富山県滑川市手話言語条例

 

小学校でミニ手話講座

 

滑川市、新人職員が手話の研修

 

 富山県滑川市(なめりかわし)は、聴覚障害がある人が暮らしやすい社会の実現に向け、手話を尊重し、普及を目指す「手話言語条例(案)」を2017年3月2日に開会した市議会3月定例会に提出、3月23日、全会一致で採決された。

 

同種の条例は、富山県内自治体では初めて。

 

 条例案では、手話が使いやすい環境の整備を市の責務と明記。住民と事業者には努力義務として、手話に関する市の施策への協力を促す。事業者には、聴覚障害者が利用しやすいサービス提供の努力も求めるとしている。

 

 全国や県の支援団体から、条例制定の要望を受けていた。市内では手話サークル「めばえの会」や、市ろうあ福祉協会の活発な活動が条例制定の背景にあった。

 

全国では2017年3月24日時点で、93番目の制定となった。

 

 市は条例制定後、「手話のまちづくり」を加速させる方針。新年度の一般会計当初予算案には、手話講座の開催や手話検定受検費の助成、補聴器の支援設備の設置など、関連予算245万円を計上している。施策の方針を定め、状況を点検する「市手話施策推進会議」も、新たに設置する。

 

 なお、上田昌孝滑川市長は、2016年6月に発足し「全国手話言語市区長会」に加盟している。

 

 

 かつては北陸街道の宿場町として栄えた滑川市は、富山県の東部に位置する市。ホタルイカが多く水揚げされる街として知られ、沿岸のホタルイカ群遊海面は国の特別天然記念物に指定されている。

富山湾に面する市は、東側は早月川を境界に魚津市、南西側は郷川とこれに合流する上市川下流部を境界に上市町と富山市に接しており、富山市中心部や魚津都市圏の中心都市である魚津市へのアクセスが比較的よいこともあり、近年はベッドタウン化が進んでいる。

 

 

 人口は、33、414人(男;16、312人/女;17、102人)、12、101世帯(2017年2月1日現在)

 

 

 

滑川市手話言語条例pdf

 

目次

前文

第1章 総則(第1条〜第4条)

 第2章 手話言語の普及(第5条・6条)

 第3章 雑則(第7条)

 

ろう者は、聞こえないために音声言語による意思疎通が難しく、また、周囲の人々の手話への理解が十分でなかったため、日々の暮らしのなかで必要な情報が得られにくく、地域では孤立しがちでした。

聞こえる人も、ろう者をはじめとする聴覚に障害のある人について理解し、交流する機会が少なかったため、お互いを十分にわかり合うことがきませんでした。

言語は、お互いの気持ちを分かり合い、知識を豊かにし、文化を創造するうえで不可欠なものです。

手話は、音声を使わずに手指や体の動き、表情を使い、独自の語彙と文法体系を持って視覚的に表現する言語です。ろう者は、物事を考え、意思疎通を図り、社会活動に参加、人間関係を育み、成長していくために手話を大切に使い続けてきました。

平成18年に国連で採択された「障害者の権利に関する条約」や平成23年に改正された「障害者基本法」において手話が言語であることが明示されている今日、手話についても、その獲得や習得をはじめとする言語としての処遇が求められていますが、いまだ、社会において手話への理解や広がりを感じる状況にはありません。

滑川市は、手話が言語であるという認識に基づき、手話への理解と広がりをもって、市民が、聴覚に障害のある人がいることを受けとめ、地域で支え合い、手話を使って安心して元気に暮らすことのできる地域社会の実現をめざして、この条例を制定します。

 

【趣旨】

この条例を制定する背景や、条例の目指すものを説明しています。

手話は、音声言語と異なり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語であり、ろう者が、社会に参加し、人間関係を育むために大切に使い続けてきたものです。

国内外において手話が言語であることが明示され、言語としての処遇が求められている今日においても、いまだ、わたしたちの日々の生活において、手話への理解や広がりを感じられる状況に十分には至っていないのが現状です。

本市は、手話が、ろう者が大切に使いつづけてきた言語であるとの認識のもと、手話の理解と普及を図るための施策を通じ、手話を使って安心して暮らすことができる地域社会の実現をめざしてこの条例を制定するものです。

 

第1章 総則

 

(目的)

第1条 この条例は、手話への理解の促進及び手話の普及に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、本市の手話に関する施策の基本となる事項を定めることにより、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もってすべての市民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

