群馬県議会「手話言語条例」

 

群馬県手話言語条例のPRリーフレット(PDF)

 

パンフレット;みんなで 聴覚障害者用、手話でTV電話リレ 

 

群馬大学公開講座『手話で学ぶ手話学』 関連記事

 

手話条例手話言語ニュースNo5(2018年月3日)pdf

 

 

 

 

条例

 

2014年9月19日 第3回 定例会 群馬県議会会議録

 

========================

 

 2015年2月16日に開会した群馬県議会定例会に、自民党県議ら24人が提出していた、耳の不自由な人が暮らしやすい地域社会の実現を目指す「群馬県手話言語条例案」3月12日の県議会本会議において全会一致で可決された。都道府県では鳥取、神奈川についで3例目。市町村を含めた全自治体では11例目。

 

本会議場には手話通訳が立ち、関係者約120人が傍聴席から採決を見守った。全議員が起立し、議長が「可決」を告げると、手を握り合ったり、「拍手」を示す手話で喜びを表現していた。

 

群馬県聴覚障害者連盟(前橋市)の早川健一理事長は閉会後に記者会見し、手話通訳者を通じ、「大変な喜びを感じている。聴覚障害者が手話を守り続けて今日までやってきた。きょうは、本当に忘れられない1日になった。この条例によって、県内各地で手話講習会などの催しが充実し、手話の普及や聞こえない人への理解も広がってほしい」期待を込めたうえで、「私達も手話の普及を進め、県民に手話の必要性を理解してもらえるよう、頑張りたい」と思いを語った。

 

 群馬県と手話の関わりは深く、戦後間もない1947年5月25日に、全国の約200人の聴覚障害者が渋川市の伊香保温泉・木暮旅館(現・ホテル木暮に集まり、手話の普及などを目的とした全日本聾唖(ろうあ)連盟(現・全日本ろうあ連盟)を発足させている。終戦後で東京は荒廃し、旅館があって全国から集まりやすい伊香保温泉が選ばれたという。

 

ろうあ連盟HP

 

会見に同席した同連盟の久松三二常任理事は手話で「連盟が生まれた群馬で条例が採択されたことに深い感銘を受けている。非常にうれしい」と喜びを表現した(群馬県聴障協会のFacebookより引用)

 

 条例では、制定の目的として、「ろう者とろう者以外の者が共生し、等しく全ての障害者福祉の向上に寄与することのできる地域社会を実現すること」と明記。手話を学習する取り組みを推進する▽手話を用いた情報発信に努める▽手話通訳者や指導者の養成・研修に努める−など、県が手話の普及のために取り組むべき内容を示している。

 

また、聴覚障害の児童生徒が通う学校が、子どもや保護者が手話を学ぶ機会の提供や乳幼児から手話を学べる環境の整備、教職員の手話技術向上などに努め、「教育環境の整備」も掲げている等、鳥取や神奈川の条例と比べて、より“手話教育”に重きを置いた内容になっている。

 

群馬県障害政策課によると、県内で聴覚の障害者手帳を取得している人は2013年度で6218人。県は1998年から手話通訳者を養成しており、登録されている通訳者は98人となっている。条例では、手話普及に向けた実施計画を定めるため、「県手話施策推進協議会」の設置を付帯決議で求めている。

 

同課は「今回の可決により、手話を普及するため手話通訳者を増やし、様々なことを検討していきたい」と話している。

 

条例は2015年4月1日施行。

 

 なお、条例案提出にあたり、中沢丈一議員(自民)が提案説明に臨み、「すでに世界的には、“手話は言語”との認識は当たり前のものになっている。一生懸命応援したい」などと述べていた。

 

 群馬県は、2015年3月議会で県手話言語条例の付帯決議として設置を求められていた有識者や当事者団体の意見も交え、手話の普及や啓発のための施策について実施計画を決める県手話施策推進協議会(仮称)について、「(9月議会後)当事者団体の意見を聞きながら早急に設置。手話通訳者の充実も目指す」との方針を示した。9月25日の県議会一般質問で中沢丈一県議(自民)の質問に健康福祉部の塚越日出夫部長が「養成研修の受講機会の拡大を図っていく」と答弁した。県は通訳者の養成を1998年から始めており、2014年度は新たに5人が認定された。2015年4月1日時点で県内には103人が登録されている。

