大阪府手話言語条例

 

大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例

 

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条例制定

 

大阪府は、2017年2月24日開会予定の府議会2月定例会に、言語としての手話への認識を普及させることや、聴覚障害者やその家族、学校、職場での手話習得の機会を確保することを定める「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例(案)(府手話言語条例案)を提出した。

 

大阪府議会本会議 2017年3月24日

 

条例案は2017年3月24日の本会議で可決された。3月29日公布・即日施行。

 

大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例

 

(目的)

第一条 この条例は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第三条第三号の規定により手話が言語とされているにもかかわらず、そのことが府民に十分に認識されていないこと、及びそのことにより手話を習得することのできる機会が十分に確保されていないことに鑑み、言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関し必要な事項を定めることにより、手話が言語であるという認識の下、聴覚に障害のある者(以下「聴覚障害者」という。)のほか、聴覚障害者と共に生活し、学び、又は働く者が手話を習得し、もって府民がより多くの機会で手話を使用することのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(言語としての手話の認識)

第二条 府は、府民に対し、手話が言語として認識されるよう必要な啓発に努めるものとする。

2 府民は、手話を言語として認識するよう努めるものとする。

 

(手話の習得の機会の確保)

第三条 府は、市町村、聴覚障害者の日常生活及び社会生活の支援を行う民間の団体並びに学識経験のある者と協力して、聴覚障害者が乳幼児期からその保護者又は家族と共に手話を習得することのできる機会の確保を図るものとする。

 

(学校による手話の習得の機会の確保への支援)

第四条 府は、聴覚障害者が在学する学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校及び高等課程を置く専修学校をいう。以下同じ。)による次に掲げる教育活動において手話を習得することのできる機会の確保を図るため、学校に対し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする。

 一 学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)に規定する総合的な学習の時間、特別活動及び自立活動

 二 部活動その他の教育課程でない教育活動

 

(事業者による手話の習得の機会の確保への支援)

第五条 府は、聴覚障害者が勤務する事業者による手話を習得することのできる機会の確保を図るため、事業者に対し、情報の提供、技術的な助言その他の必要な支援を行うものとする

 

附 則

この条例は、公布の日から施行する。

 

 

理由

府民がより多くの機会で手話を使用することのできる社会の実現に寄与することを目的として、言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関し府が行う啓発、手話の習得の機会の確保等について定める。

 

これまで97の自治体で条例が制定されている(2016年3月24日現在)が、乳幼児期から手話を習得する機会の確保を盛り込んでいるのは全国初である。

 

大阪府内では大東市大阪市熊取町堺市についで5例目。府県としては、鳥取県神奈川県群馬県長野県埼玉県沖縄県千葉県三重県愛知県秋田県山形県に次いで12例目となる。

 

乳幼児期に自然に習得できる日本語と比べ、聴覚に障害のある乳幼児は家族が手話を使えないと自然に言語を覚えることは容易でなく、言語能力の発達に支障が出る可能性があることと、府が2016年7月に実施したアンケートでは言語としての手話への認識がある府民は39・8%にとどまったことから、府は普及啓発と習得の機会の確保が必要だと判断したという。

 

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2014年3月24日には、「手話言語法(仮称)」制定を求める意見書が府議会で採択されており、同条例案を巡っては公明党府議団が府に制定を求めていた。

 

府では、2016年4月に大阪府障がい者施策推進協議会に手話言語条例検討部会(部会長・河ア佳子神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授手話とろう者 〜家族・教育〈抜粋。pdf〉を設置し、府における手話言語に係る条例や取組みの方向性について検討してきた。 

 

府は、部会の提言を踏まえ、「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例(案)」をとりまとめ、「大阪府パブリックコメント手続実施要綱」に基づき、2016年12月5日から2017年1月4日まで府民からの意見・提言等を聞いた。

 

募集結果(pdf)は、15名から、15件(うち、意見の公表を望まないもの3件)だった。

 

  

 府は条例に基づき聴覚障害者団体と連携した乳幼児手話教室を展開するほか、中途失聴者を対象とした手話講座の開催を想定。このほか、主に特別支援学校や難聴児学級のある小中学校などが習得の機会を設ける場合は講師をあっせんするなどの支援を行う。

