前橋市手話言語条例

 

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災害時に指さし意思伝達 前橋市がボード配備(pdf)No1 No2

 

 

 

手話に対する差別や偏見をなくし、手話を言語として認め、みんなで手話の理解や手話の普及を!

市民の誰もが幸福にならなくてはなりません!聴覚障害者施策を大きく前進させましょう!

 

 

 

 前橋市議会第4回定例議会は2015年12月7日、手話の理解や普及促進を図る環境の構築などを盛り込んだ「前橋市手話言語条例(案)を全員賛成で可決した。群馬県内の市町村初。2016年4月1日から施行された。

 

市議会全会派(清新クラブ・創生前橋・市民フォーラム・日本共産党前橋市議会議員団・公明党前橋市議会議員団・心世紀・市民の会)が共同提案していた。

 

 同条例は、「手話は、豊かな人間性を涵養し、知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産です。そして、お互いの意思疎通を図り、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、これまでの人類の発展に大きく寄与してきました。しかしながら、その歴史的には、手話は長い間言語として認められず、差別や偏見にさらされ、ろう者は様々な不便や苦しみ・不安の中で耐えながら暮らしてきました。そのような中で、前橋市では1968(昭和43)年に、県下でいち早くろう者と、ろう者とかかわってきた聞こえる人たちが共同して、手話サークル(前橋手話サークル『みつばの会』)を立ち上げ、手話や聴覚障害者に対する理解を広げ、多くの手話通訳者を育ててきました。前橋市は、手話は言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定めます」としている。

 

そのうえで条文には、手話を使いやすい環境にするための施策の推進や手話を学ぶ機会を提供するよう努めるために、▽市内の学校での手話普及や通訳者の充実、聴覚障害児へのケア▽医療機関での手話環境の整備や聴覚障害が発見された後の本人や家族への支援▽事業者に対する聴覚障害者へのサービス提供や労働環境の整備▽災害時の聴覚障害者への情報提供−−などが盛り込まれた。

 

群馬県議会も2015年3月に「群馬県手話言語条例」を制定、同年4月1日から施行されており、都道府県と市町村で手話言語条例がそろうのは全国で初めて。

 

 傍聴席には、聴覚障害者団体や1968年に県内でいち早く結成された市内の手話サークル、手話通訳者団体の人々が詰めかけ、議長席の横で提案理由説明を手話通訳者が通訳する中で、条例制定を見守り、条例の成立を議員や市当局とともに喜んだ。

 

前橋市聴覚障害者福祉協会の飯島豊会長(71)は、「ろう者が社会参加できる環境が整備されることをうれしく思う。具体的な施策や、きめ細かな手話の普及に向けて、今日がスタートになる」と手話通訳を介して語った。

 

条例制定に尽力した議員の一人の長谷川薫氏は、「障害者も高齢者も子どもも高齢者も市民の誰もが幸福にならなければなりません。市民誰もがお互いに理解し合わなければなりません。市民共通の認識のもとに手話言語の施策を進めてゆくことが重要です。行政当局は条例の理念を踏まえて、前橋市障害者基本計画、障害者差別解消法の具体的施策を積極的に推進していただきたいと思います。予算もしっかり確保していただきたいと思います」と語った。

 

前橋市は、群馬県の県庁所在地で中核市。東京から北西約100キロメートルの地点にあり、市域の北部は上毛三山の雄、赤城山に至り、北から南に向かって緩やかな傾斜となっている。最も高いところは赤城山(黒檜山南面)の海抜1,823メートル。市の中央部から南部にかけては、海抜100メートル前後の関東平野の平坦地が広がり、本市を両分する形で南流する利根川の両岸に市街地が開けている。

 

人口は、165,598(男;172,623/女;338,221)人、147,102世帯(2017年11月末現在)

 

市内の聴覚障害者数は2014年度末で約1128人。

 

 

2015年版前橋市統計書(2016年度刊)