県は9月の補正予算案で200万円を運営経費などとして計上した。

 

 

2017年7月9日、群馬県の「群馬会館ホール」で2017年度ぐんま手話言語条例研究集会「手話言語条例がめざすまちづくり」が開催され、約300名が参加した。

挨拶では、群馬県聴覚障害者連盟の早川健一理事長が手話言語条例の必要性と、今後の福祉の向上への意気込みを述べた。

第1部では、明石市の泉房穂市長が「手話を世の光に」のテーマで基調講演を行った。泉市長は、明石市内での手話言語を確立するとともに要約筆記・点字・音訳等障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例施行後の取り組みや、「障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」の目的などを述べた。

第2部の、パネルディスカッションでは、パネリストとして、泉明石市長、早川理事長に加え、前橋市の山本龍市長、高崎市議会の松本賢一議員、群馬県健康福祉部障害政策課の小林啓一課長が参加、議論と意見交換が行われ、盛況の内に終了した。

 

 

 

=================

 

 2014年2月に自民党の群馬県議会議員と群馬県聴覚障害者連盟の間で条例制定について話し合いを行い、9月8日に中沢丈一県議会議員が座長を務め、群馬大学の金澤貴之教授、群馬県聴覚障害者連盟の早川健一理事長、全日本ろうあ連盟事務局長、群馬県認定手話通訳者協会会長、群馬県手話サークル連絡会会長、群馬県手話通訳問題研究会会長など、計11名の委員で構成される「群馬県手話言語条例()策定に関する研究会」を開催し、検討が重ねられてきた。

 

金澤氏は、2015年3月12日のツイッターで「群馬県手話言語条例。制定されたこと自体、喜ばしいことだが、ぜひ条文の中身を読んでほしい。特に前文。群馬の聾者の想いが詰まっています。それと、12条も!」「群馬県手話言語条例が制定されました。本条例の特徴は、一年間時間をかけて、当事者団体と議員さんたちとが共に勉強し、調査に行き、研究会を重ねて条文を練り上げていったことにあります。手話の問題にとどまらず、議員提案による条例の策定プロセスとして、全国に誇れるモデルとなりうると思います」と記している金澤氏HP参照

 

 第1回の検討会では、群馬県ろう重複児・者をもつ親の会とまとの会、群馬デフフリースクールココロ、そして群馬県立聾学校の保護者等から手話言語条例の必要性が語られたという。 

 

群馬県手話言語条例pdf

 

 手話は、物の名前や抽象的な概念等を手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり、ろう者の思考や意思疎通の際に用いられている。

 わが国の手話は、明治時代に始まり、ろう者の間で大切に受け継がれ、発展してきた。しかし、発音訓練を中心とする口話法の導入により、昭和八年にはろう学校での手話の使用が事実上禁止されるに至った。当時のろう教育は、手話とろう者に対する理解が乏しかったため、結果的に十分に手話を使う権利や、少なからずろう者の尊厳が損なわれてきた。

 手話の普及を図るため、戦後間もない昭和二十二年五月に、全国から二百人以上のろう者が群馬県の伊香保温泉に集い、これを出発点に全国各地へ手話の普及活動を展開させ、今に至っている。

 現在では、憲法や法律に手話を規定する国も増えており、平成十八年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約において、言語には手話その他の非音声言語を含むことが明記された。そして、わが国でも平成二十三年に改正された障害者基本法において言語に手話を含むと規定され、平成二十六年には障害者の権利に関する条約が批准されている。

 群馬県では、平成十五年に人にやさしい福祉のまちづくり条例を制定し、障害者への理解と共生を推進してきている。そこで、手話は言語であるとの認識に立ち、県民に広くろう者と手話に対する理解を広め、ろう者の人権を尊重し、日常生活や社会生活を安心して送り、ろう者とろう者以外の者が互いを理解し共生する「まちづくり」の展開を目指し、更に、等しく全ての障害者への理解と共生社会の実現に寄与すべくこの条例を制定する。

 

(目的)

