蓮田手話言語条例

 

 

 

蓮田のシンボル・元荒川の桜

 

2017年12月18日、蓮田(はすだ)市議会は、議員提案の蓮田手話言語条例案を可決した。施行は、2018年1月1日。

 

蓮田市は、手話は言語であるとの認識に基づき、ろう者とろう者以外の人がお互いを尊重し共生できる社会の実現を目指して「蓮田市手話言語条例」を策定するため、2017年年9月1日(金曜日)から年9月29日(金曜日)までパブリックコメントを行った。

 

  条例は、「手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民が共生することのできる地域社会の実現に寄与する」ことを目的し、そのため、手話が言語であることを地域社会で共有し、手話に対する理解を推進するとともに、手話の普及と手話を使用しやすい環境の整備を図り、手話に関する必要な施策に取り組むものとしている。

 

 同様の条例は、埼玉県では、埼玉県朝霞市三芳町富士見市三郷市桶川市ふじみ野市久喜市熊谷市川口市秩父行田が制定している。

 

全国では14県89市13町の計116自治体(2017年12月20日現在)

 

埼玉県の県南東部に位置し、東西約4キロメートル、南北約15キロメートル、総面積27.28平方キロメートルの細長い形をしている蓮田市は、北は久喜市、東は白岡市、南はさいたま市と上尾市、西は伊奈町と接している。

 

江戸時代、見沼代用水が引かれ、稲作が盛んでした。さらに明治時代に蓮田駅が完成したことで大きく発展し、1972年10月1日に、市制を施行した。

 

緑と花を愛し、美しい街づくりを進めるため、市の象徴として、市の木「はなみずき」、市の花「すいれん」を1983年に制定している。

 

蓮田市の人口は、62,257(男;31,068/女;31,189)人、26,628世帯(2017年12月1日現在)

 

 蓮田市の聴覚障害者は、148人(2014年10月1日現在)

 

蓮田市障がい福祉計画(4期)(2015年度〜2017年度)

 

 

蓮田市手話言語条例

 

公布;2017年12月18日

       施行;2018年01月01日

 

手話は、音声言語である日本語等とは異なり、表情や手指、体の動きにより視覚的に表現する言語である。また、手話は、物事を考え、互いを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造するための手段として、ろう者が長年に渡って大切に育んできた言語である。

しかしながら、これまで手話が言語として認められず、また、手話を使用する環境も整備されてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を得ることや意思疎通を図ることが難しく、多くの不便と不安を抱えながら生活してきた。

こうした中で、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話が言語であることが明記されたが、いまだ手話に対する理解が社会において深まっているとは言えない。

ろう者とろう者以外の者とが互いを理解し合い、心通わせる地域社会を実現するためには、さらに手話に対する理解を深め、手話を普及し、安心して手話を使うことができる環境を整備していくことが必要である。

よって、手話が言語であるという認識に基づき、手話を使って安心して人々が暮らすことができる環境を整備し、全ての市民が相互に人格を尊重し、支え合い、共生することのできる蓮田市をつくるため、この条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民が共生することのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備は、ろう者が手話を言語として大切に育んできたことを理解し、ろう者とろう者以外の者が手話により意思疎通を行う権利を尊重することを基本として行わなければならない。

 

(市の責務)

第3条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備を推進するものとする。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念の理解を深め、手話を使用しやすい地域社会の実現のため、市の推進する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(施策の推進)

第5条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する障害者計画において、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備の推進に関する施策を定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

2 市は、前項の施策の策定及び推進にあたっては、ろう者その他の関係者の意見を聴くため、これらの者との協議の場の確保に努めるものとする。

 

(財政上の措置)

第6条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

附 則

この条例は、平成30年1月1日から施行する。

 

 

蓮田市手話言語条例(案)の概要【パブリックコメント用】

 

1 前文

手話は、音声言語である日本語等とは異なり、表情や手指、体の動きにより視覚的に表現する言語である。また、手話は、物事を考え、互いを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造するための手段として、ろう者が長年に渡って大切に育んできた言語である。

しかしながら、これまで手話が言語として認められず、また、手話を使用する環境も整備されてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を得ることや意思疎通を図ることが難しく、多くの不便と不安を抱えながら生活してきた。

こうした中で、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話が言語であることが明記されたが、いまだ手話に対する理解が社会において深まっているとは言えない。

ろう者とろう者以外の者とが互いを理解し合い、心通わせる地域社会を実現するためには、さらに手話に対する理解を深め、手話を普及し、安心して手話を使うことができる環境を整備していくことが必要である。

よって、手話が言語であるという認識に基づき、手話を使って安心して人々が暮らすことができる環境を整備し、全ての市民が相互に人格を尊重し、支え合い、共生することのできる蓮田市をつくるため、この条例を制定する。

 

【解説】

・ 前文では、条例制定の背景や目的などを説明しています。

・ 手話は、音声言語である日本語等とは異なる文法体系をもち、手指の形、位置、動きだけでなく、顔の表情など視覚的な動きにも意味があります。

・ 平成18年12月の国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」に「言語とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう」ことが明記され、手話が言語の一つとして国際的に認知され、平成23年8月には障害者基本法の改正が行われ、「すべて障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」ことが明記されました。

・ 聞こえない人が社会において情報を得るため、ろう者とろう者以外の人が理解し合い言語である手話を普及していくことが必要です。

 

2 目的

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民が共生することのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

【解説】

・ 手話が言語であることを地域社会で共有し、手話に対する理解を推進するとともに、手話の普及と手話を使用しやすい環境の整備を図り、手話に関する必要な施策に取り組みます。

 

3 基本理念

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備は、ろう者が手話を言語として大切に育んできたことを理解し、ろう者とろう者以外の者が手話により意思疎通を行う権利を尊重することを基本として行わなけれ

ばならない。

【解説】

・ 手話は言語であり、ろう者が大切に育んできたことを理解し、手話を通じて意思疎通を図る権利があるという基本的な考え方について、基本理念として位置づけます。

 

4 市の責務

第3条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備を推進するものとする。

【解説】

・ 市は、手話への理解促進、普及、手話を使用しやすい環境整備を推進します。

 

5 市民の役割

第4条 市民は、基本理念の理解を深め、手話を使用しやすい地域社会の実現のため、市の推進する施策に協力するよう努めるものとする。

【解説】

・条例の目的を実現するために市民の役割を位置付けます。市民は基本理念に基づき、ろう者とろう者以外が手話により意思疎通を行う権利を尊重するよう努め、市の施策の協力をします。

 

6 施策の推進

第5条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する障害者計画において、手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備の推進に関する施策を定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

2 市は、前項の施策の策定及び推進にあたっては、ろう者その他の関係者の意見を聴くため、これらの者との協議の場の確保に努めるものとする。

【解説】

・ 条例の目的を実現するため、市が定める障害者計画において総合的かつ計画的に推進します。

・ 施策の策定や推進に当たっては、ろう者やその他の関係者に協力をお願いするための協議の場を設けます。

 

7 財政上の措置

第6条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

【解説】

・ 市は、手話に関する施策を推進するために、財政上の措置を講ずる努力をします。

 

8 施行時期

附 則

この条例は、平成30年1月1日から施行する。

【解説】

・ 条例の施行日は平成30年1月1日を予定しています。

 

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