 

なお、手話サークル『みつばの会』は、1968(昭和43)年にろう者と交流することを通してお互いの壁を取り除くためにろう者の手によって『交流懇談会』として設立されたが、交流だけは、壁は取り除けず、1970(昭和45年)に『手話を学ぶ会』として手話を学びながら交流を深めるため再発足し、同年『みつばの会』と改名し現在に至っている。

ろう者によって命名された名称は、「広く」より多くの人たちにこの輪を広げていこう。 「深く」より深く意味のある会にしていこう。「強く」より強くどんなことがあってもこの会を続けていこうということで、「広く」 「深く」 「強く」の3つをあわせて「連帯」という意味。

前橋市の手話サークルは、このほか、「あさひの会」「虹の会」「四季の会」「鳥居の会」がある。

 

 

 

 

市議会は全会派で制定を目指し、条例制定研究会(座長・横山勝彦議員)を設立。2015年10月の意見交換会には、市聴覚障害者福祉協会、県聴覚障害者連盟、市手話通訳者協会、前橋手話サークル連絡会のほか、聴覚障害者の問題に詳しい群馬大教育学部の金沢貴之教授や医療関係者ら9人が出席。手話通訳を介して議員や市の担当者と議論していた。

 

 

 

前橋市手話言語条例pdf

公布;2015年12月9日

施行;2016年4月1日

 言語は、お互いの意思疎通を図り知識を蓄え文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。

 手話は、音声言語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解するために、また、知識を蓄えて文化を創造するために必要な言語として、手話を大切に育んできた。

 しかしながら、長い間手話は言語として認められず、ろう者に対する差別や偏見を生み、ろう者は様々な不便や不安の中で耐えながら暮らしてきた。

 そのような中、前橋市においては昭和43年、県下でいち早くろう者とろう者と関わってきた聞こえる者が共同して手話サークルを立ち上げ、手話や聴覚障害者に対する理解を広げ多くの手話通訳者を育ててきた。

 このような経過の中で、近年、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、言語に手話を含むと規定された。

 前橋市は、手話は言語であるとの認識に立ち、ろう者への理解を深め、市民の誰もが助け合い、支え合う社会を目指し、この条例を制定するものである。

 

 (目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにすることにより、市民の手話への理解及び手話の普及の促進を図るとともに、手話の使いやすい環境を構築することで、全ての市民が共に生きる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

 (手話の意義)

第2条 手話は、ろう者が自ら生活を営むために使用している独自の体系を持つ言語であって、豊かな人間性を涵(かん)養し、及び知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産であると理解するものとする。

 

 (基本理念)

第3条 ろう者及びろう者以外の者が、相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生することを基本として、ろう者の意思疎通を行う権利を尊重し、手話の普及を図るものとする。

 

 (市の責務)

第4条 市は、市民の手話への理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものとする。

 

 (県との連携及び協力)

第5条 市は、この条例の目的及び基本理念に対する市民の理解の促進、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に当たっては、県と連携し、及び協力するよう努めるものとする。

 

 (市民の役割)

第6条 市民は、手話への理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

 

 (事業者の役割)

第7条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

 

 (方針の策定)

第8条 市は、次に掲げる事項を総合的かつ計画的に推進するための方針を策定するものとする。

 (1) 手話への理解及び手話の普及に関すること。

 (2) 手話による情報の発信及び取得に関すること。

 (3) 手話による意思疎通支援に関すること。

 (4) 手話通訳者の確保及び手話通訳環境の充実に関すること。

 (5) 手話に関わる専門職の資質向上に関すること。

市は、前項の方針の策定に当たっては、障害者の福祉に関する計画等との整合性を図るものとする。

 

 (手話を学ぶ機会の確保)

第9条 市は、ろう者、手話通訳者、手話奉仕員及び手話を使用することができる者と協力して市民が手話を学ぶ機会の確保を図るものとする。

 