第一条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、県、市町村、県民及び事業者の責務及び役割等を明らかにするとともに、手話に関する施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、もってろう者とろう者以外の者が共生し、また、等しく全ての障害者福祉の向上に寄与することのできる地域社会を実現することを目的とする。

 

(手話の意義)

第二条 手話は、ろう者が自ら生活を営むために使用している独自の体系を持つ言語であって、豊かな人間性を涵(かん)養し、及び知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産であると理解するものとする。

 

(基本理念)

第三条 ろう者とろう者以外の者が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本として、ろう者の意思疎通を行う権利を尊重し、手話の普及を図るものとする。

 

(県の責務)

第四条 県は、市町村その他の関係機関と連携して、ろう者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるようなものの除去について必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に努めるものとする。

2 県は、ろう者及び手話に関わる者の協力を得て、この条例の目的及び基本理念に対する県民の理解を深めるものとする。

 

(市町村との連携及び協力)

第五条 県は、この条例の目的及び基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に当たっては、市町村と連携し、及び協力するよう努めるものとする。

 

(県民の役割)

第六条 県民は、この条例の目的及び基本理念を理解するよう努めるものとする。

2 ろう者は、県の施策に協力するとともに、この条例の目的及び基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。

3 手話に関わる者は、県の施策に協力するとともに、手話に関する技術の向上、この条例の目的及び基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。

 

(事業者の役割)

第七条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(計画の策定及び推進)

 

第八条 県は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第十一条第二項の規定による群馬県障害者計画において、手話が使いやすい環境を整備するために必要な施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

 

(手話を学ぶ機会の確保等)

第九条 県は、市町村その他の関係機関、ろう者及び手話に関わる者と協力して、県民が手話を学ぶ機会の確保等に努めるものとする。

2 県は、手話に関する学習会を開催する等により、その職員が手話の意義及び基本理念を理解し、手話を学習する取組を推進するものとする。

 

(手話を用いた情報発信等)

第十条 県は、ろう者が県政に関する情報を速やかに得ることができるよう、手話を用いた情報発信に努めるものとする。

2 県は、ろう者が手話を使い、手話による情報を入手できる環境を整備するため、手話通訳者の派遣、ろう者等の相談を行う拠点の支援等に努めるものとする。

 

(手話通訳者等の派遣体制の整備)

第十一条 県は、手話通訳者等及びその指導者の養成及び研修に努め、市町村と協力して、ろう者が手話通訳者の派遣等による意思疎通支援を受け入れられる体制の整備及び拡充に努めるものとする。

 

(学校における手話の普及)

第十二条 聴覚障害のある幼児、児童又は生徒(以下「ろう児等」という。)が通学する学校の設置者は、ろう児等が手話を獲得し、手話で各教科・領域を学び、かつ手話を学ぶことができるよう、乳幼児期からの手話の教育環境を整備し、教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 ろう児等が通学する学校の設置者は、この条例の目的及び基本理念に対する理解を深めるため、ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。

3 ろう児等が通学する学校の設置者は、前二項に掲げる事項を推進するため、手話に通じたろう者を含む教員の確保及び教員の専門性の向上に関する研修等に努めるものとする。

 

(事業者への支援)

第十三条 県は、ろう者が利用しやすいサービスの提供及びろう者が働きやすい環境の整備のために事業者が行う取組に対して、必要な支援に努めるものとする。

 

(ろう者等による普及等)

第十四条 ろう者及びろう者の団体は、この条例の目的及び基本理念に対する理解を広げるため、自主的に普及啓発活動を行うよう努めるものとする。

 

(手話に関する調査研究)

第十五条 県は、ろう者及び手話に関わる者が手話の発展に資するために行う手話に関する調査研究の推進及びその成果の普及に協力するものとする。

 

(財政上の措置)

第十六条 県は、手話に関する取組を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

附則

 この条例は、平成二十七年四月一日から施行する。

 

提案理由

 群馬県手話言語条例の制定を行おうとするものである。

 

2014(平成26年9月19日 第3回 定例会 群馬県議会会議録  第2号

 

 

