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難聴捕手、都大森・玉田 好リード完封 人一倍の努力で仲間から信頼(2015年7月11日配信『スポーツニッポン』)


第97回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 都大森3―0大東大第一 

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試合後、ポーズを決める都大森の玉田

 

 3点リードの9回、無死満塁の大ピンチを迎えた。捕手の都大森・玉田はタイムをかけ、マウンドに走る。エース当間俊を励ますと、後続を投ゴロ併殺、遊ゴロに仕留め、試合が終わった。 
 「去年の夏、当間が(初戦で)サヨナラスクイズを決められてしまった。それを思い出させないように“前向きになれ”と伝えた」。筆談形式の取材にそう答えた。先天性難聴で生まれつき両耳は聞こえない。言葉も話せない。マウンドでのやりとりは目を合わせながらジェスチャーで行った。言葉はなくても、堂々と扇の要に座る。岩崎剛監督は「満塁をしのげたのは、玉田が一生懸命、日々努力したたまもの」と目を細めた。打力を買われて5番に座り、4回には二塁内野安打で出塁。3点目のホームを踏んだ。
 高校進学の際、立川のろう学校を受験しようとしたが、軟式野球しかなかった。そして「耳が聞こえなくても硬式野球ができることを見せたい」という強い気持ちで都大森に入学した。入学時はコミュニケーションがうまくいかず、野球を辞めたいと思うこともあった。それでも人一倍の努力を続けた。「自分が自主練習を一生懸命やったから、みんなが認めてくれた」。ひたむきに野球に打ち込む姿は、仲間の胸を打った。
 将来の夢は「ろう者を集め、一緒に硬式野球をしたい」。17歳はそう言って目を輝かせた。ジェスチャーと筆談で絆を深めた最高の仲間たちと臨む高校最後の夏。「目標はもちろん甲子園。でも今はこの仲間たちとこの一日、この一瞬を大切にしたい」。言葉はなくても思いは通じる。硬式野球を続けてよかった。心からそう思える、最高の夏にする。(近藤 大暉)

 ◆玉田 宙(たまだ・ひろ)1998年(平10)1月23日、東京都生まれの17歳。小1から野球を始め、一塁手と捕手。明晴学園中では投手もこなし、都大森では2年時から捕手に専念。1メートル75、68キロ。右投げ右打ち。

全国高校野球/先天性の難聴、ろうあの球児 大森・玉田宙捕手(3年)ここをクリック(タップ)


手話落語「心の架け橋」に 桂福團治さん嬉野中で紹介(2015年7月11日配信『佐賀新聞』)

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桂福團治さん(右)に教わりながら短い手話落語を演じる嬉野中の生徒=嬉野市の嬉野中

■高座上がり生徒実演
 健常者でも聴覚障害者でも楽しめる手話落語に触れ、手話や人権への理解を深める会が10日、嬉野市の嬉野中であった。手話落語の考案者でもある落語家の桂福團治さんと弟子で聴覚障害者の宇宙亭福だんごさんが、生徒約370人に実演を交えて手話落語を紹介した。
 桂さんは、のどの手術で約3カ月間、声を失った経験から「耳が聞こえない人のことを初めて心から思い、彼らが使う手話を自分も覚えたくなった」と手話との出合いを紹介。手話落語を続けている経緯を「初めて依頼を受けた時に古典芸能を勝手に作り替えてはと一度は断ったが、実際に演じると涙を流して喜んでもらえた」と説明した。
 生徒たちが手話落語を体験する時間もあり、数人がごく短い手話落語を覚えて高座で演じてみせると、会場は笑いに包まれた。3年の山口裕太さん(14)は「手話でも、何となく言いたいことが分かる気がした。手話を使う人と接する機会があれば、できる限りの表現で助けてあげたい」と話した。
 手話の普及啓発に向け「心の架け橋手話言語条例」を制定している同市が実施した。桂さんらは12日午後2時から、嬉野市社会文化会館「リバティ」でも手話落語と講演を行う。問い合わせは同市文化・スポーツ振興課、電話0954(66)9320へ。


桂福團治さん、手話落語 7月12日、嬉野市でここをクリック(タップ)
心の架け橋手話言語条例ここをクリック(タップ)


 

サッカー:J2 アルディージャ、1500人が手話で応援 NACK5スタジアム、12日のホームゲームで(2015年7月11日配信『毎日新聞』−「埼玉版」)

 

 ◇簡単動作で楽しく
 サッカーJ2で首位を走る大宮アルディージャ。後半戦のホーム開幕ゲームが行われる12日、NACK5スタジアム(さいたま市大宮区)で、恒例の手話応援イベント(毎日新聞さいたま支局など後援)が開催される。アルディージャの応援歌「愛してるぜ We are ORANGE」に手話のふりを付け、聴覚障害者を含む約1500人が参加する大応援。県公認のご当地ヒーロー「家計お助け銭隊!FPレンジャー」がリーダーを務める。
 手話応援は、アルディージャサポーターで手話応援実行委員会の田部井功委員長(毎日興業社長)が、県立特別支援学校大宮ろう学園の江藤千恵子教諭に、サッカーの応援で一緒に何かできないかと持ちかけたのがきっかけで始まった。江藤教諭が「遠くからでも見えて、騒がしくても意味が伝わる手話を使ったら」とアイデアを出して実現した。
 振り付けは、手話を知らない人でも覚えやすいように工夫。「さあ」は両手を開いて挙げるなど簡単な動作を取り入れたほか、「アルディージャ」は指文字の「あ」にチームマスコットのリスを表す「しっぽ」の仕草を組み合わせ、オリジナルの手話を作った。江藤教諭は「聞こえる人と聞こえない人が一緒に楽しめるのが手話応援の魅力。歌詞中の『愛してるぜ(I Love You)』は、世界で通じるサイン。覚えれば、声を出して言うのが恥ずかしい場面でも使える」と話す。
 手話応援を初めて行った2006年の参加者は100人に満たなかったが、2回目の10年以降は毎年1回開催し、12年には1300人と大幅増。参加者はアウェーチームの応援席近くに座るため、相手サポーターも振りを覚えて加わるなど、障害のある人もない人も共に生きる「ノーマライゼーション」の普及に一役買っているという。
 イベントの参加申し込みは終了しているが、簡単なふりで、すぐに覚えられるので、スタジアムやテレビの前で、飛び入り参加してみてはいかが?

好調の大宮を手話で応援 参加サポーター1500人募集ここをクリック(タップ)


 

審議内容、手話でやりとり/高松市議会(2015年7月11日配信『四国新聞』)


 高松市議会(岡下勝彦議長)は10日の6月定例議会本会議で、今議会から導入した手話通訳の配置制度を初めて実施した。手話通訳者が傍聴に訪れた聴覚障害者3人に審議内容を丁寧に伝えた。
 同制度は、市議会の「開かれた議会」に向けた取り組みの一環。事前に傍聴希望があった本会議や委員会について、手話通訳者を無料で配置する。議会が手話通訳者を置く制度を設けるのは、四国の県庁所在地や県内の市町では初めてという。
 この日の本会議では、聴覚に障害のある市民3人が傍聴した。県聴覚障害者福祉センターから派遣された射場富枝さん(57)と曽根良美さん(44)が、傍聴席の最前部に座って福祉関連などの議案審議を同時通訳し、3人は時折うなずきながら市議らのやりとりを見守った。
 傍聴した高松聴覚障害者協会理事の西村有見子さん(55)は「(障害のない人と)平等に傍聴できる体制ができたことは、うれしい。審議の内容もよく分かった。これからもときどき傍聴したいと思います」と話した。
 市議会事務局は「今後も制度を活用し、活発な議論を傍聴してもらえれば」と呼び掛けている。


 

ろう者の被爆 手話と音声舞台化(2015年7月9日配信『東京新聞』−「夕刊」)

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原爆投下から70年の夏、被爆したろう者の体験を芝居にした大橋ひろえさん=東京都内で

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稽古をする大橋ひろえさん(右)=東京都中央区

 70年前、広島と長崎に投下された原爆で被爆したろう者たちの体験をテーマにした演劇「残夏(ざんか)1945」が今月、東京と広島、長崎で上演される。ろう者と健聴者の俳優が、手話と音声の双方で表現する。企画したろう者の俳優大橋ひろえさん(44)は「あまり知られていない体験だからこそ、未来につなげていきたい」と話す。 
 物語は、聞こえない娘を一人で育てながら、広島で新聞記者として働く女性が主人公。ろう者の被爆体験を取材したことをきっかけに、ろう者の母や祖母の物語をたどる。終戦間際の長崎で生まれて被爆した母、夫を原爆で亡くし、戦後必死で母を育てた祖母…。原爆の悲惨さとともに、4代の女性たちの物語が絡み合う。
 大橋さんは10年前から、手話とダンス、音楽を融合したパフォーマンスに挑戦。聞こえない人と聞こえる人が一緒に作り上げる芝居にも取り組む。
 2年前には広島の被爆ろう者たちの証言集を基にした手話朗読劇を上演。戦後70年の今年、再びこのテーマで芝居をつくった。
 2003年の長崎の平和祈念式典で、初めて手話で平和宣言をした被爆者の山崎栄子さんの話も聞いた。「被爆者への差別に加え、障害があることへの差別もひどく、声を上げることさえできない人も多くいた。こうした人たちの体験があって、今の自分があると思えた」と大橋さん。「平和な生活と戦争は紙一重。それぞれが平和を考えるきっかけにしてもらえれば」と話す。
 東京公演は杉並区の座・高円寺2で行われ、9〜12日。9、10の両日は残席があり、9日は午後7時、10日は同2時と7時から。当日券は一般4400円、シニア・学生4000円、高校生以下3300円。その後、広島(18日)長崎(25日)でも公演する。聴覚障害者向けの字幕や視覚障害者向けの音声ガイドなどがある。

「残夏(ざんか)1945」ホームページここをクリック(タップ)

 

特集ワイド・ニュースアップ:手話で質問、ろうあ議員の挑戦 議会を変え、社会変える=神戸支局・宮嶋梓帆(2015年7月8日配信『毎日新聞』−「大阪版夕刊」)

 耳が聞こえず声で話せない「ろうあ」で全国初の議員になった家根谷(やねたに)敦子・兵庫県明石市議(55)=無所属=が当選し2カ月が過ぎた。「手話でもっと自由に話せる社会に変えたい」と選挙に挑み、議会での会派名を「スマイル会」としたのは、笑顔で人と人をつなぐ社会を願うからだ。夢をかなえるため、議員活動をスタートさせた家根谷さんの挑戦を追った。
 初の一般質問に臨む家根谷さんの表情は緊張で張り詰めていた。6月22日、議場に入ると他会派の男性議員が両手の拳を2回下げた。「頑張って」。家根谷さんは顔をほころばせ、同じ手話を返して「頑張ります」と応じた。
 「スマイル会の家根谷敦子です」。演壇に立って約30分間、公約に掲げた災害時の要援護者への対応や障害者差別の解消に向けた市の取り組みなど3項目を手話で尋ねた。手話通訳者は4人配置され、家根谷さんに代わる質問者が議場後方でマイクで読み上げ、市側の答弁は最前列に座る家根谷さんに議長席横から手話で伝えられた。答弁が速くて通訳が遅れる場面もあったが、家根谷さんは「内容は漏れなく理解できた」という。
 明石市議会は、家根谷さんが本会議などに出席した場合、公費で手話通訳者を置くことを決めた。既に今年度分の手話通訳に400万円を計上。議会外の活動にも政務活動費(月8万円)から通訳費を出せる見通しだ。
     ◇
 「耳が聞こえず、声で話すこともできません。こんな私が議員になりたいと思うのはおかしいでしょうか」
 今春行われた統一地方選で、スーパーの前で家根谷さんの次女智美さん(28)と三女明美さん(20)は、手話で街頭演説をする母に代わってマイクを握っていた。手話通訳による演説を見て、お年寄りも高校生も足を止めた。
 選挙地盤を引き継いだ前市議からは「チラシは2、3枚受け取ってもらえれば上出来」と聞いて20枚を用意していた。だが1時間もしないうちになくなった。補聴器を付けた男性が「私も耳が聞こえない。頑張って」と握手を求めてくるなど、反応は良いように見えた。
 だが、演説を終えた家根谷さんの受け止め方は違った。「『えっ』という表情で私を見る人が多かった。手話はまだまだ理解されていない。こういう社会を変えなければ」と意を強くしていた。

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帯広市、手話条例制定へ 来年度にも 関係団体招き検討会(2015年7月7日配信『北海道新聞』)

 北海道・帯広市は2016年度にも、手話を言語として位置付け、聴覚障害者が暮らしやすい地域社会を目指す「帯広市手話に関する条例」(仮称)を施行する。6日には条例制定に向けた検討会の初会合を開き、聴覚障害者団体などと意見交換した。障害者団体は25日に市民向けの手話イベントを開き、機運の醸成を図る。
 手話条例は13年、全国の自治体で初めて鳥取県が施行。道内では十勝管内の新得、鹿追両町のほか石狩市と名寄市で施行されており、道も条例制定に向けた協議を始めている。
 帯広市の条例では、手話を通訳の手段ではなく「言語」として位置付けた上で、手話の普及啓発や手話を使いやすい環境づくりを目指す。具体的には手話通訳者の育成や市民向け教室などを想定している。
 今年3月末現在、帯広市内で障害者手帳を持つ聴覚障害者(平衡障害含む)は838人。
 市の手話通訳者派遣事業の利用者は12年度61人、13年度62人、14年度78人で推移している。
 検討会は市内の聴覚障害者団体や手話サークル幹部ら11人で構成。初会合では道ろうあ連盟の佐藤英治副理事長が、国内での条例制定の状況などを説明し、「条例制定により帯広では手話を使うのが当たり前という考えになり、聴覚障害者への偏見がなくなるきっかけになれば」と述べた。
 検討会は7〜8月、市民や学生を対象にした手話への関心や聴覚障害の有無などを尋ねるアンケートを行い、10月下旬までに計4回の会合を開いて条例の素案をまとめる予定だ。
 また帯広ろう者協会などは7月25日午後0時半からとかちプラザで「手話フェスティバルinおびひろ」を開く。手話条例や聴覚障害への理解を深めてもらう狙いで、ミニ手話講座のほか、NHKの手話講座で講師を務めた早瀬憲太郎氏が講演する。同協会の桑田睦子手話対策部長は「市民の中に手話を言語とする人がいることに気付いてもらうきっかけになってほしい」と話している。


 

Bmap バリアフリー上映会 『飛べ!ダコタ』

〇日時 8月8日(土)  13:00 開場  13:30 開演
〇場所 港区高輪区民ホール  東京メトロ南北線・都営三田線 白金高輪駅 1番出口直結 (区民センター1F)
〇料金・定員   無料・250名 全席自由  予約受付中!(8月5日まで)
〇お問い合わせ・予約    info@b-map.org FAX 03-6233-7158 返信用FAX番号を明記ください
〇バリアフリー上映      ライブ音声ガイド・聴覚障がい者対応字幕付 音声ガイドはスクリーン脇で語り、会場に流れます
                  受付に手話通訳ボランティアがおります
〇内容             
 終戦からわずか5ヶ月。佐渡の海岸にイギリス軍機「ダコタ」が不時着して村は大騒ぎに。かつての「敵」に島民とダコタの乗組員は…。  監督・脚本 油谷誠至 出演 比嘉愛未・窪田正孝・柄本明 他  (2013年 109分)

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映画『飛べ!ダコタ』公式サイトここをクリック(タップ)

DVD情報ここをクリック(タップ)


 

店頭での遠隔手話通訳サービスの導入について(2015年7月3日プレスリリース=株式会社新生銀行)

 

〜国内銀行初(*1)のタブレット端末を用いた手話通訳サービスで、聴覚障がいのお客さまをサポート〜
 当行は、聴覚障がいのあるお客さまに対応するため、タブレット端末を用いた手話通訳サービス「遠隔手話通訳サービス」を、平成2773日(金)より、新宿フィナンシャルセンターと横浜フィナンシャルセンターの2店舗で導入いたしました。
 このサービスは、福祉分野におけるソリューション事業を手掛ける株式会社プラスヴォイス(宮城県仙台市、代表取締役社長 三浦宏之、以下、「プラスヴォイス」)の提供するサービスを利用するもので、当行窓口へ来店した聴覚障がいのあるお客さまに対して、プラスヴォイスの手話通訳コールセンターにいる手話通訳士を中心とした手話通訳オペレーター(*2)が、タブレット端末の画面を通じてお客さまの各種お手続き(*3)について手話と音声による同時通訳を行うものです。店頭のスタッフはタブレット端末に接続したイヤホンとマイクから、音声でお客さまのお問い合わせやご要望をお伺いし、お客さまのお取引をサポートいたします。
 当行は、従来より、障がいのあるお客さまへの取り組みとして、筆談器やコミュニケーションボードの各店舗への設置、ファックスサービスなどをご提供し、障がいのあるお客さまの利便性向上に努めてまいりました。今般、タブレット端末を利用した手話通訳サービスを導入してほしいというお客さまからのお声を踏まえ、本サービスを導入いたしました。当行では、今後とも、お客さまのニーズに合った付加価値の高い商品・サービスを提供してまいります。
 (*1) 当行調べ。
(*2)
厚生労働大臣が認定した手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)に合格し、手話通訳士として登録している者。
(*3)
仕組預金、保険、投資信託の売買や住宅ローンのご相談・手続きなど、一部のお取引はサービスの対象外となります。

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遠隔手話通訳サービスの利用イメージ (左側:お客さま、右側:当行店頭スタッフ)

 

夏に懸ける:全国高校野球/先天性の難聴、ろうあの球児 大森・玉田宙捕手(3年)/(2015年7月2日配信『毎日新聞』−「都内版」)東京

 

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キャッチボールをする玉田宙捕手=大田区の都立大森高で

 ◇強気で楽しくリード
 バッテリーが身ぶり手ぶりで無言の「会話」を交わす。グラウンドに響くのは、投球がミットに収まる「パーン」という小気味よい音だけだ。
 都立大森高(大田区)のチームの要、玉田宙(ひろ)捕手(3年)は先天性の難聴で生まれつき両耳が聞こえず言葉も話せない、ろうあの球児だ。最後の夏への思いを筆談で尋ねると、力強く決意を書いて返した。「聞こえなくても硬式野球できるぞ! と、強気で楽しい野球をしたいと思います」
 野球を始めたのは小学1年の時。小中学生時代は、地元野球クラブで4番打者として活躍した。「夢と仲間、どっちか一つしか選ぶことができなくて、つらかった」と、中学卒業後の進路を決めた時を振り返る。
 仲間と一緒に野球を続けようと約束していたが、行きたいろう学校高等部には硬式野球部がない。悩んだ揚げ句、「聞こえなくても硬式野球ができることを、僕が証明してみせる」と大森高への進学を決めた。
 ろう学校とは異なる環境で意思疎通がうまくいかず、「相手にされていない」と感じたり、野球部を辞めたいと思ったりしたことも何度もあったという。しかし、「みんなに認められるまで努力して結果を出せば仲良くなれる」と自由参加の朝練は毎日欠かさず、昼休みも自主トレーニングに励んだ。
 「みんなの気持ちを知ることが大切だ」と1年の時、先輩捕手に助言された。筆談や身ぶりで仲間の話をよく聞き、相手がどうしたいのかを知って考えるようになった。声が出せない代わりに、仕草で野手たちに「声かけろ!」と指示し、サインとは別に励ましの身ぶりを投手に送って、みんながプレーしやすい雰囲気作りを心がけてきた。
 昨秋からバッテリーを組むエース、当間俊介投手(3年)は「周りのことを気遣ってくれる。信頼して投げています」。岩崎剛監督(43)は「野球に対して真摯(しんし)。身体能力も高く、間違いなくチームの要だ」と評価する。
 3年間の集大成の舞台がまもなく幕を開ける。同じ障害を持つ後輩に「聞こえないからと言い訳しないでやれば、一般の人と平等にできる」と伝えたい。そのためにも「夏の結果次第」と意気込む。


 