 (学校における手話の普及)

第10条 市は、学校教育における手話への理解及び手話の普及を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

市は、学校において児童、生徒及び教職員に対する手話を学ぶ機会を提供するよう努めるものとする。

学校の設置者は、学校において手話を必要とする幼児、児童、生徒又は学生がいる場合に、必要な手話に関する支援を受けられるよう努めるものとする。

 

 (医療機関における手話の啓発)

第11条 医療機関の開設者は、ろう者が手話を使用しやすい環境となるよう努めるものとする。

市は、医療機関において、ろう者が手話を使用しやすい環境となるよう手話通訳者を派遣する制度の周知その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

市は、医療機関において聴覚障害の診断及びその後の本人と家族の支援に携わる者に対し、手話への理解のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 (事業者への支援)

第12条 市は、ろう者が手話を使用しやすい環境を整備するために事業者が行う取組に対して、必要な支援を講ずるよう努めるものとする。

 

 (災害時の対応)

第13条 市は、災害時において、ろう者に対し、情報の取得及び意思疎通の支援に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 (財政上の措置)

第14条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 (その他の意思疎通支援の推進)

第15条 市は、手話、要約筆記その他の意思疎通支援を活用し、聴覚障害者の特性に応じた円滑な意思疎通支援に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 

 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

 

 

群馬大学公開講座『手話で学ぶ手話学』


 2015年に群馬県手話言語条例と前橋市手話言語条例が制定されました。県と市の両方で手話言語条例が制定されたのは全国初です。
 手話言語条例では手話を「独自の体系を持つ言語」と規定しており、その理解と普及を目的としています。また、群馬県手話言語条例では「手話に関する調査研究の推進」(第15条)も盛り込まれており、群馬大学としても、手話に関する学術的成果を発信していきたいと考え、本講座を企画しました。
 
 本講座では、講師自らが手話で講義を行うことで、聾者自身が直接手話で学ぶ機会を提供します。なお、本講座は日本財団助成事業「学術手話通訳に対応した通訳者の養成」の一環として実施するものです。

 

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共催:群馬県聴覚障害者連盟
後援:群馬県・前橋市
実施責任者:教育学部障害児教育講座教授 金澤 貴之
2月17日(土)
12:20〜13:50
 
「明治初期の盲唖教育と盲人・聾者のコミュニティについて」
日本社会事業大学非常勤講師 木下 知威


14:10〜15:40

 「日本手話研究のための日本語学基礎」 
大阪大学大学院博士後期課程・日本学術振興会特別研究員 後藤 睦

 

16:00〜17:30

 「手話の不思議から言語の不思議へ」 
国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科主任教官 市田 泰弘

 

 

手話条例が追い風に 3団体が合同創立記念大会(2019年7月22日配信『上毛新聞』)

 

https://www.jomo-news.co.jp/file/article/564/147564/109415-attachment.jpg

熱演する手話劇の出演者

 

 前橋市聴覚障害者福祉協会(飯島豊会長)など3団体の合同創立記念大会が21日、前橋市の前橋テルサで開かれた。
 1948年設立の同協会は、6サークルで構成する前橋手話サークル連絡会(久川亮子会長)と、10年ごとに記念大会を開催。今大会から同市手話通訳者協会(小畑祥子会長)も加わった。

 

災害時に指さし意思伝達 前橋市がボード配備へ(2018年1月17日配信『朝日新聞』)

 

 災害が起きた時、聴覚障害者や外国人らが避難所などで周囲の人と円滑に意思疎通がとれるよう、前橋市はイラストや文字を指さして意思を伝える「災害時用コミュニケーション支援ボード」を作った。市内76カ所の指定避難所に配備する。

 ボードはA4の大きさで10ページあり、めくって使う。何らかの障害で言葉で意思表示するのが難しい人や筆談が苦手な人ともやりとりができるよう、大きくわかりすいイラストや記号で表現されている。外国人にも対応できるように英語の表記も付けた。