◆新井雅博議員

 まず、来年の6月、「第63回全国ろうあ者大会」が群馬県で開催をされます。第1回目の開催は京都の地だったというお話を受けております。その2年前、戦後間もない時期に全国よりろう者の皆様方が、群馬は伊香保の地、木暮旅館に集結をして、「全国ろうあ連盟」が結成、スタートされたと聞き及んでおります。まさに群馬県はろうあ者運動の発祥の地と言ってもいいでしょう。このことを知っていただいたうえで、これからお話を進めさせていただきます。

 私たちが手話言語条例へ動き出しましたきっかけは、昨年10月、鳥取県議会において「鳥取県手話言語条例」が全会一致で可決をいたしました。全国初でありました。手話を言語として認めたものでもありました。また、手話がコミュニケーション手段としてだけではなく、言語として文化を形成しているとの理解から、執行部提案によります条例でありました。こうした決定を受け、全日本ろうあ連盟及び群馬県聴覚障害者連盟より、条例制定への要請をいただき、自民党内で勉強が始まりました。

 ここで条例制定への根拠となり得るものをいくつか御紹介させていただきます。手話とは、聾者の言語であるということであります。

 次に、手話を言語と認めた「障害者権利条約」が国連で採択もされております。

 次に、日本では、手話が言語との法的位置付けが不十分でありますが、2011年、「障害者基本法」が改正され、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるもの」と明記されました。続いて、手話の法的位置付けが不十分として、群馬県を含む29都道府県において手話言語法制定に関する意見書が採択されております。全国の、恐らく、市町村を含めるならば600の自治体になっていると思います。

 続いて、条例の目的である内容でありますが、「手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、手話の普及のための施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現すること」とあります。これはまさに群馬県が掲げます県政の3つの柱の1つ、「誰もが安全で安心できる暮らしづくり」にまさしく合致をいたします。

 こうしたことを踏まえ、我々自民党内では、今年に入りまして幾度となく勉強会を進めてまいりました。この8月には、先進県である鳥取県へも調査に行ってまいりました。こうした準備段階を経まして、先日、9月8日に「第1回群馬県手話言語条例(案)研究会」を開催し、立ち上げさせていただきました。メンバーを申し上げます。県議会議員は5名、中沢丈一県議を座長といたしております。座長代理には、障害者福祉に大変精通をされた群馬大学教授の金澤先生、委員においては、全日本ろうあ連盟事務局長、群馬県聴覚障害者連盟理事長、群馬県認定手話通訳者協会会長、群馬県手話サークル連絡会会長、群馬県手話通訳問題研究会会長、こういった皆さんを委員に勉強を重ねるために、条例をつくり上げるために組織を立ち上げさせていただきました。

 1回目の研究会では、その条例制定の必要性を熱く訴える聴覚障害者の当事者、申し上げます。群馬県ろう重複児・者をもつ親の会とまとの会、群馬デフフリースクールココロ、そして群馬県立聾学校の保護者、こういった方から本当に熱いお話を受け、改めて私どもは手話言語条例の必要性を深く認識、確認をしたところであります。

 以上、群馬県における手話言語条例の必要性と私どもの取り組みを御紹介させていただきました。今、申し上げたことにつきまして、ぜひ、健康福祉部長の御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 

◎片野清明健康福祉部長

 手話言語条例に関するお尋ねでございます。議員御指摘のとおり、障害者基本法が改正されまして、言語について「手話を含む」と定義をされてございます。また、群馬県におきましても、行政に対しても関係団体から要望等は寄せられてございます。そうした中で、今、議員から御指摘がありましたように、国に対する要請活動が行われておりまして、全国的なこういった動向に対する国の法制化に向けた検討状況を含めて、大きな関心を持っておるところでございます。

 また、群馬県では、先ほどこれも議員御指摘のとおりでございますが、県政の3つの柱のうちの1つに「誰もが安全で安心できる暮らしづくり」を掲げております。障害のある方が地域で自立して生活し、自分らしい生き方ができる社会の実現を目指して様々な取り組みを進めておりますが、そのためには、手話を含む言語やそれぞれの障害特性に応じたコミュニケーション手段の確保あるいは情報提供が保障されることが必要であると考えております。

