埼玉県手話言語条例全文

 

「(仮称)埼玉県障害のある人もない人も全ての人が安心して暮らしていける共生社会づくり条例(骨子案)pdf)」

 

埼玉県手話言語条例リーフレット [PDFファイル/546KB]

 

2013年6月19日、国会において障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(「障害者差別解消法」)が成立し、2016年4月1日より障害者差別解消法が施行されることとなった。

 

ことから、埼玉県自由民主党議員団は、手話言語条例を立案するため、障害者差別解消法の施行に先立ち、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を推進すべく2015年夏にプロジェクトチームを立ち上げ、聴覚障害者団体等とも意見交換を行い、「(仮称)埼玉県手話言語条例」骨子案を作成し、2015年12月16日から2016年1月15日までパブリックコメントを実施した。

 

また同党議員団は、2016年4月1日に施工される障害者差別解消法に合わせて障害者差別解消法が、地方公共団体に対して、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、実施することを定めていることから、共生社会の実現に向けては、障害及び障害のある人に対する理解を深めていくことが必要として、「(仮称)埼玉県障害のある人もない人も全ての人が安心して暮らしていける共生社会づくり条例案」を策定し、手話言語条例と同時に、パブリックコメントを実施した。

 

両条例案は、2016年4月の施行を目指して2月の県議会定例会(2月19日(金曜日)〜3月25日(金曜日)の一般質問最終日の3月2日には同条例案のほか、障害者らが安心して暮らせる共生社会づくり条例案を提出した。

 

提案理由

手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し、基本理念を定め、県等の責務及び役割を明らかにするとともに、施策の推進に係る基本的事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者とが共生することのできる地域社会を実現したいので、この案を提出するものである。

 

両条例案は、3月7日の福祉保健医療委員会で審議が行われ、全会一致で可決され、2月本会議の最終日の3月25日の本会議で可決された。

 

 

埼玉県議会本会議3月25日午前10時12分

 

県レベルでの条例制定は、2013年10月の鳥取県、2014年12月の神奈川県、2015年3月の群馬県、2016年3月14日の長野県に次いで4番目。全国の自治体では40番目となる。

 

 

なお、2015年1月24日、北本文化センターで「手話言語条例に関する勉強会in埼玉ろう教育の未来を考える(主催;埼玉県聴覚障害者協会が行われ、県市町村の行政関係者、教育委員会、議員を含め約400名が参加者した。

勉強会では、全国初手話言語条例が制定された鳥取県での、教育についての取組みを鳥取県教育委員会特別支援教育課長の足立正久氏が講演した。

 

 

県議会自民党は3月14日、実効性のある条例とするために、自身の長男が聴覚障害者である女性アイドルグループ・SPEEDのメンバーである歌手・今井絵理子さん参加で「手話言語に関する意見交換会」を開催した。今井氏は、さまざまな経験をされてきた中で自分の言葉で特に手話、ろうあ教育に関しての意見を手話を交えながら語った。

 

 

 

 

【埼玉県手話言語条例】

 

手話は、物の名前や概念等を手指の動きや表情等により視覚的に表現する言語であり、ろう者の思考や意思疎通に用いられている。我が国において、手話は、ろう者の間で大切に受け継がれ、発展してきたが、一方で長い間、手話を使う権利やろう者の尊厳が損なわれてきた。

埼玉県においても、ろう者は、偏見と闘いながら手話を大切に守り続け、手話を使用して生活を営み、手話による豊かな文化を築いてきており、その歴史の歩みと誇りは尊重されるべきものである。

 そして、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約において、言語には手話その他の非音声言語を含むことが明記された。我が国においても、平成23年に改正された障害者基本法において言語に手話を含むことが明記され、平成26年に障害者の権利に関する条約が批准された。

 しかしながら、ようやく手話が言語であることが認められ、手話に対する理解が求められるようになったものの、いまだ手話に対する理解が社会において深まっているとは言えない。

