兵庫県加東市で手話言語条例を可決 近畿初、2015年4月施行 加東市手話ワンポイントレッスン / 市会議員が手話を学ぶ研修会 ケーブルテレビで放送された番組「手話言語条例に関する特別展」
兵庫県加東(かとう)市は、手話を言語として位置付け、耳の不自由な人も暮らしやすい環境を整えることを目的とした「加東市手話言語条例」案を2014年11月27日の市(議)会定例会に提出し、全員一致で可決された。同様の条例が成立したのは近畿の自治体で初めて。施行は2015年4月1日。 2013年10月に鳥取県が全国で初めて制定したのを皮切りに、北海道石狩市(手話に関する基本条例)・北海道新得町(手話に関する基本条例)・北海道鹿追町(手話基本条例)・三重県松阪市(手と手でハートをつなぐ手話条例)・佐賀県嬉野市(心の架け橋手話言語条例)でそれぞれ制定されており、加東市は全国で7番目となる(2016年12月末現在72自治体)。 加東市の条例では、基本理念で「手話は独自の言語体系を有する文化的所産」と明記。市の責務を「手話の普及並びに手話を使用しやすい環境の整備」とすると共に、市民に対し「手話の意義及び基本理念を理解するよう努める」ことを求めている。聴覚障害者や支援者らが参加する手話施策推進会議を設け、施策の推進方針づくりや実施状況の点検などをすることも定める。 この日は聴覚障害者や支援者らが定例会を傍聴し、成立の瞬間を見届けた。県聴覚障害者協会の嶋本恭規事務局長(38)は「条例により、聴覚障害者と健聴者のコミュニケーションの壁が取り払われることを期待したい」と話した。 また、同市会定例会本会議は2014年9月26日、手話が音声言語と対等であることを示し、聴覚障害者教育に手話を導入するなどの環境づくり推進を「手話言語法(仮称)」の制定に向け、同市会が国へ意見書を提出するよう求める請願を、全会一致で採択している。 同市会へは、加東聴覚障害者協会が請願を提出。9月4日の厚生常任委員会には同会の井上智文会長らが参考人として出席し、意思伝達が難しい聴覚障害者らの実態や、自立した社会生活を送るために同法が必要であることなどを、手話通訳を通じて委員らに訴えた。委員からは「手話が通じないことで不自由を感じることは」といった質問や「受け入れ環境が整わないため、市内の中学生が姫路の学校へ通わざるを得ない例もある。同法は必要」などの意見が出た。 同市会委では通常、参考人らの退席後に議案を採決するが、この日は委員らが参考人らに傍聴を呼び掛けた。井上会長らは委員全員が賛成の挙手をする瞬間を見届け、拍手して採択を喜んだ。
兵庫県加東(かとう)市は、兵庫県中央部やや南よりに位置し、東は篠山市、三田市、南は小野市、三木市、西は加西市、北は西脇市と接しており、総面積は総面積は157.55平方キロメートル。 2006年3月20日、社町、滝野町、東条町が合併して加東市となり、「山よし!技よし!文化よし!夢がきらめく☆元気なまち
加東」の実現のために新しい歴史をスタートさせた。 2014年10月末の人口は39,858人。 加東市の聴覚障害・平衡機能障害者数(身体障害者手帳交付者数)は、86人(2014年3月末現在)。
なお、加東市は2014年4月1日、市役所1階の社会福祉課に手話通訳者を嘱託職員として配置した。来庁した聴覚障害者の窓口手続きのサポートや相談に応じる。市によると、北播磨5市1町では三木市と加西市に次ぐ配置となる。 配置されたのは、神戸市の区役所や三田市役所で勤務経験がある手話通訳士の龍美香子さん(49)。従来は聴覚障害者が市窓口を訪れる際、本人が手話通訳者派遣を申請する必要があったが、今回の配置で常時の応対が可能となった。 初日を迎えた龍さんは「耳が聞こえない人たち、行政の双方に手話通訳士がいて良かったと思ってもらえる仕事がしたい」と抱負を語った。平日午前8時半〜午後5時15分に勤務する。 1日に市役所を訪問した加東聴覚障害者協会の井上智文会長(58)は「長年の要望がかなった。いつ来ても手話通訳者がいるので、手続きや福祉相談がスムーズに進む。本当にうれしい」と感謝していた。
かとう手話フェスタ2019 今年度も「かとう手話フェスタ2019」を開催します! 質問“見える化”で聴覚障害者を支援へ 加東のコンビニ(2019年7月17日配信『神戸新聞』)
耳の不自由な人を支援しようと、兵庫県加東市は市内にある21カ所のコンビニエンスストアに簡易な質問と絵柄を記したA4判の「コミュニケーションシート」を配布した。情報を絵にすることで理解を助ける試み。市社会福祉課は「ちょっとした音の情報を『見える化』することで、助かる人も多いのでは」と話す。 聴覚障害者と健常者の手話交流拠点 加東市が開設(2017年5月2日配信『神戸新聞』)