 こうした中で、お話がございましたように、県議会において、あるいは議員有志の皆さんが、学識経験者あるいは関係する団体と協力をいたしまして、手話言語条例の研究に取り組んでいらっしゃることにつきましては大変意義あるものと受け止めており、また、敬意を表するところでございます。そして、これまでも研究会での活動内容等については情報をいただいております。県といたしましても大いに参考にさせていただいているところでございまして、今後とも、議員の皆さんはもちろんですけれども、関係団体の方々と連携をいたしまして、言語としての手話をはじめ意思疎通のための手段につきまして、その選択の機会の確保、拡充などにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

 

◆新井雅博議員

 部長の方から私どもの取り組みの活動については評価をし、敬意を表するというお話がありました。あわせて、活動状況についても逐次、報告をいただいているというふうな御答弁もありました。それでは困るので、ぜひ、部長自身、私ども議会を中心として日々研究を重ねておりますので、自らお顔を出して協力体制をとる、そんな姿勢もあってしかるべきかなというふうにも思っております。いずれにいたしましても、私ども研究会においては、10月後半までには条例の原案を作成いたしまして、議会の皆様方に御説明して御理解をいただく、あるいは関係諸団体にその条例の内容について御紹介をして、御意見を賜る、同時に、関係部局、部長のところからも積極的に条例制定へ向けての御助言も賜りたい、このように考えておりますが、いかがでしょうか。

 

◎片野清明健康福祉部長

 県といたしましても、意思疎通の支援、こうした取り組みは非常に大切であると考えております。今、議員お話しございましたような議会における手話言語条例の検討につきましては、しっかりと連携、協力をした取り組みに努めてまいりたいと存じます。

 

◆新井雅博議員

 ぜひ、来年の第1回の議会に上程をして、4月から施行に移せる、こんなことを目標に取り組んでおりますので、積極的な御協力と御支援を賜りますようにお願いを申し上げて、部長に対する質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

 

また、2015年の「第63回全国ろうあ者大会(6月10日〈水〉〜14日〈日〉)が群馬県前橋市で開かれた(第1回は1948年5月10日に京都で開催)

 

6月11日には、創立70周年の記念碑の除幕式があり、参加した関係者が「聴覚障害者の自立や社会福祉発展を誓う」と思いを新たにした。

 

 

〜 シンボルマーク 〜

つる舞う形の群馬県と「上毛三山(赤城山、榛名山、妙義山)」をデザイン

群馬県立聾学校高等部の生徒が作成

〜 マスコットキャラクター 〜

「つる舞う形の群馬県」を元に、縁起のよい鶴をイメージ

群馬らしく湯上りで頬を赤らめ、浴衣を着て、肩にてぬぐいをかけている。

第63回全国ろうあ者大会」HPより引用

 

 

群馬大学公開講座『手話で学ぶ手話学』


 2015年に群馬県手話言語条例と前橋市手話言語条例が制定されました。県と市の両方で手話言語条例が制定されたのは全国初です。
 手話言語条例では手話を「独自の体系を持つ言語」と規定しており、その理解と普及を目的としています。また、群馬県手話言語条例では「手話に関する調査研究の推進」(第15条)も盛り込まれており、群馬大学としても、手話に関する学術的成果を発信していきたいと考え、本講座を企画しました。
 
 本講座では、講師自らが手話で講義を行うことで、聾者自身が直接手話で学ぶ機会を提供します。なお、本講座は日本財団助成事業「学術手話通訳に対応した通訳者の養成」の一環として実施するものです。

 

s-群馬

s-群馬2

共催:群馬県聴覚障害者連盟
後援:群馬県・前橋市
実施責任者:教育学部障害児教育講座教授 金澤 貴之
2月17日(土)
12:20〜13:50
 
「明治初期の盲唖教育と盲人・聾者のコミュニティについて」
日本社会事業大学非常勤講師 木下 知威


14:10〜15:40

 「日本手話研究のための日本語学基礎」 
大阪大学大学院博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 後藤 睦

 

16:00〜17:30

 「手話の不思議から言語の不思議へ」 
国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科主任教官 市田 泰弘

 

 

県手話言語条例;制定3年 全国に先駆け 教員の技術向上急務 学習環境に不満の声も(2018年6月5日配信『毎日新聞』−「群馬版」)