このような中で、埼玉県において、ろう者以外の者がろう者を理解し、互いに共生することのできる地域社会を実現するためには、手話を広く普及し、県民一人一人が手話に対する理解を深めていくことが必要である。

 ここに、私たちは、手話が言語であるとの認識に基づき、手話を広く埼玉県に普及していくことによって、ろう者とろう者以外の者とが手話により心を通わせ、相互に人格と個性を尊重し合い、共生することのできる埼玉県をつくるため、この条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し、基本理念を定め、県、県民等及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、手話の普及に関する施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、もってろう者とろう者以外の者とが共生することのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 手話の普及は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

手話が、ろう者が自ら生活を営むために使用している独自の体系を持つ言語であって、豊かな人間性を涵かん養し、及び知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産であることを理解すること。

ろう者とろう者以外の者とが相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本として、ろう者とろう者以外の者が手話により意思疎通を行う権利を尊重すること。

 

(県の責務)

第3条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、ろう者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるようなものの除去について必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備を推進するものとする。

県は、ろう者及び手話通訳を行う者その他の手話に関わる者(以下「手話通訳者等」という。)の協力を得て、基本理念に対する県民の理解を深めるものとする。

 

(市町村等との連携協力)

第4条 県は、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に当たっては、市町村その他関係機関及び関係団体との連携協力を図るものとする。

県は、前項の環境の整備に当たっては、市町村に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

 

(県民等の役割)

第5条 県民及び地域活動団体(地域で文化、スポーツ、ボランティア等の活動に取り組む団体をいう。)は、基本理念を理解し、地域社会の一員として、手話を使用しやすい地域社会の実現に努めるものとする。

ろう者は、基本理念に対する県民の理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

手話通訳者等は、手話に関する技術の向上、基本理念に対する県民の理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

 

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念を理解し、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

 

(計画の策定及び推進)

第七条 県は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第2項に規定する都道府県障害者計画において、手話を使用しやすい環境の整備に関する施策を定め7、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。

県は、前項の手話を使用しやすい環境の整備に関する施策を推進するに当たっては、ろう者及び手話通訳者等その他の関係者の意見を聴くため、これらの者との協議の場を設けるものとする。

 

(手話を学ぶ機会の確保等)

第8条 県は、市町村その他関係機関、ろう者、手話通訳者等及び関係団体と協力して、手話サークルその他の県民が手話を学ぶ機会の確保等に努めるものとする。

県は、手話を必要とする者が手話を学ぶことができるよう、手話に関する学習会の開催その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。

県は、その職員が基本理念を理解し、手話を学ぶことができるよう、手話に関する学習会の開催その他の手話を学習する取組を推進するものとする。

 

(情報へのアクセス)

第9条 県は、ろう者が県政に関する情報を円滑に取得することができるよう、情報通信技術の活用に配慮しつつ、手話を用いた情報発信の推進に努めるものとする。

県は、災害その他非常の事態の場合に、ろう者が手話等により必要な情報を速やかに取得し、円滑に意思疎通を図ることができるよう、必要な施策を講ずるものとする。

 

(手話通訳者等の確保、養成等)

第10条 県は、市町村その他関係機関及び関係団体と協力して、手話通訳者等及びその指導者の確保、養成及び手話に関する技術の向上並びに手話通訳に関する普及啓発に努めるものとする。

 

(学校における手話の普及等)

第11条 聴覚障害のある幼児、児童又は生徒(以下この条において「ろう児等」という。)が通学する学校の設置者は、当該ろう児等が手話を学び、かつ、手話で学ぶことができるよう、教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

ろう児等が通学する学校の設置者は、基本理念及び手話に対する理解を深めるため、当該ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。

ろう児等が通学する学校の設置者は、前2項に規定する事項を推進するため、手話の技能を有する教員(ろう者の教員を含む。)の確保及び教員の専門性の向上に関する研修等に努めるものとする。

