兵庫県西脇(にしわき)市手話言語条例

 

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手話言語条例の成立を喜ぶ聴覚障害者団体の会員ら=西脇市役所(2016年12月20日配信『神戸新聞』)

 

 

 

手話は音声言語とは違い、手指や体の動き、顔の表情を用いて視覚的に表現する言語。

 耳が聞こえる人は、主に言葉(音声)を聞き、言葉を話すことで考えを伝えていますが、ろう者(聴覚障害者)は手話を見て理解し、手話で考えを伝えている。

 耳が聞こえる人が言葉を使って生活をしているように、ろう者が手話を使って生活するには、手話が使用しやすい環境を整える必要がある。

 

 

西脇市は、2015年8月に行われた西脇市障害者地域支援協議会で、西脇市聴覚障害者協会から「手話言語条例を検討してほしい」という要望を受け、手話が言語の一つであることを市民に知ってもらい、また、手話が使いやすい環境を整備するために、「西脇市手話言語条例()」の制定を目指して、西脇市役所の福祉部社会福祉課、兵庫県聴覚障害者協会、兵庫教育大学、地域福祉関係者などからなる「手話言語に関する部会」を立ち上げた。

 

部会はこれまでに3回行われ、西脇市手話言語条例(案)について検討を重ねた。

 

最終決定に先立ち、西脇市は手話言語条例(案)を公表し、2016年9月1日(木曜日)から9月30日(金曜日)までパブリック・コメントを実施。12月に議会(市会)へ条例案を提出、12月20日全会一致可決された。

施行は、2107年4月1日。全国で65番目

 

12月20日の市会には、約20人が傍聴した。北播磨聴覚障害者協会の辻井秀樹会長は「小学校などでの普及が重要。法律の制定を望む」と話していた。

 

条例は、物事を考え、コミュニケーションを図り、知識を蓄えるために必要な言語」「ろう者が、地域や職場で孤立することなく安心して生活するためには、手話を使いやすい環境を整える必要がある」と理念を記した。

 

同市や北播磨の聴覚障害者協会会員たちは「企業や医療機関、商店などさまざまな場所で手話が交わされるように普及活動に力を入れたい」と意欲を示した。

 

北播磨では2015年4月に加東市加東市手話言語条例と三木市三木市共に生きる手話言語条例、20161月に多可町多可町手話言語条例、10月に加西市加西市手話言語条例が施行。

 

小野市は4月、耳や目が不自由な人が円滑に意思を伝え合える社会を目指す「小野市手話、要約筆記、点字等意思疎通手段利用促進条例」を施行しており、今回の西脇市で播磨全市町で手話条例が成立したこととなる。

 

市は、条例施行後、聴覚障害者団体代表者や公募市民らで構成する市手話施策推進会議が普及方法を考え、市内の関係機関に働き掛ける。

 

 兵庫県のほぼ中央部に位置する西脇市には、東経135度・北緯35度の交差点があり、ここが「日本列島の中心」に当たることから、「日本のへそ」のまちとしてPRしている。

 

 めざすべき都市像を「人輝き 未来広がる 田園協奏都市」と掲げ、市民誰もがいきいきと活動し、心の豊かさが実感できる、そんなまちづくりをめざしている。

 

 人口は、41,799人(男;20,062/女;21,737)、16,843世帯(2016年8月1日現在)

 

 聴覚・平衡機能障害(手帳交付)数は、114人(2013年度)

 

 

 

西脇市手話言語条例(解説)

 

 手話は、音声言語とは異なり、手指や体の動き、顔の表情を用いて視覚的に表現をする言語です。また、手話は、物事を考え、コミュニケーションを図り、知識を蓄えるために必要な言語として、ろう者の中で大切に受け継がれてきました。

しかし、過去のろう教育において、唇の動きを見ることで話の内容を読み取り、その口の形を真似て声を出す口話法が取り入れられたため、ろう学校での手話の使用が禁止されました。このように、手話は言語として認められず、ろう者は必要な知識や十分な情報を得ることもできなかったことから、多くの不便や不安を感じながら、地域や職場で孤立しがちな生活をしてきました。