 

 全国に先駆けて、聴覚障害のある子どもたちへの「学習権の保障」に大きく踏み込んだ群馬県手話言語条例(2015年4月)が制定されてから3年が過ぎた。県内唯一の聴覚障害児の専門校、県立ろう学校(前橋市)では教職員向けに手話研修を増やし、県教委は今年度から教員採用試験で手話通訳の有資格者に加点するなど取り組みが進む。 

一方、手話の専門家からは、現在のろう学校では手話による学習環境が不十分との指摘もある。

 「はっきり言って、手話がうまくない先生が多く、がっかりしました」。聴覚障害の子どもを県立ろう学校に通わせている両親は不満をもらす。

 県の手話言語条例は、子どもたちが授業など学校生活のあらゆる場面で手話で学べるよう、教員の技術の向上や手話に通じた教員の確保などに努めることを明記した。しかし、「現状は十分とは言えない」と指摘する。

 県教委によると、県内で手話通訳士などの手話関係の資格を持つ教員は8人。だが、そのうち県立ろう学校に勤務しているのは4人にとどまる。同校の教職員は幼稚部から高等部まで約100人。子どもたちが校内で多くの人とコミュニケーションを取れるようにするには、教職員の手話レベルの底上げが急務といえる。

 この両親が子どもから聞いた話では、教員は見学者や保護者の前では積極的に手話を使うが、日常の学校生活では使わない場面もあるという。手話が理解できないためか子ども同士の手話での会話に無関心な教職員もいる。「何のためのろう学校か」と子どもが口にしたという。

 両親は「子どもにとって、1年、2年は大きな時間。このまま通い続けても正しい手話で授業を受けられず、学力面でも生活面でも時間の無駄だと感じている」と話す。

 別の児童の母親も「子どもから『なんで先生は手話ができないの?』と聞かれた。学校からは『研修を受けたり、サークルに通ったりして教員も頑張っている』と説明されたが、子どもは先生と意思疎通できず不信感を抱いている。教員個人の問題とせず、県教育委員会全体の課題として捉えてほしい」と訴える。

「口話」習得望む保護者も

 県教委によると、県立ろう学校の教員の手話習得に向け、校内研修を実施している。研修時間は、条例の制定前は年間210分(14年度)だったのが制定後は570分(17年度)と2・7倍に増えた。1回1時間とすれば、夏休みなどを除くと毎月1回程度。ほかに校内で聴覚障害のある教職員の通訳を交代で担当し、技術向上に努めているという。

 一方、県教委は、現役の教員に対し、手話検定の受験や手話通訳士などの資格取得は推奨していない。「手話通訳になるための勉強と、授業に使える手話を習得することは違うものだと考えている。教員は手話の技術だけでなく、指導力や専門性も必要だ」と説明する。

 その背景には保護者の意向もあるという。県教委によると、人工内耳や補聴器の技術が進化し、ろう学校に通う子どもの9割以上は「聞こえる」状態。残存聴力を活用して音声を発する「口話」の習得を望む保護者も少なくない。そもそも保護者の大半は健聴者で、手話へのハードルは高い。

 しかし、群馬大学教育学部の金沢貴之教授は「『障害が軽ければ口話で十分』という考えでは、聴覚障害児同士が教室内で通じ合う共通言語である手話を獲得できない子どもを生み出すことになる。聴覚障害者同士の社会で言語の断絶を起こさせないようにする使命がろう学校にはある」と話している。

「西高東低」の傾向

 都内のろう学校元教諭で難聴児支援教材研究会代表の木島照夫さんによると、手話教育は「西高東低」の傾向にあるという。

 東日本では、音声を使った「口話法」を重視してきた学校が多い。口話法は、口の形などを頼りに発音を覚えさせ、音声による会話ができるように指導する方法で、言わば健聴者の視点に立ったものだ。木島さんは「手話は、聞こえない側の言語。聴覚障害のある子どもにとって、例えば健聴者の親が手話を使うことは『聞こえないあなたを認めている』ということ。心理的な意味が大きく、自己肯定感にもつながる」と強調する。