【趣旨】

この条例を制定する目的を定めています。

この条例は、手話への理解や普及に関する基本理念や、市の責務、市民(市民全般を指します。)及び事業者(商業その他の事業を行う者で、法人・非法人、営利・非営利を問いません。)の役割を定めるものであり、今後、市が手話に関する施策を推進するにあたっての基本と位置づけられるものです。

 

(基本理念)

第2条 手話への理解の促進及び手話の普及は、手話が言語であるの認識に基づき、手話を必要とする人が、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

 

【趣旨】

この条例の基本理念を定めています。

この条例により推進していく各種の施策は、手話が、ろう者が大切に使い続けてきた言語であるとの認識のもと、手話を必要とする人々が、手話により意思疎通を図る権利を有し、尊重されなければならないことを基本として実施される必要があることを規定しています。

「手話を必要とする人々」とは、意思疎通の手段として手話を用いる人々全般を指すもので、聴覚に障害を持つかどうか、障害者手帳を持つかどうかは問いません。

また、ろう者をはじめとする聴覚に障害を持つ人のほか、その周りでともに生活する聞こえる人、きこえない・きこえにくい子やその保護者なども含むものであり、市は、これらの人々に対して本条の基本理念の具体化が図られるよう、各種の施策を実施することを規定しています。

 

(市の責務)

第3条 市は、前条の基本理念にのっとり、市民の手話に対する理解を広げ、市民が手話を使いやすい環境が整備されるよう、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

 

【趣旨】

手話に関する施策を推進していくうえでの市の責務を定めています。

市は、手話やろう者をはじめとする聴覚に障害のある人に対する理解を深め、市民全般が手話を使いやすい環境を構築するための施策を総合的かつ計画的に実施し、聴覚に障害のある人と聞こえる人がともに助け合い元気に暮らすまちづくりを推進していくものであることを規定しています。

 

(市民及び事業者の役割)

第4条 市民及び事業者は、第2条の基本理念にのっとり、手話への理解を深め、市が実施する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、あらかじめ、ろう者その他の聴覚に障害のある人が利用しやすいサービスを提供するよう努めるものとする。

 

【趣旨】

この条例の目的を実現するために、市民及び事業者が果たすべき役割について定めています。

第1項は、市民や事業者には、市が実施する施策への協力を通じて、手話やろう者をはじめとする聴覚に障害のある人々への理解を深めるとともに、聴覚に障害のある人と聞とえる人がともに助け合い元気に暮らすまちづくりに参加することを求めています。

第2項は、事業者が、ろう者をはじめとする聴覚に障害のある人に何らかのサービスを提供する場合において、障害者差別解消法(平成25年法律第65号)第8条第2項に規定する意思の表明の有無を問わず、日ごろから、サービスを提供する際の合理的配慮に努めることを求めています。

なお、障害者から意思の表明があった場合には、民間事業者であっても、「障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例(平成26年富山県条例第77号)」により合理的配慮の義務が生じることに留意が必要です。

また、障害者が働きやすい環境を整備するなど、障害者の雇用における合理的配慮については、「障害者の雇用等の促進に関する法律(昭和35年法律第123号)」により義務づけられていることにも併せて留意が必要です。

 

【参考]

障害のある人の人権を尊重し県民皆が共にいきいきと輝く富山県づくり条例

第8条 略

2 何人も、障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障害のある人の保護者、後見人その他の関係者が当該障害のある人の代理として行ったもの及びこれらの者が当該障害のある人の補佐人として行った補佐に係るものを含む。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じで、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

3 略

 

障害者の雇用等の促進に関する法律

(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置)

第36条の2 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

第36条の3 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な処遇の確保又は障害者である労働者の有する能カの有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して加重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

 

第2章 手話言語の普及

 

(施策の推進方針)

第5条 市長は、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための方針(以下「推進方針」という。)を定めるものとする。

2 推進方針には、次の事項を定めるものとする。

(1) ろう者その他の聴覚に障害のある人への理解の促進に関すること。

(2) 手話への理解の促進及び手話の普及に関すること。

(3) 手話により情報を取得する機会の拡大に関すること。

(4) 手話通訳者等の確保や養成等、意思疎通支援者に関すること。

(5) 前4号に掲げるもののほか、第1条の目的を達成するために必要な事項

3 推進方針は、市における障害者施策に関する他の計画と調和が保たれたものでなければならない。

4 市長は、推進方針を定めるとともに、手話に関する施策の推進状況を点検し、及び評価をするための会議を設置する。

5 前項の会議の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

 