[手話言語法意見書]県条例づくりの弾みに(2015年7月1日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 どこでも自由に手話が使える社会の実現に向けて「手話言語法」の制定を国に求める動きが広がっている。
 聴覚障がい者のコミュニケーションの手段である手話を音声言語の日本語と同じように言語として定める法律である。手話を学ぶ機会や手話で教育を受ける機会、手話通訳を利用する機会の保障などを目指すものだ。 
 全日本ろうあ連盟の調査によると、県内では昨年9月の今帰仁村議会を皮切りに、ことし6月末までに36市町村議会で手話言語法の制定を求める意見書を採択している。残りは5自治体。県議会も昨年7月、全会一致で可決した。
 2011年の改正障害者基本法で「言語に手話を含む」と明記されたことから機運が高まり、全国では40都府県ですべての自治体が意見書を採択。県内では昨年4月の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」施行以降、動きが加速した。
 日本のろう教育は、長い間、相手の口の動きを読み取り、発声訓練を行う「口話法」が中心だった。健聴者のように話すことを優先したためだが、習得の難しさが当事者の負担となってきたという。他方、手話を使うことが差別の対象になることも。公の場で手話を使える人が少ないという現実的な問題もある。
 連盟が中心となり作成した法案の目的には「手話を使用して生活を営み、手話による豊かな文化を享受できる社会」とある。手話が生活の中の当たり前の言語として受け入れられれば、聴覚障がい者の社会参加は大きく進む。
    ■    ■
 障がい者の社会参加の中でも政策決定の場への参加は重要である。法案には「ろう者は政治に参加するため、手話を選択し使用する機会が保障される」とし、その権利も盛り込んでいる。
 この春、東京都北区議に当選した斉藤里恵さんは、耳が不自由でスムーズに話せない。初めて登壇した一般質問では、パソコンに入力した文章を音声変換しスピーカーで議場に流す方法で、障がい児の教育について尋ねた。
 斉藤さんの当選が、障がい者向けのシステムの導入という議会のバリアフリー化を後押ししたのだが、「声」による運動が中心の選挙戦では「聴覚障がい者が排除されている」と感じたという。
 インターネットで発信している議会中継に手話通訳を導入する動きも、今のところ一部自治体にとどまっている。 政策決定の場である議会をどう開いていくかは、大きな課題だ。
    ■    ■
 国への働きかけと並行して、鳥取県や北海道石狩市など県や市町村レベルで手話言語条例の制定が進んでいる。
 条例ができた自治体では、学習会の開催など手話を学ぶ機会が増え、手話を使う環境が整備されつつある。一方、手話通訳者の絶対数が足りないなど課題も浮かび上がる。
 沖縄県の共生社会条例は当事者の主体的な取り組みでつくられた画期的な条例だった。市町村議会で進む意見書の採択を、県条例づくりへの弾みとすべきである。

沖縄県の共生社会条例ここをクリック(タップ)

 

チームで挑んだ難役…アリアーナ・リヴォアール(2015年6月29日配信『読売新聞』)

 

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「奇跡のひと マリーとマルグリット」に主演


 映画初出演で難役に挑んだ。目も見えず、耳も聞こえず、話をすることもできない。
 三重苦を乗り越えた実在のフランス人女性、マリー・ウルタンを演じた。
 自身も耳が聞こえない。目の見えない人たちの学校に通い、どのように交流しているか研究した。「生きていく上での困難は同じ。私自身、その苦労は分かっている」。演技の経験はなかった。出演が決まった時から、指導を受けてきた。「ジャンピエール・アメリス監督、共演のイザベル・カレ、手話通訳、それに私で4人のチームを作り、細かく脚本を読み込んでいきました」
 19世紀末のフランス。聾唖ろうあで盲目のマリー(リヴォアール)は、薄汚れた服を着て、髪もぼさぼさ。両親のもとを離れ、ラルネイ聖母学院に預けられる。彼女は入浴を嫌がり、着替えるのも一苦労。暴れ回る彼女を、修道女のマルグリット(カレ)は根気よく教育していく。
 体全体を使い、喜びや悲しみを表現するマリー。マルグリットと激しく衝突しながらも、言葉を得ていく姿を丁寧に表現した。「彼女の進歩には論理的な流れがあり、少しずつ心を開いていく。私も撮影しながら、役柄を自分のものにしていった」
 明確なしぐさで自分の考えをはっきり示す。強い意志を感じるが「汚い衣装を着て演じるのは本当に嫌でした」と、20歳の女の子らしい本音も漏らした。
 「(障害でなくても)誰しもが、自分の中に生きていく上での困難を抱えているはず。それを理解し、一人ひとりを尊敬することが大切だと、映画を通して知ってほしい」
 映画は公開中。

「奇跡のひと マリーとマルグリット」HPここをクリック(タップ)

 

手話普及へ指文字練習用アプリ 米子の業者が開発(2015年6月29日配信『日本海新聞』)

 

 鳥取県米子市内のシステム開発業者が手話表現の指文字練習用アプリケーションソフトウエア「Let s指文字」を開発した。五十音の指文字、学んだ指文字表現を確かめるドリル式問題も機能に備え、関係者は「手話の普及に役立てば」と期待する。

 

アプリでは知りたい指文字を押すとイラストの拡大が表示される=26日、鳥取県庁

 

アプリを開発したのは「ドリーム・オンライン」(同市皆生新田1丁目、嘉賀雄一代表)。

 システムサポート業務や外部講師として情報の授業を担当するなど、特別支援学校と接点があった嘉賀代表(41)。一昨年秋ごろ、「指文字表現が訓練できたら」という鳥取聾学校ひまわり分校の教諭とのやりとりを踏まえて開発に着手し、鳥取県聴覚障害者協会の監修を受けて今年5月に完成した。

 アプリは指文字が五十音順に掲載され、知りたい指文字を押すと、イラストが拡大表示される。文字と指文字の相互変換も可能で、指文字や文字のドリル形式の例題で確認や自分が覚えた単語を登録できる。

 イラストは、同社員で県立白兎養護学校卒業生の前田朱美さん(25)が担当。「ちょっとした描き方の違いで別の意味になりかねなくて、そこがとても大変だった」と振り返り、アプリを介した手話の普及を願い「たくさんの人に使ってほしい」と呼び掛ける。

 26日には嘉賀代表らが県庁に平井伸治知事訪ね、「当初は学校向けを想定していたが、完成品は広く一般向けになった」と報告。平井知事は「簡単に操作でき、子どもたちの練習にも良さそう」と太鼓判を押した。

 アプリの対応機種はipadなどアップル社製品。無料でダウンロードできる。

 

五輪、手話でもおもてなし 東京都が通訳者育成へ支援(2015年6月27日配信『日経新聞』)

 

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、東京都が外国手話の通訳者の育成に乗り出している。パラリンピックの出場者や観客などとして、聴覚障害を抱える外国人も多く訪れるとみられるが、外国手話を使いこなせる人材はまだ少ない。大会中は200人程度が必要との見方もあり、学習を始めた人々は「手話でもおもてなししたい」と意気込む。

 6月上旬、NPO法人「日本ASL協会」(東京・千代田)が都内のビルの一室で週1回開く、米国で使われている手話の教室を訪ねた。約10人の受講生に手ほどきをするのは、米国人講師のマーティン・デールヘンチさん(28)。生徒の手の動きだけでなく、表情にも目を光らせる。米国手話では日本手話以上に表情がものをいうからだ。

 例えば、「甘い」と「かわいい」は、ともにあごに手をやるしぐさで表現する。どちらの意味かは表情で判断することが多い。デールヘンチさんは「日本手話が使える人でも表情が硬いことがある。表情がなければ米国手話ではない」と力を込める。

 世田谷区のイラストレーター、伊藤潤さん(32)は外国人と手話で交流できるようになりたいと講座を受講。自身も聴覚障害があり、日本手話を使える。それでも「同じ意味を表すのに、米国手話では日本手話と違う表情が求められることがある。反対に手の表現が日本手話と同じこともあって混乱する」と外国手話の難しさを説明する。

 東京都小平市の大学4年生、雨宮早紀さん(21)は米国旅行中に訪れたテーマパークで手話が普及していることに感銘を受け、講座に参加した。20年の東京大会では「外国手話通訳のボランティアをしたいし、五輪後も続けていきたい」と声を弾ませる。

 12年ロンドン大会ではパラリンピックのチケット270万枚を完売。障害者スポーツへの関心が高まった。都は20年大会でも、障害を抱えた人を含む多くの観客が訪れると想定する。

 外国の手話の通訳者育成には200時間以上の訓練が必要とされ、都は14年度から、受講料の半額を助成する事業を始めた。日本ASL協会の講座は事業の支援を受ける。協会事務局長の高草久美子さん(51)によると、事業の開始以降、継続して学ぶ人が増え、上級クラスに挑戦する受講者も増えたという。

 協会は今年度中に国際手話を体験できるイベントを都内の5〜6カ所で開き、教室の外での外国手話の普及・促進活動も展開する。高草さんは「聴覚障害者に対する理解やサービスの拡充のきっかけになってほしい」と東京五輪・パラリンピックに期待している。

 

障害者差別/進めたい解消の取り組み(2015年6月26日配信『神戸新聞』−「社説」)

 

 ちょうど2年前の今ごろ、公的機関や民間事業者に対して障害を理由にした差別を禁止する障害者差別解消法が成立した。
 障害のある人も地域の一員として日常、さまざまなサービスを利用する。社会参加を阻む壁を取り除くのがこの法律の目的だ。周知期間を経て来年4月に施行される。
 差別を禁止するだけでなく、公的機関や事業者には差別解消への取り組みが義務付けられる。どんな場合にどのような対応が求められるのか。国や地方自治体はいま、対応要領や指針の作成を急いでいる。
 現実を踏まえて分かりやすい判断基準と手引きを示す必要がある。
 例えば、体が不自由というだけで飲食店への入店を断ったとする。これは法が定める「不当な差別的取り扱い」に当たり、許されない。
 ただ、法の要請はそれだけではない。障害者の入店に手を貸す、利用しやすいようテーブルやいすを換えるなど、可能な範囲で受け入れの方策を講じなければならない。
 公的機関はそうした「合理的な配慮」が法的義務とされる。民間は努力義務にとどまるが、きちんとした対応が求められるのは同じだ。問題を繰り返す事業者には国が助言や指導、勧告を行い、悪質な場合は報告を求める。報告を怠るなどすれば、20万円以下の過料の対象となる。
 ただ、何が「不当な差別」に当たり、何が「合理的な配慮」なのか、戸惑う場合も多いだろう。具体的な事例を基に考え、障害者への理解を深める努力が重要だ。
 そこで兵庫県は、障害者が差別されたと思ったケースや周囲が配慮した体験談を、郵送などで募集している。電話の「障害者ほっとライン」では月1回の専門相談で、弁護士や社会福祉士らが話を聞いている。
 国の基本方針は、筆談や文字の読み上げ、手話などによる対話も「合理的な配慮」に挙げている。障害に応じたコミュニケーションの工夫がこれまで以上に課題となる。
 今春、明石市で聴覚障害のある女性市議が誕生した。東京都でも「筆談ホステス」として知られる聴覚障害の女性が北区議に当選した。
 各議会は手話通訳者を置き、音声変換システムを導入するなど、議員活動を支える環境整備を進めている。行政がモデルを示すことで取り組みを社会全体に広げたい。

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斉藤里恵氏「無事に終え安心しています」議会初質問(2015年6月25日配信『日刊スポーツ』)

 

 今春の東京都北区議選で初当選した「筆談ホステス」こと斉藤里恵氏(31)が25日、本会議で初めて一般質問を行った。

 音声読み上げソフトが入っているノートパソコンを手に演壇へ。マイクをパソコンのスピーカーに近づけ、約18分間の質問を朗読させた。

 内容は、区内の障がい者に対する広報態勢や教育向上、子育て支援事業などについて。自身と同じ聴覚障害者のために、区役所の夜間の緊急連絡先として、巡視室(守衛室)にファクスを設置することを提案した。「当選後、障がい者の皆さんの集まりで聞いたことを質問しました。無事に終えられて、安心しています」と笑顔を見せた。

 質問後の約10分間、区長や担当部長らの答弁を音声変換ソフトを通じ、画面上で読んだ。「7割ぐらいは変換されていた。2時が3時になったり、数字に弱い。答弁の書き起こしを後で読みます」と話した。

 議会発言の文字変換と画面表示を行う全国初の取り組みでもあり、多くの報道陣が集まったが、カメラ撮影や録音などは認められなかった。一般傍聴者の席を確保し、円滑な議事運営を行うため、議長が決めたという。テレビ各局が撮影の許可を求め、議長に詰め寄る場面もあった。斉藤氏は「議場でも取材していただきたかった。議会はオープンであるべきだと思います」と主張した。

 斉藤氏の質問が始まった午後4時ごろには、約70席の傍聴席はほぼ満席になり、注目度の高さをうかがわせた。関係者によると、東北新幹線の建設計画に対する反対運動が起こり、区議会で審議して以来、約40年ぶりに傍聴席が埋まったという。

 

「筆談区議」が初登壇=バリアフリー政策問う−東京都北区(2015年6月25日配信『時事通信』)

 

東京都北区の6月定例区議会本会議で一般質問に立つ斉藤里恵区議

 

聴覚障害を抱える「筆談ホステス」として有名になり、4月の東京都北区議選で初当選した斉藤里恵区議(31)が25日、6月定例区議会本会議の一般質問に初登壇した。斉藤区議は、質問をパソコンに打ち込み、読み上げソフトを活用して音声に変換する形で区のバリアフリー政策などについて尋ねた。

 具体的には、障害を持つ区民が健常者と同様に情報を得られる「情報保障」の必要性を強調。「区の広報番組の字幕対応を検討すべきだ」などとただした。

 これに対し、花川與惣太区長は「字幕化を含め、区民の誰もが情報を共有できるよう発信方法を研究する」と答弁。斉藤区議は、区議会が貸与したタブレット端末上で、音声が文字変換されて表示されるのを見て、内容を理解していた。

 本会議終了後、記者団の取材に「トラブルなく終えることができた。前向きな答えをもらえてうれしい」と応じた。 

 

■斉藤りえ 2015/06/25 一般質問(斎藤りブログより引用)

 

北区を元気にする会の、斉藤りえです。

4月26日の区議会議員選挙におきまして、北区のみなさまのご支援をいただき、初当選をさせていただきました。

区議会議員という立場に、誇りと責任を持ち、区民の皆様の信託にこたえるべく、北区の発展のために、全力で取り組んでいく所存でございます。

また、現在も使わせていただいておりますが、全国の自治体の中でこの度はじめて、パソコンの持ち込みに加え、各種音声ソフトの使用が認められたことに関しましても、みなさまに御礼申し上げます。

 様々なソフトを検討いただいた議会事務局の職員のみなさまをはじめとして、山田かなこ議長、そして、北区議会議員のみなさまのご協力とご理解により、聴覚障害というハンディキャップを乗り越え、議会活動が可能となりました。

改めまして、感謝を申し上げるとともに、いただきました環境を最大限に活用し、北区のますますの発展に貢献していく決意をあらわし、質問に移らせていただきます。

 まずはじめに、様々な障害がお有りの区民のみなさまに対して、北区役所として、どのような想定のもと、どのような対応をしているかに関して、質問させていただきます。

ご存知のように、北区内には、都内に2つしかない障害者総合スポーツセンターのうちの1つがあり、また区内に複数ある特別支援学校をはじめとする、障害者関連施設も充実しており、障害がお有りのかたにとっても、大変住みやすい地域です。

そして、施設が充実しているだけではなく、障害のあるかたに対しての、区民のみなさまの理解も進んでいるように感じます。

私自身も、耳が聴こえないという障害がありますが、以前より北区が、障害がお有りのかたに対して、とても理解が深い街であるということを聞き、子育てを機に西ヶ原に引越してまいりました。

実際に生活してみると、聞いていたよりも、さらに北区は住みやすい街であり、障害者だけではなく、子どもにとっても、大変素晴らしい環境の整った街であると感じています。

 さて、障害者への対応の1つに、情報保障という考えがあります。

情報保障とは、障害がお有りのかたに対しても、健常者のかたと同様に、情報を得ることができる状態を作ることです。

 現在、北区の広報課が担当している広報物に関しては、すでに一部情報保障がされています。

広報誌である「北区ニュース」は、点字版だけではなく、音声が録音された、「テープ版」や「デイジー版」があります。北区のホームページも、音声の読み上げ機能、文字サイズを大きくすることや色合いの変更、ふりがな表示で、お年寄りから幼い子ども、また色弱のかたに対しても、利用しやすい対応をしています。

広報番組である「いい顔 北区」に関しても、手話通訳が入ったものも作成されています。

 しかしながら、障害といっても、皆一様ではありません。

限られた予算の中ではありますが、障害をひとくくりにすることなく、様々な想定をし、対応すべきだと考えます。

例えば、広報番組である「いい顔 北区」においては、字幕をつける対応などを検討すべきだと考えますが、今後、北区としてはどのように対応をしていくのか、情報保障全体に関しても合わせて、ご見解をお伺いします。

 加えて、障害がお有りのかたからの、声を聞く方法も、検討すべきだと考えます。

 例えば、先日、区内にお住まいの、聴覚障害がお有りのかたから、「区役所の夜間の連絡先にはFAXがなく、電話でしか連絡することができず、困っている」というお話しを伺いました。

 夜間の連絡先とは、1715分以降の連絡先である、区役所の巡視室のことです。例えば、区の関連施設で行なっている工事の際の騒音や振動などは、1715分以降は、この巡視室におかれている電話に連絡することになります。

 た、聴覚障害がお有りのかたが、夜間に緊急事態が発生した際、健聴者のかたとの通訳を行なっていただく、「手話通訳者」への連絡を行うためにも、1715分以降は、巡視室に連絡する必要があります。

 当然ですが、聴覚障害がお有りの方は、電話することができません。

現状では、巡視室に連絡するためには、健聴者のかたに代理で連絡してもらう以外に、方法がありませんでした。

 例えば、巡視室にFAXを設置することで、このようなケースを解決することが可能です。

こうしたことは一件、小さなことかもしれません。しかし、障害がお有りのかたにとって、他人の手を借りずにできることが一つでも増えていくことは、大きな意味を持ちます。

 政がそれを率先して行うことは非常に重要かと思いますが、今後、どのように対応をしていくのか、ご見解をお伺いします。

 きまして、北区内に住んでいる障害がある児童に対する教育について、質問させていただきます。

 北区は、障害のあるかたにとって、とても住みやすい街です。それは大人だけではなく、子どもにとっても同じです。

 れは、東京都からも認められており、北区、教育委員会は、「特別支援教室モデル事業」の指定を受けております。

 この事業は、導入当初は教員のかたの負担の増加や、保護者のかたの心配などもあったと聞きますが、現在では、とても効果が見られ、保護者のかたから喜びの声、そして、実際に通われているお子さんからも、大変嬉しい声を聞いています。

私も、幼い娘を持つ母親として、北区の学校教育が、都内でも有数の素晴らしい環境であることは誇りに思います。

関係各位並びに、教員のみなさまには大変感謝いたします。

巡回指導事業が、大変うまくいっている一方で、しかしながら、いくつか問題点があることも聞いています。

そのひとつに、教員の人事権があります。

 北区内の小学校に関しての決定は北区が主導して、行うことができますが、一方で教員を採用や配置するのは、東京都の管理となっています。

大変素晴らしい知識や経験、ノウハウを持っている先生のみなさんが、急に他の区へ赴任されてしまうこともあるでしょう。

 このモデル事業は、今後、都内全ての自治体に展開される予定となっています。

つまり、北区内で発生した課題は、他の区でも起きる可能性があります。

北区は、障害のある児童に対する教育に、数十年前より熱心に取り組んできた歴史があり、現在では都内でも有数の教育水準を持っています。

このような素晴らしい北区が、東京都の中でもリーダーシップを取り、教員の人事権などの、「二重行政」とも思われる部分の解決を目指し、障害のある児童に対する教育に、より一層貢献すべきだと考えますが、北区としてどのような見解をお持ちか、お伺いします。

 次に、子育て支援事業についてお伺いします。

 北区は、未就学児童への支援は充実しており、子育てをするために、北区に引っ越してきた、という声を聞くこともあります。

しかし、それ以上に、子どもが小学校にあがるときに、「学童クラブが18時までだと仕事ができない」と言って、北区から転出していく友人も、何人もいました。これは、少子化が進んでいる現状においては、大きな損失だと思います。

 北区はこれまで、学童クラブの定数の拡大など、子育て支援サービスの向上に向けて、様々な検討を行なってきたことは理解しています。

しかしながら、学童クラブの終了時間については喫緊の課題だと認識しています。

中でも、北区においては、民間に委託している学童クラブは終了時間が19時までに1時間延長されているにも関わらず、北区が直接管理している学童クラブは終了時間が18時までと、1時間の時間の差が見られます。

幼稚園や保育園であれば、自分の住んでいる場所に関わらず、条件の見合った園を選ぶことが可能です。

しかしながら、学童クラブは自らの住んでいる地域によって、強制的に通う場所が決まってしまいます。

住んでいる場所によって、区が行なっているサービスにも関わらず、明確な差が見られるのです。

これは大きな問題であると考えます。

学童クラブの時間を延長することによって、職員のかたの勤務時間が伸び、負担が増すことも理解しています。そうであるのならば、学童クラブを全て民間に委託することも検討すべきだと考えます。

北区は現在でも、学童クラブを毎年民間に委託する数が増えています。しかしながら、最終的に全ての学童クラブを民間に委託するのかどうかは決まっていないようです。北区として、学童クラブの民間委託を進めていくのか、進めていくのであれば最終的なゴールはどのような状態を目指しているのか、見解をお伺いします。

 加えて、学童クラブの時間延長により、職員の人件費の増加だけではなく、児童の安全面確保のための予算を増やす必要があることも、理解しています。

そうであるのであれば、他の区が行なっているように、別料金が発生する、受益者負担の仕組みを取り入れることも、検討すべきだと考えます。

私も、働きながら子育てをする、1人の母親として、学童クラブはとても重要な課題です。

北区議会議員の一員として、負担が増えるのであれば、区民のみなさまに理解を得られるよう積極的に説明も行なっていく所存です。

ぜひ北区として、学童クラブの時間延長について、具体的な計画を立て、問題の解消のために前向きに検討していただきたいと考えます。

今後、どのように検討していくか、お考えを具体的にお伺いいたします。

次に、ファミリー・サポート・センター事業、子どもショートステイ子どもトワイライトステイ事業について、お伺いします。

保護者のかたが、病気や仕事などの理由で、養育を行えない場合に、一時的に子どもを預ける制度として、ファミリー・サポートという制度と、ショートステイとトワイライトステイ事業があります。この2つの制度は、大変役に立つ、素晴らしい制度だと考えています。

