお聞きします。
次に2点目、手話を言語として位置づけ、普及するための環境整備についてお聞きします。
聴覚障害者のコミュニケーション支援制度や、環境をどのように改善していこうと考えておられますか。また、登録手話通訳者の増員、手話通訳者を利用できる範囲の拡大、市民や教育現場での手話普及を進める取り組み、総合福祉センターへの手話通訳者の設置についてのお考えをお聞きします。
福祉部長
手話言語条例の制定についてのご質問にお答えいたします。
まず1点目の、手話言語条例の制定に対する市の見解についてでございますが、障害者権利条約や障害者基本法におきまして、手話は言語とされており、鳥取県や松坂市などではすでに条例を制定しております。当該条例の制定は本市の障害者計画の基本理念としております、地域で安心して生き生きと暮らせる自立と共生の社会の実現に向けての取り組みの一つとして意義のあるものと認識しております。今後、当事者や関係者等から幅広くご意見を伺い、条例制定に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に2点目の、手話祖言語として位置づけ普及するための環境整備についてでございますが、本市では聴覚障害者に対するコミュニケーション支援のため、聴覚障害者が、市役所内での届け出や相談等において担当窓口の職員とのコミュニケーションが円滑にできるよう、障害福祉課に手話通訳者を設置しており、H25年度は延べ403人の方の利用がございました。
また、医療機関や公的機関に行く際に訪問先でのコミュニケーションを円滑にするため手話通訳者の派遣事業を行っているところでございます。
H26年3月31日現在、手話を必要とし、派遣登録をしている方は102人、一方市に登録している手話通訳者は34人となっており、H25年度の利用回数は延べ562回でございます。今年度には市が主催する講演会などのイベントにおきまして、これまで手話通訳者を配置できなかったものについて、予算を確保し手話通訳者を配置できるようにしているなど、様々な取り組みを行っているところでございます。
市では聴覚障害者が日常生活を送る上でのコミュニケーションを仲介する手話通訳者の役割は重要であると考えておりますので、引き続き明石市社会福祉協議会とも連携しながら、養成講座等を通じて手話通訳者の増員を図ってまいります。
教育現場におきましては、小学校の総合的な学習の時間や音楽などで手話を取り入れた授業を行っている学校もあり、市としましても、児童が手話に対する理解を深めることは有意義であると考えております。
総合福祉センターへの通訳者の設置や、手話通訳派遣の範囲の拡大に関しましては、当事者や関係団体、関係部署と協議し、検討してまいりたいと考えておりますのでよろしくご理解賜りますようお願いいたします。
自虐」PRの兵庫県民局に対抗…ではなく 明石市は“自愛”動画を公開(2018年7月25日配信『神戸新聞』)
兵庫県明石市は、子育て支援や障害者らへの取り組みなど重要施策をPRする動画の公開を市ホームページ(HP)で始めた。東播磨県民局が「炎上覚悟」で作成したという“自虐ネタ”の動画は、泉房穂市長が抗議したことで話題になったが、市の動画は“自愛”にあふれた内容になっている。
4月の中核市移行に合わせ、幅広く市の魅力をPRしようと、従来の動画を刷新。「明石が選ばれている理由」をテーマに、7月上旬に公開した。
他市町からの転入増で人口が5年連続増加していることや、出生数が3年連続で増えていることを紹介。理由として、子どもを核としたまちづくり▽すべての人に優しいまち▽本のまち−を3本柱としている。
具体的な政策としては、第2子以降の保育料無償化や中学3年生までの医療費完全無料化、筆談ボードなど障害者支援の助成、あかし市民図書館の開設などを挙げた。4月に新設された動物センターと保健所もアピールしている。
8分45秒。制作費は撮影などの委託費が約60万円。
市広報課は「県民局の動画公開より前から企画を進めており、対抗意識などはない」としている。
これを見れば全てがわかる!明石が選ばれる理由 徹底紹介!
