埼玉県富士見市;手話言語条例(案)

 

埼玉県富士見市では、障がい者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語と認められたことを受けて、手話は言語であるとの認識に基づき、手話を身近に感じ、みんながお互いに暮らしやすいまちにする目的で、手話への理解と普及を図ることを目的に意思疎通支援事業などを共同で実施している埼玉県入間郡三芳町とともに、「手話言語条例」の制定に向けて協議を進めている。

 

そのため、聴覚障がい者団体などを含めた任意の検討委員会を三芳町と合同で設置し、2015年5月から8月にかけて4回の会議を行った。

 

10月6日には、手話言語条例の制定に向けて、条例の内容や必要性について考えるシンポジウムを開催。当日は手話通訳・要約筆記(その場で話されている内容を即時に要約して文字にする通訳方法)・磁気誘導ループ(聴覚障害者用の補聴器を補助する放送設備。磁気を受信し、音声信号に変えることで雑音の少ないクリアな音声を聴くことができる。国際的には「ヒヤリングループ」という)がついた。

 

シンポジウムでは、久松三二(ひさまつ みつじ)(財)全日本ろうあ連盟事務局長が「手話言語条例の意義について」講演し、障がい当事者等の体験談から、手話言語条例制定後に目指す地域社会について話し合った。参加した市民は、実際に手話通訳や要約筆記等を体験することができた。

 

富士見市は、この条例案について、10月7日から11月6日まで市民の意見を募集(パブリックコメント)した。

 

 

富士見市手話言語条例

 

 手話は、音声言語の日本語と異なる言語であり、耳が聞こえない人や聞こえづらい人が物事を考え、会話をするときに、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。

 しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや手話を使う環境が整えられてこなかったことなどから、手話に対する理解が広まっているとは言えません。

 こうした中において、手話が言語であることが障害者の権利に関する条約や障害者基本法で認められ、手話に対する理解が広まり、さらに深まることが求められています。

 このため、市民一人ひとりがそれぞれの言語を尊重し、コミュニケーションを図ることがとても大切です。

 ここに、私たちは、手話に対する理解を深め、これを広く普及するとともに、手話を使う市民が安心して日常生活を送ることができる環境を整え、もって全ての市民が共に生きる地域社会を実現するため、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備に関し基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的事項を定めることにより、全ての市民が共に生きる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備は、手話が言語であるとの認識に基づき、市民に必要な言語として尊重されることを基本に行わなければならない。

 

(市の責務)

第3条 市は、前条に掲げる基本理念にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備を行うために必要な手話に関する施策を定め、及び推進しなければならない。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、第2条の基本理念に対する理解を深めるとともに、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(推進方針)

第5条 市は、次に掲げる手話に関する施策を推進するための方針(以下「推進方針」という。)を策定するものとする。

 (1) 手話の理解及び普及に関すること。

 (2) 手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関すること。

 (3) 手話による意思疎通支援に関すること。

 (4) その他市長が必要と認める事項

2 市は、市が別に定める障がい者に関する計画を勘案して推進方針を策定するものとする。

3 市は、推進方針について、市民の意見を聴かなければならない。

 

(財政措置)

第6条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

附則

 

 この条例は、公布の日から施行する。

 

 

【パブリックコメント用】

富士見市手話言語条例(案)

 

手話は、音声言語の日本語と異なる言語であり、耳が聞こえない人や聞こえづらい人が物事を考え、会話をするときに、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。

しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや手話を使う環境が整えられてこなかったことなどから、手話に対する理解が広まっているとは言えません。

こうした中において、手話が言語であることが障害者の権利に関する条約や障害者基本法で認められ、手話に対する理解が広まり、さらに深まることが求められています。

このため、市民一人ひとりがそれぞれの言語を尊重し、コミュニケーションを図ることがとても大切です。

ここに、私たちは、手話に対する理解を深め、これを広く普及するとともに、手話を使う市民が安心して日常生活を送ることができる環境を整え、もって全ての市民が共に生きる地域社会を実現するため、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備に関し基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的事項を定めることにより、全ての市民が共に生きる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備は、手話が言語であるとの認識に基づき、市民に必要な言語として尊重されることを基本に行わなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、前条に掲げる基本理念にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備を行うために必要な手話に関する施策を定め、及び推進しなければならない。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、第2条の基本理念に対する理解を深めるとともに、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(推進方針)

第5条 市は、次に掲げる手話に関する施策を推進するための方針(以下「推進方針」という。)を策定するものとする。

(1) 手話の理解及び普及に関すること。

(2) 手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関すること。

(3) 手話による意思疎通支援に関すること。

(4) その他市長が必要と認める事項

市は、市が別に定める障がい者に関する計画を勘案して推進方針を策定するものとする。

市は、推進方針について、市民の意見を聴かなければならない。

 

(財政上の措置)

第6条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

この条例は、公布の日から施行する。

 

 

【パブリックコメント用】

富士見市手話言語条例(案)の解説

 

手話は、音声言語の日本語と異なる言語であり、耳が聞こえない人や聞こえづらい人が物事を考え、会話をするときに、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。

しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや手話を使う環境が整えられてこなかったことなどから、手話に対する理解が広まっているとは言えません。

こうした中において、手話が言語であることが障害者の権利に関する条約や障害者基本法で認められ、手話に対する理解が広まり、さらに深まることが求められています。

このため、市民一人ひとりがそれぞれの言語を尊重し、コミュニケーションを図ることがとても大切です。

ここに、私たちは、手話に対する理解を深め、これを広く普及するとともに、手話を使う市民が安心して日常生活を送ることができる環境を整え、もって全ての市民が共に生きる地域社会を実現するため、この条例を制定します。

【説 明】

耳が聞こえない人や聞こえづらい人が物事を考え、会話をするときに使われてきた手話は、これまで言語として認められてこなかったことや手話を使う環境が整えられてこなかったことなどから、手話に対する理解は広まっていませんでした。

こうした中、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1条)や障害者基本法(昭和45年法律第84号)で手話が言語であることが認められました。

手話が言語として認められた今日、手話に対する理解が広まり、さらに深まることが求められています。

このため、市民一人ひとりがそれぞれの言語を尊重し、コミュニケーションを図ることはとても大切なことです。

そのことを踏まえ、手話に対する理解を深め、これを広く普及するとともに、手話を使う市民が安心して日常生活を送ることができる環境を整え、全ての市民が共に生きる地域社会を実現するため、この条例を制定するものです。

(注)

手話には、日本語とは別の独特の文法体系をもち、日本語とは語順が違う「日本手話」や、日本語の語順で手話単語を並べた「日本語対応手話」などがあります。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備に関し基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的事項を定めることにより、全ての市民が共に生きる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

【解 説】

手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備に関し基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明確にするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的事項を定めることを目的としています。

 

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備は、手話が言語であるとの認識に基づき、市民に必要な言語として尊重されることを基本に行わなければならない。

【解 説】

手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備に当たっては、基本理念として手話が言語であるとの認識に基づき、市民に必要な言語として尊重されることを基本に行わなければならないと定めています。

 

(市の責務)

第3条 市は、前条に掲げる基本理念にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備を行うために必要な手話に関する施策を定め、及び推進しなければならない。

【解 説】

ここでいう市とは市長部局のみではなく、教育委員会等すべての部局を含むもので、本市の自治体としての全体を指します。

市の責務としては、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使いやすい環境の整備を行うために必要な手話に関する施策を定め、推進していくことを定めています。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、第2条の基本理念に対する理解を深めるとともに、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

【解 説】

ここでいう市民とは市内に居住、在勤、在学する方、または市内で事業活動を行う個人、企業及び団体を指します。

市民の役割として、市が推進する手話に関する施策への協力を定めています。

 

(推進方針)

第5条 市は、次に掲げる手話に関する施策を推進するための方針(以下「推進方針」という。)を策定するものとする。

(1) 手話の理解及び普及に関すること。

(2) 手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関すること。

(3) 手話による意思疎通支援に関すること。

(4) その他市長が必要と認める事項

市は、市が別に定める障がい者に関する計画を勘案して推進方針を策定するものとする。

市は、推進方針について、市民の意見を聴かなければならない。

【解 説】

市が策定する推進方針について、基本的事項を定めています。

(1) 手話の理解及び普及に関する事項

市民に対して、手話への理解及び普及に関する施策の推進。

(2) 手話による情報取得及び手話の使いやすい環境づくりに関する事項

手話を使う市民に対して、手話による情報の取得及び日常生活において手話の使いやすい環境づくりのための施策の推進。

(3) 手話による意思疎通支援に関する事項

手話を使う市民において重要な役割を担う手話通訳者の養成及び派遣等に関する施策の推進。

(4) その他市長が必要と認める事項

1)から(3)までに掲げた事項以外で、手話に関する施策を推進する上で必要な事項。

推進方針は、市が別に定める障がい者に関する計画を踏まえて策定することを定めています。

推進方針の策定、変更、廃止、進捗状況等について、市民の意見を聴かなければならないことを定めています。

 

 (財政上の措置)

第6条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

【解 説】

市は、この条例に定める手話に関する施策の推進のための基本理念や施策の基本的事項を踏まえ、これを具現化するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めることを定めています。

 

この条例は、公布の日から施行する。

 

 

 

埼玉県南東部[1]にある人口約10万8千人の市である。東京都特別区部への通勤率は30.2%(2000年国勢調査 )。また、昼夜間人口比率は72.4%であり全国の市の中で最も低く、首都圏のベッドタウンとなっている。三井不動産商業マネジメント(株)が運営する複合型商業施設、ららぽーと富士見が市の中央にある。

 

埼玉県の南東部に位置し、県庁所在地のさいたま市と接し県庁まで約10km、東京都心部から約30kmの距離にある。関東平野の中にあり、山はない。市域の北東側半分は荒川と新河岸川が流れる低地で、南西側半分は台地である。北東側には水田が広がり、南西側に東武東上線沿線から発達した市街地がある。

 

 

 

 

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