この2つの制度を比べますと、大きな違いとしては、一時的な預かりか、「泊まり」での預かりか、そして、子どもの預かり先が施設かサポート会員の自宅等か、という点にあります。

北区内にお住まいのかたの、ご意見を聞きますと、ショートステイやトワイライトステイのように、一時的な預かりではなく、泊まりでの預かりを対応いただけることは、大変、ありがたいそうです。

しかしながら、子どもへの負担を考えると、ファミリー・サポート会員の自宅等と比べ、施設に預けることを、躊躇してしまうことも多いようです。

理由はこれだけではありませんが、泊まりで子どもを預けたいというニーズがあるにも関わらず、ショートステイやトワイライトステイは年間20件程度しか利用されていません。一方で、ファミリー・サポート事業は年間1万件を超える利用があり、こちらは大変活発に利用されています。

 共働きの家庭も増えている中、やむを得ない理由で子どもを泊まりで預けなければならない場合もあるでしょう。

ファミリー・サポート事業の中でも条件付きで泊まりでの預かりを認めるなど、北区内のニーズに合わせて柔軟な制度を設計していくことが求められていると思いますが、この点についてどのようにお考えか、お伺いいたします。

次に、児童相談所の、移管について簡単にお伺いします。

北区は子育てに力を入れており、「子育てするなら北区が一番」、というキャッチコピーをかかげています。私自身も、子育てを機に、北区に引越してきておりますので、現在でも北区の子育て支援は大変に素晴らしいものだと認識しています。

しかしながら、児童相談所に関しては、東京都から移管が進められることが検討されているにも関わらず、その移管は順調とは言えない点もあるように思えます。

「子育てするなら北区が一番」をより確かなものとするために、子どもや子育て家庭に対する支援や、地域社会と連携して子どもの成長をあたたかく見守り、育む環境づくりに取り組んでいく必要があり、そのためにも、児童相談所の移管は重要であると認識しております。

移管に向けての検討の中で、現在どのような事柄が問題になっていると認識されており、どのように対応を検討していくのか、お伺いいたします。

 

以上、複数、質問させていただきました。ご答弁、よろしくお願いします。

北区議会議員 斉藤りえ

 

「筆談ホステス」斉藤里恵区議が初質問 白のスーツで登壇(2015年6月25日配信『産経Biz』)

 

東京都北区議会で初の一般質問を終え、記者会見する斉藤里恵区議

 

東京都北区議会で25日、「筆談ホステス」だったことで知られる斉藤里恵区議(31)が、初めて一般質問に立った。耳が不自由でスムーズに話せない斉藤区議は、パソコンに入力した文章を音声変換しスピーカーで議場に流す方法で、障害のある児童への教育や、子育て支援の取り組みなどについて尋ねた。

 白のスーツで登壇した斉藤区議は、持参したノートパソコンを二つのマイクに近づけ、事前に打ち込んだ内容を音声にして流した。障害者でも連絡ができるように、区施設の夜間受付に電話だけでなくFAXを設置する考えがあるかなどを質問し、区側は「適切に対応したい」と答えた。

 区側の答弁では、音声を文字に変換して斉藤区議に貸与したタブレット端末に表示するシステムを利用。変換の精度を高めるため、区側の担当者はゆっくりとした口調で話していた。

 

(一語一会)東京・北区議、斉藤里恵さん 娘の栄万ちゃんからの言葉(2015年6月25日配信『朝日新聞』)

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筆記で会話する斉藤里恵さん


 ■耳の聞こえないママがいい。だって栄万のママだから
 「よろしく、おねがいします」。差し出された名刺に、余白があった。「ここは、筆談のため。区民の方に、要望を書いてもらう場所」。そう言ってほほえんだ。
 1歳の時、髄膜炎の後遺症で聴力を失った。会話の手段は、読唇術、筆談、手話。話すのは苦手だが…

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補聴器購入費助成へ 軽・中等度の難聴児に北海道(2015年6月24日配信『朝日新聞』ー「アピタル」)

 身体障害者手帳の交付を受けられない軽度・中等度の難聴児を対象に、道は補聴器の購入費用の助成を始める。「子どもの聴覚障害は心身の成長に影響する可能性が大きい」と、関係団体から要望が出ていた。
 高橋はるみ知事が23日の道議会代表質問で「難聴を抱える子どもにとって補聴器の早期の使用は健全な発育を促すと考えられる」と述べ、今年度中に助成を始める方針を示した。
 18歳未満が対象。補聴器購入額の3分の1を上限に、市町村の補助額と同額を道も助成する。地域づくり総合交付金を原資とする。補助制度のない市町村には制度を設けるよう促すという。

 

手話通訳で議論傍聴を/高松市議会が導入(2015年6月24日配信『四国新聞』」)

 

 高松市議会は6月23日、聴覚障害者に議事の内容を伝える手話通訳を、26日開会の6月議会から導入することを決めた。傍聴の希望があった本会議や委員会などについて、県聴覚障害者協会に手話通訳者を派遣してもらう。利用は無料。
 「開かれた議会」に向けた取り組みの一環。市議会事務局は「制度を活用し、ぜひ議論を傍聴してほしい」と呼び掛けている。
 申し込みは、専用の届出書に必要事項を記入し、原則として傍聴する会議の5日前(土日、祝日を除く)までに同事務局に提出する。届出書は同事務局窓口に置いているほか、市のホームページからダウンロードできる。
 問い合わせは同事務局議事課〈087(839)2808〉。



 本市議会では、より多くの方に議会を傍聴していただくため、2015年6月定例会以降、公開している本会議及び委員会において、手話通訳を介した傍聴を行うこととしました(高松市議会議事課)。

お知らせここをクリック(タップ)(pdf)

高松市議会HPここをクリック(タップ)

 

手話の輪広がる 石狩で初のフェスタ盛況 体験コーナーに行列/翔陽高生が劇熱演(2015年6月23日配信『北海道新聞』)

 

いしかり

手話体験コーナーで指文字やあいさつの仕方を学ぶ参加者

 

 漫才や劇などを通じて手話の魅力を体感する「石狩手話フェスタ」が21日、花川北コミュニティセンターで初めて開かれ、関係団体を含め約300人が参加した。ろう者との手話体験コーナーには行列ができ、会場のあちこちに表情豊かな手指による会話と笑顔が生まれていた。
 昨年4月に「石狩市手話に関する基本条例(手話条例)」が全国の市町村で初めて施行されたのを記念し、市内の手話サークルなど6団体でつくる実行委が開いた。
 フェスタでは、手話漫才コンビ「ぷ〜&み〜企画」の舞台や、9月に鳥取県で開かれる「第2回手話パフォーマンス甲子園」への出場を目指す石狩翔陽高ボランティア局の生徒による手話劇が披露された。
 手話通訳士や手話サークルの会員が指導する体験コーナーもあり、参加者は名前や年齢、趣味などの表現方法を熱心に質問。ろう者と手話で会話するコーナーには行列ができ、順番待ちの間に覚えた手話を何度も練習する子供の姿も。
 1年前から手話サークルに参加している札幌市北区の須貝京子さん(66)は「手話に取り組む大勢の人と会い、私も頑張ろうと勇気をもらいました」と笑顔を見せた。
 実行委員長で石狩聴力障害者協会の杉本五郎会長(68)は「石狩に手話条例がなければ、同じような機会を設けても参加者は少なかったでしょう。子供らが積極的に手話に挑戦する姿が見られ、とてもうれしい」と話した。

石狩市手話に関する基本条例ここをクリック(タップ)

 

香川県内全議会で可決/「手話法」求める意見書(2015年6月23日配信『四国新聞』)

 

 手話を音声言語と対等な言語として広く周知し、自由に学び使用することのできる環境整備を目指す「手話言語法」の制定を求める意見書が22日開会した土庄町の6月定例議会で可決され、香川県と香川県内17市町の全議会で可決された。全議会で可決した都道府県は香川が38番目。制定を推進する聴覚障害者団体は今後、条例の制定に向けて運動を強める方針という。
 法制化を目指す取り組みは、全日本ろうあ連盟(東京)が全国的に展開。地方議会に対し、国への意見書提出を働き掛けている。
 香川県内の各議会は昨年6月以降、順次審議を行い、昨年度末までに県と15市町の議会が可決。小豆2町が残っていたが、6月17日に小豆島町議会、同22日に土庄町議会で可決、県議会を含む18議会で可決された。
 香川県聴覚障害者協会の近藤龍治理事長は「『手話は言語』だと浸透させたいのでうれしい。ただ、これがゴールではない。今度は県や市町の条例化に向けて頑張っていきたい」とコメントした。
 同連盟によると、同様の意見書を可決した議会は22日現在、全ての都道府県議会と、区市町村議会の98・5%に当たる1715議会に上っているという。

 

手話で障害者施策ただす…聴覚障害の明石市議2015年6月23日配信『読売新聞』)

 

 4月の兵庫県明石市議選で当選し、聴覚障害者として全国初の市議となった家根谷やねたに敦子さん(55)が22日、初めて同市議会の一般質問に立ち、手話で市の障害者施策をただした。
 市議会は家根谷さんの当選後、議場では手話通訳がすべてのやり取りを通訳しており、この日も通訳4人が質疑を支えた。
 家根谷さんは、手話や点字の普及促進をうたった条例を同市が4月に施行したことに対し、「施行しただけでは意味がない」と具体策を質問。テレビ電話を介して、手話通訳がその場にいなくても、会話のサポートが受けられる「遠隔手話サービス」の導入を検討している――との市側の答弁を引き出した。
 約30分の質疑を終え、家根谷さんは「緊張したが、障害者に配慮が必要だと理解してもらえた」とほっとした表情。他の議員の質疑について「通訳が追いつかない場面があった。はっきり、ゆっくり話してもらえたら」と話した。議場では支援者ら約20人が傍聴。中谷優子さん(62)は市側の前向きな答弁に、「議員の発言は重みがある」と感心していた。
 金澤貴之・群馬大教授(障害児教育)の話「家根谷さんの一般質問は聴覚障害者の政治参加への大きな一歩。明石市議会の対応がモデルとなり、全国に広がることを期待したい」

 

全国初ろうあ市議:手話で質問、通訳と市長答弁スムーズに(2015年6月22日配信『毎日新聞』)

 

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明石市議会で初めて手話で一般質問する家根谷敦子市議

 生まれつき耳が聞こえず声で話せない「ろうあ」で全国初の議員になった家根谷(やねたに)敦子・兵庫県明石市議(55)=無所属=が22日、市議会の一般質問に初めて臨んだ。4月の市議選で公約に掲げた災害時の障害者支援の充実などを手話で質問し、市が公費負担で臨時配置した手話通訳者4人が交代で内容を読み上げた。
 「障害者をひとくくりにせず、障害に応じた対応が必要」「全ての人が暮らしやすいまちづくりの方向に進むのか、市長の見解を」
 緊張した表情で演壇に立った家根谷市議は、障害者差別の解消に向けた市の取り組み▽災害時の要援護者への対応▽障害者の職員採用−−の3項目について再質問も含めて約30分間にわたり、市側の考えをただした。
 答弁内容は、議長席横に立つ通訳者が最前列で座る家根谷市議に手話で伝えた。家根谷市議は、うなずきながら手元の原稿に線を引いたりメモを取ったりしていた。
 再質問では、障害者の多様なコミュニケーション手段の確保を目指す市条例の取り組みについて、市長から具体的な答弁を引き出した。泉房穂市長は「手話に限らず、前向きに取り組んでいきたい」とし、聴覚障害者向けの音声・文字の同時翻訳ソフトなどの支援装置を今秋をめどに議会に導入する方針を明らかにした。同様の装置は、聴覚障害がある斉藤里恵区議が初当選した東京都北区議会が今年5月に導入している。
 議会終了後、家根谷市議は「通訳が遅れる場面もあったが、無事に終わりほっとしている。今後も公約の実現に力を入れていきたい」と話した。
 市議会は家根谷市議の当選を受け、本会議や委員会などでの手話通訳の配置を決め、市に400万円の予算を求めている。市は手話通訳の資格を持つ職員2人(任期5年)の採用も予定している。

 

秦野市:市制施行60周年記念 吉田栄作さんCD販売(2015年6月21日配信『毎日新聞』−「神奈川版」)

 神奈川県秦野市の市制施行60周年を記念し、同市出身の俳優、吉田栄作さんがボランティアでレコーディングした「With You ありがとう」のCDが、7月に販売される。
 「ありがとう」は10年前、同市の市制施行50周年を記念して制作された曲。子どもたちに夢や希望、勇気を与えるとともに、ふるさと秦野を愛する市民の歌として作られたもので、今も市内の小学校で歌い継がれている。
 10年後の今年、60周年記念の市民企画事業として「ありがとう」のリレーコンサート実行委員会(斎藤裕太委員長)が1月から、同市入船町のイオン秦野ショッピングセンターを中心にコンサートを実施している。この活動に共感した吉田さんが、地域貢献としてボランティアでCDをレコーディングし、これを制作、販売することになったという。
 CDは1枚1000円(税込み)で2000枚を制作。7月15日から秦野市観光協会などで販売される。
 「ありがとう」は手話表現つきの歌として作られていることや、手話の普及を目的とした神奈川県県手話言語条例が4月に施行されたことにちなみ、収益は県聴覚障害者協会に寄付されるという。

神奈川県県手話言語条例ここをクリック(タップ)

 

「手話言語条例」早期制定目指す 県聴覚障害者大会(2015年6月22日配信『愛媛新聞』) 


 第66回県聴覚障害者大会が21日、四国由夫市金主町下分の川之江文化センターであった。県聴覚障害者協会(参鍋由美会長)が主催。関係者約2OO人が参加し、県と20市町の「手話言語条例」(仮称)早期制定を目指すなどとする大会宣言と、手話通訳者養成の充実などを求める大会決議を採択した。
 NHK手話ニュースのキャスターなどを務める高島良宏さんが「日本手話を教えるにあたって〜日本手話と日本語のズレについて〜」と題して講演。
 初級者は、助詞の代わりに指さし動作を入れることを意識すれば伝わりやすいなど、熟練度ごとに注意点を紹介した。手話を学ぶ上で「ろうあの人と交流しながら学び、文化も知ることが大切」とも指摘した。

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要約筆記派遣8市のみ(2015年6月22日配信『愛媛新聞』)


14年度県内実施 制度浸透不十分
 中途失聴者や難聴者の意思疎通を手助けするため、相手の話の要点をその場で文字にして伝える「要約筆記」。個人や団体の依頼に応じ、筆記者の無料派遣が市町村に義務付けられて今年で10年目を迎えるが、県内20市町で2O4年度に派遣実績があったのは8市にとどまることが、21日までの愛媛新聞の調べで分かった。派遣制度が浸透していない実態が浮き彫りとなり、自治体は担い手育成と会わせ、潜在的ニーズを掘り起こし幅広く利用を促す努力が求められそうだ。
 要約筆記の派遣は06年施行の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)が市町村に義務付けた。筆記者は聴覚障害者が病院を受診したり、会合に参加したりする時、横で話の内容をノートに書き、団体が主催する研修会などでは、参加者全員に分かるようにスクリーンに映し出す。県内自治体は社会福祉協議会やNPO法人に事業委託しているケースが多い。
 愛媛新聞が県内市町に14年度実績を聞き取り調査したところ、松山市539件、▽今治市71件▽東温市19件▽四国中央市▽宇和島市18件▽新居浜市9件―などだった。手話通訳派遣は16市町で計7874件あった。
 要約筆記派遇で松山、今治両市などは個人からの依頼が大半を占めるのに対し、四国中央、新居浜、大洲市はすべて団体からだった。個人利用が進まない理由に自治体担当者は「通院などに家族が付き添っている」 「個人情報を知られたくない」ことなどを挙げた。
 一方、実績ゼロは12市町で、担当者は「制度の周知不足かもしれないが、手話通訳に比べ、要望がほとんどない」と口のそろえる。担い手育成も大きな課題で、八幡浜市は「市内に要約筆記の資格者がいない。県の養成講座の受講者もこの数年ゼロが続いている。
 愛媛難聴者協会の河野啓一事務局長は「難聴の高齢者は手話を覚えるのは難しく、要約筆記のニーズは大きい。当事者は積極的に活用し、行政側も意欲的に取り組んでほしい」と要望している。

 

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要約筆記最前線 1 生活に寄り添う 難聴者のいる職場全体支援
 中途失聴者や難聴者のコミュニケーション手段の一つ「要約筆記」は、手話に比べ、まだまだ一般に知られていない。社会の高齢化で今後、ニーズが増すことが予測され、全国障害者スポーツ大会の愛媛開催を2O17年に控えていることもあり、担い手の育成が急がれる。要約筆記に取り組む県内現場を取材した。
 「要約筆記者の存在は大きい。日常生活の身近な所で寄り添ってくれる」。聴覚障害のある中城尚子さん(56)=松山市=は市役所での手続きや地域の会合などで、市の要約筆記の無料派遣制度を利用している。
 9歳の時、薬の副作用で重度の難聴になった。当時の補聴器は今ほど聞こえが良くなく、ふさぎ込んだこともある。39歳のころ、人工内耳を装着し、対面での会話はある程度理解できるが、複数の人が同時に話すと、いろんな声が混ざり合って聞き取りは難しくなる。
 
話ができるから、聞こえていると誤解されることもある。「要約筆記の助けがあるので、再び生活が楽しめるようになった」

情報3、4倍

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要約筆記者の研修会で模擬診察する藤崎智明医師(左)。筆記者が患者役の隣に座り、その場でノートに書きながら通訳した。

 要約筆記は難聴者だけでなく、難聴者がいる場全体への支援につながる。
 例えば、診察の場面。松山赤十字病院の藤崎智明内科部長は「患者と筆談したことがあるが、説明内容が単調になってしまう。筆記者がいれば、患者に伝える情報量は3、4倍に増える」と話す。
  藤崎医師自身、筆記者同席で診察をした経験はないが、5月中旬、市社会福祉協議会主催の筆記者向け研修会に招かれ、模擬通訳を体験。「医療現場にとって大きな手助けになる」と実感した。
 派遣制度を使わず、家族が付き添うことも多いが、県内最古参の要約筆記サークル「オリーブの会」(松山市)の渡部美佐子会長(70)は「医師は家族に向かって話してしまい、難聴者は帰宅後に家族から聞く。これでは情報保障にならない。その場で伝える要約筆記が必要だ」と話す。
 口元の動きで言葉を読み取る難聴者もいるが、医師の言葉を誤解してしまうこともある。「たばこは吸いますか」と「卵は好きですか」の動きはほぼ一緒。 「医療現場では命に関ねる場面もある」と指摘する。

手話は2割
 厚生労働省の2OO6年調査によると、聴覚障害者のうち、手話を日常的に使うのは約2割とされる。病気や事故で聴力を失った人や難聴の高齢者は手話を覚えるのは容易ではなく、文字情報に頼る人は多い。
 松山市では要約筆記の派遣依頼が毎月4050件程度あり、市が事業委託する市社協には「講演会に行っても聞こえない」「子どもの保護者会や進路相談などに行く気になれない」といった相談がある。
 市社協は今春、派遣依頼の窓ロとなる「手話生活相談室」を「聴覚総合支暖室」に名称変更した。
 支援室の吉田由香里課長補佐は「聴覚障害全般を支援することをあらためて明確にした。手話を使わない中途失聴・難聴者の相談が増えている。高齢の難聴者が引きこもり、認知症になる事例もある。要約筆記の派遣制度を活用してほしい」と呼びかけている。

 
要約筆記の派遣に関する問い合わせは、各市町の障害福祉担当窓口へ。

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第66回愛媛県聴覚障害者大会in四国中央(2015年6月21日配信『コスモチャンネル』)


 6月21日(日)川之江文化センターで第66回愛媛県聴覚障害者大会が行われました。
 式典では、聴覚障害者が「自立し平等に参加できる社会」にするために改善策や新しい取り組みに対する決議が行われ、手話ができる人を増やすことや、災害時に避難できる体制を整えておくことなど、さまざまな取り組みが提案されました。 

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高島

 

桂福團治さん、手話落語 7月12日、嬉野市で(2015年6月21日配信『佐賀新聞』)

 

 手話落語の公演が7月12日午後2時から、佐賀県嬉野市社会文化会館「リバティ」である。手話落語を考案した落語家桂福團治(かつら ふくだんじ)さんが、健常者も聴覚障害者も楽しめる落語を披露する。
 桂さんは1979年、のどの手術で発声できなくなった自身の経験から、落語を手話で同時に演じる手話落語を考案した。今回は、そのきっかけや手話落語を通したさまざまな経験を紹介する講演もある。前座は桂さんの弟子で自身も聴覚障害者の宇宙亭福だんごさんが務める。
 公演はユニバーサルデザインのまちづくりに取り組む嬉野市の市制施行10周年記念事業で開く。
 同市は昨年7月1日に「心の架け橋手話言語条例」も制定、市民が手話への理解を深め、手話で会話しやすい環境づくりにも取り組んでいる。
 入場整理券は同館のほか市内の図書館と公民館、鹿島市のエイブル、白石町の有明スカイパークふれあい郷、佐賀市文化会館で無料配布している。問い合わせは嬉野市文化・スポーツ振興課、電話0954(66)9320へ。