 かつては「手話をすると日本語が身につかなくなる」という意見もあったが、「むしろ乳幼児期から手話を使う方が言語発達が早期から促され、結果的に日本語の読み書きも伸びる」という。

 

聴覚障害者、スムーズに意思疎通 群馬県施設に手話通訳用タブレット(2018年1月6日配信『産経新聞』)

 

 聴覚障害者の円滑な意思疎通を支援しようと群馬県は5日、県庁など県施設にタブレットを設置し、テレビ電話機能を活用する遠隔手話通訳サービスを開始した。

 設置したのは、県庁1階▽県ふれあいスポーツプラザ(伊勢崎市)▽県ゆうあいピック記念温水プール(渋川市)−の3カ所の窓口で、平日午前9時〜午後5時に利用できる。

 この日は、県庁で県聴覚障害者連盟の早川健一理事長がデモンストレーションを実施。窓口に置かれたタブレットのテレビ電話を使うと、県聴覚障害者コミュニケーションプラザ(前橋市)に常駐する手話通訳者につながり、早川理事長は手話で「障害政策課はどこですか」「食事する場所はありますか」などと質問。手話通訳者を通じて県の窓口職員とスムーズにやりとりした。

 県は2015年4月に「県手話言語条例」を施行。16年10月には「県手話施策実施計画」を策定し、手話の環境整備などを行っており、今回もその一環で導入した。同様のサービスは前橋市や伊勢崎市などでも行われているという。

 早川理事長は「これまでは、行きたい場所は自力で見つけていたので、これがあると便利。他の行政機関や病院などにも設置してもらいたい」と話した。

 

世界ろう連盟理事長ら来県 記念碑「素晴らしい」 渋川・伊香保 (2017年6月6日配信『上毛新聞』)

 

キャプチャ

伊香保温泉街にある全日本ろうあ連盟結成の記念碑を見るコリン・アレン世界ろう連盟理事長(右から2人目)ら関係者

 

 国際的な聴覚障害者団体、世界ろう連盟のコリン・アレン理事長(55)=オーストラリア=とカスパー・ベルグマン理事(40)=デンマーク=が5日、全日本ろうあ連盟の結成の地である群馬県渋川市伊香保町を訪れた。 
 2人は全日本ろうあ連盟の小椋武夫理事(64)らと2年前に建立された記念碑を見学し、国際手話通訳を介して結成当時の様子について熱心に質問した。 
 アレン理事長は「日本のろう者の誇りである記念碑を見たかった」と語り、「記念碑に『手話はいのち』と刻まれていた。日本政府がその意味を理解して、手話を言語と位置づける手話言語法を制定してほしい」と期待した。 
 ベルグマン理事は「苦しかった過去を伝える記念碑があることは素晴らしい」と感慨深げだった。 
 一行は見学後、渋川市役所を訪問。阿久津貞司市長は「手話言語条例を4月に施行して手話通訳者を職員に採用した」と紹介。アレン理事長は「連盟のホームページを通じて記念碑のことを世界に知らせたい」と述べた。 
 その後、2人は前橋市役所で山本龍市長と、県庁で反町敦副知事らと懇談した。
 群馬は、2015年4月に、都道府県では鳥取、神奈川に次いで3番目となる手話言語条例が施行された。


キャプチャ2

 アレンさんらは、日本の聴覚障害者を巡る環境の向上に理解を示しつつも、国として手話言語法の法制化や、大学などでの専門的な手話教育の充実の重要性を訴えた(2017年6月6日配信『毎日新聞』)。

 

群馬県が手話・要約筆記の講習会に補助 県内自治体で初(2016年8月23日配信『東京新聞』)

 

 群馬県は8月から、聴覚障害者に優しい環境を整えるため、手話講習会と、会話などの内容を文字にして伝える「要約筆記」の講習会に補助する事業を始めた。県内の自治体では初めて。県内の聴覚障害者からは手話通訳者や要約筆記者の不足を懸念する声もあり、期待が高まっている。

 県内で身体障害者手帳を持つ18歳以上の聴覚障害者は昨年3月現在で約6100人。ただ、県に本年度登録している手話通訳者(国の資格である手話通訳士を含む)は104人、要約筆記者は66人にとどまっている。