このような中、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話は言語として定められ ましたが、いまだ手話に対する理解が深まっているとは言えません。

ろう者が、地域や職場で孤立することなく安心して生活できるようにするためには、手話が使いやすい環境を整える必要があります。

ここに、手話を言語として認め、ろう者とろう者以外の者が互いに理解し合い、共に暮らすことができる地域社会の実現を目指し、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条  この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らか にすることにより、ろう者が社会に参加し、ろう者とろう者以外の者が互いに理解し合い、共に暮らすことができる地域社会を実現することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、ろう者が手話を使ってコミュニケーションを図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行われ なければならない。

 

(市の責務)

第3条 市は、市民の手話に対する理解を促進し、手話が使いやすい環境を整備するために必要な施策を定め、これを推進しなければならない。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、手話に対する理解を深め、市が推進する手話が使いやすい環境を整備するための施策に協力するよう努めるものとする。

 

(委 任)

第5条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が定める。

 

附 則

この条例は、平成29年4月1日から施行する。

 

 

西脇市手話言語条例の解説

 

前 文

手話は、音声言語とは異なり、手指や体の動き、顔の表情を用いて視覚的に表現をする言語です。また、手話は、物事を考え、コミュニケーションを図り、知識を蓄えるために必要な言語として、ろう者の中で大切に受け継がれてきました。

しかし、過去のろう教育において、唇の動きをみることにより話の内容を読み取り、その口の形を真似て声を出す訓練を基本とする口話法が取り入れられ、ろう学校での手話の使用が禁止されるなど、手話は言語として認められてこなかったことから、ろう者は必要な知識や十分な情報を得ることもできず、多くの不便や不安を感じながら、地域や職場で孤立しがちな生活をしてきました。

このような中、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話は言語として定められましたが、いまだ手話に対する理解が深まっているとは言えません。

ろう者が、地域や職場で孤立することなく安心して生活できるようにするためには、手話が使いやすい環境を整える必要があります。

ここに、手話を言語として認め、ろう者とろう者以外の者が互いに理解し合い、共に暮らすことができる地域社会の実現を目指し、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにすることにより、ろう者が社会に参加し、ろう者とろう者以外の者が互いに理解し合い、共に暮らすことができる地域社会を実現することを目的とする。

 

【解 説】

手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する基本理念(根本的な考え方)を定め、市の責務や市民の役割を明らかにし、ろう者(聴覚障害者)が社会に参加し、ろう者とろう者以外の者が互いに理解し合い、共に暮らすことができる地域社会を実現することを目的としています。

 

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、ろう者が手話を使ってコミュニケーションを図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

 

【解 説】

手話の理解と手話を広く使用できるようにする取組みは、ろう者が手話を使ってコミュニケーションを図る権利を持つことをあらためて確認し、その権利を大切に扱うことを基本として行わなければならないと定めています。

 

(市の責務)

第3条 市は、市民の手話に対する理解を促進し、手話が使いやすい環境を整備するために必要な施策を定め、これを推進しなければならない。

 

【解 説】

ここでいう市とは、議会及び市の執行機関を含めた地方公共団体をいいます。

市の責務として、市民に対して手話の理解を促進するための取組や手話に触れる機会の提供など、手話に関する取組みを進めていかなければならないと定めています。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、手話に対する理解を深め、市が推進する手話が使いやすい環境を整備するための施策に協力するよう努めるものとする。

 

【解 説】

ここでいう市民とは、市内に居住する者並びに市内で働く者、学ぶ者、活動するもの及び事業を営む者などをいいます。

市民の役割として、市が進める手話に関する取組への協力に努めることを定めています。

 

(委 任)

第5条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が定める。

 

【解 説】

条例の施行に関して必要なことは、市長がこの条例とは別に定めるとしています。

 

 

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