桂


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神戸市議会:開会 本会議のインターネット生中継で手話通訳(2015年6月20日配信『毎日新聞』−「神戸版」) 


 神戸市議会の6月定例会が19日開会。市みんなの手話言語条例が4月に施行されたのに伴い、インターネットで発信している本会議の生中継で手話通訳が始まった。
 手話を「言語」として普及させ、誰もが十分にコミュニケーションを図れる地域社会を目指して議員提案された「神戸市みんなの手話言語条例」が41日に施行されました。
 同条例の目的の実現に向け、神戸市会自らの率先した取り組みとして、19日の本会議から本会議生中継・録画放映に手話通訳を導入します(神戸市会事務局)。

 

神戸新聞6月17日

6月17日付神戸新聞

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帯広市に手話条例を 動き活発、内部協議 新得、鹿追町は制定(2015年6月19日配信『十勝毎日新聞』)

 

 手話を言語として位置付け、普及を促す「手話条例」の制定を求める動きが、帯広市内でも活発化している。管内では新得と鹿追の両町で制定されており、帯広ろう者協会(平野千秋会長)などは、7月25日に条例制定に向けて市民理解を進めるシンポジウムを開き、市民の間でも機運を高める考え。同協会からの要望を受け、市も条例制定の検討に入っている。
 手話がろう者の言語だと認め、手話が使いやすい環境整備を進める条例制定は、全国の都道府県や市町村で進んでいる。道ろうあ連盟によると、道内では昨年4月に全国の町村で初めて制定した新得町や鹿追町の管内2町の他、石狩市と名寄市の計4市町が条例を設けている。帯広市以外に、道や登別市、旭川市などが現在検討している。
 条例を設けた自治体では、住民対象の手話講座を開いたり、手話通訳者の育成を図っている。子供のころから耳が聞こえない人への理解を広げることが大切だと、小・中学校で手話教育に取り組んでいる自治体もある。
 帯広市内で障害者手帳を持つ聴覚障害者は3月末で835人。同協会は昨年4月と今年2月の2度、市に対して手話条例の制定を要望した。3月には、市議選の立候補予定者に手話条例に関するアンケートを実施。大半が手話条例に「賛同」と回答し、賛否を答えなかった候補も「聴覚障害だけでなく障害者全般での議論が必要」とした上で、基本的な方向性には理解を示した。
 条例制定は市議会でも複数回取り上げられており、18日の一般質問で藤澤昌隆市議(公明)に対して市は「検討している」と答弁。市保健福祉部は取材に対し、「条例を作るには(聴覚障害の)当事者や外部団体などの協力が必要になる。準備、調整をしている段階」とし、内部協議を進めていると説明した。
 7月のシンポジウムは同協会と市手話条例推進委員会(曽我修己委員長)が主催し、市内のとかちプラザで開く。NHK「みんなの手話」の講師を務めた早瀬憲太郎さんが講演し、ミニ手話教室などが開かれる。
 9月には帯広で「全国ろうあ高齢者大会」が開かれることから、ろう者を受け入れる環境や意識を高める狙いもある。曽我委員長は「条例を通して手話は言語であるとの理解が市民の間に広がってほしい。『ろう』とは何か、手話とは何かについて関心があればシンポジウムに来てほしい」と呼び掛けている。

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第27回全国ろうあ高齢者大会ここをクリック(タップ)

 

髪の毛で音を感じるヘアピン型装置「ONTENNA」 まるで未来のアクセサリー(2015年6月18日配信『ねとらぼ』) 


 聴覚障害者と協力して開発。音を振動と光に変換して、音のリズムやパターン、大きさを伝えます。
 ヘアピンのように髪の毛につけて、振動と光で音の特徴をユーザに伝える――そんなデバイス「ONTENNA」(オンテナ)が話題になっています。6月18日にWebサイトがオープンしました。

 

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 ONTENNAは、「まるで、ねこのヒゲが空気の流れを感じるように、髪の毛で音を感じることのできる装置」というコンセプト。30〜90デシベルの音圧を、リアルタイムで256段階の振動と光の強さに変換して、音のリズムやパターン、大きさをユーザーに伝えるというものです。公立はこだて未来大学大学院の本多達也さんが、聴覚障害者と協働して開発しました。

ONTENNAのWebサイトでは、聴覚障害者がONTENNAを使っている様子を写した動画が公開されています。ONTENNAにより鳥やセミの鳴き声のリズムやパターンを知覚でき、音が強くなっていくのも分かるそうです。耳たぶにつけられるタイプの「ONTENNA earring」も開発されています。

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バッジ着用開始「手話でどうぞ」 所沢市職員(2015年6月18日配信『東京新聞』)

 

ところざわ

 

 埼玉県所沢市の職員でつくる「市職員手話サークル」は、聴覚障害者らの問い合わせに手話で答えられることを示す「手話バッジ」を作り、会員の職員計36人が市役所で着用を始めた。
 手話バッジは、市のマスコットキャラクター「トコろん」をデザインし、ピンク色と緑色の2種類がある。ピンク色は「手話で会話ができる」ことを、緑色は「あいさつ程度の手話ができる」ことを示している。会員が首から下げた名札に取り付けている。小林昌治会長は「気軽に声を掛けてほしい」と話している。
 サークル員の1人で広報課の吉里聖子さんは、バッジには「聴覚障害の人ともコミュニケーションがとれる」との意味も込めているとし「気軽に接してください」と話している。
 市職員手話サークルは2000年5月に結成し、毎週1回の勉強会などを開いている。手話バッジは会員の発案で実現した。

 

歩みを進めてきた障害者議員(2015年6月17日配信『産経新聞』)

 

  障害を抱えて活躍する議員は、障害者の政治参加の壁を取り払うべく、歩みを進めてきた。
 衆院、参院両事務局によると、日本で初めて全盲の国会議員として活動したのは、1890(明治23)年に実施された第1回衆院総選挙で当選し、その後、失明した高木正年氏にさかのぼる。2人目の登場には時間を要したが、1988(平成元)年に参院で視覚障害のある堀利和氏が当選。2期務め、参院選での点字による記名投票実現に尽力した。
 聴覚障害者として初めて政治の世界に飛び込んだのは、2001(平成13)年から長野県白馬村議を1期務めた桜井清枝さん。村議会事務局は本会議や委員会に手話通訳者、要約筆記者を手配した。桜井さんが一般質問に立つ際は、事前に意見を記した書面を提出し、意思の疎通を図っていたという。
 また、車いすの議員としては1977(昭和52)年に参院議員となり、衆院にくら替え後は郵政相(当時)としても活躍した八代英太氏が有名だ。閣議に出席する八代氏のため、2000(平成12)年に首相官邸に車いす用リフトが設置されるなど、バリアフリー化のきっかけを作った。

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矢代氏

 

障害当事者の声届けたい 明石市議の家根谷さん 東京都北区議の斉藤さんら初の一般質問(2015年5月17日配信『産経新聞』)

 

 4月の統一地方選挙で当選した聴覚障害のある兵庫県明石市議の家根谷(やねたに)敦子さん(55)と東京都北区議の斉藤里恵さん(31)が来週、それぞれ初めての一般質問に臨む。議会側は2人をサポートするため、議場に手話通訳者を配置したり、音声や文字の同時翻訳ソフトを導入したりするなど、バリアフリー化に向けた動きを加速。聴覚障害者の団体は「ハンディキャップのある人たちの励みになる」と歓迎し、政治参加の道に弾みをつけると期待を寄せている。
 ■手話通訳で一般質問
 今月11日の明石市議会本会議。市長による議案の提案理由説明が行われ、家根谷さんは、壇上に立つ手話通訳者の手もとを見つめ、時折うなずいた。

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神戸市議会ネット中継で手話通訳 政令市で初導入(2015年6月16日配信『神戸新聞』)

 

 神戸市議会は19日開会の定例会から、本会議のインターネット中継に手話通訳を導入する。同市によると、政令市では初めての取り組みという。

 同市会の与党会派は、手話の普及を目指して「みんなの手話言語条例」の制定を提案。条例は4月に施行され、関連施策の実施を市の責務とする一方、市会独自の取り組みとしてネット中継での手話通訳を導入することにした。

 NPO法人「神戸ろうあ協会」が通訳を派遣。音声を聞きながら別室で手話通訳を撮影し、中継画面の右上に映るようにする。録画放映も対象になる。

 同市会事務局は「こうした取り組みをきっかけに、議会に興味を持つ市民が増えてほしい」としている。
 6月定例会の本会議は19、24日、7月1〜3日。一般質問は2、3日にある。

 

本会議インターネット中継に手話通訳を導入します(神戸市会事務局政策調査課)

 

1.概要

手話を「言語」として普及させ、誰もが十分にコミュニケーションを図れる地域社会を目指して議員提案された「神戸市みんなの手話言語条例」が、去る3月24日の本会議で可決され4月1日に施行されました。

同条例の目的の実現に向け、神戸市会自らの率先した取り組みとして、現在インターネットで発信している本会議生中継・録画放映に手話通訳を導入します。

2.開始時期

2015年6月19日の本会議から

3.他自治体の状況(神戸市会事務局での把握)

東京都議会、山梨県議会、熊本県議会、鳥取県議会、茨城県議会

政令指定都市での導入は初めてとなります。

 

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バリアフリー 議場から変えられる 障害ある議員ら意見交換(2015年6月14日配信『東京新聞』)

 

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元参院議員・堀利和さん(左)と東京都北区議・斉藤里恵さん

 

 聴覚や視覚、下半身まひなどさまざまな障害がある議員と議員経験者が障害者の社会参加について意見を交わすイベントが13日、東京都北区で開かれた。聴力を失い言葉も不自由な「筆談ホステス」として知られ、4月の同区議選で当選した斉藤里恵さん(31)ら4人が足元の議会のバリアフリー状況などを話し合い、「障害者を排除する社会は、自分たちで変えられる」と訴えた。

 他に、政令市初の「車いす議員」で現在6期目の名古屋市議、斎藤亮人(まこと)さん(55)、視覚障害者の元参院議員、堀利和さん(65)、日本で初めて議場に盲導犬を伴った新潟県長岡市の元市議、藤田芳雄さん(67)が参加した。

 

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車いすの名古屋市議・斎藤亮人さん(左)と新潟県元長岡市議・藤田芳雄さん

 

 斉藤里恵さんは、自身の当選後に北区議会に国内で初めて、音声を文字に変換表示するシステムが導入されたことを紹介。斎藤亮人さんは障害者が政治参加する意義を「障害者団体の声を行政に届けられる」と強調した。イベントは、障害者の就労支援などをするNPO法人「わくわくかん」(北区)が主催した。

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通訳確保 熱い視線…手話条例 相次ぎ施行(2015年6月14日配信『読売新聞』)

 

 ◇フォーカスひょうご

 

兵庫

今月6日には「手話フォーラム」が開かれ、条例を施行した5市の市長らが課題を報告した

 4月、県内の自治体で、手話の利用促進を目指す条例が相次いで施行された。神戸、明石、三木、篠山、加東の5市で、手話言語法の制定を求める運動に賛同し、普及に力を入れ始めた。手話でのコミュニケーションが容易になれば、聴覚障害者のくらしは改善されるが、通訳者の確保など、課題も多い。
 「手話は、見たままを手で表現している『視覚の言語』なんですよ」
 加東市の平木公民館で6日夜、市の手話通訳士、龍美香子さんが親子連れや高齢者ら25人に語りかけた。今年度から始めた出張講座。「自動車」や「ボールペン」などの単語をどう表現するか想像してもらうなど、手話に親しんでもらう内容。この日が3回コースの初日で、手話で自己紹介できるようになるのが目標だ。
 全日本ろうあ連盟(東京)によると、2013年10月以降、鳥取県や北海道石狩市、山口県萩市など、3県と15市町で同様の条例が施行された。同連盟が進める、手話言語法の制定を目指す運動をきっかけに、各地のろうあ協会などが自治体にその必要性を訴え、首長や議会を動かしてきた。
 条例を制定した自治体が注力しているのが、加東市の出張講座のような、市民に手話への理解を深めてもらう取り組みだ。神戸市は年内に手話の基本を紹介したパンフレットや、ホームページ用の動画を制作する予定で、明石市は全市立小学校で手話体験教室の開催を検討している。
 さらに、全自治体が実施している手話通訳者の派遣について、対象を拡大する動きも出てきた。
 現行制度では、公費負担での派遣は、聴覚障害者の「病院の受診」や「市役所の手続き」などが中心だが、明石市は今年度から要件を緩和。自治会の活動や友人の結婚式、就職活動の面接などにも利用できるようにした。同市は、派遣回数が昨年度の約700回から約1500回と、倍以上に増えるとみる。神戸市も要件を緩和し、昨年度の約2倍にあたる約2000万円の予算を計上した。
 ただ、派遣要請が急増すると対応が難しくなる自治体もある。篠山市は、手話が必要な聴覚障害者24人に対し、派遣できる通訳者は実質6〜7人。「仕事や家庭の事情などがあり、緊急時に人繰りに苦慮することがある」と担当者は漏らす。
 現状では、手話通訳の多くが仕事や家事との掛け持ちで活動している。資格の取得には早くても5〜6年かかり、養成も簡単ではない。特に、人口規模の小さな自治体では、人材の確保の点でも、財政負担の意味からも、サービスの拡大が難しい側面がある。
 群馬大学の金澤貴之教授(障害児教育)は国レベルの支援を拡充すべきだとしたうえで、「自治体間の格差をなくすために、県レベルの条例制定を急ぎ、市町村と一体となって施策を進めるべきだ」と指摘する。鳥取県では、テレビ電話を介して、離れた場所から通訳してもらう「遠隔手話サービス」を提供しているといい、「タブレット型端末を活用するなど、それぞれの地域でアイデアを出してほしい」と提言している。

 ◇手話言語法 聴覚障害者があらゆる場面で自由に手話を使える環境を整えるため、全日本ろうあ連盟が制定を求めている法律。聴覚障害者が〈1〉手話で教育を受ける機会が保障される〈2〉政治参加のために手話を使用する機会が保障される――などの21条が盛り込まれている。2006年に国連の「障害者権利条約」が採択されたことを受け、同連盟が条文を作成した。

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手話で親睦深める 青年のつどい(2015年6月14日配信『読売新聞』)

 

 群馬県内で開催中の「第63回全国ろうあ者大会inぐんま」(全日本ろうあ連盟主催)で13日、若者同士が交流を深める「青年のつどい」が前橋市日吉町の市総合福祉会館で開かれた。

 つどいには、全国から集まった18〜35歳の173人が参加。会場のホールや体育館では、開催地の群馬にちなんで、だるまの絵付けや「まゆ玉転がし」などが行われ、参加者は手話を通じて親睦を深めていた。

 まゆ玉転がしは、まゆに見立てたビニール製の大きな玉を3〜4人で転がしてタイムを競うもの。まっすぐに進まない玉に苦戦しながらも、大会で初めて出会った若者たちが力を合わせて競技を楽しんだ。

 だるまの絵付け体験では、高崎市のだるま職人の指導で、それぞれの願いを込めて顔を描いていた。

 同連盟青年部長の広田喜春さん(35)は「手話にも方言があるので対話を積み重ねて通じ合い、将来まで続く若い仲間との関係を築いてほしい」と話していた。

 

「第63回全国ろうあ者大会inぐんま」(2015年6月13日配信『上毛新聞』−「三山春秋」)

 

▼全国から聴覚障害者ら約3千人が集まり、「第63回全国ろうあ者大会inぐんま」が、前橋市内などで開かれている。14日までの日程で、研究分科会(13日)や式典(14日)などが予定されている 

▼主催する全日本ろうあ連盟は、戦後間もない1947年、伊香保温泉で結成された。200人を超える人が米や野菜、みそなどを持ち寄り、炊き出しをしながら団結を誓ったという 

▼発祥の地での全国大会は初めて。これに合わせて、68年前に結成大会の開催場所となったホテル木暮(当時の木暮旅館)の駐車場など2カ所に記念碑が建立され、連盟関係者らが除幕した 

▼2年前、学生時代に手話関連のベンチャー企業(神奈川県藤沢市)を起業した高崎市出身の大木洵人(じゅんと)さんを取材した。聴覚障害者が社会に関われる環境を後押しするため、IT機器を活用し、遠隔手話通訳やオンラインの手話辞典作成などに取り組む 

▼起業時のことを振り返り、「手話が“公用語”だった。グループの名称も、手話の表現が先に決まった」と話していたことが印象に残っている

▼県内では4月、手話言語条例が施行された。手話を言語と位置づけ、聴覚障害者を含む誰もが共生できる社会を目指しており、議員提案で制定された。大会や条例を契機に手話への理解が深まり、県民への普及が進むことを期待したい。

 

 

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全日本ろうあ連盟:ろう者の思い新たに 連盟発祥の地、群馬・伊香保に記念碑 聴覚障害の筑波技術大生がデザイン(2015年6月13日配信『毎日新聞』)

 

 群馬県渋川市の伊香保温泉に、聴覚障害者の当事者団体「全日本ろうあ連盟」の発祥の地を示す二つの記念碑が建てられた。このうちの一つは、筑波技術大(つくば市)総合デザイン学科に通う聴覚障害のある学生3人がデザインした。学生は11日開かれた除幕式に参加し、聴覚障害者の自立や社会福祉の発展に向けた思いを新たにした。

 記念碑は、1947年に連盟の結成大会が開かれた伊香保の「ホテル木暮」敷地内と温泉街中心部の渋川市市有地の2カ所にある。このうち温泉街の記念碑は、学生のデザインだ。

 

ホテル木暮」敷地内

 

 記念碑のコンペを知った町田陽伽(はるか)さん(20)が昨夏、友人の日影舘(ひかげだて)美樹さん(20)と小國雅治さん(23)に声をかけてデザインを開始。講義の合間や放課後に試行錯誤を重ねた。記念碑を前に、日影舘さんは「自分たちのアイデアが本当に碑になるとは思っていなかった。想像以上」と感激していた。

 碑は三つの御影(みかげ)石で構成され、歴史、現在、未来を表現する。球体の「現在」を、「聾(ろう)」を意味する手話をモチーフにした「歴史」と「未来」の石が両脇から包み込んでいる。

 「歴史」の石には、3人がノミで無数の白い点を彫った。小國さんは「点々は先輩たちが地位向上や手話普及のために努力を積み重ねたことを意味したかった」と語る。町田さんは「今の私たちが自由に生活できるよう、多くの先輩が苦労をしてくれた。一番気に入っている『未来』の石は、明るいイメージ。上へ上へと向かっています」と説明した。

 ◇結成大会から68年 差別解消、権利回復求め続け

 結成大会から68年。ろう者自らが、差別解消や権利回復を求め続けてきた。

 戦前の聴覚障害者団体は聾唖(ろうあ)学校長ら健常者がトップ。差別や偏見は厳しく、権利回復という概念はなかった。「健常者から可愛がられるろう者になれ」という教えが根幹にあったという。

 ろう者自らが立ち上がったのは終戦後。手紙をやりとりし、木暮旅館(現ホテル木暮)に全国から約250人が集まった。当時は地域差もあった手話で運動方針を深夜まで議論し、連盟は「ろう者による、ろう者のための、ろう者の組織」として翌48年に正式発足した。戦中に散り散りになり、社会から孤立しがちだったろう者にとって「直接会って手話で話す」意味は大きかった。

 

ろうあ連盟:群馬に記念碑…創立70周年控え(2015年6月11日配信『毎日新聞』&12日配信『朝日新聞」&「NHKニュース』)

 

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渋川市市有地

 

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温泉街中心地に建てられた記念碑=群馬県渋川市伊香保町で

 

 創立70周年を控えた「全日本ろうあ連盟」の発祥地・伊香保温泉(群馬県渋川市市有地)で11日、記念碑の除幕式があり、参加した関係者が「聴覚障害者の自立や社会福祉発展を誓う」と思いを新たにした。
 全日本ろうあ連盟の石野富志三郎理事長は「手話は命。この記念碑には先人たちの思いが詰まっている」「きょうは連盟にとって忘れられない1日になると思います」とあいさつした。
 続いて除幕が行われ、集まった人たちは「拍手」を示す手話で喜びを表した。
 記念碑は、茨城県の筑波技術大学に通う聴覚に障害がある大学生がデザインを考えたもので、耳が聞こえない「ろう」を示す手話をモチーフにし、数多く描かれた白い「点」は、聴覚障害者の地位向上や手話の普及などに努めてきた先人たちをイメージしている。
 群馬県聴覚障害者連盟の早川健一理事長は「記念碑を多くの人に見てもらうことで、聴覚障害者への理解を深めていきたい」と話した。
 記念碑は、連盟の結成大会が1947年に開かれた伊香保の「ホテル木暮」敷地内と温泉街中心部の2カ所に建てられ、この日は相次いでお披露目された。
 聴覚障害者が処遇改善を求める機運は太平洋戦争終結後に高まり、木暮にも全国から200人ほどが集まり、当時は地域差もあった手話で運動方針などを議論。連盟は翌48年に正式発足した。
 もっとも、戦前にも1915(大正4)年、東京ろうあ学校の同窓会メンバーが集まり結成した「日本聾(ろうあ)協会」という聴覚障害者団体はあった。全国のろう者にとっては、集まって手話でコミュニケーションをとることが楽しみだったが、第2次大戦中、戦時統制の名目で協会は解散させられた。「当時ろう者は『かわいがられるろう者になりなさい』という教育を受け、権利や要求を出しにくい状況だった」。