 耳が不自由な県聴覚障害者連盟(前橋市)の吉原孝治事務局長は「手話通訳者や要約筆記者のうち、実際に平日の日中に活動できるのは登録者の3割程度。通訳者や筆記者には地域的な偏りがあり、若い人も少ない」と指摘。その上で「いい機会なので、これをきっかけに通訳者や筆記者の増加につながり、障害者がもっと活用できるようになってほしい」と求めている。

 補助の対象事業者は企業、社会福祉法人、NPO法人など。ほかに、手話や要約筆記を学ぶ場を提供していれば、町内会、PTAなど法人格のない団体も対象となる。講習会は手話通訳や要約筆記のボランティアを養成する内容でも可能だ。

 補助するのは、講習会の講師に対する報償費や交通費。1回当たり1万7000円、1団体につき年3回をいずれも上限に支給する。県は本年度、講習会30回程度に当たる計約50万円の予算を用意している。

 県は2015年4月、県手話言語条例を施行。今回の事業は条例に基づく県手話施策実施計画案の一環に位置付けており、来年度以降も継続を検討している。

 県障害政策課は「高齢化が進む中、中高年層もいる手話通訳者や要約筆記者が将来的に不足する懸念がある。条例の施行をきっかけに、県内に手話や要約筆記を広めたい」と話している。問い合わせは同課=電027(226)2638=へ。

 

聴覚障害者用、手話でTV電話リレー 群馬県内団体で初 予約などに便利(2016年8月19日配信『東京新聞』)

 

手話通訳者とやりとりする聴覚障害者=前橋市で

 

 県聴覚障害者連盟(前橋市)は4月から、障害者がインターネットのテレビ電話機能を使い、連盟にいる手話通訳者を介して相手と通話する電話リレーサービス事業を開始した。事業に補助している県によると、このサービスを始めたのは県内の団体で初めて。連盟は「ファクスやメールに比べ、迅速で、効率的」と障害者の活用を呼び掛けている。 

 連盟によると、聴覚障害者が相手と連絡を取りたい場合、ファクスやメールが一般的。連盟は1998年からファクス、2002年からメールを使った電話リレーサービス事業も続けてきた。

 今回始めたテレビ電話の事業は、障害者が持つパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどを利用。障害者が連盟へテレビ電話をかけ、手話通訳者とやりとりする。同時に、マイクを装着している手話通訳者は障害者が話したい相手に電話をかけ、双方の通話を仲介する仕組みだ。

 テレビ電話の画面には、障害者、手話通訳者ともに文字を打ち込むことができ、情報は保存できる。

 テレビ電話が有効なのは、病院や宿泊施設、乗り物などの予約や、急な事情で予約を変更する場合。コンサートなどのチケットで早めに良い席を取りたいときも便利だ。不在票があった宅配便や郵便物を早めに受け取りたい場合にも適している。

 ファクスやメールでは、何度もやりとりを繰り返すこともあるが、テレビ電話は1回で済む場合が多い。

 県外にある別の団体の事業を利用した障害者からは「電車で忘れ物をした際、サービスを利用してすぐに連絡し、手元に戻った」「自分の代わりに家族や友人などに電話を依頼する負担が減った」などという喜びの声が上がっている。

 連盟の事業では、連盟への通話料は障害者側が負担。連盟と、障害者が話したい相手との通話料は、県から一部補助を受けた連盟側が負担する。

 事業の利用には登録が必要で、現在の登録者は前橋、高崎、伊勢崎、館林各市などの男女10人。4〜7月までに16件の利用があった。

 事業は連盟の会員以外でも利用できる。連盟の会員は約500人で、県内には身体障害者手帳を持つ18歳以上の聴覚障害者は昨年3月現在で約6100人いる。

 耳が不自由な連盟の吉原孝治事務局長は「いつでも、どこでも、早く利用できる聴覚障害者には便利なサービス。普及させたい」と意欲を見せている。

 事業の利用は平日の午前9時〜午後5時(年末年始などを除く)。問い合わせは、連盟=ファクス027(255)6870=へ。

 県は2015年4月、県手話言語条例を施行し、連盟の事業は条例に基づく県手話施策実施計画案の一環に位置付けている。

 

inserted by FC2 system