 

 大阪府における障がい者数(2014年3月末現在)は、以下の通り。

なお、大阪府の推計人口(2017年1月1日現在)は、総数8,835,598人(男;4,250,938人/女;4,584,660人)、3,966,489世帯。

 

 

大阪府では、2017年8月30日、同条例に基づく施策の推進にあたって、株式会社サイレントボイスと事業連携協定を締結した。

 今回の協定締結に先立ち、同社は日常会話で使える手話表現を学べる動画を制作し公開している。

 

【協定概要】

1.名称

  大阪府と株式会社サイレントボイスとの手話言語条例に基づく施策の推進に関する協定書

2.内容

  (1)手話言語条例第3条から第5条に基づく手話の習得の機会の確保に係る取組みに関すること

  (2)その他必要と認められる事項

 

 

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手話言語条例検討部会提言 手話言語条例の制定に向けて

 

1.はじめに

手話については、明治13年(1880年)にミラノで開催された聴覚障害教育国際会議(ICED)で、その後の聴覚に障がいのある人のための教育プログラムでの手話の使用の排除等につながった決議がなされ、わが国においても、聴覚障がい児に対して音声による教育が中心となるなど、言語として尊重されない扱いを受けてきました。

これに対して、言語として手話を獲得し、手話で学び、手話を学び、手話を使い・守る環境づくりを進めていくことは、聴覚に障がいのある人たちの切なる願いとなり、手話を言語として尊重することを求める運動へと結びついていきました。

その結果、平成18年(2006年)の国連障害者権利条約でようやく、言語に「手話等の非音声言語」を含むことが明記され、その4年後の平成22年(2010年)にバンクーバーで開かれたICEDで、明治13年(1880年)の同会議の決議が撤廃されるに至りました。わが国でも、平成23年(2011年)に障害者基本法に「言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段」と規定されるなど、手話を言語として認めようという動きがみられるようになりました。

 しかしながら、聴覚障がいのある乳幼児が言語として手話を自然獲得する環境を支える仕組みや制度は存在せず、また、学びの場において手話で学び、手話を学ぶ環境づくりも不十分であると言わざるを得ません。その結果、手話を使い・守る環境が今以上に広がっていかない現状もあります。手話が言語である以上、こうした仕組みや制度、環境を整えていかなければなりません。

 このため、平成28年(2016年)4月に大阪府障がい者施策推進協議会に手話言語条例検討部会を設置し、障がい当事者団体をはじめ教育や企業等の関係者、学識経験者が参集し、大阪府における手話言語に係る条例や取組みの方向性について検討してきました。

 その結果を以下のとおり取りまとめ、大阪府が制定すべき条例と今後の取組みの方向性として提言します。

 

手話は、言語です。

 言語、すなわち、その人の使う言葉が認められるということは、その人自身が認められるということ、言葉が尊重されるということは、その人自身が尊重されるということ、言葉を言葉として認め、尊重するということは、その言葉を使う人たちや、その人たちの歴史や文化、権利を認め、尊重するということです。

 私たちは今、手話を言語として認め、尊重していかなければなりません。

しかし、大阪府における手話が言語であることの認知度や手話への関心は低く、また、手話を自然獲得し、手話で学び、手話を学び、手話を使い守る環境も不十分であると言わざるを得ません。

手話を言語として認め、尊重していくための具体的な方向性として、人々の様々な生活場面―「暮らす」、「学ぶ」、「働く」といった、それぞれの場面で、「手話を獲得する」、「手話で学ぶ」、「手話を学ぶ」、「手話を使う・守る」という、「言語としての手話に関する取組み」を、大阪府と市町村、企業やNPO等とが力を合わせて広げていくべきです。

そして大阪府は、「言語としての手話に関する取組み」の根拠となる条例を制定することにより、手話が言語として社会で認められ、手話を通じて心とこころが結ばれる社会をめざしていくべきです。

 

1 条例制定の背景と経過

(1)言語としての手話をめぐる動き

○手話については、明治13年(1880年)にミラノで開催された聴覚障害教育国際会議(ICED)で、その後の聴覚に障がいのある者のための教育プログラムでの手話の使用の排除等につながった決議がなされ、わが国においても、聴覚障がい児に対して音声による教育が中心となるなど、言語として尊重されない扱いを受けてきました。

