群馬県;みどり市手話言語条例

 

 2010年には、国連障害者権利条約(2006年採択)に、手話が言語である旨が明記され、国内では障害者基本法が2011年に改正され(同年8月5日公布・施行)、手話が「言語」言語(手話を含む)」)であると明記された後、全国で手話条例の制定の動きが広がっている中、2016年12月14日、群馬県みどり市議会は、第4回定例会最終日石原条(いしはら じょう)市長提案の「みどり市手話言語条例」案(議案第92号)を可決した。

 

提案理由

手話が言語であるという認識に基づき、手話に対する理解及び手話の普及並びに地域において手話を使用しやすい環境を整備するため、手話に関する基本理念を定め、全ての市民が心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的に条例を制定するもの。

 

全国で60番目

 

条例は、「手話が言語であるという認識に基づき、手話に対する理解及び手話の普及並びに地域において手話を使用しやすい環境を整備するため、手話に関する基本理念を定め、全ての市民が心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的したうえで、「市は、この条例の目的及び基本理念にのっとり、手話に対する理解及び手話の普及を図り、ろう者が手話による意思疎通がしやすい環境の整備に努める」としている。

 

また、市民や市内の事業者に対し、市の手話施策に協力するよう努めることを求めている。

 

群馬県では、群馬県手話言語条例が2015年4月1日に、前橋市手話言語条例が2016年4月1日に、中之条町手話言語条例が2016年6月20日にそれぞれ施行されている。

 

本条例は、渋川市手話言語条例とともに2017年4月1日に施行される。

 

 

 群馬県の東部に位置するみどり市は、2006年3月27日に、新田郡笠懸町、山田郡大間々町、勢多郡東村が合併して誕生した、群馬県内では1958年の安中市以来、48年ぶりにして第12番目の新しい市。市役所本庁舎は旧笠懸町役場に設置されている。

 

 首都東京からは100km圏内になる市域は、南北に長い市域をしており、東西を桐生市に挟まれ(桐生市の間に挟まれた3町村が「みどり市」としての合併を選択したため、このような変則的な行政区域となった。東地区は実質上飛地)、栃木県日光市を始め、群馬、栃木両県の7市と接している。

 

かつてこの地域は、足尾銅山で精練(せいれん)した御用銅(ごようどう)を江戸へ運ぶ「あかがね街道」の宿場町として、また、生糸の集散地として発展してきた。

 

市内には、日本の歴史を変える発見となった岩宿遺跡、「関東の耶馬渓」と言われる高津戸峡、星野富弘氏(1946年4月24日〜詩人・画家。群馬県勢多郡東村〈現・みどり市〉生まれ)の詩画を展示した富弘美術館などの名所や観光施設がある。

 

星野富弘;「別れ」(『あなたの手のひら』所収〈四季の草花に折々の思いを寄せた詩画集〉)

<あなたが最後に見た季節が また巡って来ました あれから私は幽霊というものが いてもいいと思うようになりました できることならあなたに幽霊になってもらってでも もう一度逢(あ)いたいのです−>

 

総人口は、50,727人(2016年10月1日現在)

 

 みどり市の手話サークルに「さくら草の会」がある。

 

 

わたらせ渓谷鐵道

 

 

みどり市手話言語条例

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるという認識に基づき、手話に対する理解及び手話の普及並びに地域において手話を使用しやすい環境を整備するため、手話に関する基本理念を定め、全ての市民が心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

 

(基本理念)

第3条 ろう者とろう者以外の者が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本として、ろう者の意思疎通を行う権利を尊重し、手話の普及を図るものとする。

 

(市の責務)

第4条 市は、この条例の目的及び基本理念にのっとり、手話に対する理解及び手話の普及を図り、ろう者が手話による意思疎通がしやすい環境の整備に努めるものとする。

 

(市民及び事業者の役割)

第5条 市民は、この条例の目的及び基本理念を理解し、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、この条例の目的及び基本理念を理解し、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

 

(施策の推進等)

第6条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第1l条第3項の規定によりみどり市が策定する障害者計画(次項において「障害者計画」という。)において、次の各号に掲げる施策について定め、これを総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策

(2) 手話による円滑な意思疎通ができる環境を構築するための施策

(3) 手話通訳者の派遣等によるろう者の社会参加の促進を図るための施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、前項に規定する施策を推進するため、施策の推進方針を策定するときは、障害者計画との整合を図るとともに、ろう者及び関係者の意見を聴く機会の確保に努めるものとする。

 

(財政上の措置)

第7条 市は、手話に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

附 則

この条例は、平成29年4月I日から施行する。

 

 

復興願い手話で歌う 笠懸小 震災縁に生まれた第2校歌(2017年6月21日配信『上毛新聞』)

 

 東日本大震災の被災地からもらった種からヒマワリを育てている群馬県みどり市の笠懸小(保志守校長)の児童約980人が20日、同校で、ヒマワリの栽培を通じた交流をきっかけに生まれた第2校歌「ひまわりの花畑」を手話を交え歌い、被災地に思いを寄せた。

キャプチャ


 脳性まひなどの障害がある仙台市の詩人、大越桂さんに種を贈ったことから交流が始まり、同校に詩が贈られた。今年3月には「ひまわりの花畑」の歌詞パネルが同校体育館に設置された。 
 手話はJRC委員会の児童が中心となって学び、クラスごとに練習した。今後、市内のイベントや祭りで披露する予定。

卒業生が「第2校歌」歌詞パネル贈る みどり笠懸小 (2017年3月24日配信『上毛新聞』)

 

 東日本大震災の被災地からもらったヒマワリを育てている群馬県みどり市の笠懸小(清水直海校長)の6年生169人が卒業式の23日、栽培を通じた交流で生まれた第2校歌「ひまわりの花畑」の歌詞パネルを卒業の記念品として同校に贈った。 

 ヒマワリは、同校の金子淳二前校長が福島県南相馬市へ復興ボランティアに行った際、もらった種2粒が始まり。脳性まひなどの障害がある仙台市の詩人、大越桂さんの作品に親しんでいた金子前校長が、大越さんに種を贈ったことから交流が始まり、「ひまわりの花畑」という詩が同校に贈られた。 

 パネルは縦1.8メートル、横3.6メートルで体育館に設置された。詩の背景は青空の下で大輪の花を咲かせるヒマワリ畑。6年生の武井沙樹さんは「復興のヒマワリを多くの人に知ってほしい」と話し、星野翠人君は「いつまでも活動が続けばうれしい」と笑顔だった。清水校長は「児童が震災を忘れず、被災地に寄り添ってもらえれば」と活動への思いを語った。

 

 

 

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