【趣旨】

市が推進する施策の方針について定めています。

市は、手話に関する施策の推進方針を定め、その方針に基づき手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進していきます。

推進方針では、推進すべき施策の方針として4つの事項(第2項第1号〜第4号)を掲げ、今後、それに沿った具体的な施策(例えば、聴覚に障害を持つ人への理解の促進、手話への理解及び普及、手話による情報取得の拡大、手話通訳者等(手話奉仕員、要約筆記者などを含む)の確保や養成のための施策など)を順次、実施していきます。(第1項〜第3項)

また、市だけでなく、聴覚に障害を持つ当事者や事業者などの関係者との協働により施策を推進していくため、推進方針の策定・変更や実施すべき施策の検討、施策の進捗状況の点検などを行う会議を設置します。(第4項・第5項)

 

(財政上の措置)

第6条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めなければならない。

 

【趣旨】

市が、今後、各種の施策を推進していくうえで必要となる財政上の措置を講ずるよう努める義務があることを定めています。

 

第3章 雑則

 

(委任)

第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

 

【趣旨】

この条例を運用するにあたり必要となる詳細な事項については、市長が規則などで別に定めることとします。(第7条)

また、条例の施行は平成29年4月1日からを予定しています。

 

附 則

 この条例は、平成29年4月1日から施行する。

 

 

参考資料滑川市手話言語条例の制定について

 

1 条例を制定する背景

(1) 国連で採択された障害者権利条約(H18.12採択)は手話を言語の1つとして定義しており、また、それを受けて改正された障害者基本法(H25.6改正)においても、手話を言語に含まれるものとして規定されています。

 

(2) 聴覚に障害を持つ方々でつくる団体を中心として、手話の獲得、習得、普及、使用及び研究保存を保障する「手話言語法」の制定への取り組みがなされており、平成28年3月までに全都道府県・市区町村議会において手話言語法制を求める意見書が採択されました。なお、滑川市議会では平成25年12月議会において採択されています。

 

(3) また、ろう者が暮らしやすい地域社会となるよう、地域における、ろう者、手話、手話通訳への理解を促進し、地域の実情にあった手話に関する施策の推進を図ることを目指した「手話言語条例」の制定の動きも全国各地で見られています。

平成25年に鳥取県や北海道石狩市で制定されたのを先駆けに、現在、55の自治体(H28.10.20現在)で条例が制定されているほか、条例制定の動きの拡大への取り組みなどを目的として平成28年6月には「全国手話言語市区長会」が発足し、滑川市長もこの会に加盟しています。また平成28年7月には「手話を広める知事の会」も発足しています。

 

2 条例を制定する目的

 この条例は、人と人のコミュニケーションを図るうえで使われている音声による言語と同様に、手話も非音声の「言語」であるとの認識に基づき、「手話や“手話を必要とする人”への理解の促進と手話の普及」に関して基本理念を定め、市の責務や市民のみなさん及び事業者のみなさんの役割を定めるものです。

また、本市の手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、手話に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、障がいの有無に関わらず、すべての市民が互いに人格と個性を尊重し合いながら共生することができるまちづくりの実現を目指すものです。

 

3 条例(素案)の概要

この条例は、次の内容により構成されています。

(1) 前文

 ・条例制定の背景や目指すものを規定しています。

(2) 目的

 ・条例を制定する目的を規定しています。

(3) 基本理念

 ・手話への理解の促進及び手話の普及は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話を必要とする人が、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本とすることを規定しています。

(4) 市の責務

 ・市は、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有することを規定しています。

(5) 市民

・事業者の役割

・市民のみなさんや事業者のみなさんに、手話への理解を深め、市が実施する手話に関する施策に協力するよう努めることをお願いしています。

・事業者のみなさんに、日頃から、ろう者その他の聴覚に障害のある人が利用しやすいサービスを提供するよう努めることをお願いしています。

(6) 施策の策定及び推進

 ・施策の推進方針の策定や、施策の推進状況の点検等を行うための会議の設置を規定しています。

(7) 財政措置

 ・市は、施策を推進するために必要な財政上の措置を講じるよう努めなければならないことを規定しています。

 

4 これまでの経緯及び今後の予定

H25.12月

 ・滑川市議会が『「手話言語法制定」を求める意見書』を採択しました。

H26.10月

 ・滑川市ろうあ福祉協会から「手話言語条例の制定」を含む要望書が提出されました。(H27.11月にも同様の要望書が提出されています。)

