埼玉県三郷(みさと)市 こころつながる手話言語条例 2010年には、国連障害者権利条約(2006年採択)に、手話が言語である旨が明記され、国内では障害者基本法が2011年に改正され(同年8月5日公布・施行)、手話が「言語」(言語(手話を含む)」)であると明記された後、全国で手話条例の制定の動きが広がっている。 そうした中、埼玉県三郷市では、手話に対する理解を深め、これを広く普及させるとともに、手話の使用にかかる環境整備を図ることにより、もってすべての市民が、社会的な障壁によって分け隔てられることのない地域社会の実現に寄与することを目的とする『三郷市こころつながる手話言語条例(案)』を策定し、2016年9月26日から10月28日までパブリックコメントを実施(意見の提出状況 提出人数6名、意見提出用紙7枚、意見17件)、若干の修正の上、12月議会に提案、2016年12月9日に可決された。 施行は2017年4月1日。 水と緑の自然に恵まれた三郷市は、埼玉県の南部最東端に位置する。東京都心から最近地点約15km、最遠地点で24kmの距離で、市の東境を江戸川が、西の境を中川が、中央部に大場川が流れる。市制施行前は北葛飾郡に所属。 近年は大型商業施設がオープンし、ますます発展を続けている。 三郷市の総人口139,077人(男;70,545人/女;68,532人)、61,074世帯(2016年12月1日現在) 聴覚・平衡機能障害者247人(2014年度)。
埼玉県三郷市 こころつながる手話言語条例 言語は、知識を蓄え、お互いの感情を分かちあい、社会の一員として生きていく上で欠かせないものである。 手話は、音声言語とは異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、お互いの気持ちを理解し合い、社会生活を営むための生活の言葉として、手話を大切に育んできた。 しかし、長い間、手話を使用できる環境が整えられてこなかったことから、ろう者は必要な情報を得ることもコミュニケーションを取ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。 手話は言語であり、生活の言葉が音声言語だけではないことを市民一人ひとりが理解し、それぞれの言語を尊重することが重要である。 ここに私たちは、手話に対する理解を深め、これを広く普及させるとともに、手話を利用しやすい環境の整備を図り、もって市民一人ひとりが、互いの人格と個性を尊重し合う、こころつながる三郷市を目指して、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、手話に対する理解及び普及促進並びに手話を使用しやすい環境の整備に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民等の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進することにより、すべての市民が、社会的な障壁によって分け隔てられることのない地域社会の実現に寄与することを目的とする。 (基本理念) 第2条 手話に対する理解及び普及促進並びに手話を利用しやすい環境の整備は、手話が言語であるという認識に基づき、すべての市民が、互いにその個性と人格を尊重することを基本として行わなければならない。 (市の責務) 第3条 市は、前条の基本理念にのっとり、手話に対する理解及び普及促進を図るとともに、手話を利用しやすい環境を整備するために必要な施策を講ずるものとする。 (市民等の役割) 第4条 市民及び事業者は、第2条の基本理念に対する理解を深めるとともに、市の推進する施策に協力するよう努めるものとする。 (施策の推進) 第5条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。 (1) 手話に対する理解及び手話の普及を促進するための施策 (2) 手話を取得し支援する人材を養成するための施策 (3) 手話その他の意思疎通手段による情報の取得及び共有の機会を拡充するための施策 (4) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策 2 市は、市が別に定める障がい者に関する計画に基づき施策を推進するものとする。 3 市は、第1項の施策を推進するときは、聴覚に障がいのある者その他関係者の意見を聴くよう努めるものとする。 (災害時の対応) 第6条 市は、災害時において、手話その他の意思疎通手段を必要とする者に対し、情報の取得及び共有のための支援に努めるものとする。 (財政上の措置) 第7条 市は、第5条の施策を推進するために、予算の範囲内において必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 附 則 この条例は、平成29年4月1日から施行する。 |