県は、学校において、ろう児等とろう児等以外の児童及び生徒との交流の機会を充実させることにより、その相互理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

県は、学校において、基本理念及び手話に対する理解を深めるため、手話に関する啓発その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(事業者への支援)

第12条 県は、第六条に規定する事業者の取組に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。

 

(手話による文化芸術活動の振興)

第13条 県は、手話による文化芸術活動の振興を図るため、当該活動に対する協力その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 

(手話に関する調査研究)

第14条 県は、ろう者及び手話通訳者等が手話の発展に資するために行う手話に関する調査研究の推進及びその成果の普及に協力するものとする。

 

(財政上の措置)

第15条 県は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

平成28年3月2日提出

 

埼玉県議会議員 小谷野 五雄

 宮崎 栄治郎

 諸井 真英

 小島 信昭

 小林 哲也

 石井 平夫

 新井 一徳

 鈴木 弘

 神尾

 中屋敷 慎一

 山下 勝矢

 須賀 敬史

 星野 光弘

 沢田

 武内 政文

 小川 真一郎

 荒木 裕介

 新井

 小久保 憲一

 永瀬 秀樹

 神谷 大輔

 岡田 静佳

 杉島 理一郎

 横川 雅也

 浅井

 

手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し、基本理念を定め、県等の責務及び役割を明らかにするとともに、施策の推進に係る基本的事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者とが共生することのできる地域社会を実現したいので、この案を提出するものである。

 

 

埼玉県手話言語条例pdf

 

T 条例制定の背景

・ 手話は、手や指、体などの動きや顔の表情を使って概念や意思を伝える独自の語彙や文法体系を持ち、ろう者が自ら生活を営むために使用している言語です。

・ 手話は、長い日本の歴史の中、ろう者自らの手により作られ、時代の変遷があっても手話を守り続けてきました。

・ 平成18年12月に国連総会で採択された障害者権利条約では、「「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。」と定められ、手話が言語であることが明記されました。また、平成23年に改正された障害者基本法においても、手話が言語に含まれることが明確に位置付けられました。

・ その上で、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現するためには、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し基本理念を定め、手話の普及の環境の整備を推進するための条例の制定が必要です。

・ そこで、埼玉県自由民主党議員団では、プロジェクトチームを立ち上げて条例の制定について検討して参りました。

 

U 条例の概要

1 目的

手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し基本理念を定め、県、県民等及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、手話の普及のための施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会の実現に寄与することを目的としています。

 

2 条例の基本理念

手話の普及は、次に掲げる事項を旨として行われなければならないものとします。

(1)手話が、ろう者が自ら生活を営むために使用している独自の体系を持つ言語であって、豊かな人間性を涵(かん)養し、及び知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産であることを理解すること。 

(2)ろう者とろう者以外の者が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本として、ろう者とろう者以外の者が手話により意思疎通を行う権利を尊重すること。

 

3 県等の責務等

(1)県の責務等

・ 基本理念にのっとり、ろう者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるようなものの除去について必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及等の手話を使用しやすい環境の整備を推進します。

・ ろう者及び手話通訳を行う者その他の手話に関わる者(以下「手話通訳者等」という。)の協力を得て、基本理念に対する県民の理解を深めることとします。

・ 市町村と連携協力するとともに、情報の提供、助言等の必要な支援を行うこととします。

(2)県民等の役割

・ 県民及び地域活動団体(地域で文化、スポーツ、ボランティア等の活動に取り組む団体)は、基本理念を理解し、地域社会の一員として、手話を使用しやすい地域社会の実現に努めることとします。

・ ろう者は、基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及に努めることとします。

・ 手話通訳者等は、手話に関する技術の向上、基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及に努めることとします。

(3)事業者の役割

 ・ 基本理念を理解し、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働き やすい環境を整備するよう努めることとします。

