福祉避難所

 

「福祉避難所」とは、災害時に支援が必要な高齢者や障害者受け入れる場所のことを指す。高齢者や障害者らは、体育館など一般避難場所での生活が長引くと、若年者や健常者に比べて、体調を崩しやすく、また、大きなストレスを受けて、場合によっては命を落とすこともある(「災害関連死」)

 

「福祉避難所」は、そのような「災害関連死」を防ぐのが大きな目的で設置され、その対象者は、高齢者や障害者のほか、妊産婦、乳幼児など、避難所生活において何らかの特別な配慮が必要な者で、医療機関や介護保険施設等に入院・入所するに至らない程度の在宅の人(要配慮者・要支援者)である。

 

そのため、手すりや障害者用のトイレの設置、それに段差の解消などのバリアフリー化や、車いすや介護用品といった、必要な物資の備蓄が求められる。そのほか、聴覚障害者に対しては、手話通訳等コミュニケーションを確保の方策が必要となる。また、重度の障害者を受け入れる場合などは、介護や支援の専門知識を持つ人を確保することも急務となる。

 

それゆえ、そうした設備や人員がすでに整っている老人ホームや障害者支援施設などの民間の施設を、自治体が「福祉避難所」に指定するケースが多くなっている。

 

ただ、福祉避難所は、災害時に必要に応じて開設される2次的避難所であり、発災当初から避難所して利用することはできない。

 

「福祉避難所」を巡っては、国の研究会が阪神・淡路大震災の翌年の1996(平成8)年5月にまとめた報告書の中で、「あらかじめ福祉避難所を確保しておくことが必要」と指摘している。

 

しかし、2011(平成23)年3月11日の東日本大震災でも避難生活の長期化で体調を崩したり、持病を悪化させたりするお年寄りや障害者が相次いだ。

 

このため国は、2013(平成25)年に災害対策基本法を改正し、高齢者や障害者などが適切な介護や医療を受けられる施設を「福祉避難所」として事前に指定するよう、各自治体に求めた。さらに、自治体が福祉避難所の設置や運営方法についてのマニュアルを作成したうえで、高齢者や障害者、それに地域の住民が参加する訓練を行い、地域の実情にあった対策を進めることが必要だとしている。

 

だがNHKが2016(平成28)年1月、47の都道府県を通じて全国1741の市区町村の指定状況を尋ねたところ、「福祉避難所を指定した」と回答したのは1371の市区町村で、4年前に国が行った調査と比べて1.4倍に増えてはいたが、全体の21%に当たる370の自治体はまだ1か所も指定していないことが判明した。その理由として、複数の都道府県が「指定できる適切な福祉施設がない」、「支援に当たる人材が不足している」などと回答した。

 

また、国が都道府県に作成するよう求めている、福祉避難所の設置や運営に関するマニュアルについては、4割近くに当たる18の県でまだ作成されていなかった。

 

愛媛県の状況

 

2014(平成26)年12月末現在、愛媛県内では、松山市7か所のほか、188か所指定されている福祉避難所一覧〈PDF〉)

 

      

基本的に、まずは公民館や学校など一般的な避難場所へ避難し、安全を確保したうえで、避難生活が長引いたり、避難生活に支障をきたすという判断がされたときに、あらかじめ指定されている「福祉避難所」に要配慮者(要支援者)を移送することになる。    

 

 

(1)福祉避難所について

福祉避難所とは、高齢者や障害者など一般の避難所生活では支障をきたす要配慮者に対して、特別の配慮がなされた避難所のことです。

 

2)福祉避難所の対象者

福祉避難所の対象者は、高齢者、障害者のほか、妊産婦、乳幼児など、避難所生活において何らかの特別な配慮が必要な方で、医療機関や介護保険施設等に入院・入所するに至らない程度の在宅の要配慮者が対象です。

 

3)福祉避難所設置のための費用

災害救助法が適用された場合において、福祉避難所を設置すると、国庫負担の対象となります。

福祉避難所の設置費用の例としては、

おおむね10人の要配慮者に1人の生活に関する相談等に当たる職員等を配置

要配慮者に配慮したポータブルトイレ、手すり、仮設スロープ、情報伝達機器等の設置

紙おむつ、ストーマ用装具など日常生活上の支援に必要な消耗器材の費用

などがあります。

 

4)福祉避難所一覧

福祉避難所一覧(PDF257KB

公表している福祉避難所一覧については、これまで市町で福祉避難所として利用を想定していたもののほか、災害対策基本法に基づく指定を予定している施設を含みます。

 

5)注意事項

福祉避難所は、災害時に必要に応じて開設される二次的避難所であり、発災当初から避難所して利用することはできませんので、注意が必要です。(介護保険施設などが福祉避難所の場合、当該施設において利用者の安全確保や被災状況の確認等が必要となるため、地域住民が受入施設側の準備ができていない段階で避難することにより、施設運営に混乱が生じる恐れがありますので、御理解をお願いします。)

まずは、お住まいの近くにある一般避難所へ避難していただきます。

次に、避難所生活が困難と判断される場合に、福祉避難所が開設され必要性の高い方から優先的に移っていただくこととなります。

 

関連リンク

福祉避難所マニュアル〜災害時要援護者対策の充実を目指して〜

 

 

 

 

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