 掲載されているのは50音表のほか、「気持ちが悪い」「せきが出る」「熱がある」など体調やケガを示すイラストや、「相談したい」「トイレに行きたい」「手伝ってください」といった困りごと、相談ごとなどの項目がある。

 指定避難所で作成する「避難者カード」の聞き取りに使えるよう質問項目が設けられ、配慮してほしいことが伝えられるよう障害の種別や妊娠、アレルギーなどを問うものもある。

 市は一昨年4月、手話を言語と定め、その尊重や普及を掲げた「手話言語条例」を施行した。同条例に基づき関係団体の協力を得ながら、避難所で使えるボードの検討を進めてきた。

 市聴覚障害者福祉協会の飯島豊会長は「災害が起きた時、全避難所に手話通訳者が派遣されるわけではない。聴覚障害者でも筆談が通じないこともある。多くの人に活用してもらえればありがたい」などと説明している。

 

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災害時の聴覚障害者支援へ 前橋市「会話支援ボード」を避難所配備へ(2017年12月15日配信『産経新聞』)

 

 

 前橋市は災害時の聴覚障害者への支援を強化する。自身の体調や悩みなどを、言葉やイラストを指し示して伝えることができる「コミュニケーション支援ボード」を県内市町村で初めて作製。今月から全76の指定避難所に順次配備する。市はこれまでも手話通訳者の育成など聴覚障害者への支援に注力してきたが、意思疎通をより円滑にしたい考えだ。 

 ボードは、フルカラーのA4サイズの紙をプラスチックでパッキングし、リングでとじた形式。10ページあり、めくって使用する。50音一覧のほか、「体調・けが」「困っていること」などの項目があり、これらを指し示して意思疎通ができる。

 筆談が苦手な高齢の聴覚障害者にも配慮して、大きなイラストと記号を掲載したほか、日本語が不得意な外国人らの使用も想定し、英語表記もある。

 市は昭和43年に県内でいち早く手話サークルを立ち上げ、多数の手話通訳者を育成した歴史がある。

 昨年4月には、手話の理解や普及促進を図る環境の構築などを盛り込んだ「手話言語条例」も県内市町村で初めて施行。災害時の聴覚障害者支援を定めた第13条に基づき、専門部会を設け、関係団体などと連携してボード作製の検討を進めてきた。

 市障害福祉課によると、市内の聴覚障害者数は平成28年度末で約1200人。

 横浜市なども同様のボードを作製しているものの、多くは見開き1ページ構成のレベルにとどまるという。

 それらと比べると、大幅に内容を充実させており、市自立支援協議会の北川公啓会長は「色々な方が使いやすいという視点で作成した」と話した。

 市聴覚障害者福祉協会の飯島豊会長は「災害が起きたとき、全ての避難所に手話通訳者を配置できるわけではない。緊急対応の事前準備として作った」と説明した。

 

災害時用コミュニケーション支援ボードを作成しました【群馬県内初】

 

平成28年4月1日に施行された前橋市手話言語条例第13条「災害時の対応」※に基づき、市内の指定避難所において使用する災害時用コミュニケーション支援ボードを作成しました(県内初)。

概要経緯

前橋市手話言語条例は、市民の手話への理解・普及を進め、手話の使いやすい環境を整えることで、ろう者も聞こえる人も、全ての市民がともに生きていける“まち”の実現を目的としています。

本市では具体的な手話施策について、前橋市自立支援協議会内に「手話施策検討部会」を設置し、協議を進めています。コミュニケーション支援ボードはその施策の一環として、聴覚障害者団体、関係団体の協力のもと、作成を進めてきました。

 

特徴

@手話でコミュニケーションを行う聴覚障害者の中には、筆談が苦手な人もいるため、避難所において、周囲の人たちと必要な情報のやり取りができるよう、大きくわかりやすいイラストや記号を掲載しています。