 戦後、一人ひとりが文通を重ねたきたろう者のなかから全国組織結成の機運が生まれた。障害者ということで断る旅館が多い中、集まることを快諾したのが当時の木暮旅館(現・ホテル木暮)だった。終戦後で東京は荒廃し、旅館があって全国から集まりやすい伊香保温泉が選ばれた。ろう者らは、全国各地の駅で汽車に乗るため徹夜で並んで切符を買い、米や野菜を持ち寄って伊香保温泉に集まったという。

その2年の1950年に、当時の厚生省(現・厚生労働省)の下で、財団法人化(現在は、一般財団法人)が認められた。

以来、連盟の運動が国の制度を変えてきた。1979年には、住宅ローン利用などを認めていなかった民法が改正され、1989年には手話通訳士の認定制度が整った。

運転免許は2008年、ワイドミラーと聴覚障害者マーク装着を条件に聴覚が全くなくても取得可能になった。結成当時19歳だった前橋市の三輪威二(たけじ)さん(87)は「ろう者が運転できるなんて考えられなかった。伊香保で始まった運動の火を絶やさないでほしい」と話した。
 なお、除幕式の様子は、手話と字幕の番組「目で聴くテレビ」(CS放送)で特別生中継された。

 

障害者スポーツ、県内主要13競技DVD制作(2015年6月12日配信『愛媛新聞』)

 

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NPO法人が制作した障害者スポーツのDVD

 

 障害者スポーツの魅力を伝え、参加を促そうと障害者就労支援などに取り組む「NPO法人ぶうしすてむ」(愛媛県松山市、川崎寿洋理事長)は、県内で行われている主な13競技を紹介するDVDを制作した。2017年に愛媛で開催される全国障害者スポーツ大会に向けた盛り上がりも期待している。

 収録時間は約1時間。車いすバスケットボールやブラインドテニスなど各団体の練習内容を紹介している。インタビューもしており、バレーボールの選手らが「病気で友達を失ったけど、スポーツを通じて仲間ができた」と語っている。

 DVDは600枚制作。県内の病院や相談窓口などに配布する。DVDの問い合わせは、ぶうしすてむ=電話089(923)5002。各団体など障害者スポーツについては、県障害者スポーツ協会=電話089(924)2101。
 なお「NPO法人ぶうしすてむ」は、障害を持つ人々が、精神的・社会的に自立して、社会参加・就労できるようになるために、コンピュータやその周辺領域の知識や技術を利用した仕事の開拓・研修・実習・実務に関する事業を行うとともに、他の障害者支援団体との交流事業を行うことで障害者の社会への完全参加と自立に役立つことを目的としている。

 

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差別ない社会 心に描いた 日本も批准 障害者権利条約(2015年6月11日配信『東京新聞』−「夕刊」)

 

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絵本を手に「条約の精神が守られているか注視したい」と話す藤井克徳さん

 

 障害者への差別禁止と社会参加実現を目的に国連が2006年に採択し、昨年1月に日本が批准した「障害者権利条約」。この条約が目指す社会を広く知ってもらおうと、全盲の視覚障害者で、NPO法人日本障害者協議会(東京都新宿区)代表を務める藤井克徳(かつのり)さん(65)が「えほん障害者権利条約」を出版した。「条約を生かした社会になれば、障害者だけでなく、だれにとっても暮らしやすくなる」と語る。 
 「障害者権利条約がきちんと守られたらどうなるのだろう?」。絵本を開くと、そんな問い掛けとともに、手話の授業が行われ、子どもたちがブラインドサッカーを楽しむ学校や、車いすの女性が仕事に励むオフィスの様子が描かれている。
 生まれつき弱視だった藤井さんは、角膜移植を5回繰り返した。しかし、視力は次第に衰え、50歳のころには文字が読めなくなり、4年前に光を失った。
 日本障害者協議会代表として、何度も米ニューヨークを訪れ、条約制定に向けた国連の特別委員会を傍聴し続けた。06年8月、特別委で条約草案が仮決定された時の盛り上がりを鮮明に覚えている。「歓喜の口笛、足踏みが3分ほど続いた。みんなが抱き合う雰囲気を感じてぞくぞくした」
 日本では、同協議会をはじめ当事者団体から「条約が骨抜きにならないよう、まず国内法の整備を」と声が上がり、13年6月に障害者差別解消法が成立するなどしてから条約が批准された。
 ところが、「かなり人権意識が高いと思われる企業で条約を話題にしても『知らない』『名前だけなら』という答え。ショックだった」と藤井さん。条約の精神を、幅広い世代に伝えたいと願い、絵本づくりを決めた。
 挿絵は、静岡市の障害者施設職員里圭(さとけい)さんに頼んだ。「目が見えないので、イメージ通りの絵になっているかどうか、里さんとやりとりするのが最も大変でした」と振り返る。
 絵本は「さあ、わけへだてのない社会のはじまりです」という言葉で結ばれている。藤井さんは「ハンディのある人もない人も平等に生きていける社会の実現のため、条約がどれだけ効力を発揮できるか。われわれも、受け入れ側も努力が必要です」と言う。
 汐文(ちょうぶん)社発行、32ページ。税込み1620円。全国の書店で購入できる。

 藤井克徳氏=1949年福井県生まれ。東京都立小平養護学校(現在の東京都立小平特別支援学校)教諭を退職した後、日本初の精神障害者のための共同作業所「あさやけ第2作業所」やきょうされん(旧称は共同作業所全国連絡会)の活動に専念。埼玉大学教育学部非常勤講師(兼職)を経て、現在、日本障害フォーラム(JDF)幹事会議長、NPO法人日本障害者協議会代表、きょうされん専務理事、WAsia(重度障害者就労事業のアジアネットワーク)代表、公益財団法人日本精神衛生会理事。

 <障害者権利条約> 障害者の基本的人権と尊厳を保障するための人権条約。前文25項目、条文50カ条からなり、障害のない市民との平等の実現のため、差別や偏見をなくすことに重点が置かれている。表現や移動の自由、地域での自立した生活、政治や余暇活動への参加などを定める。

えほん障害者権利条約ここをクリック(タップ)

 

四国初の聴覚障害者養護老人ホーム ミタニ建設工業で着工(2015年6月11日配信『建通新聞』)

社会福祉法人土佐平成福祉会(高知県日高村本村5ノ5 岡本幸夫理事長)は、四国で初めての聴覚障害者養護老人ホーム「第2土佐くすのき荘(仮称)」を新築するため、ミタニ建設工業(高知市)の施工で6月10日に着工した。

聴覚障害者養護老人ホーム建設中(社会福祉法人土佐平成福祉会HPより)

 

聴覚障害者および各関係機関より多くのご要望をいただいておりました「聴覚障害者養護老人ホーム」を視覚障害者養護老人ホーム「土佐くすのき荘」の東隣に建設する運びになりました。四国では初めてとなります聴覚障害者養護老人ホームは平成27年度中の開業を目指して建設しています。

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造成工事中の聴覚障害者養護老人ホーム(写真左/右は視覚障害者養護老人)

社会福祉法人土佐平成福祉会HPここをクリック(タップ)
[所在地]
高岡郡日高村本村字土橋5-5
【車の場合】
道の駅「あいの里」から車で約3
いの駅より車で約20分、佐川駅からは車で約30

 

聴覚障害者の自立と支援態勢 考える 全国ろうあ者大会(2015年6月9日配信『東京新聞』)

 

 全国の聴覚障害者と支援者らが集まる「全国ろうあ者大会inぐんま」が6月10〜14日、前橋市のヤマダグリーンドーム前橋を主会場に開かれる。主催する「全日本ろうあ連盟」は1947(昭和22)年に伊香保温泉で結成されており、発祥の地・群馬での全国大会は初めて。参加者は約3000人を見込み、聴覚障害者の自立や支援態勢の強化に向けて決意を新たにする。

 メーンテーマは「つどえ連盟発祥の地ぐんまに!誓い合おう さらなる飛翔(ひしょう)を!」。記念式典がある14日は、聴覚障害者向けの県内教育機関が設立され、伊香保で連盟が結成された秘話を描いたビデオ「上州ろうあ物語」の上映もある。

 期間中は、手話通訳者の養成の現状と課題、差別解消について考える研究分科会や、聴覚障害者による全国写真コンテストの作品展などがある。

 13日は、前橋市文化スポーツ観光部参事の手島仁さんが、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」をテーマに講演する。ヒロイン・文の弟、敏三郎は生まれた時から耳が聞こえず、敏三郎がその時代にどのように生きたのかなどを解説する。

 大会開催に向け、前橋市は山本龍市長の手話による歓迎メッセージ動画を制作した。市ホームページで公開しており、県手話言語条例の紹介や、「前橋は豚肉がとってもおいしい」などと観光PRもしている。

 

群馬

 

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山本龍市長の手話による歓迎メッセージ動画ここをクリック(タップ)

 

手話条例と支援拠点、「聞こえ」へ連携 京都・城陽市(2015年6月8日配信『京都新聞』)

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府聴覚言語障害センターではすでに手話通訳者の講座が開かれている(城陽市寺田)

 

 京都府城陽市で4月、府内初の手話言語条例ができ、5月には聴覚言語障害者を支援する社会福祉法人の施設が開所した。相次いだのは偶然だが、両者は互いに「連携」を呼び掛け、「障害への理解を深めたい」としている。高齢化が進み、耳の聞こえづらさは身近な問題になっている。条例と施設の役割や意義を取材した。
■「市の責務」施策の受け皿に
 「手で輪を広げる城陽市手話言語条例」は4月1日に施行した。手話を「言語」とし、手話習得の機会の保障を「市の責務」と掲げた。具体的には企業や保育園、幼稚園での手話指導、啓発チラシの作成などを行う。手話通訳者の養成につながるよう市が実施する簡単な手話を習う講座の充実も検討している。成田昌司福祉課長(43)は「手話を身近なものにしたい。英語の勉強のように知識を広め、人生を豊かにするものと捉えてほしい」と語る。
 一方、京都聴覚言語障害者福祉協会(京都市中京区)が城陽市寺田のJR城陽駅近くに設置した府聴覚言語障害センターには、さまざまな機能がある。手話通訳者や要約筆記者などの養成と派遣▽難聴幼児のサポート▽聴覚障害者のデイサービス▽就労支援を兼ねたカフェ▽中途失聴者らの自立訓練−などで、柴田浩志所長(60)は「子どもからお年寄りまで1カ所で対応できる府南部の拠点ができた」と胸を張る。
 5月17日の開所式では、協会の高田英一理事長が「手話言語条例を施行された時期に開所式を行うことは意義深い」とし、奥田敏晴市長も「本年度は聴覚障害への理解が進む年になるだろう。連携を深めたい」と応えた。
 両者は「具体的な連携方法の検討はこれから」としながらも、手話言語条例の施策展開において「センターが人員、施設面で受け皿になれる」(柴田所長)と示唆する。
 条例施行やセンター設置の背景には、高齢化が進む中、暮らしに切実な課題を抱える人が増加している状況がある。協会が2003年に行った山城地域の聴覚障害者へのアンケートで、聞こえにくくなった時期は40、50代が22・9%で最も多く、60歳以上が20・7%で続いた。困りごとを問う質問では、バス・電車の車内放送、病院の呼び出し、銀行や役所などでの会話の聞き取りづらさを多くの人が挙げ、いかに日常生活が不便かが明らかになっている。
 柴田所長は、憲法で手話を言語として保障しているフィンランドでは聴覚障害者支援が充実していると指摘。城陽市がつくった条例の重要性を強調する。「誰もが耳が聞こえなくなるかもしれない。身近な問題と感じてもらいたい」と訴える。

 

障がい者、妊婦、病人、沖縄戦で排除の対象 体験の継承訴え(2015年6月8日配信『琉球新報』)

 

 浦添市は7日、障がい者が沖縄戦当時、どのような立場に置かれていたかを学ぼうと「障がい者と沖縄戦」と題した講演会を開いた。県視覚障害者福祉協会会長で強度弱視の山田親幸さん(80)が北部の山中に避難した戦争体験を説明し「家族に守られたから生き延びることができた。戦闘の激しい南部にいたら生きていなかったかもしれない」と語った。沖縄国際大学名誉教授の安仁屋政昭さん(80)が、弱い立場にある人たちが強いられた悲惨な体験は十分に語り継がれていないと指摘した。

 山田さんは戦中、大宜味村喜如嘉の山中で食料不足に苦しみながら家族11人で3カ月間暮らした。家族が食料を探しに出る昼間に2歳の妹の子守をした。妹が空腹で泣くと周りから「米兵に聞かれる」と怒られた。「両親が米兵に殺されて帰って来なかったらどうしよう」と不安にも駆られた。

 山田さんには脳性まひで右半身が不自由だった長兄がいた。徴兵検査で「丙種合格(不合格)」とされ、学校では「米食い虫」と心ない言葉を浴びせられた。長兄は強い負い目を感じてか、軍事情報誌を読み込み、危険が大きい地域の見張り番をするなどの“軍国少年”になった。山田さんは「死んでも構わないと、せめてもの戦争協力だったのだろう」と振り返った。

 安仁屋さんは、砲弾が落ちても動じない聴覚障がい者が批判されたり、スパイ扱いされたりし、障がい者自身が「俺たちは邪魔者だ」と、自殺を話し合ったこともあったと話した。妊婦に加え、結核やハンセン病などを患う病人も排除の対象となったとし「事実を踏まえて冷静に実態を把握し、二度と起きないようにしないといけない」と訴えた。

 

「不自由さ」減らしたい(2015年6月7日配信『熊本日日新聞』−「射程」)

 

車いすを利用する友人がいる。「久しぶりにお茶でも」と誘ったまではよかったが、待ち合わせの場所選びに戸惑った経験がある。

友人の場合は駐車場が必要だったが、そこは簡単にクリアできた。ところが、入り口の段差やスロープ、身障者トイレの有無となると、何度か訪れたことがある店でも記憶があいまいで、確信が持てない。最終的には電話で店に確認して決めたが、ふだん車いす利用者が強いられている「不自由さ」に対し、いかに自分が無関心だったかを痛感した。

4月の東京都北区議選で、トップ当選を果たした斉藤里恵さん(31)は聴覚障害者。銀座の「筆談ホステス」として脚光を浴びた異色の経歴を持つ。1歳10カ月で病気のため聴力を失い、スムーズに言葉を発することができない。手話は勉強中で「初心者レベル」。相手の唇の動きで話を理解し、コミュニケーションは筆談に頼っている。

「障害者の声を政治の世界に届けたい」と出馬を決断したが、初めての選挙戦には公選法が「壁」となって立ちふさがった。チラシを配ったり、メッセージを書いたプラカードを掲げたりすることが禁じられているためで、街頭では有権者一人一人に駆け寄り、握手やジェスチャーで支持を訴えるしかなかった。公選法の規定は、すべて「音」があることが前提で、斉藤さんは「言語、聴覚障害者は排除されていると感じた」と振り返った。

北区議会は音声を自動で文字に変換して表示するシステムを導入。斉藤さんは今月3日、そのシステムを使って委員会で初めて質問した。以前から聴覚障害者の傍聴について対応を検討していたが、斉藤さんの当選が後押しとなったという。

社会には、いろいろな人がいる。それぞれが感じている「不自由さ」を減らすため、議会、議員は先頭に立つべきだろう。

 

ぼくの命は言葉とともにある(2015年6月7日配信『毎日新聞』−「余禄」)

 月を見たことがある。夏の夜、金色の光輝を放つ円盤は、やけに明るく感じられた。宇宙はすぐそばに、手の届くところにある。そんな感覚が身内にわき上がった
▲盲ろうという障害を持ち、初めて東京大学教授になった福島智(ふくしま・さとし)さんは近著「ぼくの命は言葉とともにある」(致知出版社)で語る。光と音を失った高校生のころ、自分が地球上から引きはがされ、光のない真空の世界に投げ込まれたように感じたという
▲見えない、聞こえない人となって福島さんは学友のもとに戻ってきた。過酷な運命に直面している福島さんの手のひらに、友人の一人が指先で書いた。「しさくは、きみのためにある」。思索。その時から言葉は新しい意味を帯びて福島さんの前に立ち現れた
▲実際には、母の発明した指点字によって福島さんは社会とのつながりを再び手に入れた。ニューヨークのイタリア料理店で4時間以上、福島さんと語り合ったことがある。酔いながら指点字の通訳者を介して縦横無尽に話す。少し甲高い声に神々しさすら感じたものだ
▲言葉には思いもよらぬ力が潜んでいる。ささいな言葉の行き違いから、人間関係がすさむことさえある。中高生に人気の無料通信アプリLINEでのいじめは深刻だ。いじめる側は軽い気持ちでも、深く傷つき、自殺に追い込まれた中学生もいる
▲盲ろうとは宇宙に1人で漂っているようなものだと福島さんは言う。真空に浮かんだ自分をつなぎとめているのが言葉、他者とのコミュニケーションだ。「私の魂に命を吹き込んでくれたのも言葉だった」。福島さんの言葉を子どもたちに届けたい。

福島智=1962年兵庫県生まれ。3歳で右目を、9歳で左目を失明。18歳で失聴し、全盲ろうとなる。1983年東京都立大学(現・首都大学東京)に合格し、盲ろう者として初の大学進学。金沢大学助教授などを経て、2008年より東京大学先端科学技術研究センター教授。盲ろう者として常勤の大学教員になったのは世界初。
 2008年に出演したNHK「課外授業 ようこそ先輩」『みんな生きていればいい』の回は日本賞グランプリおよび「コンテンツ部門 青少年向けカテゴリー 外務大臣賞」を受賞。現在は、大学でバリアフリー論、障害学(Disability Studies)の研究と教育に従事する一方、盲ろう者を含めた障害者の福祉増進を目指す社会的活動に取り組む。
 社会福祉法人全国盲ろう者協会理事、世界盲ろう者連盟アジア地域代表なども務める。

福島


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ひょうご手話フォーラム:普及もっと加速を 条例制定4市取り組み紹介(2015年6月7日配信『毎日新聞』−「神戸版」)

 手話を言語と認めて普及を図る「手話言語条例」を制定した県内4市の市長らを招いたシンポジウム「ひょうご手話フォーラム」(県聴覚障害者協会主催)が6日、神戸市灘区の灘区民ホールで開かれた。条例制定後の取り組みや今後の課題について、市民ら約500人が耳を傾けた。
 手話言語条例は2013年に鳥取県が全国で初めて制定。県内では加東▽篠山▽神戸▽三木−−の4市が制定し、明石市も同様の条例を定めている。
 県内で初めて昨年11月に条例を制定した安田正義・加東市長は、ケーブルテレビで手話講座の配信を始めた独自の取り組みを紹介。兵庫教育大が市内にキャンパスを構えることから「国語や英語と同じように学校で手話を学べるよう、教員にけん引役になってほしい」と期待を込めた。
 酒井隆明・篠山市長は条例制定後、市職員が昼休みに手話教室を開いたり、市議長が市民との会合で手話であいさつしたりするなどの“変化”を披露。手話通訳者について「正規職員としての採用を検討したい」との意向を明らかにした。
 三木孝・神戸市保健福祉局長は、教育現場での理解の促進を条例に盛り込んだとして「手話ができる教員が少ないので、研修を充実させたい」と話した。自身も片目が不自由な北井信一郎・三木市副市長は「障害のある人の痛みを理解しあえる世の中にしたい。市役所の窓口などでも手話で対応できるようにしたい」と目標を掲げた。

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筆談区議 共生社会に向けて前進を(2015年6月7日配信『産経新聞』−「主張」)

 

 4月の統一地方選で、2人の聴覚障害を持つ議員が当選した。東京都北区議の斉藤里恵さんと、兵庫県明石市議の家根谷(やねたに)敦子さんだ。

 「筆談ホステス」の著書もある斉藤さんを迎えた北区議会は、音声変換システムを導入した。発言者の声は同時翻訳ソフトで文字化され、タブレット端末に表示される。

 斉藤さんが発言する際は、パソコンに打ち込んだ文字を音声変換ソフトが読み上げる。

 明石市議会は、本会議場や委員会に手話通訳者を配置した。立候補、当選という2人の行動がもたらした成果だ。

 障害を持つ人自身による行動や訴えが、環境を変える近道であることを示す好例といえる。さまざまなハンディキャップを持つ人が当たり前に参加、貢献できる共生社会の形成に向け、こうしたあらゆる機会をとらえていきたい。