○これに対して、言語として手話を獲得し、手話で学び、手話を学び、手話を使い・守る環境づくりを進めていくことは、聴覚障がい者たちの切なる願いとなり、手話を言語として尊重することを求める運動へと結びついていきました。

○その結果、平成18年(2006年)の国連障害者権利条約でようやく、言語に「手話等の非音声言語」を含むことが明記され、その4年後の平成22年(2010年)にバンクーバーで開かれたICEDで、明治13年(1880年)の同会議の決議が撤廃されるに至りました。わが国でも、平成23年(2011年)に障害者基本法に「言語(手話を含む。)」と規定されるなど、手話を言語として認めようという動きがみられるようになりました。

 

(2)言語としての手話に関する法律等の状況

○手話は、障害者基本法において、「言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される(略)こと。」と明記されており、明確に言語です。しかしながら、同法においては、言語を含めた障がい者の「意思疎通の手段として選択できる機会の確保」について規定されているに過ぎず、「手話が言語である」という認識は、普及していない状況です。大阪府が、府民を対象に実施したアンケートでも、「手話が言語であることを知っていた。」と回答した割合は、39.8%と低いものでした。

○手話が言語である以上、その事実が社会的に認識されているならば、言語としての手話を習得するための環境が整備されていなければなりません。

○言語は本来、誰からも教わらずとも、乳幼児期に自然に習得されます。しかし、聴覚に障がいのある乳幼児の保護者や家族等が、手話を使えない場合は、自然に手話を習得することできず、言語能力の発達に支障を生ずる可能性があります。にも関わらず、手話の自然習得の機会を確保するための法律等はありません。

○さらに、言語は、学校の教育課程において、文法力や語彙力を高める機会が確保されますが、学習指導要領(特別支援学校)には、視覚に障がいのある児童や生徒に、点字を指導・習得させる旨の記載はあるにも関わらず、聴覚に障がいのある児童等に、手話を指導・習得させる旨の記載はありません。また、児童福祉法では、18歳未満の聴覚に障がいのある児童に対して、手話で意思疎通を支援する者の派遣などの規定がなく、また、「手話の習得の機会を確保するための規定」についても、何も置かれていません。

○このように、手話は言語であると障害者基本法に明記されながら、言語として手話を習得する環境は何ら整っていません。その結果、聴覚に障がいのある者が、「総合支援法」に基づく意思疎通支援としての手話通訳者の派遣や、「差別解消法」に基づく合理的配慮によらなければ、聴覚に障がいのある者の第1言語とも言うべき手話で、意思を通じあうことができる社会的環境が整っていない状況となっており、手話が言語として扱われているとはいえません。

 

(3)手話言語に係る条例や取組み方向性についての検討

○このため、大阪府では、平成28年(2016年)4月に大阪府障がい者施策推進協議会のもとに設置した「手話言語条例検討部会(障がい当事者をはじめ学識経験者等によって構成。)」において、大阪府における手話言語に係る条例や取組みの方向性を検討し、同年8月31日に部会としての提言が取りまとめられました。

 

○提言の概要は、次のとおり。

 