H27年度〜

・手話言語条例に関する資料収集や各種研修会への参加、すでに条例を制定している先進地の視察を実施しました。

H28.9月〜

・聴覚に障害を持つ方や手話通訳者の団体の代表者からなる条例案作成に係る検討会議を開催しています。(以降、10月及び12月にも開催しています。)

H29.1月

 ・パブリックコメントの実施(H29.1.4〜2.3)

3月

 ・議案上程を予定しています。

 

5 施策の推進方針及び会議の設置について

 条例では、市は手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため “施策の推進方針”を策定することとしており、具体的には、次の4つの方針に基づき、各種の取組みを進めていくことと定めています。

 

(1) 聴覚障害者への理解の促進を図るための施策として

・市広報やHPなどを活用した聴覚の障害や聴覚の障害を持つ方に対してできる配慮についての周知に取り組みます。

(2) 手話への理解の促進及び手話の普及を図るための施策として

・市の広報やホームページ、パンフレットなどを活用した手話への理解促進や、市民向け手話講座の開催などを通じた手話の普及促進に取り組みます。

 (3) 手話により情報を取得する機会の拡大のための施策として

 ・手話による意思疎通が必要な方に対し、手話通訳者の派遣を通じた意思疎通支援に取り組み

ます。

 (4) 手話通訳者など意思疎通支援者のための施策として

 ・各種手話資格の取得を支援するなど、意思疎通支援に協力していただける方の拡充に取り組みます。

 

 

滑川市の小学校でミニ手話講座(2017年12月3日配信『KNBユース』)

 

 

児童たちは手話であいさつや自己紹介に挑戦した

滑川市で4日聞こえ方が不自由な聴覚障害のある人の生活や、手話について小学生が学びました。

このミニ手話講座は、滑川市が今年度から始めた、「みんなの手と手で育む手話のまちづくり事業」の一環です。

市内の西部小学校では、手話サークル「めばえの会」のメンバーが、5年生およそ80人に聴覚に障害のある人の生活の大変さを伝えたり、動物や果物を表す手話を教えたりました。

また、児童たちは、手話であいさつや自己紹介に挑戦しました。

 滑川市は今年3月、県内で初めて手話の普及や手話が使いやすい環境の整備を進める「手話言語条例」を定めていて、県も来年春に制定する方針です。

 

手話言語条例の富山県滑川市 小学生が身近な手話学ぶ(2017年12月4日配信『チューリップテレビ』)

 

 手話をひとつの言語と位置づける『手話言語条例』が今年県内で初めて施行された滑川市で小学生を対象としたミニ手話講座が開かれました。

 『ミニ手話講座』は聴覚障害に関わらず誰もが自由に会話できる街づくりを目指し、滑川市が条例制定にあわせ新たに取り組んでいる事業のひとつで、少人数が対象です。

 4日の講座は西部小学校の5年生およそ80人が受講し、手話サークルのメンバーに教わりながら身近な言葉や挨拶の仕方といった日常の中で使いやすい手話に挑戦しました。

 小学校での講座は2校目で滑川市では来月、民生委員会の会議の場でもミニ手話講座を開き幅広く手話の普及を図ります。

 

滑川市 手話普及へ本腰…県内初の条例制定 新人職員が研修(2017年4月24日配信『読売新聞』)

 

新規採用職員向けに行われた手話の研修(4日、滑川市役所で)

 

 滑川市は今年度、新規採用職員を対象にした手話の研修を実施した。同市は今年3月、手話を言語と位置づけ、聴覚障害者が安心して暮らせる地域社会を目指す「手話言語条例」を県内で初めて制定しており、研修もその一環で開催した。今後も、推進会議の設置や手話講座の開催などで、市民への手話の普及を図る。

 条例は、市ろうあ福祉協会や地元の手話サークルの要望を受けて市が提案し、市議会3月定例会で全会一致で可決された。

 条例制定後初の取り組みが、今年度の新規採用職員14人を対象にした「手話言語研修」。今月4日に開かれた研修では、手話を使ったあいさつや自己紹介などを学んだ。参加した職員からは「手話に関心を持った」「窓口で使えるようになりたい」などの声も上がっていた。

 市福祉介護課によると、市内には約30人の聴覚障害者が在住。町内の会合や病院の診察などの際、手助けとなる手話通訳の派遣要請は、2014年度に104回と、富山市を除く県内14市町村で最多だった。市もこれまで、初心者向けの手話講習会を毎年開くなど普及にも取り組んできた。