 2020年に東京で開催するパラリンピックを、その大きな契機としなくてはならない。

 こんなこともあった。

 政府がパラリンピック選手専用の強化拠点を新設する構想を公表したところ、当のパラリンピアンから反対の声が上がり、方針は変更された。

 彼ら、彼女らが求めたのは一人一人のアスリートとして、五輪選手強化に使用されているナショナルトレーニングセンターを共用することだった。

 障害者スポーツの枠に隔離されることなく、五輪選手と同じ施設、技術、環境で、互いに鍛え合う強化を望んだ。

 日本パラリンピアンズ協会がまとめたアンケートでは、9割以上の選手が五輪拠点との一体化を求めたという。

 専用施設を設けるという政府の当初案も、よかれと考えてのものだったろう。だが、当事者の声がなければ、独りよがりの、ありがたがられない施設に巨費を投じるところだった。

 共生社会の形成に必要なのは、障害者自身が声を出し、手を挙げ、訴えることだ。社会がこれに傾ける耳を持ち、主張しやすい環境をつくりあげることだ。

 車いすに乗って街に出て、わずかの段差を乗り越えることにどれだけ困難を伴うか、初めて知る。気づいたら、声に出す。その小さな一つ一つが、やがて社会を変えると信じたい。

 

佳子さまも感涙された『奇跡のひと マリーとマルグリット』 映画もバリアフリー化の予感(2015年6月6日配信『産経新聞』)

 

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映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」のチャリティー試写会参加のため、会場に到着された秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さま=5月19日、東京都千代田区の有楽町朝日ホール(左端は東大教授福島智氏)

 

 秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さまが5月にチャリティー試写会で鑑賞された仏映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」が6日に公開された。19世紀末のフランスを舞台に、目と耳が不自由な少女マリー(アリアーナ・リボアール)が修道女マルグリット(イザベル・カレ)に反発しながらも手話を教わり成長していく実話だ。
 邦題からも分かるように、マリーと彼女を献身的に教育するマルグリットの関係は、映画や舞台化された「奇跡の人」の多重障害者ヘレン・ケラーと恩師サリバン先生を想起させる。メガホンをとったジャン・ピエール・アメリス監督は、思春期のころに見た映画「奇跡の人」(1962年)に感銘を受けて以来、盲ろう者についての研究を続けていく過程でマリーの存在を知った。
 紀子さまと佳子さまは公務などを通して手話への理解が深い。試写会を後援した全国盲ろう者協会の福島智理事によると、「(紀子さまは)上映中、時折声を出して笑われたり、マリーが母と父にパズルを使って言葉を伝えるシーンで涙を流されているご様子でした」という。

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アリアーナ・リボアール

 

1995年3月4日、フランス・オーヴェルニュ生まれ。マリー役をろう者、もしくは盲者の少女にオファーしようと考えていた監督のジャン=ピエール・アメリスによって見出され、本作で映画デビューした期待の新星。耳が不自由な彼女はフランスのサヴォワにある国立聾学校の寄宿生で、バカロレア(大学入学資格)を取得している。

 

聴覚障害乗り越え銀幕デビュー 仏新人女優が語る「奇跡のひと マリーとマルグリット」(2015年6月5日配信『日刊スポーツ』)

 

視覚と聴覚に障害をもち、三重苦で生まれた実在の女性と、教育係の修道女の交流を描いた仏映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」が、66日公開する。主人公の少女マリー・ウルタンを演じたのは、自身も聴覚に障害を持つアリアーナ・リボアール。ハンディキャップを乗り越え女優デビューを果たしたリボアールが来日し、撮影を振り返った。

物語の舞台は19世紀末のフランス。生まれつき目も耳も不自由で、一切教育を受けずに育ったマリーが、聴覚障害の少女たちが暮らす修道院にやってくる。マリーは野生児のように獰猛で誰にも心を開こうとしなかったが、不治の病を抱えた修道女マルグリットは、残された人生をかけてマリーを教育し、マリーは言葉を獲得していく。ジャン=ピエール・アメリス監督がメガホンをとり、イザベル・カレがマルグリットを演じた。

盲ろうであるだけでなく、人間的な教育を受けるまで野生児のように生きる少女を演じられる女優を求め、アメリス監督はいくつもの若い聴覚障害者のいる学校をたずねたという。そんな中で、オーディションに“来なかった”少女がリボアールだった。そもそも、演じることに興味はなかったのだろうか。

「学校に貼られていた募集告知が、あまり私の興味をそそる書き方ではなかったの」ときっぱり。そんなリボワールの快活さと強さが、マリー役にぴったりだとアメリス監督は確信したそう。「でも、実際監督に会って作品を紹介してもらって、すぐにこの役を演じたいと思ったわ。シナリオのディテールも気に入ったの」

実在の人物マリー・ウルタンさんを演じるにあたり、スタッフや手話通訳者の協力のもと取材を行った。「ヘレン・ケラーについては知っていたけど、アメリカではなくてフランスにも同じような人がいることを、シナリオを読んで初めて知ったわ。その後、実際に盲ろうあの方に会って、どんな先生がいて、どんなコミュニケーションをとっているのかを学んだの」。そして、役作りについて「私はろうだけれど、そこに目が見えないということを演じるのにあたってたくさんの訓練をしたわ。盲の人の態度や表情には独特のリズムがあるけれど、一度身につけるとそれほど難しくなかった」と振り返る。

生前のウルタンさんは「頑固な人で、自分がこうじゃないと思ったことはちゃんと拒絶する人。怒りを秘めている人で、ちょっと気難しいところのある人だったみたい」と説明、自身との共通点は「人生に対する障害は同じよ。私も自分のやりたいようにやるし、人の言う通りにはならないの(笑)。日や人によって優しくなったり、気が強くなったりするのよ」とおどけた表情で語る。

劇中でマリーの扱いにマルグリットは手を焼くが、このように障害者と健常者との間で対立が起きてしまうのは、「情報が不足しているから」だとリボアールは主張する。「これからどこへ行き、何をするかという単純な情報もわからないと不安になるの。だから私は母に、情報を求め、私が知る権利があることを常に訴えます。マリーも同じような状況だったと思うわ。なぜ学ぶ必要があるかということがわからず、無理やり押し付けられている感覚が耐えられなかったのでは。私たちは弱い立場なので、情報が与えられないと、自信が持てないの。コミュニケーションを円滑にするには、十分な情報が必要なのよ」

質問を投げかけるたびに、豊かな表情とパワフルな手話で詳細に答えようとするリボワール。「私は嗅覚がとっても優れていて、友達が見えなくても遠くから近づいてくるのがわかるし、夜は暗いところで猫のように目が見えるのよ」と自身の障害を補う特殊な能力をうれしそうに明かす。今後も女優業を続ける予定で「以前はろう者向けの教師になろうと思っていたけれど、今ははっきり進む道を変えたわ」と、力強いまなざしで語った。

「奇跡のひと マリーとマルグリット」は66日、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

 

「難聴者に映画の魅力伝えたい」奈良・大和郡山で日本語字幕作る(2015年6月5日配信『産経新聞』)


 耳の不自由な人に映画の魅力を伝えたい−。奈良県大和郡山市の要約筆記サークル「OHP金魚」が、同市が舞台の邦画『茜(あかね)色の約束 サンバDo金魚』の日本語字幕を作成した。人の会話だけでなく、自然の音や音楽の伝え方にも工夫を凝らした字幕は障害者だけでなく、耳が聞こえにくくなった高齢者などからの評判も上々。「映画を深く楽しむツールになる」とメンバーらは話している。
 要約筆記サークルは、聴覚障害者に講演などの内容を要約筆記して伝える団体。透明なシートにペンで講演内容を書き、OHP(透過式投影機)でスクリーンに映し出す。県聴覚障害者支援センターによると、県内では現在、12の団体が活動している。

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 なお、大和郡山市は2015年4月から「手話に関する基本条例」を施行している。

大和郡山市「手話に関する基本条例」ここをクリック(タップ)

 

茜色

茜(あかね)色の約束 サンバDo金魚ここをクリック(タップ)

 

「筆談ホステス」支援します! 音声を文字に…バリアフリー議会へ前進(2015年5月30日配信『産経新聞』)

 

 4月に行われた統一地方選挙では、聴覚障害を持つ2人の議員が誕生した。東京都北区議の斉藤里恵さん(31)と、兵庫県明石市議の家根谷(やねたに)敦子さん(55)。「聞くこと」と「話すこと」にハンディキャップを持ちながら、障害者らが暮らしやすい社会の実現のため、政治の世界に飛び込んだ。そんな議員の活動を後押ししようと、議会のバリアフリー化も手探りの中で進められている。

 

変換システムを導入

 26日午前、白のスーツ姿の斉藤さんが、筆談で使うボードなどを手に、北区議会の議場に入っていった。

 「筆談ホステス」として知られる斉藤さんは、1歳の時に聴力を失い、話すこともスムーズにできない。このため、北区議会はこの日の区議会臨時会から音声変換システムを導入した。議会事務局によると、全国で初めての試みだという。

 発言者の声は、音声同時翻訳ソフトで文字化され、区議会が貸与するタブレット端末に表示される。また、斉藤さんが発言する際は、パソコンに打ち込んだ文字を音声変換ソフトが読み上げる仕組みだ。

この日は斉藤さんの発言機会はなかったが、タブレット端末の文字を熱心に見たり、議長を決める選挙では立会人を務めたりした。

 取材に応じた斉藤さんは、「区長」が「苦労」になるなどの誤変換もあったが、「理解できた。区議会の皆さまに感謝している」と筆談で回答。「来月の定例会では質問する。自分の思いが伝えられると思うと今から楽しみ」と意欲を示した。

 斉藤さんは、区議選で有権者一人一人に駆け寄って握手やジェスチャーなどで支持を訴え、「バリアフリー社会」「女性の社会進出」などを公約に掲げ初当選を果たした。区議会は以前から聴覚障害者の傍聴について検討していたが、斉藤さんの当選が後押しになり、約400万円の費用を掛けてシステムの採用を決めた。

 

明石市は手話通訳者

 明石市議会では、生まれつき耳が聞こえず、話すこともできない家根谷さんが議員活動をスタートしたことを受け、本会議や委員会で原則として手話通訳者を配置することを決めた。

議会事務局は「傍聴席に手話通訳者を入れることはあったが、議場は初めて。試行錯誤している。全ての議員は市民からの負託を受けているので、しっかりと活動できるような支援をしていきたい」と強調した。

 全日本ろうあ連盟によると、聴覚障害者の議員第1号は、2001年の長野県白馬村議選に当選した桜井清枝さん。議会事務局によると、1期務めた桜井さんは手話通訳者や要約筆記者を置いて活動していた。

 障害を抱えながら、政界に進む人たちを、新潟県長岡市議を3期務め、全国で初めて盲導犬とともに議場に入った全盲の藤田芳雄さん(67)は、「大変なことだが、障害を持つ人が福祉などを訴えることが、障害者の理解を得るのに一番良い方法」と歓迎。「議会や行政には、議員活動がスムーズにいくような環境を整えてほしい」と訴えている。

 

<コウちゃんのクラス 特別支援教育を考える> (下)熱意(2015年5月29日配信『中日新聞』)

 

 コウちゃんこと、松本康汰君(11)=愛知県刈谷市=は2004年1月、双子の兄弟の弟として生まれた。兄の健汰君に障害はなかったが、コウちゃんは脳性まひだった。

 「康汰は風邪をひいても頭が痛いとか言うことができないし、症状の出方が普通の子とは違うんです」と祖母一代さん(65)。急に動きがバタッと止まって息遣いがおかしくなる。熱性けいれんじゃないかと病院に連れていったら、即座に入院ということが何度もあった。

 就学に際して困ったのは、特別支援学校が市内にないこと。隣の同県半田市にある「ひいらぎ特別支援学校」までは車で片道1時間半かかる。コウちゃんが5歳になったころから、父の建一さん(40)は地元の小学校での受け入れを求めて、刈谷市教育委員会に相談。市は予算が必要なことや、専門性のある教員がいないことなどを理由に、受け入れには消極的だった。

 だが、07年の学校教育法改正に伴う特別支援教育推進の流れと、建一さんの熱意が行政を動かした。市教委はコウちゃんの入学前、富士松東小学校の駐車場から車いすで移動できるバリアフリー構造に改築。入学後にクーラーを教室に取り付けた。

 当時、愛知県では肢体不自由学級は「児童2人以上」が開設要件で、「ひとり学級」は特例扱い。コウちゃんが入学した年は15校だけだった。人数の要件がなくなった本年度は62校に増えた。担当教員の研修にも県教委が力を入れるようになった。

 さらに、肢体不自由児を対象にした市立特別支援学校が18年度に開校することになり、中学の特別支援学級を経て高等部進学のめどが立った。児童が障害のあるコウちゃんと交流し、教育関係者もその意義を実感できたことで、地域の特別支援教育・福祉の充実につながってきた。

 「多くの方々の理解と協力に感謝しています」と建一さん。27日にあった交流学習に参加した健汰君は「コウちゃんはちゃんと首を上げて歌を聞いていて、頑張ってるんだと思った。みんながコウちゃんを見ているのはちょっと照れくさいけど」と温かい目で見守る。

 心身障害児の福祉・教育問題に詳しい同県豊田市こども発達センターの三浦清邦センター長は「特別支援学級と特別支援学校の連携によって、児童のコミュニケーションの可能性を広げることができ、周りの子どもの障害者理解も進んだ。こうした取り組みが広がってほしい」と評価する。

 ただ、同じ肢体不自由児でも、たんの吸引や人工呼吸など医療的ケアを必要とする子の受け入れ態勢は十分ではないという。看護師の配置がなければ地域の小中学校の特別支援学級で学ぶのは難しく、地域によっては特別支援学校に配置される看護師も不足しており、家族に付き添いを求めるケースもある。

 「すべての子どもたちが、個々に応じた教育を受けられ、日ごろ頑張っている家族の負担も軽減する仕組みをつくっていく必要がある」と課題を指摘する。

 

コウちゃんのクラス 特別支援教育を考える (中)連携(2015年5月28日配信『中日新聞』)

  

 曇り空の朝。特別支援教育支援員の鎮目圭美(しずめたまみ)さん(30)が、車いすを押して富士松東小学校(愛知県刈谷市)の校庭に出てきた。

 「コウちゃん、今日の天気はどうかな」

 鎮目さんは、反応のない松本康汰君(11)の手のひらを、太陽(晴れ)、雲(曇り)、傘(雨)をかたどった3種類のクッションに押し当てた。「そう、曇りだねー、正解でーす」と大きな声でほめた。

 触感を通してコミュニケーションの力を伸ばそうとする息の長い指導。支援員は、日常生活の介助や学習活動のサポートをする職員で、担任の深谷ひろみ教諭(57)との二人三脚で取り組んでいる。

 日めくりカレンダーをはがすのもコウちゃんの役目だ。腕を引っ込める癖を利用して、手でカレンダーの端を握らせてはがす。コウちゃんは指示を理解してはいないが、「よくできたねー」とほめられる体験を重ねるうち、「アー」と返事をしたり、声をかけた人に目を向けるなど、周囲への関心が高まってきた。

 コウちゃんとの学校生活は6年目となったが、「最初は途方にくれました」と深谷教諭は振り返る。重い脳性まひの子を指導するのは初めて。助けになったのは、肢体不自由の子の療育、教育のノウハウを持つひいらぎ特別支援学校(同県半田市)との連携だった。深谷教諭は3年間、毎月1回ずつコウちゃんと一緒に同校に通い、勉強してきた。同校の教師にもコウちゃんのクラスに来てもらい、かかわり方などのアドバイスをしてもらった。

 脳性まひの子の運動機能を伸ばすには、正しい姿勢が重要だ。1年生のころから、首が傾かないようにするために、クッションや枕を使って練習。余計な力が入って体がそらないように、マットの上にうつぶせになって力を抜くリラクセーションに取り組んだ。

 硬直していた手も、マッサージを続けるうちに、ボタンを押す動作が可能になった。3年生の時には、おもちゃに手を伸ばして触る行動が出た。食事では、固形物をかまずにのみ込む癖があったが、細かく切ったパンを奥歯の上に置くなどして、かむことを覚えた。

 成長を土台に、他学級との交流も広がった。

 今年2月の社会見学では、同級生たちと一緒に中日新聞社(名古屋市中区)を訪れ、新聞製作の現場を見て回った。この秋には京都・奈良への1泊の修学旅行がある。

 深谷教諭は、特別支援校のサポートを受けることで、孤立感を持つことなく指導に取り組めたという。「この子は分かっている、できると信じることで、コウちゃんの反応を待ち、気持ちを受け止められるようになりました」。

 

 <特別支援学校と小中学校との連携> 2007年施行の改正学校教育法で、従来の養護学校、盲学校、聾(ろう)学校が特別支援学校に名称変更されたことに伴い、地域の幼稚園、小中学校などにおけるセンター的な役割を持つことが定められた。

 具体的には▽要請に応じて障害のある子どもの個別指導計画や、教育支援計画の策定に協力▽教師への支援、研修協力▽福祉・医療など関係機関との連絡調整−など。

 

コウちゃんのクラス 特別支援教育を考える (上)笑顔の力(2015年5月27日配信『中日新聞』」)

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交流学習で、みんなの歌に大喜びのコウちゃん(中)=愛知県刈谷市の富士松東小学校で

 

 愛知県刈谷市の富士松東小学校。6年7組の教室で車座になった子どもたちの前で、「コウちゃん」こと松本康汰君(11)は、車いすにもたれ、首を垂れていた。
 脳性まひで、全身が不自由。生活全般に介助が必要で、知的障害も重く、コミュニケーションも難しい。
 「では、魔法の音楽をかけますよ」と、担任の深谷ひろみ教諭(57)がCDをセットした。
 ♪あるこう あるこう わたしは元気…。アニメ映画の挿入歌の「さんぽ」のメロディーが流れだすと、コウちゃんは、むくむくと顔を上げ、口元から笑みが広がっていく。
 「すごい」と、子どもたちからどよめきが起きた。
 「前は、動けなくてかわいそうだと思っていたけど、楽しい子だと分かって、体が不自由なのにすごいなって思うようになりました」。今月あった交流学習で、同じ学年の古小高詩音(こおだかしおん)さん(11)は目を輝かせた。
 コウちゃんのクラスは、肢体不自由の特別支援学級の7組。在籍児童はコウちゃん1人で、2010年の入学に合わせて新設された。以来、深谷教諭が中心となり、コウちゃんの力を伸ばす指導に取り組んできた。通常学級との交流学習、他の特別支援学級との合同学習も、その一環だ。
 昨年度は、1年下の4年2組との交流学習を計六回実施した。障害と障害者の日常生活を知り、「どうしたら一緒に遊べるか」を考える授業だ。
 名前を呼んでも返事がない。途中で寝てしまう。幼児用の楽器を持たせても音が出ない。でも、体に触れながら「コウちゃん、歌を聴きたい?」などとゆっくり話し掛けるうちに、視線が合ったり、大きな声で笑ったりするようになった。
 子どもたちは、コウちゃんが無理なく参加できるようにと、低い台を手でたたいて紙コップを落とす「トントン相撲」というゲームを考えた。声援が高まるとコウちゃんもはしゃぎ出す。そんな笑顔がみたくて、休み時間に遊びに来る子も増えた。
 「コウちゃんの表情が豊かになったし、子どもたちの心にやさしさ、自主性が育まれていく。共に成長する効果を実感しました」と深谷教諭。
 5回目の交流学習では、コウちゃんが「アー、アー、アー」と声の高さを変えながら、長く叫んだ。「あいさつしてるんだ」と子どもたちは大喜びした。
      ◇
 重い身体障害と知的障害がありながら、特別支援学校ではなく普通の学校の特別支援学級に通う子が少しずつ増えている。障害者権利条約(2006年の国連総会で採択)で「学習への平等な参加」が掲げられたことが追い風になっている。「ひとり学級」のコウちゃんと、支える人たちの姿を通して、障害児教育の在り方を考える。

 

パプア、手話を公用語化=イベントや記者会見でも(2015年5月27日配信『時事通信』)

 

パプアニューギニア政府は、聴覚障害者の知る権利向上を図るため、手話を英語、ピジン英語、モツ語に次ぐ「4番目の公用語」に認定した。手話の公用語化はニュージーランドを含む一部の国で例があるが、裁判などで手話を使う権利を保障するのが一般的。パプアは公的イベントでの使用など、さらに踏み込んだ内容とされる。 

 現地メディアによると、手話の公用語化は15日に閣議決定された。ゴア宗教・青年・地方開発相は、各政府機関は今後、あらゆるイベントや記者会見の場で手話通訳をつける必要があると説明。手話への理解を高めるため、報道機関向けにも手話講習会を開く。

 赤十字関係者は、現地紙に「(手話を使う)人に朗報で、情報を入手しやすくなる」と評価した。ただ、パプアニューギニアは全般的に福祉政策が遅れており、世界でも先進的な手話の公用語化は、やや唐突感をもって受け止められている。

 

筆談区議」議会に初出席 タブレット端末で進行を確認(2015年5月27日配信『スポーツニッポン』)

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所有しているパソコンに入っている音声入力ソフトを使って報道陣の質問に答える斉藤里恵区議