 

4 計画の策定及び推進

 県は、埼玉県障害者計画において、手話が使いやすい環境を整備するために必要な施策を定め、総合的かつ計画的に推進します。

 

5 手話を学ぶ機会の確保等

 (1)県は、市町村その他関係機関、ろう者及び手話通訳者等と協力して、手話サークル等の県民が手話を学ぶ機会の確保に努めます。

 (2)県は、手話を必要とする者が手話を学ぶことができるよう、手話に関する学習会の開催等の必要な支援に努めます。

 (3)県は、職員が基本理念を理解し、手話を学ぶことができるよう、手話に関する学習会の開催等の手話を学習する取組を推進します。

 

6 情報へのアクセス

(1)県は、ろう者が県政に関する情報を円滑に取得することができるよう、情報 通信技術の活用に配慮しつつ、手話を用いた情報発信の推進に努めます。

(2)県は、災害その他非常の事態の場合に、ろう者が手話等により必要な情報を 速やかに取得し、円滑に意思疎通を図ることができるよう、必要な施策を講じ ます。

 

7 手話通訳者等の確保、養成等

 県は、市町村と協力して、手話通訳者等及びその指導者の確保、養成及び手話技術の向上や手話通訳に関する普及啓発を図るよう努めます。

 

8 学校における手話の普及等

(1)聴覚障害のある幼児、児童又は生徒(以下「ろう児等」という。)が通学する学校の設置者は、ろう児等が手話を学び、かつ、手話で学ぶことができるよう、教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めます。

(2)ろう児等が通学する学校の設置者は、基本理念及び手話に対する理解を深めるため、ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並び

 に教育に関する相談及び支援に努めます。

(3)ろう児等が通学する学校の設置者は、手話に通じた教員の確保及び教員の専門性の向上に関する研修等に努めます。

(4)県は、学校において、ろう児等とろう児等以外の児童及び生徒との交流の機会を充実させることにより、その相互理解の促進と手話の普及に努めます。

 

9 事業者への支援

 県は、3(3)の事業者の取組に対し、情報の提供等の必要な支援を行うよう努めます。

 

10 手話による文化芸術活動の振興

 県は、手話による文化芸術活動の振興を図るため、当該活動に対する協力等の必要な施策を講ずるよう努めます。

 

11 手話に関する調査研究

 県は、ろう者及び手話通訳者等が手話の発展に資するために行う手話に関する調査研究の推進及びその成果の普及に協力することとします。

 

12 財政上の措置

 県は、手話の普及に関する取組を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めます。

 

13 施行期日(予定)

平成28年4月

 

 

「(仮称)埼玉県障害のある人もない人も全ての人が安心して暮らしていける共生社会づくり条例(骨子案)(pdf)」

 

T 条例制定の背景

・ 平成25年6月に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が公布され、平成28年4月に施行されます。

・ 同法では、地方公共団体において、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、実施することが定められています。

・ また、共生社会の実現に向けては、障害及び障害のある人に対する理解を深めていくことが必要です。

・ そこで、埼玉県自由民主党議員団では、プロジェクトチームを立ち上げて条例の制定について検討して参りました。

 

U 条例の概要

1 目的

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等の趣旨を踏まえ、共生社会の推進に関し、基本理念を定め、並びに県、県民、地域活動団体及び事業者の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、共生社会の実現に寄与することを目的としています。

 

2 条例で使用する言葉の定義

(1)障害者

身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。

(2)社会的障壁

障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの。 

 

3 条例の基本理念

共生社会(障害者と障害者でない者が分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、地域の中で共に手を取り合って暮らすことのできる社会をいう。)の推進は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を基本として行います。

(1)全て障害者は、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。

(2)全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。

(3)全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。

(4)全ての県民が、社会的障壁に係る問題を認識し、障害及び障害者に対する理解を深めること。

 