1.はじめに

2.これまでの検討経過について

・条例検討に係る背景・経過。

3.手話言語条例の制定に向けて

・手話=言語の基本認識・普及啓発の必要性。

・手話の「習得」、「使用」に係る環境の整備の必要性。

・条例制定の必要性。

4.暮らす

・より多くの人が言語としての手話に関心を持ち、誰もが「手話を学ぶ」ことに簡単にアクセスできる環境づくり。

・聴覚に障がい(疑い含む。)のある子どもの言語能力の発達を支援するため、とりわけ乳幼児期における子どもとその保護者の「手話の獲得」を支援する環境づくり。

5.学ぶ

・「総合的な学習の時間」等を活用した「手話を学ぶ」機会等を確保できる環境づくり。

・聴覚障がい児等と関わりを持つ教員等の「手話を学ぶ」ことを支援する環境づくり。

・課外活動を活性化させる環境づくり。

6.働く

・CSR等に取組む企業等と連携した言語としての手話を社会に広げる環境づくり。

・企業等による積極的な言語としての手話の普及に関する取組をPRする環境づくり。

7.今後の取組みを評価する体制について

 ・手話言語に係る取組みの実効性を確保するためには、その実施状況の評価や必要に応じた見直しを定期的に行うことが必要。

 ・このため、「手話言語条例検討部会※」を継続して設置・活用。

 ※大阪府障害者施策推進協議会条例(昭和46年条例第3号)により設置するもの。

8.おわりに

・手話通訳者など「特に専門性の高い意思疎通支援を行う者を養成し、又は派遣する事業(以下「意思疎通支援事業」という。)」は、「第4次大阪府障がい者計画」に位置

付けられており、現在、「大阪府障がい者施策推進協議会」の別の部会である「第4次大阪府障がい者計画評価・見直し検討部会」で議論中。

・手話通訳者などの意思疎通支援事業について、引き続き、「計画評価・見直し検討部会」で議論し、必要な見直しを検討すべき。

 

 ○今回、この提言を踏まえて、手話が言語であるという認識のもと、聴覚に障がいのある者をはじめ、聴覚に障がいのある者と共に生活し、学び、又は働く人たちが手話を習得し、もって府民がより多くの機会で手話を使用することのできる社会(=聴覚障がい者が、手話通訳によらずとも、聴覚に障がいのある者と共に生活し、学び、働く者と手話で意思を通じ合うことのできる社会)の実現に寄与することを目的として、「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例」の案を策定をするものです。

 

2 条例(案)の概要

(1)目的

・言語としての手話の「認識の普及」・「習得の機会の確保」に関する事項を規定します。

・府民が、より多くの機会で手話を使用することのできる社会の実現に寄与することが目的です。

 

(2)言語としての手話の認識

・大阪府が、府民を対象に実施したアンケートで、「手話が言語であることを知っていた。」と回答した割合は、39.8%と低いものでした。

・このため、府は手話が言語として認識されるよう必要な啓発に努め、府民は手話を言語として認識するよう努めることについて、規定します。

 

(3)手話を習得する機会の確保

・聴覚に障がいのある者が、乳幼児期から、その保護者や家族と共に手話を習得することのできる機会の確保について規定します。

 

(4)学校による手話の習得の機会の確保への支援

・聴覚に障がいのある児童等が在学する学校による「総合的な学習の時間」や「部活動」での手話を習得する機会の確保の促進について規定します。

 ※聴覚に障がいのある児童等の在学しない学校についても、手話を習得する機会の確保の促進を図ります。

 

(5)事業者による手話の習得の機会の確保への支援

・聴覚に障がいのある者が勤務する事業者による、手話を習得する機会の確保の促進について規定します。

 ※聴覚に障がいのある者が従事しない事業者についても、手話を習得する機会の確保の促進を図ります。

 

(6)施行日

・ 公布の日から施行します。

 

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手話言語条例検討部会資料(pdf

 

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手話言語条例検討部会資料(pdf

 

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手話言語条例検討部会資料(pdf

 

 

 

大阪府議会傍聴者に対する手話通訳の実施に関する要領

 

(趣旨)

第1条 この要領は、公開されている会議傍聴者に対する手話通訳の実施に関し、必要な事項を定めるものとする。

 

(条件)

第2条 手話通訳は、公開されている本会議又は委員会を傍聴しようとする聴覚などに障がいがある者で手話通訳を必要とする者(以下「聴覚障がい者」という。)による大阪府議会議長(以下「議長」という。)への申込みに基づき行うものとする。

2 前項の手話通訳は、申込みをした聴覚障がい者の傍聴時に限り行うものとする。

 

(場所)

第3条 手話通訳は、傍聴席の所定の場所で行うものとする。

 

(申込み手続き)

第4条 手話通訳の実施を希望する聴覚障がい者は、様式第1号による手話通訳実施申込書(以下「実施申込書」という。)に必要事項を記入し、大阪府議会事務局議事課(以下「議事課」という。)を経由して議長へ提出しなければならない。

2 議長は、前項の申込みについて、

 ファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターを用いて実施申込書の内容を議長が指定するファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターに送信する方法により、行わせることができる。