 聴覚障がいを持つ「筆談ホステス」こと斉藤里恵東京都北区議(31)が26日、初めて区議会に出席した。午前10時の開会を前に、白いスーツ姿で議場へ一番乗り。開会後は、斉藤区議を助けるために導入された、発言を文字に変換するタブレット端末を使って進行を確認した。
 閉会後に会見。「無事に終わってホッとしています。皆さまの理解に感謝です」と筆談ボードに書き込んだ。「区長」が「苦労」、議長名の「山田加奈子」が「山ちゃがっこ」などと誤変換されて端末に表示されたことを明かし、「(変換率は)80%くらい。一部不安はあったが、理解はできた」と感想。文教委員に就任し、早ければ来月3日の同委員会で音声読み上げソフトを使って“発言”する。

 

音声変換画面で議事追う 「筆談区議」初の本会議(2015年5月26日配信『東京新聞』−「夕刊」)

 「筆談ホステス」として知られ、4月の東京都北区議選でトップ当選した斉藤里恵区議(31)が26日、区議会本会議に初めて出席した。全国で初導入された情報技術(IT)による聴覚障害者支援システムを使って議事に参加した。
 斉藤区議は午前8時半ごろに1人で登庁。庁舎前に集まった報道陣が「バッジを着けた感想は」などと書いたメモを示すと「重みを感じます」「頑張ります」などと、力強く話した。

 

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 本会議では、斉藤区議の議席は最前列で、議長席に向かって右端。議場の発言を即時、文字に変換して表示する支援システムのタブレットに見入ったり、メモを取ったりしていた。隣の議員に言葉と身ぶりで何かを聞く場面もあった。
 この日は臨時会で議長の選出などがあった。斉藤区議は開票立会人を務めたほか、文教委員に就任した。議会は本会議の撮影を「改選期で議長が未選出で許可申請の受け付けができない」(議会事務局)として許可しなかった。斉藤区議は6月定例会では質問に立つ見込みで、パソコンの音声変換ソフトによる質疑を行う。

 

好調の大宮を手話で応援 参加サポーター1500人募集(2015年5月26日配信『東京新聞』)

 

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サポーターに手話を教える手話応援リーダー=14年9月、さいたま市のNACK5スタジアム大宮で

 7月12日午後6時からNACK5スタジアム大宮(さいたま市大宮区)で行われるサッカーJ2リーグの大宮アルディージャ対ファジアーノ岡山戦で、大宮を手話で応援するサポーター1500人を手話応援実行委員会が募集している。 この手話応援は、障害のある人との交流を進め「ノーマライゼーション」の普及を図ろうと、地元企業や大宮アルディージャ後援会などが委員会をつくり、2006年から始まった。これまで7〜9月のホームゲーム一試合で実施し、1300〜1500人がそろいのオレンジ色Tシャツを着て応援した。
 手話の知識は問わない。参加者は入場無料となる。プレゼントされるオレンジ色Tシャツを着て応援する。条件は当日午後3時〜同4時45分に会場を訪れて受け付けとチケットの引き換えを行い、同5時からの手話応援練習に参加できる人。応募者多数の場合は抽選となる。
 応募は往復はがきに(1)代表者氏名(2)住所(3)電話番号(4)ファクス番号(5)メールアドレス(6)参加人数を記載し、6月20日(当日消印有効)までに〒330−0854 さいたま市大宮区桜木町2の292の1、毎日興業手話応援実行委員会事務局に申し込む。
 当落は応募した人全員に七月上旬までに、はがきやメールなどで連絡する。問い合わせは事務局=電048(642)1238=へ。 

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筆談区議・斉藤氏 IT議会へ、他議員発言を文字変換して表示(2015年5月26日配信『スポーツニッポン』)

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26日の臨時会を前に意気込みを書き込んだ斉藤里恵区議

 

 東京都北区議会が25日、議会や委員会での発言を文字に変換し、議員の持つタブレット端末に表示するシステムを報道陣に公開した。4月の区議選で初当選した、聴覚障がいを持つ「筆談ホステス」こと斉藤里恵区議(31)の活動を助けるためにシステムの導入を決めた。全国の議会では初めて。斉藤氏が“議会デビュー”する26日の臨時会から運用される。
 区役所で会見した斉藤氏は「ほぼ問題ない。技術の進歩を実感しています」と電子ボードに書き込んだ文字を報道陣に見せ、笑顔で感想を伝えた。
 システムはマイクを経た音声をコンピューターがキャッチして、文字にする仕組み。議会では、議長ら発言者がマイクを使って話した言葉が、斉藤氏に渡される専用タブレット上に文字となって映し出される。
 事務局の実演では、議長役の職員がマイクを通じて話し始めると、ほぼ同時にタブレットの画面に文字が現れた。一部で文章の乱れもあったが、おおむね正しく変換されていた。
 一方で、斉藤氏が発言する場合は、斉藤氏の私用のノートパソコンを使用する。文字を打ち込むと、女性の音声が流れる仕組みになっており、議場ではパソコンをマイクに近づけ、音声を議場で聞こえるようにする予定。こちらも実演がスムーズに行われた。
 斉藤氏は議場で2回テストを行った。懸念される精度について「90%以上の変換率だった」と合格点。ソフトには、人名や地名など北区議会でよく使われる用語を300語以上登録。今後も語彙(ごい)を増やすことで精度を上げていく。ちなみに、議場でのヤジはマイクを通していない場合は文字変換されないという。
 一般の傍聴者も必要があればタブレットを借りることができる。
 ≪導入費400万円≫北区議会事務局によると、システムは議会と委員会室の2カ所に設置予定で、導入費用は400万円。区の予算で対応した。1カ所につきパソコンの親機1台とタブレット4台を設置する。

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私用の音声読み上げソフトを使って会見する斉藤区議

 

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臨時会のため東京都北区議会に登庁した斉藤里恵区議=26日午前

 

東京・北区議会:これが斉藤里恵区議支援のIT装置です(2015年5月26日配信『毎日新聞』)

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 東京・北区議会で導入された発言者の音声を自動で文字表示する専用タブレット 東京都北区議会は25日、聴覚障害を持つ「筆談ホステス」として注目を集め、4月の区議選で初当選した斉藤里恵区議(31)の議会活動を支援するため、議場や委員会室に導入した音声・文字の同時翻訳ソフトなどのIT装置を報道陣に公開した。26日の臨時区議会から稼働する。
 発言者の声を自動で文字に変換し、区議会が貸与する専用タブレットに無線通信で表示する仕組み。これを使えば聴覚障害のある市民の議会傍聴も可能になる。
 この日は、本会議で斉藤区議が一般質問をし、区長が答弁するとの想定で議会事務局の職員が装置を動かした。発音が不明瞭な場合は「紅葉」が「雇用」に誤変換されたほか、発言から表示までに1秒程度かかるため、「起立にて採決します」という議長の声に議員がすぐ反応できない可能性があることが確認された。事務局は「大意はつかめるが、採決など大事な局面では職員がサポートします」と説明した。

 

ランスで驚異的な大ヒットを記録!「フランス映画祭 2015」オープニング作品『エール!』日本公開日決定(2015年5月25日配信『OK Music」)

 

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 フランスで驚異的な大ヒットを記録し、多くの観客を笑いと涙で包んだ話題作『エール!』(原題:La famille Bélier)の邦題・公開が正式決定した。さらに「フランス映画祭2015」のオープニング上映作品として選出され、主役のポーラを演じセザール賞最優秀新人女優賞を受賞した、魅惑の新人ルアンヌ・エメラと監督のエリック・ラルティゴ(『プレイヤー』)の来日が決定した。
 映画『エール!』は、20151031日(土)新宿バルト9他全国ロードショー!
 フランスの田舎町…農家を営むベリエ家は、高校生の長女ポーラ以外、父も母も弟も聴覚障害者。美しく陽気な母、口(手話)は悪いが熱血漢な父とおませな弟。オープンで明るく、仲のいい家族だ。ある日、ポーラの歌声を聴いた音楽教師トマソンはその才能を見出し、彼女にパリの音楽学校のオーディションを受けることを勧める。夢に胸をふくらませるポーラだったが、彼女の歌声を聴くことができない家族は、彼女の才能を信じることもできず、もちろん大反対。ポーラは悩んだ末に、夢をあきらめる決意をする。しかしその歌声が、耳の聴こえない家族に届く出来事が起こる!
 本作は20141217日にフランスで公開されるやいなや、多くの観客に愛され、4週連続1位を獲得、12週連続でTOP10入りを果たし、700万人を超える動員記録を打ち立てた。主役のポーラを演じるのは、人気オーディション番組で注目を集めた新人ルアンヌ・エメラ。その奇跡の歌声で観客を包み込み、本年度セザール賞最優秀新人女優賞を受賞した。監督は『プレイヤー』のエリック・ラルティゴが務めている。
 
映画『エール!』は、20151031日(土)新宿バルト9他全国ロードショー!

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"筆談ホステス"斉藤りえさんと考える「美しいコミュニケーション」(2015年5月25日配信『DIGITAL BOARD

 化粧にいつもより5分多く時間をかけてみたり、好印象を狙ったファッションをしてみたり...外見はいくらでも「カワイイはつくれる」時代。だけど、本当は大きな目よりもスリムな体よりも、どんな場でも自分らしく会話を楽しめる、確固たるコミュニケーション力が欲しい。いるだけで場が明るくなって、話しているだけで落ち着ける。そんな"コミュニケーション美人"があなたの周りにもいるのでは?

 

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 今回お話を伺ったのは、"筆談ホステス"として知られ、先月東京都北区議会議員選挙で当選を果たした斉藤りえさん。耳が聞こえなくても銀座でNo.1ホステスになり、自らの口で街頭演説ができなくても選挙に当選するなど、コミュニケーションが必要とされる場で常に結果を出し、ステップアップし続けている。相手に心を開かせる何かがある。そんな彼女がコミュニケーションで大事にしていることとは、一体どんなことだろうか。

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支局長からの手紙:この指とまれ!(2015年5月25日配信『毎日新聞』−「香川版」)

 「人と共感できる」。この喜びを考える機会がありました。
 娘の結婚式に出席した話。来賓者があいさつで何を言っているかが分かり、その場で他の出席者と一緒に笑ったり泣いたりすることができた。「本当にうれしかった」と笑顔で語った70代の女性は中途聴覚障害者。彼女の耳代わりになった人は要約筆記者でした。
 息子と娘の中学校の卒業式。50代の女性は卒業生の言葉を要約筆記者が書いた文字で理解した。耳が不自由な彼女は、周囲が何を言っているかが分からず、孤独と疎外感を味わうことが多かった。子供たちの晴れの舞台で、みんなと同じように話が分かった時の感激。私にそのうれしさを懸命に伝える姿に胸が熱くなる思いでした。
 毎週水曜日の第3香川面で連載している「ともに 小国大夢物語」。この中で最初に紹介したNPO法人「香川県要約筆記サークルゆうあい」(高松市)理事、星川美智子さん(77)に招かれて出席した集まりでした。
 私が中途聴覚障害者の方々に質問した内容は、ゆうあいのメンバーが要約筆記をしてスクリーンに映し出します。その答えも同様です。
 字を書くのが好きで10年近く前、要約筆記者養成講座を受講した60代の女性。要約筆記は「毎回、ドキドキしながら大事な言葉を聞き逃さないようにやっています。でもなかなかうまくいかず、『この次こそ、この次こそ』との思いで続けています」。謙遜です。彼女は私の拙い言葉をうまくまとめてくれました。
 今年度の養成講座は6月14日から始まります。来年3月13日までの全14回。「聴覚障害の基礎知識」「話し言葉の要約」「現場実習(難聴者と交流)」など多彩な内容で会場は県聴覚障害者福祉センター(高松市)。参加費は無料です。申し込み・問い合わせはゆうあい(090・5147・2997)まで。定員は20人。
 募集のチラシはこう結んでいます。「耳代わりになってくれる人 この指とまれ!」

 

入門編 90%が活用 手話ハンドブック(2015年5月24日配信『日本海新聞』)

 

 鳥取県教委は、県内の小中学校、高校、特別支援学校を対象に行った「手話に関する学習状況調査」の結果をまとめた。県教委が作成、配布した手引き書「手話ハンドブック」の入門編を約90%、活用編を約75%の学校が活用。授業のほか、朝の会・帰りの会などに学習する学校が多く、短時間での継続した学習につながっているようだ。

 調査は、132小学校、63中学校、33高校、10特別支援学校すべてを対象に、今年2月に行った。ハンドブックの入門編は昨年2月、活用編は7月に全児童、生徒、教職員に配布。あいさつや日常会話を写真付きで紹介している。

 調査によると、入門編を活用している小学校はほぼすべての131校、特別支援学校も9校に上ったが、中学は48校、高校は25校と、割合が下がった。活用編は110小学校、36中学校、22高校、9特別支援学校が活用していた。

 学習場面は「教科」が155校と最も多く、次いで「朝の会・帰りの会・ショートホームルーム」を挙げた学校が約半数だった。県教委特別支援教育課は「短い時間を利用して有効に使ってもらっている」と分析。半面「学習時間の確保が難しい」という意見もあった。

 昨年6月に開始した手話普及支援員派遣制度は昨年度、63校が延べ136回利用。本年度はクラブ活動での需要が高く、既に111校が延べ344回の派遣を希望している。

 県教委は今後、手話学習の窓口役となる教職員を対象に研修を行うなど、教育環境の充実を進める。同課は「継続して取り組んでもらうことが大切。支援員の制度も活用してもらいながら、さらにサポートしていきたい」としている。

 なお、手話ハンドブック」は、校長会や県ろうあ団体連合会の代表者ら11人でつくる作成委が中心になって、入門編8万部を発行。鳥取聾(ろう)学校などの教職員6人が写真で登場し、あいさつや自己紹介をはじめ「大丈夫?」や「一緒に帰ろう」など学校生活でよく使う表現を紹介している。写真に矢印を入れて手の動きがわかるような工夫している。A5判で68ページ。

 

鳥取手話ハンド2

鳥取手話ハンド

 

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「ろうあ者大会」手話動画で歓迎 前橋市長(2015年5月24日配信『読売新聞』)

 

 6月10〜14日に前橋市で開かれる「全国ろうあ者大会inぐんま」を前に、前橋市は市を訪れる関係者を歓迎する手話メッセージの動画を作成した。

 動画は2分42秒で、山本龍市長が以前から勉強しているという手話を使って「(大会が)前橋で開かれることをとてもうれしく思う」とコメント。「前橋は時間がゆっくり流れるまちです」などとPRしている。広瀬川の流れや市出身の詩人・萩原朔太郎の像、豚肉料理のおいしさなども、動画で紹介されている。市のホームページの「新着情報」から見ることが出来る。

 大会は、聴覚障害者の全国組織「全日本ろうあ連盟」(東京都)が主催。63回目の今回、初めて群馬で開かれる。全国から聴覚障害者や福祉関係者など計約3000人が集まり、「ヤマダグリーンドーム前橋」や群馬会館などを会場に、研究会などが行われる。

 

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前橋市公式YouTubeチャンネルここをクリック(タップ)

第63回全国ろうあ者大会inぐんまここをクリック(タップ)

 

難題の有る人生は“有難い”人生(2015年5月24日配信『産経新聞』−「産経抄」)

 

 1歳で聴覚をなくしたその人は、音のない世界に生きて30年になる。自著にこうあった。幼少時に通ったろう学校(現在の特別支援学校)で「手話を教えてもらうことはありませんでした」と。「筆談ホステス」として知られる斉藤里恵さん(31)である。

▼特別支援学校では、手話を禁じる時代が長かった。相手の口の動きを読む口話法の力をつけよ、との思想が根強かったからだと聞く。先の統一地方選で、斉藤さんが東京都北区議選に初当選した後、この歴史を知った。「音のある世界」の理屈で世の中が回っていることに、今さらながら驚く。

▼意思疎通を筆談に頼る斉藤さんは、チラシの配布を禁じた公職選挙法の壁に苦しんだ。有権者に駆け寄り、握手や身ぶりで支持を訴えた姿を思い浮かべた方は多いだろう。選挙制度も「音のある世界」の住人が作った仕組みである。

▼この試みを、「先駆的な」と喜ぶべきか。「遅ればせながら」と頭を下げるべきか。北区議会が全国で初めて、音声同時翻訳ソフトなどを導入するという。本会議や委員会で発言者の音声が文字になり、タブレット端末で見ることができる。斉藤さんの「発言」は文字で打ち込み、音声に変換する。

▼「人の心が聴こえる街に」と斉藤さんは自身のブログに書いている。選挙制度ひとつを取っても、壁の厚い世の中だ。ある政治家が言うように、強者を弱者にしたところで、弱者が強者になれるわけではない。向かい風はまだ強い。

▼「斉藤議員」も社会も、試されるのはここからである。「難題の有る人生は“有難い”人生」(光文社『筆談ホステス 67の愛言葉』)。ホステス時代の斉藤さんが、常連のお客さんに贈った言葉という。覚悟が本物だと、今は信じたい。

 

斎藤

筆談ホステス67の愛言葉 青森一の不良娘が銀座の夜にはぐくんだ魔法の話術

 

“筆談ホステス”斉藤区議に音声認識ソフト許可 北区がスピード改革した理由(2015年5月23日配信『東京スポーツ』)

 

議会を変えた斉藤区議/北区プレスリリース(告知)

 

 耳が聞こえないハンディを乗り越え、先月行われた東京都北区議会議員選挙でトップ当選を果たした“筆談ホステス”斉藤りえ区議(31)が21日、東京・永田町の国会内で会見を開いた。

 斉藤氏は当選証書を受け取った直後から、来週26日に始まる北区の臨時会での“議会デビュー”に向け、着々と準備を進めてきた。

 従来の北区議会の規則では、議場へのパソコンや音声同時翻訳ソフト、音声読み上げソフトの持ち込みなどが全て禁止され、斉藤氏にとって大きな壁が立ちふさがっていた。

 北区議会と数度にわたり協議した結果について「日本を元気にする会」(松田公太代表)関係者は「りえさんは、ほかの区議のみなさんと議場でソフトの試用などを行い、各会派の代表者会議でパソコンの持ち込みなどが全会一致で了承されました。議場で音声認識ソフトの使用許可が出たのは北区が全国で初めてです。議会中は補助の職員を帯同します」と語る。

 北区議会は、議会と斉藤氏が今後所属することになる委員会にノートパソコンを各1台設置、同様に音声の文字翻訳を確認するタブレット端末も4台ずつ導入。端末計8台には、音声が正しく文字変換されているかを確認するため、議長、事務局職員用端末も含まれている。音声翻訳ソフト、パソコン、タブレット端末は公費で賄う。導入したタブレットで、聴覚障害者の“傍聴”もできるようになる。

 斉藤氏は「(北区議会)事務局の方や北区議員みなさまのご理解により、認められたことは大変感謝しております」とソフトを使いコメントした。

 松田代表は「斉藤りえさんのトップ当選を北区議会が前向きにとらえて動いてくれた。障害を持った方たちが幸せに暮らせる北区にしてもらいたいという強い思いが生まれたのです」と語った。

 

手話言語条例 鳥取に学ぶ 長野県が講演会(2015年5月22日配信『信濃毎日新聞』)

信濃毎日
鳥取県聴覚障害者協会の石橋事務局長(左)が手話で取り組みを紹介した講演会
 

 長野県は21日、手話の普及を促す「手話言語条例(仮称)」の制定に向け、全国で初めて同様の条例を作った鳥取県の取り組みを学ぶ講演会を、長野市内で開いた。長野県内の聴覚障害者団体などから約50人が出席。鳥取県の条例作成に関わった鳥取県聴覚障害者協会の石橋大吾事務局長(42)が、条例の成果や課題を説明した。
 鳥取県の手話言語条例制定は2013年10月。聴覚障害者とそれ以外の者が「相互の違いを理解し、個性と人格を互いに尊重する」とし、手話を用いた情報発信や学校教育で利用する学習手引書作成といった方策を記した。
 聴覚障害がある石橋事務局長は手話で、地域や企業での手話学習会の開催、知事定例記者会見の手話通訳など条例制定で広がった取り組みを紹介。「手話に対する関心は高まっている」とした一方、手話通訳者の不足などの課題もあるとした。普及には「教育現場での手話学習の浸透が重要だ」と強調した。
 長野県障がい者支援課によると、都道府県で条例を制定したのは鳥取、神奈川、群馬の3県。阿部守一知事は昨年夏の知事選で条例制定を公約に掲げており、庁内の作業部会が内容を検討している。聴覚障害者や関係団体への調査では、医療機関での手話通訳や手話通訳者の待遇改善などを求める声が上がっているという。同課は9月をめどに条例骨子案を固める。

 

聴覚障害者、名村造船所など訪問 手話で質問見学熱心に(2015年5月21日配信『佐賀新聞』)

    

 県内の聴覚障害者27人が18日、伊万里市の名村造船所や長崎県松浦市福島町の福島歴史民俗資料館を見学した。県聴覚障害者サポートセンター(佐賀市、伊東康博センター長)が、一流の芸術や文化、景観に触れる機会の少ない聴覚障害者の社会参加を促そうと昨年から開く見学会で、参加者が手話通訳を介して積極的に質問する場面も見られた。