身ぶりでのじゃんけんで親睦を深める聴覚障害者ら=加東市社、社福祉センター 手話言語条例を定める兵庫県加東市は1日、聴覚障害者と健常者が手話でコミュニケーションを取りながら生涯学習などに取り組む「加東さくらルーム」を社福祉センター(同市社)でスタートさせた。同市によると、行政によるこの種の試みとしては全国初という。毎週月曜午前に実施。市は「両者が互いに学び合う場になれば」と期待する。 2014年に近畿の自治体で初めて手話言語条例を成立させた同市は、普及へ向けて多様な啓発活動を展開。孤立しがちな聴覚障害者に手話で心置きなく交流してもらおうと同ルームを開設した。対象は、手話を生活言語にしている北播磨地域の聴覚障害者とその家族に加え、同市主催の手話講座で学んだ人と同市の手話サークル在籍者。 この日集まったのは聴覚障害者12人と健常者15人。聴覚障害者の中には手話が十分にできない人もいたが、趣味について伝えるなど積極的に意思疎通を図った。グループに分かれて身ぶりでのじゃんけんゲームも楽しんだ。 聴覚障害者の男性(49)=同市下滝野=は「これからも機会があれば参加し、交流を深めたい」と話していた。 午前10時〜11時45分(祝日は除く)。今後は、手話すごろく(8日)▽行政発行の広報誌を持ち寄って読む(15日)▽誕生月の人に自分史を語ってもらう(22日)▽手作りボウリング大会(29日)−を予定。参加無料。市社会福祉課TEL0795・43・0409 職場で使える「手話カード」 加東の通訳士が作成(2017年3月30日配信『神戸新聞』)
手話カードを作った山田美香子さん=加東市役所 手話の啓発と普及に取り組む兵庫県加東市社会福祉課の手話通訳士がこのほど、工場と加東消防署向けに「手話カード」を作った。各職場で必要な単語や文章を手話表現の写真とともに紹介しており、聞こえない人とのコミュニケーションに役立ててもらう。 同課は、事業所などの要請に応じて手話講座を開いている。カードは講座で学んだ内容を実践するために、掲示するなどして適宜参照してもらうためのもので、手話通訳士の山田美香子さんと幸泉正子さんが手作りした。 工場用には「ストップ」「スタート」「危ない」「終わり」など、消防署用には「名前」「どこ」「痛い」「苦しい」などの手話表現を掲載。今後も、例えば「病院用」「学校用」など職場に応じたカードを作っていきたいという。 山田さんらは「カードはあくまで受講内容の補足なので、まずは講座で生の表現に接してもらいたい」と呼び掛けている。 市社会福祉課TEL0795・43・0409 手話で劇や歌披露 市民らが学習成果発表(2017年2月5日配信『神戸新聞』)
手話付きで「しあわせ運べるように」を歌う社高校JRC部=加東市下滝野、滝野文化会館 「かとう手話フェスタ」が5日、兵庫県加東市下滝野の滝野文化会館で開かれた。市内のサークルなど12組が劇や歌を手話で披露したほか、日本手話落語協会の桂福団治会長が映像でメッセージを寄せ、3人の手話落語家が会場を沸かせた。 同市は2015年に近畿の自治体で初めて手話言語条例を制定。フェスタは、市民に学習成果を発表してもらい、一層の普及につなげようと昨年から開き、今回は手話で交流するカフェも設けた。
若者意識した手話掲載 加東市、新成人に冊子配布へ(2017年1月4日配信『神戸新聞』)
新成人向けの手話啓発冊子=加東市役所 兵庫県の加東市は新成人向けの手話啓発冊子を作り、8日にやしろ国際学習塾で開く「新成人の集い」で配布する。聞こえない人とのコミュニケーションの仕方を解説するほか「LINE(ライン)」「飲み会」など若者を意識した手話表現も掲載している。 2014年に近畿の自治体で初めて手話言語条例を成立させた同市は、手話の普及へ向けて広報誌掲載のレッスンコーナーや手話フェスタなどで取り組んでいる。 冊子はA5判、9ページ。聞こえない人には音の情報の「見える化」が大切と説くとともに、筆記やジェスチャー、スマートフォンのメモ機能の活用などを勧め、学校、職場、飲み会、遊びなどの状況別の対応を紹介。手話表現では「サークル」「学祭」「デート」などの単語を選んだ。 冊子製作を手掛けた同市社会福祉課職員の手話通訳士山田美香子さんは「社会で多様な人と付き合うために、聞こえないことは特別ではないと知ってほしい」と呼び掛けている。 手話で話そう 通訳士による解説、冊子に 加東市(2016年10月5日配信『神戸新聞』)
手話の啓発冊子を作った手話通訳士の山田美香子さん=加東市役所 手話言語条例を定める兵庫県加東市は、市として初の啓発冊子「しゅわではなそう」を作った。聞こえない人が置かれた生活環境について詳しく解説するとともに、指文字や数字など簡単な手話表現も紹介。市職員や市内全小中学校に配布し、理解を深めてもらう。 同市は2014年11月、近畿の自治体で初めて同条例を成立させた。広報誌に掲載しているレッスンコーナーや手話フェスタ、市の無料講座などを通して普及に努めている。
2014年11月、近畿の自治体で最も早く手話言語条例が成立した兵庫県加東市で、市会議員が手話を学ぶ研修会がこのほどあった(同市提供)。全16人が参加し、あいさつや自己紹介など初歩的な会話を習得した。 同条例は、手話を言語として位置付け、耳の不自由な人も暮らしやすい環境を整えることを目的とし、各地で同様の条例の制定が進んでいる。同市では4月1日に施行される。 研修会では、県聴覚障害者協会副理事長の小林泉さんが、聴覚障害者の置かれている現状や課題を説明。その後、市の手話通訳士・龍美香子さんが「おはよう」「こんにちは」や、名字の漢字を手話で表す方法などを伝えた。市議らはこれまで知らなかった言語を身に付けようと、手や腕をさまざまに動かした。 安田朗議長は「手話の普及に向け、市議が率先して使うことが大切。2月にも研修会を2回開く予定」と話した。 |