3 前2項による申込みは、

 傍聴しようとする会議が開かれる日(以下「傍聴予定日」という。)の3日前(大阪府の休日に関する条例第2条第1項に規定する府の休日は算入しない。)の日の午後5時までに行わなければならない。

4 第2項の規定により行われた申込みは、同項の議長が指定するファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターにより

 受信した時に議長に到達したものとみなす。

5 議長は、第2項の規定による申込みが行われた場合、

 当該申込みをした者に対し、 送信に利用した実施申込書を提出させることができる。

 

(申込み内容の変更)

第5条 手話通訳の申込みの内容を変更する場合は、様式第2号による手話通訳実施変更申込書(以下「変更申込書」という。)に必要事項を記入し、議事課を経由して議長に提出しなければならない。

2 議長は、前項の申込みについて、ファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターを用いて変更申込書の内容を議長が指定するファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターに送信する方法により、行わせることができる。

3 前2項による申込みは、できる限り速やかに行わなければならない。

4 前条第4項及び同条第5項の規定は、第2項の規定により行われた申込みについて準用する。

 

(申込みの取下げ)

第6条 手話通訳の申込みを取り下げる場合は、様式第3号による手話通訳実施申込取下書(以下「取下書」という。)に必要事項を記入し、議事課を経由して議長へ提出しなければならない。

2 議長は、前項の取下げについて、

 ファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターを用いて取下書の内容を議長が指定するファクシミリ装置又はパーソナルコンピューターに送信する方法により、行わせることができる。

3 前2項による取下げは、できる限り速やかに行わなければならない。

4 第4条第4項及び同条第5項の規定は、第2項の規定により行われた取下げについて準用する。

 

 附 則

1 この規定は、平成24年4月27日から施行する。

 

 

全日本ろうあ連盟『手話言語ニュースNo54(2018年7月30)号拡大画像

 

 

乳幼児の手話教室が盛況 大阪府の条例が後押し(2017年10月20日配信『福祉新聞」)

 

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いきいきと遊ぶ子どもたちに親は驚くという

 大阪聴力障害者協会(大竹浩司会長)が6月から大阪市内で始めた乳幼児手話教室「こめっこ」が盛況だ。日本財団の助成を得て月2回土曜日に開き、手話による絵本の読み聞かせや手遊びなどを行う。聴覚障害児が乳幼児期に手話と触れ合う機会は制度的に保障されていないため、近隣の府県から参加する親子もいる。 
 「これは何かな」。同協会職員の久保沢寛ゆたかさんが拳で胸をたたき、しばらくしてゴリラのイラストを見せると子どもたちの歓声が湧く。手話教室と言いつつ手話を教える場面はあまりない。遊びの中で気持ちが通じ合って自然に手話を覚えれば、という感覚だ。 
 教室は1回2時間半(無料)で、平均20組前後の親子が参加する。「こんなに明るい表情を家では見たことがない」と驚く親が多く、子どもの笑顔が家でも手話を使う動機付けになっている。

 9月中旬、生後3カ月の子を連れて初めて参加した夫婦は「『こめっこ』のことはインターネットで知った。これまでは途方に暮れていたが、ここで元気に遊んでいるお子さんを見ていると希望が持てる」と話す。
 同協会は大阪府が今年3月に制定した手話言語条例を背景に、府と協定を締結。「こめっこ」は府の協力を得て実施している。条例は5カ条で、最大の特長は乳幼児期から家族と共に手話を習得する機会を確保するよう府に義務付けた点だ。

  言葉は自然に覚えるのに手話はそうなっていない現状への強い問題意識が根底にある。それが条例第1条(目的)の「言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保」の文言につながり、「こめっこ」につながった。 
 府の障がい福祉室自立支援課は「こめっこ」について、「予想以上に多くの親子に来て頂いている」と評価。府内の特別支援学校や福祉の関係者と定期的な会議を開き、「こめっこ」のノウハウの共有を図っている。
 「こめっこ」アドバイザーの河ア佳子・神戸大教授(臨床心理学)は「見学に来た療育施設や図書館の職員から『出張教室』を依頼されるほど周知が進んだ。今後は実践を研究につなげていく」としている。