4 県等の責務等

(1)県の責務等

・ 基本理念にのっとり、障害及び障害者に対する理解を広め、共生社会の推進に関して必要な施策を講じます。また、施策を講ずるに当たっては、障害者及びその家族その他の関係者に配慮します。

・ 市町村その他関係機関と連携するとともに、情報の提供及び技術的な支援に努めることとします。

(2)県民及び地域活動団体(地域で文化、スポーツ、ボランティア等の活動に取り組む団体)の責務

・ 基本理念にのっとり、障害及び障害者に対する理解を深めるとともに、共生社会の推進に寄与するよう努めることとします。

(3)事業者の責務

 ・ 基本理念にのっとり、障害及び障害者に対する理解を深め、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮に努め、共生社会の推進に寄与するよ

う努めることとします。 

 

5 共生社会を推進するための施策

(1)普及啓発

・ 共生社会を推進することの重要性に関し、県民、地域活動団体及び事業者の理解を深めるため、普及啓発を行います。

(2)交流の機会の拡大及び充実

 ・ 障害者と障害者でない者との交流の機会の拡大及び充実を図り、その相互理解を促進します。

(3)社会参加の促進

・ 地域社会等における活動を通じた社会参加の促進のため必要な施策を講じます。

(4)障害に関する教育の推進

・ 学校において、児童及び生徒が障害及び障害者に関する正しい知識を持つための教育が行われるよう努めます。

・ 共生社会の推進に果たすべき教育の役割の重要性に鑑み、障害者が障害者でない者と共に学び、必要な教育を受けることができるよう、教育の支援体制の整備及び充実に努めます。

(5)意思疎通の手段の確保

・ 障害者が、情報の取得・利用、意思の表示、他人との意思疎通が円滑にできるよう、障害者の意思疎通を仲介する者の養成等必要な施策を講じます。

・ 災害その他非常の事態の場合に、障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講じます。

(6)表彰

 ・ 共生社会の推進に特に功績があったものに対し、表彰を行うことができることとします。

(7)財政上の措置

 ・ 共生社会の推進のための施策に必要な財政上の措置を講ずるよう努めます。

 

6 差別の禁止等

(1)差別の禁止

 ・ 何人も、障害者に対して、障害を理由とする不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 

(2)合理的配慮の提供

 ・ 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障害者の保護者その他の関係者が本人を補佐して行ったものを含む。)があった場合

の合理的な配慮について、県は義務とし、事業者に対しては努力義務とします。

 

7 相談体制・紛争防止

(1)相談体制

・ 県は、障害を理由とする差別に関する相談に応ずるものとし、相談に関し、下記の業務を行います。

@相談に応じ、必要な助言及び情報提供

A相談に係る関係者間の調整

B関係行政機関への通告、通報その他の通知

(2)紛争防止

 ・ 事業者が不当な差別的取扱いを行った場合や合理的配慮をしなかった場合において、(1)の相談で解決できなかったときは、障害者及び保護者その他の

関係者は、知事に対して、助言又はあっせんの申立てができることとします。

 ・ 知事は、助言又はあっせんの申立てがあった場合には、事実の調査を行い、調査の結果に基づき、助言又はあっせんを行うこととします。

 ・ 関係者があっせんに従わない場合において、必要があると認めるときは、関係者に対し、あっせんに従うよう勧告することができることとします。

 ・ 不当な差別的取扱いに係り勧告を受けた者が、正当な理由がなく勧告に従わないときは、その旨を公表することができることとします。公表に際しては、公表に係る者に対し、あらかじめ、その旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、意見を述べる機会を与えることとします。

(3)地域協議会

 ・ 障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に規定されている障害者差別解消支援地域協議会を組織することとします。

 

8 施行期日(予定)

平成28年4月(ただし、7(2)のうち、助言・あっせん、勧告、公表に関する規定は、3か月程度の周知期間経過後に施行することとします。)

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