A指定避難所の受付で作成する「避難者カード」の聞き取りや、体調・けが、困っていること、欲しいものを伝えたいときに使える内容となっており、聴覚障害者だけでなく、コミュニケーションを苦手とする音声言語機能障害者、精神障害や知的障害、発達障害のある方にも使えます。

B避難所に外国人がいることも想定し、英語表記を整備しました。

 

目的・意義

本市では、聴覚障害者の社会生活上の意思疎通を円滑にするため、手話通訳者を派遣する制度を実施していますが、災害時は各避難所に手話通訳者を必ず配置できるわけではありません。

そこで、このコミュニケーション支援ボードで、指定避難所における聴覚障害者や音声言語機能障害者、精神・知的・発達障害者等の情報取得及び意思疎通を支援します。

 

配置場所

市内の指定避難所76ヵ所(小中学校の体育館等)

今後の予定

平成29年12月以降順次、指定避難所の「避難所開設キット」に配備していきます。

 

※前橋市手話言語条例第13条「災害時の対応」

市は、災害時において、ろう者に対し、情報の取得及び意思疎通の支援に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

  障害福祉課 福祉サービス係

  027-220-5711(内線:84-2105

 

 

TV電話で遠隔手話通訳 前橋市が窓口手続き補助(2016年9月1日配信『東京新聞』)

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市の窓口に設置されたタブレット端末。画面の手話通訳者が手続きを補助する=前橋市朝日町で


◆前橋市、県内自治体で初導入
 前橋市は1日、聴覚障害者の市役所窓口での手続きを補助するため、タブレット端末のテレビ電話による「遠隔手話通訳サービス」を始める。市によると、県内自治体で初の取り組み。筆談などが苦手な障害者でも、画面上の手話通訳者を介して市職員と円滑に意思疎通ができ、市の担当者は「急用でもためらわず安心して来庁して」と呼び掛けている。
 市では、事業委託する市社会福祉協議会に手話通訳者を市役所に派遣してもらって対応しているが、原則は障害者側が来庁する1週間前までに社協に依頼する必要がある。急用で聴覚障害者が1人で来庁したが、通訳者の手配がすぐにできないケースが年間数件ほどあり、市職員との筆談や簡単な手話では意思疎通が難しい場合もあるという。
 通訳者の派遣事業は継続し、遠隔手話サービスはこれを補完する位置付けとなる。タブレット端末は本庁舎=大手町=と、障害福祉課などが入る市保健所=朝日町=に1台ずつ配置した。画面を通じて社協の手話通訳者が窓口手続きを補助する。
 サービス導入は、4月に施行された市手話言語条例に基づく対応の一環。市によると、障害者手帳を持つ市内の聴覚障害者は昨年3月末時点で約1100人いる。

 

遠隔手話通訳;タブレット端末で 前橋市が新サービス(2016年9月1日配信『毎日新聞』−「群馬版」)

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聴覚障害者向けに前橋市の窓口に配置されたタブレット端末。テレビ電話機能で遠隔手話通訳サービスを受けられる

 前橋市は1日、聴覚障害者向けにタブレット端末のテレビ電話機能を利用した遠隔手話通訳サービスを始めた。画面を通じて手話通訳者と意思疎通ができ、窓口での手続きがスムーズになる。導入は県内の自治体で初めて。
 障害者が急用で市役所を訪れた場合、市社会福祉協議会に常勤する手話通訳者とテレビ電話でつなぎ、通訳してもらう。タブレット端末は、本庁舎の社会福祉課と前橋市保健所内の障害福祉課に1台ずつ配置した。
 これまで実施してきた手話通訳者の同行サービスも継続する。市障害福祉課によると、2015年度末現在、市内で聴覚障害の手帳を持つ人は1162人で、このうち手話でコミュニケーションをとっている人は約300人という。

 

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