愛媛県障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例

 

 

愛媛県障がい者差別解消条例(仮称)の概要案について(2016年3月18日県議会全会一致で可決。2016年4月1日施行)

 

 2016年4月1日の障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)施行に合わせて、障害者差別解消法をより実効性あるものにするとともに、障がいに対する県民の理解と関心を深め、誰もが安心して心豊かに暮らすことのできる「共生社会」を実現するため、本条例を制定する。

 

1 目的

〇この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の施行に伴い、障がいを理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、全ての県民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

 

2 定義

〇障がいとは、身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)を原因とする障がいその他心身の機能の障がいをいい、障がいのある人とは、障がい及び社会的障壁によって継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける人をいう。

 

〇社会的障壁とは、障がいのある人にとって日常生活・社会生活を営む上で障壁となる社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

 

〇障がいを理由とする差別とは、障がいを理由として障がいのない人と不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害すること及び合理的配慮を怠ることをいう。

 

〇合理的配慮とは、社会的障壁の除去を必要としている障がいのある人の求めに対し、その負担が過重でないときに、障がいのない人と同等の権利を行使するため、又は同等の機会及び接遇を確保するため、必要かつ適切な変更又は調整を行うことをいう。

 

3基本理念

〇全ての障がいのある人が、障がいのない人と等しく基本的人権を享有する個人としての尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。

 

〇全ての人が障がいを有することとなる可能性があることを踏まえ、全ての県民が障がいについての知識及び理解を深めること。

 

〇障がいを理由とする差別を解消するための取組みは、障がいを理由とする差別をする側と差別をされる側に分けて相手側を一方的に非難し、又は制裁を加える性質のものであってはならないこと。

 

4県、市町、県民等の役割

〇県は、市町等と連携して障がいを理由とする差別を解消するための施策を推進するとともに、市町に対し情報提供、技術的助言等の支援を行う。

 

〇市町は、地域の特性に応じて、障がいを理由とする差別に関する相談(以下「特定相談」という。)に応じ、障がいを理由とする差別を解消するための施策を推進するよう努める。

 

〇県民及び事業者等は、障がい・障がいのある人及びその家族に対する理解を深めるとともに、障がいを理由とする差別を解消するための施策に協力するよう努める。

 

5権利擁護の推進

〇障がいを理由とする差別の禁止

・全ての県民に対し、障がいを理由とする差別を禁止する。

 

〇相談体制の整備

・県は、権利擁護の推進に関する「広域専門相談員」を配置する。

 

(広域専門相談員の業務)

(1)特定相談に応じる者に対する指導及び助言

(2)特定相談のあった事例に関する調査研究

(3)特定相談(特に専門的な対応を要するもの)に応じ、必要な助言及び情報提供を行うこと。

(4)特定相談に係る関係者間の調整を行うこと。

(5)関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。

(6)助言又はあっせんの申立てがあった際の援助を行うこと。

 

〇問題解決の仕組みづくり

・差別を受けた障がいのある人は、市町及び広域専門相談員等に対する特定相談によっても問題が解決しないときは、知事に対して助言又はあっせんの申立てをすることができる。

・助言又はあっせんの調査審議のため、学識経験者等で組織する「愛媛県障がい者差別解消調整委員会」(以下「調整委員会」という)を置く。

・知事は、調整委員会に対し、助言又はあっせんを求めることができる。

・障がいを理由とする差別をしたと認められる者が正当な理由がなくあっせん案を受諾しないとき、調整委員会は知事に対し必要な措置を取るよう勧告を求めることができる。

・知事は、必要があると認めるときは、必要な措置を勧告することができ、正当な理由なくこの勧告に従わないときは、その旨を公表できる。

 

6その他

〇普及啓発

・県は、障がいを理由とする差別に関する県民の理解を深め、障がいのある人と障がいのない人の交流を促進するため、普及啓発に必要な広報活動、研修等を実施する。

 

〇情報の取得、コミュニケーションに対する支援

・県は、障がいのある人が必要な情報の取得、利用が自らの意思でできるよう意思疎通の手段について普及啓発、利用機会の拡大に努めることとする。

 

〇財政上の措置

・県は、障がいを理由とする差別を解消するための施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

障害者虐待通報など対応、愛媛県センター移転・拡充

 

 「愛媛県障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例」が施行された2016年4月1日、障害者虐待の通報・相談などに対応する県障がい者権利擁護センターが松山市本町7丁目の県福祉総合支援センター内に移転し機能も拡充された。権利擁護の推進に関する広域専門相談員を置き、障害者差別の解消に取り組んでいく。

 

センターは2012年に県総合社会福祉会館(松山市持田町3丁目)内に設立。運営は県社会福祉協議会に委託していたが移転後は県が担当する。

 

 広域専門相談員は、障害者虐待や差別に関する相談に対応する市町の担当者への指導や助言、専門性が必要な相談への対応や調整などを行い、問題解決への道筋を付けていく。

 

 

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