2018年4月、中核市へ移行した明石市。
人口が5年連続で増加、出生数も3年連続で増加するなど、今明石市は選ばれている。
充実の子育て支援や障害者施策などの市の取り組みから、あかしが選ばれる理由をご紹介。
公衆電話もバリアフリーに 兵庫・明石に手話フォン(2018年2月6日配信『神戸新聞』&5日配信『産経新聞』&『NHKニュース』)
JR明石駅前のビルに設置された「手話フォン」を利用する男性=5日午後、兵庫県明石市
耳の不自由な人がテレビ電話に写る手話通訳を介して通話ができる公衆電話ボックス「手話フォン」が、関西地方では初めてバリアフリーの推進に取り組む兵庫県明石市の駅前のビルのイベントホールの一角にお見えし、5日、記念式典が開かれた。
式典には福祉団体の関係者や聴覚障害者ら約100人が参加。泉房穂市長は手話を交えながら「手話でのコミュニケーションがいつでもできる社会に変われば、聴覚障害者の暮らしがもっと良くなる。手話フォンをどんどん使ってください」とあいさつした。
また、明石ろうあ協会の家根谷靖彦会長は「B−1グランプリ西日本大会では、人のつながりの大切さを実感した。手話フォンの設置が共生社会の実現につながれば」と話した。
手話フォンを体験した明石ろうあ協会の木戸めぐみ事務局長は「思っていたより簡単だった。メールでは細かなことを伝えるのが大変なので、とても助かる」と話していた。
手話フォンは、聴覚障害者がボックス内のモニターから相手先の電話番号を掛けると、テレビ電話を通じてオペレーター(手話通訳の電話交換手)が手話で同時通訳し、その音声を相手方に伝える。相手方からの話はオペレーターが、手話で通話者に伝える。口頭で電話するように通話が可能という。
これまで聴覚障害者はファクスや電子メールで用件を伝えたり、手話通訳者を呼んで通話を代行してもらったりするなど、意思伝達に手間が掛かっていた。手話フォンでは、手話通訳者への依頼など事前の準備がなくても電話することが可能
公益財団法人の日本財団が、聴覚障害者の生活環境を向上しようと進めている「電話リレーサービス」の一環。同財団が設置費用約200万円や1カ月にかかる通信費約5万円を負担する。手話フォンは2017年、羽田空港や茨城県の筑波技術大にも設置されている。
利用に当たり、事前の準備は不要で無料。午前8時から午後9時まで自由に使うことができる。
ファックスより短い時間でコミュニケーションを取ることが可能で、記念式典に出席した人たちが、早速家族や知り合いにかけて使い勝手を確かめていた。
聴覚障害者で市内に住む藤井敬一さん(73)は「家電量販店に電話をかけて自宅のテレビの修理をお願いした。これまではファックスを使っていたが、手話フォンのほうがやり取りが早くて便利でした。これからも利用したい」と話していた。
日本財団の担当者は「公衆電話は誰でも使えるはずなのに耳が不自由な人は使えない。全体の1%でも同様の機能があれば、全国にバリアフリーの公衆電話が生まれる」と話している。
羽田手話フォン / 筑波技術大手話フォン / 妻鳥通信工業開発システム、手話フォンに採用
筆談は「簡潔、具体的に」 明石市が入門ガイド(2017年1月25日配信『神戸新聞』)
聴覚障害者との筆談の要領を紹介したガイドと筆談ボード(手前)=明石市中崎1
聴覚障害者と円滑な意思疎通を目指し、兵庫県明石市が筆談のこつを示した「筆談入門ガイド」をこのほど作成した。簡潔で具体的な表現を用い、敬語を使い過ぎないことなど10カ条を挙げている。
市は2015年に手話言語・障害者コミュニケーション条例を、16年、障害者配慮条例を制定。障害の有無に関係なく住みやすいまちづくりを目指している。
ガイドでは電車の遅れについて質問された際、「人身事故があって、遅れるという放送がありました。あと10分ぐらいで来るみたいですよ」ではなく、「人身事故。10分遅れています」と簡潔に書くことの大切さを紹介。二重否定は使わない、回りくどい表現を避けることなどを具体例とともに示している。
ガイドは筆談ボードを設置している飲食店や商業施設など約100カ所に配布。市の施設や学校、病院、介護施設などにも配る予定で、耳の不自由な人に限らず、コミュニケーションが苦手な知的障害者らとのやり取りにも役立てる。
ガイドの問い合わせは、市福祉総務課障害者施策担当TEL078・918・5142
障害者との意思疎通円滑に 明石市が推進策議論(2017年1月19日配信『神戸新聞』)
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障害者とのコミュニケーションについて議論した会合=市民会館
手話や点字、要約筆記などが必要な障害者との円滑な意思疎通を目指し、具体策を考える「明石市手話言語等コミュニケーション施策推進協議会」が19日、市立市民会館(兵庫県明石市中崎1)で開かれた。
同市は2015年、「手話言語・障害者コミュニケーション条例」を制定。当事者の声を反映した施策推進を図るため、同年に協議会を立ち上げた。さらに昨年は障害者配慮条例を制定し、障害の有無にかかわらず、誰もが住みやすいまちづくりを目指している。
3回目となる会合には、関係団体の代表者や学識経験者ら約20人が参加した。市の担当者が、配慮条例に基づく点字メニュー作成や筆談ボード購入への助成、手話体験教室の実施状況などを説明。その後、知的、発達障害者とのコミュニケーションの難しさを課題に挙げたり、描かれた絵を指さして意思疎通を図るボードが紹介されたりした。
出席者からは、聴覚障害者避難訓練で情報伝達が不十分だったことへの改善要望や、視覚障害者への支援に対する質問などがあった。
「1人のとき地震遭遇なら不安」 兵庫で聴覚障害者対象に避難訓練(2016年1月16日配信『産経新聞』) |
大規模災害の発生時、障害のある人たちの避難活動にどのような課題が生じるかを考え、今後に生かそうと、兵庫県明石市は15日、同市貴崎の市立総合福祉センターで、市内の聴覚障害者や手話通訳者らを対象にした地震の避難訓練を、初めて実施した。
訓練では、「揺れた」との合図で聴覚障害者らが机の下に身を隠し、揺れがおさまるまで待機。その後、手話や筆談でコミュニケーションをとりながら、3階から階段を下り、建物外の駐車場まで避難した。
訓練終了後、聴覚障害者からは「今回と違って1人で行動しているときに地震に遭遇したらどうすればよいか」などの意見が出た。同市福祉総務課は「今後は視覚障害者や身体障害者の方を対象にした訓練も実施したい」としている