 

手話でふれあい大はしゃぎ 大阪府条例に基づいた集い初開催(2017年6月18日配信『産経新聞』)

 

聴覚障害のある乳幼児とその保護者らを対象にした集い「こめっこ」が17日、TKP大阪堺筋本町カンファレンスセンター(大阪市中央区)で初めて開かれ、約70人の親子連れらが、絵本の読み聞かせなどを通して手話でのコミュニケーションを楽しんだ。

 3月施行の府手話言語条例に基づくもので、大阪聴力障害者協会が実施した。手話は独自の文法を持つ言語であり聴覚障害者の母語となるが、家族が手話を使えない場合は乳幼児期の自然な獲得が困難なうえ、法的にも習得の機会が保障されていない。条例は全国で初めて行政が習得機会を確保するもので、府と協定を結んだ同協会がこめっこや中途失聴者を対象にした手話講座などを開く予定。

 初日のこの日は聴覚障害のあるスタッフが手話で子供たちに語りかけ、別のスタッフが日本語に通訳しながら進行。手話とジェスチャーを交えた絵本の読み聞かせなどが行われ、子供たちは大はしゃぎで一緒に体を動かしたり、手話をまねしたりしていた。

 その後の交流会では、手話がなかなか覚えられないという保護者にスタッフが「同じ英語の授業を受けていても個人差があるのと同じ。グーとパーだけでもいろんなお話ができるので、楽しんで使って。あと表情も大切」とアドバイス。2歳の息子と参加した東大阪市の柳川江里乃さん(31)は「こんなに難聴児がたくさんいることに驚き、1人じゃないと安心した。スタッフの方が楽しそうに手話をしているのを見て、未来が少し明るくなった」と話していた。

 7月以降は第1・3土曜日に開催。7・8月はドーンセンター(大阪市中央区)が会場となる予定で、子育てや障害に関する相談にも応じる。問い合わせは同協会(電)06・6761・1394、メールosaka_roua@daicyokyo.jp。

 

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聴力障害者協と連携し手話教室 府、条例施行受け(2017年5月18日配信『大阪日日新聞』)

 

 3月に施行された大阪府手話言語条例を受け、府は17日、大阪聴力障害者協会(大阪市中央区)と連携協定を結び、聴覚に障害のある乳幼児と保護者を対象にした手話教室を6月から開催することを決めた。

 同条例は聴覚障害者やその家族などの手話習得の機会の確保を盛り込んでおり、学校や職場で習得の機会を確保することを定めている。乳幼児期からの習得機会の確保も盛り込んでおり、府は全国の同様の条例では例がないとしている。

 新たに立ち上げる手話教室「こめっこ」では、同協会のスタッフが絵本の読み聞かせや遊びを通して手話を教える。条例の制定に携わった神戸大大学院の河崎佳子教授が保護者の不安を聞くカウンセリングも行う。

 6月17日に大阪市中央区のTKP大阪堺筋本町カンファレンスセンターで1回目を行い、その後は毎月第1、3土曜日に同市内で開催する。

 府庁で締結式が行われ、新井純副知事は「協会のネットワークを活用して施策を推進したい」と話し、同協会の大竹浩司会長は「聞こえる人と対等に、のびのび語り合える環境をつくりたい」と語った。

 

ろうの女性教員「手話で世界が広がった」大阪府の手話言語条例に期待(2017年5月14日配信『産経新聞』−「WEST」)

 

 乳幼児期の手話習得の機会を行政が確保するという全国初の取り組みを盛り込んで3月に施行された大阪府の手話言語条例に関係者らの期待も高まる。

 大阪府立中央聴覚支援学校の教諭で、自身も聴覚に障害がある堀谷留美さん(46)も口話訓練を受けた経験を持つが、「手話を知ることで世界が広がった。百パーセント分かり合える言語は手話」と話す。

 堀谷さんが手話に出合ったのは大学生のとき。友人たちと自由にコミュニケーションをとれることが楽しく、「自分が皆の仲間の一人なんだと初めて実感できた」と当時を振り返る。