 今後は、ポスターやちらしを配布して条例の周知に努めるほか、希望した団体やグループに向けて、不定期で手話の出前講座を新たに開催する。さらに、具体的な施策については、今年度内に市や市内の聴覚障害者で推進会議を設置し、議論を深めていく。

 市福祉介護課の沢口幸二課長は、「市民に手話に慣れ親しんでもらい、障害者への理解を深めたい。障害の有無にかかわらずみんなに優しいまちの構築を目指す」と話している。

 

滑川市、新人職員が手話の研修(2017年4月4日配信『北日本放送』)

 

 この春採用された市の職員が手話を学びました。
 滑川市では先月、県内で初めて「手話言語条例」を制定しました。
 耳の不自由な人が暮らしやすい地域を目指す取り組みです。
 滑川市にこの春採用された14人の新人職員が参加した手話の研修では、はじめに、滑川市出身で県聴覚障害者協会の石倉義則理事長が、聴覚障害者の数や手話のなりたちを手話で説明しました。
 滑川市は、先月23日に手話を言語と位置付けて普及を進めることで、聴覚障害者が安心して手話を使える地域社会づくりにつなげようと「手話言語条例」を制定しました。
 全国では100近い自治体が制定していますが県内市町村では滑川市が初めてです。
 そして、市内の手話サークル「めばえの会」の大村澄子さんと、滑川市ろうあ福祉協会の蜷川一美さんから、市役所の窓口で申請書にはんこがいることや記入後にファックス送信してほしいと伝える手話など、実技指導を受けました。
 新人職員「実体験で手話をしたことがなかったので、大変貴重な講義だったと思います」
 配属が福祉介護課になりまして、今後も障害のあるかたと触れ合う機会が多いと思いますので、積極的にきょう学んだことを生かしたと思います」
 石倉理事長「このように、市役所など研修の場に呼ばれて、手話を任されるというのは初めてです。私もちょっと心配はあったんですけど、みなさん真剣に勉強していただいて、そういう様子を見ることができて、私も力が入りました」
 滑川市は今年度、窓口業務にあたる職員を対象に手話研修を行うほか、市民向けの手話講習会を継続していくことにしています。

 

手話言語条例の滑川市 新規採用の職員が手話研修(2017年4月4日配信『チューリップテレビ』)

 

 新入社員の研修が本格化しています。

 県内で初めて手話をひとつの言葉と位置づける『手話言語条例』が制定された滑川市では新規採用職員を対象に窓口や日常生活で使える手話を学ぶ研修が行われました。

 手話言語条例施行後初の取り組みとなる手話言語の研修は手話に触れることで身近に感じてもらおうと開かれたものです。

 参加したのはこの春採用された職員14人で条例の意義や手話について講義を受けました。

 手話言語条例は、聴覚障害のある人が地域の中で安心して暮らせるよう手話をひとつの言語として普及させるもので、これまで全国97の自治体で施行、県内では滑川市が初めてです。

 研修では市内の手話サークルの会員などが講師となり、身の回りのものや生き物、挨拶の仕方のほか窓口で使える手話などを紹介。

 新人職員たちは、手話に合わせて表情や言葉で表現することや、手話だけでなく普段の動作でも伝えようとすることの大切さを学んでいました。

 滑川市では今後も窓口の職員を中心に手話の研修を行うほか、手話奉仕員の養成やミニ講座などを通して人材育成にも取り組む予定です。

 また、富山市では県内企業の新入社員がビジネスマナーなどを学ぶ公開セミナーが開かれていました。

 このセミナーは北陸銀行が取引先企業の新入社員を対象に毎年おこなっているもので73社からおよそ400人が参加しました。

 今回は東京ディズニーランドで接客研修の基礎を築き上げた石坂秀己(いしざか・ひでみ)さんが講演しました。

 「100人のお客様と挨拶をしたら100通りの挨拶がある」(石坂秀己さん)

 石坂(いしざか)さんは目の前の相手に合わせて挨拶の仕方を、変えていく大切さや、企業理念を自分なりのわかりやすい言葉で理解する大切さを強調していました。

 北陸銀行では、こうしたセミナーをこのあと高岡市、魚津市、石川県、福井県でも開催する予定です。

 「すごくためになりました。ちゃんと働こうと思いました」「自分もお客さんと関わる仕事をしているのですが、どういう目的をもってやればいいかが明確になった為になった」(参加者)

 

 

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