 手話を全く使わない口話教育を受けた支援学校の幼稚部では、友人と満足に会話できず、遊びはほとんどかけっこだった。

 当時、手話は言語ではなく「身振り手振り」とされ、手話を使った高校生に先生が『あかん!』と怒ったのを覚えている。「小さい子にまねしてほしくなかったんだと思う」と振り返る。

 当時は支援学校を“卒業”して地域の学校に行くのがブームだったといい、堀谷さん自身も両親からも口話訓練を受け、地域の幼稚園に転入。しかし大勢での会話にはついていけず、「今の子供たちにはつらい思いをさせたくない」と、教師を志した。

 補聴器や人工内耳の発達など聴覚障害者を補助する機能は向上しているが、それでも「百パーセント分かり合える言語は手話」と話す堀谷さんは、こう訴える。

 「子供に必要なのは家族や友達の仲間だという実感。生まれた子供に聴覚障害があると分かったら、まずは家族が手話を覚え、子供と話をしてほしい」

 

手話条例で大阪府が全国初の取り組み 6月から「手話教室」開催へ(2017年5月14日配信『産経新聞』−「WEST」)

 

聴覚障害のある子供ら。「にじっこ」でスタッフや保護者と手話での交流を楽しむ=22日、京都市上京区

 

 全国の自治体で「手話言語条例」の制定が広まる中、乳幼児期の手話習得の機会を行政が確保するという全国初の取り組みを盛り込んで3月に施行された大阪府の条例に注目が集まっている。手話は独自の文法を持つ言語だが、使用が禁じられた歴史を背景に、習得に関する法的な規定はなく、民間任せなのが現状だ。府は民間のノウハウを活用し、来月から乳幼児と保護者を対象にした「手話教室」を始める予定で、当事者団体からは「画期的な条例。全国に広がってほしい」と期待が寄せられている。 

 ■民間と連携  

 子供たちが一心に見つめるのは絵本と手話。無音の読み聞かせが終わると、手を動かしながらうれしそうに笑った。

 京都市の社会福祉法人が2年前に始めた聴覚障害のある乳幼児と保護者らの集いの場「にじっこ」での1シーン。「子供たちは手話での会話を楽しむようになり、保護者もどんどん明るくなっていく」と自身も聴覚障害のあるスタッフの男性(25)は手応えを語る。

 大阪府は大阪聴力障害者協会と連携。にじっこのスタッフも交えた同様の「教室」の開催を準備中で、費用は日本財団の助成でまかなわれる。

■「言語」認定  

 日本で初めて手話が言語として認定されたのは改正障害者基本法が施行された平成23年と歴史は浅い。一方で、家族が手話を使えなければ習得できず、さらに国の学習指導要領では、視覚障害者への点字指導について記す一方、手話には一切触れていない。そのため民間サークルや支援学校が任意で教えているが、地域格差が生じているという。

 府は「手話も言語なら他の言語と同様に習得機会を確保すべきだ」と判断。「大阪版にじっこ」の開催を決めた。

 ■禁じた過去  

 にじっこ設立と府条例の制定に関わった神戸大の河崎佳子教授は「聞こえない人の母語は手話。幼い頃に習得しないと思考力の発達に支障が生じる可能性がある」と訴える。にもかかわらず手話が軽視されるのは、「使用を禁じた過去を引きずっているから」と指摘する。

 聴覚障害者への教育をめぐっては、1880年の国際会議が相手の唇を読み自らも声を出す「口話」を教えるよう決議。日本も昭和初期から一気に口話主義に傾き手話は使用を禁じられた。河崎教授によると学校は手話のいらない子に育てると絶賛され、その陰で口話も手話も十分にできない人が大勢生まれたという。

決議は2010年の国際会議で撤廃され、手話は言語として国際的に認められるようになったが、日本の教育はまだまだ追いついていないのが現状だ。

 府条例の制定について全日本ろうあ連盟は「成果が出て実効性のある施策が全国に広まれば。国が習得を保障する『手話言語法』の制定も目指したい」としている。

 

 ■手話言語条例…手話を言語として認める条例。2013年に鳥取県で成立したのをはじめに、2017年4月20日現在で97の自治体が制定。規定内容は自治体によって異なり、大阪府は中途失聴者や支援学校の教員らを対象にした手話講座にも取り組む。

 

 

 

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