 名村造船所では、手話通訳や要約筆記で説明を受けながら、組み立て現場などを見学。スケールの大きさに驚きながら、「完成までどれくらいの時間がかかりますか」「鉄板1枚の大きさはどれぐらいですか」などと質問した。

 伊万里市と橋で結ばれる福島町の福島歴史民俗資料館では、かつて炭鉱で栄え、1972年に閉山した後はLPGの基地に転換した島の歴史を学んだ。

 同サポートセンターは、チャーターしたバスに磁器ループなどの補聴システムを設置し、難聴の障害者同士が会話できる環境を整えていた。

 

手話推進計画」策定へ 県協議会が初会合(2015年5月21日配信『神奈川新聞』)

 

手話を取り巻く現状や推進計画をめぐり意見を交わした協議会=県庁大会議場

 

 県手話言語条例が4月に施行されたことを受け、県の「手話言語普及推進協議会」が20日、県庁で初会合を開いた。手話普及に向けた施策を総合的に進める「手話推進計画」を来年3月までに策定することを目指し、議論を重ねていく。

 条例は、手話が意思疎通に欠かせない言語であるとの認識に立ち、聴覚障害者が手話を使って社会参加しやすい環境づくりを進める目的で議員提案により昨年12月に制定された。

 協議会は、聴覚障害者団体や福祉団体の役員、大学教授、公募委員ら19人で構成。会長には石渡和実・東洋英和女学院大学大学院教授が就いた。

 初回からさまざまな意見が相次ぎ、聴覚障害者団体の男性は「近所とのコミュニケーションが難しく、誤解を生じることも。大震災で警報が聞こえず、被害に遭った人もいた」とろう者への理解が不足している現状を説明。元県立平塚ろう学校校長の男性は「教育現場では手話は日本語の補助と捉えられてきたが、今回の条例で変わるのではないか」と期待を寄せた。

 手話通訳の女性は「手話通訳の有無でろう者の生活が左右されるのではなく、多くの県民がろう者と手話への理解を広げることも豊かな共生社会につながる」と述べた。手話通訳者の養成増に向けた数値目標化や処遇改善を求める意見も出た。

 

手話普及に向け協議会が初会合(2015年5月20日配信『NHKニュース』―「首都圏」)

 

手話の普及を進めることを定めた条例が成立した神奈川県で、20日、聴覚に障害がある人や教育関係者などによる会議が開かれ、県が条例に基づいて策定を進めている計画に、教育現場で手話に触れ合う機会を作ることなどを盛り込むべきだという意見が出されました。

神奈川県では、去年12月、手話を言語として位置づけ普及を進めることを県の責務と定めた条例が、都道府県としては鳥取県に次いで全国で2番目に成立し、県は「手話推進計画」の策定に向けて準備を進めています。

20日は県庁で、計画に盛り込む内容について話し合う協議会の初会合が開かれ、聴覚に障害がある人や教育分野の専門家など17人が出席しました。

このなかで、黒岩知事は「障害を乗り越えて生きていける社会を作りたい。県としても障害者を全力で支え手話を広めていきたい」とあいさつしました。

20日の会合は手話通訳者も同席して話し合いが進められ、教職員が研修で手話を学ぶことや、小学校や中学校、高校の授業の中で、手話に触れ合う機会を作ることなどを計画に盛り込むべきだという意見が出されました。

県は協議会で出された意見などを参考にして、今年度中に「手話推進計画」を策定することにしています。

 

聴覚障害の区議、議会のバリアフリー実感に感謝(2015年5月20日配信『読売新聞』)

 

 「議会から、障害者参加の障壁をなくす『バリアフリー』が進んでいることを実感しています」

 東京都北区議会が19日に発表した、聴覚障害者向けの音声変換システムの導入。「筆談ホステス」として知られ、先月の北区議選でトップ当選した斉藤里恵さん(31)は、議会側の対応に感謝を示した。

 斉藤さんは1歳の時の病気が原因で、聴覚に障害がある。手話を勉強中だが、議場でほかの議員の発言を聞き取ったり、自らの声で質問したりすることは難しい。このため、音声変換システムを使った議員活動を希望していた。

 システムは音声変換ソフトを入れたパソコンと議場の音響装置、文字情報を表示するタブレットを、公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」などで連動させる仕組みだ。議場での発言はパソコンを通して文字に変換され、Wi―Fiでタブレットに送られる。斉藤さんが発言する場合は、パソコンに入力した文字を音声に変換し、マイクを通して議場内に流す。誤変換を減らすため、ソフトには区政や予算に関する専門用語を登録する。

 聴覚障害者の「傍聴」も容易になる。これまでは手話通訳者に依頼していたが、傍聴席の希望者にタブレットを貸し出し、文字で伝えることができるという。

 北区議会は全会派による「議会改革検討会」を作り、2013年度から聴覚障害者への対応などを探ってきた。今回の改選を契機に、全国の議会で初めてシステムの導入を決めた。議場と委員会室の2か所に設置し、総費用は約400万円。26日の本会議から運用する。

 斉藤さんは6月定例会で質問に立つ予定で、「バリアフリー社会の実現について聞きたい」と意欲を見せる。戸枝大幸議長代行は「『開かれた議会』を目指して、今後も環境整備に努めたい」としている。

 

 

紀子さまと佳子さま 映画「奇跡のひと」を鑑賞(2015年5月20日配信『産経新聞』&『NHKニュース』)

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 フランス映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」のチャリティー試写会参加のため、会場に到着された秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さま
 秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さまは19日、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで開かれた映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」のチャリティー試写会を鑑賞された。
 この映画は、目と耳が不自由な少女マリーが修道院に預けられ、不治の病を抱えた修道女マルグリットと衝突しながら手話を教わり、成長していく物語。19世紀末にフランスであった実話が基になっている。
 試写会は全国盲ろう者協会が後援。紀子さまと佳子さまは公務などを通じて手話などへの理解が深く、試写会後には同協会理事の福島智さんらと点字通訳などを介して懇談された。
 手話を得意とされる紀子さまと同様、佳子さまも手話に関心があり、同じく多重障害を抱えていたヘレン・ケラーにも興味を持ち、今回の試写会を楽しみにされていた。上映後、佳子さまは「ヘレン・ケラーの物語と違うのは命の問題を描いているところですね」「手話が心や神など形のないものも伝えられることに非常に感動しました」と話された。
 紀子さまと佳子さまは宮内庁を通じて募金もされた。
 佳子さまが公務に臨むのは、先月、国際基督教大学に入学してから初めてで、今後も学業に支障がない範囲で公務に取り組まれるという。
 この映画は来月から順次全国各地で上映され、映画館には目や耳が不自由な人たちの福祉に役立てるための募金箱が設置される。

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全国初 北区議会の全面IT化により、障害者差別解消法への対応を実現(2015年5月19日配信『北区議会事務局』)

 

ITコミュニケーションツール(聴覚障害者用)を活用
 北区議会では、2010年度からIT化の検討、段階施行をしてきた経緯を踏まえ、今年度から全ての会議でのIT化(PC・情報端末等の利用が可能)が実現した。これは、東京23区では初の事例となる。
 
 今回の全面IT化に伴い、2013年度より検討を行ってきた障害者差別解消法への対応として、「ITコミュニケーションツール(音声同時翻訳ソフト、音声読上げソフト)※」を使用し、聴覚障害のある議員への対応が実現。これは、全国初の事例となる。
 また、同ツールを利用した聴覚障害者の議会傍聴も実現している。

 

 

コミュニケーションツールによる議会活動イメージ図(pdf)ここをクリック(タップ)

 

「筆談ホステス」当選、議場に音声変換システム(2015年5月19日配信『読売新聞』&『毎日新聞』&20日配信『東京新聞』)

 

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 「筆談ホステス」として知られた斉藤里恵さん(31)が4月の統一地方選で初当選した東京都北区議会に、聴覚障害を持つ議員が議場でやりとりできるシステムが導入されることになった。
 同区議会が19日発表した。区議会事務局によると、こうしたシステムの導入は全国の議会で初めて。26日の本会議から運用を始める。
 システムは大手パソコンメーカー「富士通」などが開発。聴覚障害を持つ斉藤区議が質問する場合、演壇に置かれたパソコンに文字を入力すると、音声に変換され、マイクを通して議場内に流れる。斉藤区議が自席にいるときは、ほかの議員らの発言が文字に変換され、手元のタブレット端末に表示される。これにより聴覚障害のある議員の活動だけでなく、市民の傍聴も可能になる。
 タブレットは4台用意され、聴覚障害を持つ傍聴者にも貸与される。同区議会は2010年度からシステムの導入を検討していた。

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 導入は全会一致で承認された。戸枝大幸(とえだ・たいこう)議長代行は「ツールを利用した議員の活躍を期待する」とコメントした
 事務局は「全国初のケース」としている。
 なお、明石市議会事務局は「ITを使うことは今のところ考えていない」という。
 
 斉藤さんは、19日更新したブログで「私の存在で議会からバリアフリーが進んでいることを実感している。これでやっとスタートラインに立てた気分です」と喜びを表現した。
「音声ソフト」を使えることで、
●私の声の代わり→音声読み上げソフトの使用
※パソコンに文字を入力すると、その文字を読み上げてくれます
●私の耳の代わり→音声認識ソフトの使用
※みなさんが話したことが、リアルタイムに文字に変換され、パソコンに表示されます
といったことが可能となり、この2つのソフトを使うと、聴覚障がいというハンディキャップを乗り越えて、議会での活動が可能となります!

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明石市議会に手話通訳配置へ(2015年5月19日配信『読売新聞』ー「兵庫版」)

 

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家根谷(やねたに)議員

 

 明石市は18日、聴覚障害者の市議、家根谷敦子さん(55)の議員活動をサポートするため、市議会の本会議や委員会などで手話通訳者を配置すると発表した。市が通訳者の謝礼費用として補正予算約400万円を6月議会で提案する。
 本会議以外に、議会事務局が議会に報告をする会議などでも通訳者をつける計画。ただし、家根谷さん個人の視察には政務活動費から捻出してもらう方向で検討するという。
 また、市は、これとは別に、手話通訳士1〜2人を任期付き専門職員として採用する方針。手話の職員研修のほか、市が4月に施行した手話など障害者のコミュニケーション促進条例の関連業務などを担う。数か月以内に公募する予定。



耳不自由な明石市議に公費で手話通訳者 補正予算要求へ
(2015年5月18日配信『神戸新聞』)

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 明石市会は18日、聴覚障害者が当選したことを受け、本会議や委員会などに出席する場合、公費負担で手話通訳者を置く方針をまとめた。本年度分の通訳者の報償費について補正予算400万円を要求する予定だという。
 同市会は、4月の市議選で生まれつき耳が聞こえず話せない家根谷敦子議員(55)が初当選したことから、代表者会で対応を協議してきた。15日に開かれた改選後初の本会議で、議場の議長席の隣に手話通訳者を初めて配置した様子を考慮した上で、基本方針を確認した。
 手話通訳者を置くのは本会議や委員会への出席時で、委員外委員として出席する場合も同様に対応する。通訳者は手話通訳者協会に依頼する。
 市議会事務局の報告や説明などは、手話ができる市職員が本来業務に支障がなければ応じるか、同協会に派遣を依頼するかなどを検討する。一方、地域の会合や行事などについては議員本人が通訳者を手配。経費を政務活動費として計上することができるかどうか検討する。

 

愛媛県障害者スポーツ大会、活躍誓う 支援学校で壮行会(2015年5月18日配信『愛媛新聞』)

 

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県障害者スポーツ大会への意気込みを語るしげのぶ特別支援学校の生徒ら=18日午後、東温市田窪

 

 愛媛県松山市で24日に開催される県障害者スポーツ大会を前に県立しげのぶ特別支援学校(東温市田窪)で18日、出場する生徒9人の壮行会があった。自己ベスト更新を目指す生徒らに、児童生徒や教職員が「頑張れ」と温かいエールを送った。
 しげのぶ特別支援学校では中学部3年〜高等部3年の9人が県大会に向け、放課後の練習に励んでいる。  陸上の50メートルに出場する藤原康平君(16)は「自分の力を精いっぱい出して完走したい」と決意表明。大林祥平君(16)はスラロームで「目標はもちろん優勝」と気合十分だ。
 県障害者スポーツ大会は特別支援学校の生徒など約1900人の選手が参加し、松山市上野町の県総合運動公園で陸上や卓球など4競技25種目がある。

 

耳の聞こえない女性ジャズシンガーの歌声が天使すぎる(2015年5月18日配信『IRORIO(イロリオ)』)

 

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 アメリカ・デンバーを拠点に活動しているジャズシンガーのマンディー・ハーベイ(Mandy Harvey)さんは、耳が聞こえない。
 しかし聞いている人がそれに全く気付かないほど、その歌声は自然で、心に沁みる。
 ハーベイさんは、生まれた時から聴覚に障害があり、大学生だった18歳の時に完全に聞こえなくなった。
「言葉とは感じるもの」と気づき音楽を再開
 音のない世界。音楽が大好きで、将来はジャズボーカルのトレーナーになろうと思っていた彼女は絶望し、音楽も大学も辞めてしまった。
しかし手話を学ぶようになり、言葉とは単語の羅列だけではなく感じるものだと思うようになった。
リズムや歌詞の意味を大切に
 
そして再び音楽を始めた彼女。現在はデジタルチューナーを使って歌いだしのキーを調節し、楽譜を読んで歌っている。
 また、正しく音階を刻むのではなく、リズムや歌詞の意味を大切にしていると言う。
 耳が聞こえなくても歌えるのだから何でもできる
 「音楽は私のDNA。目が覚めたらまず音楽のことを考えるわ。そして寝る時も最後に考えるのは音楽のこと。音楽は私のすべてなの」とハーベイさん。
 そして、耳が聞こえなくても自分のように歌えるのだから、どんなことでも実現できるというメッセージを伝えていきたいと話している。

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『盲ろうの少女と修道女の出会いが起こす奇跡の実話 映画『奇跡のひと マリーとマルグリッド』6月公開(2015年5月17日配信『クリスチャントゥデイ』)

 

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 見ることも、聞くことも、話すこともできない三重苦の中にいた少女が、ある女性教育者によって、新しい世界に触れていく奇跡の実話。そう聞けば、ヘレン・ケラーとアン・サリバンを思い起こす人も多いだろう。

 ヘレン・ケラーの人生を大きく変え、その生涯に奇跡をもたらしたアン・サリバンは「奇跡の人」と呼ばれている。

 だが、フランスにも、実在する“もう一人”の奇跡の人がいた。生まれつき盲ろう(視覚と聴覚の重複障がい)の少女マリーと、修道女マルグリッドの出会いが起こす奇跡の物語を描いた映画『奇跡のひと マリーとマルグリッド』が、6月日本で全国公開される。

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映画『奇跡のひと マリーとマルグリッド』公式サイトここをクリック(タップ)

映画『奇跡のひと マリーとマルグリッド』予告編ここをクリック(タップ)

 

両陛下、特別支援学校を訪問(2015年5月16日配信『時事通信』)

 

石川県立明和特別支援学校で生徒の販売・接客の練習を見学し、拍手される天皇、皇后両陛下

 

 第66回全国植樹祭出席のため石川県を訪れた天皇、皇后両陛下は16日午後、野々市市の県立明和特別支援学校を訪問された。

 同校には知的障害と肢体不自由の児童・生徒約280人が在籍している。両陛下は生徒たちが手作り製品の販売・接客の練習をする様子や、和太鼓の演奏を見学。演奏後、天皇陛下は「どんなことが一番楽しいですか」と尋ね、皇后さまは車椅子に乗った聴覚障害の生徒に「素晴らしい太鼓をありがとう」と手話を交えて話し掛けた。販売実演を見終わった両陛下が、製品のジャムや鍋敷きを実際に購入する予定外の場面もあった。

 

聴覚障害者:「お助けシール」でサポート受けやすく(2015年5月16日配信『毎日新聞』−「大分版」)

 

聴覚障害者であることを知らせる「お助けシール」。ネームプレートに入れて使用できる

 

◇大分県難聴者協会が配布始める

 聴覚障害者が周囲に障害があることを知らせる「お助けシール」の配布を大分県難聴者協会が始めた。外見で識別できない聴覚障害者は災害時に警報や避難所での案内が聞こえないなど不利益を被りやすく、シールを身に着けてもらうことでサポートを受けやすくする狙い。2011年の東日本大震災を機にシールを製作した東京のNPOから一括購入し、自治体を通して県内の聴覚障害者に無料で配っている。

 聴覚障害者の生活改善に取り組む東京都のNPO「ベターコミュニケーション研究会」などによると、東日本大震災では宮城県だけで70人を超える聴覚障害者が死傷した。大津波警報に気づかなかった人もいたほか、避難所で「風呂が使えます」などのアナウンスが聞こえなかったり、高齢者優先と知らずに食料を配る列に並び、トラブルが起きたこともあった。

 そうした経験も踏まえ、同NPOは11年末、太字で「聞こえません 手話・筆談で教えてください」と表示した名刺サイズの聴覚障害者向けシールを製作。蓄光式で暗闇でも10時間以上発光できるようにし、夜に被災現場に取り残されるなどの危険を避けやすくした。ヘルメットやリュックといった目立つ場所に貼るほか、カードケースなどに入れて繰り返し使うこともできる。

 普段からシールを身につけている中園秀喜理事長(67)は「デパートで店員が鉛筆と紙を用意してくれたり、病院で看護師が手話で話しかけてくれたりする。日常生活でも効果はてきめん」と話す。

 シールの存在を知った個人が購入する例は多かったが、大分県難聴者協会はまとめて500枚購入。1月に県内の主な自治体に提供し、各自治体が窓口で無料配布を始めた。同NPOによると一括購入して配布した団体や自治体は九州・山口で初めて。県難聴者協会の小倉鉄郎さん(43)は「いざという時のために、災害用の持ち出し袋などにシールを入れておいてほしい」と呼びかけている。

ベターコミュニケーション研究会(03・3380・3324、メールequal@bcs33.com)はシールを一般にも販売している。1枚500円。

 

長崎純心女子大 語学科目に「手話」を新設(2015年5月16日配信『長崎新聞』)

 

「手話」の講義で名字を手で表現している長崎純心大の学生=長崎市三ツ山町、同大

 

 2015年に創立80周年を迎えた長崎純心大(片岡瑠美子学長)は本年度、基礎(一般教養)課程の語学科目(第2外国語)に「手話」を新設した。手話を言語として位置付け、手話を使う聴覚障害者の権利を保障する手話言語法制定を国などに求める動きに合わせ、福祉以外の分野でも手話通訳ができる人材育成につなげる考え。

 教養課程のコミュニケーション科目や福祉系コースで手話を設けている県内の大学・短大はあるが、全学共通の語学科目に手話を導入したのは初めて。

 長崎純心大の手話講座は週1回(90分)、通年で計30回。手話通訳士の資格を持つ長野秀樹人文学部教授が担当し、1年生27人が受講。あいさつなど基本的な日常会話の習得を目指している。

 11日の第4回講義は、自分の名字を手話で伝えるのがテーマ。長野教授が物や漢字の形に由来する手話や、歴史上の人物の特徴を示す手話などを説明すると、学生たちは実際に手で言葉を表していた。

 人間心理学科1年の大ア淑子(よしこ)さん(18)は「語学の科目の中で目にする機会がなかった手話があり、興味が湧いた」、冨永沙希さん(18)も「由来を聞くと、手の動きの意味が納得できる」と意欲的。

 長野教授は「手話は、音声言語の日本語とは別の言語。手話で意思疎通する際、顔の表情や口の動きも大きな役割があり、対人関係を円滑にする訓練にもつながる」と講座の目的を説明した。

 聴覚障害者への教育は長年、手話でなく口話法が採用されていたが、改正障害者基本法(2011年)は手話を言語と位置付け。鳥取県は14年、全国初の手話言語条例を制定、手話を使いやすい環境整備を進めている。県ろうあ協会によると、県と全市町の各議会が昨年、手話言語法制定を求める意見書を採択した。

 

 

ろうあ被爆者証言集を寄贈(2015年5月14日配信『長崎新聞)

 

ろうあ被爆者体験集「手よ語れ」を馬場教育長(右)に贈る長野支部長

 

 長崎県内の手話通訳者らでつくる全国手話通訳問題研究会長崎支部(長野秀樹支部長、約250人)は12日、被爆70周年に合わせ、ろうあ被爆者の体験集「手よ語れ」114冊を長崎市教委に寄贈した。市内全小、中学校と市立長崎商高に配布される。

 同支部は1983年、聴覚障害者の暮らしを守り、手話通訳者の地位向上を目指すことを目的に設立。会員が聴覚に障害のある被爆者の体験を手話で聞き取る活動に取り組み、86年「手よ語れ」を刊行。生い立ちや被爆状況、その後の生活を克明に記録。現在も2人の体験聞き書きに取り組んでいる。

 

 

 長崎市役所であった贈呈式で、長野支部長は「広く知られていないろうあ被爆者の思いを若い世代に伝えたい」とあいさつ。馬場豊子教育長は「8月9日に向けて、市内の学校で企画が準備されている。平和とともに、障害を特性の一つとして理解する教育に生かしたい」と礼を述べた。

 「手よ語れ」は、同市の被爆70周年記念事業に採択された演劇「残夏−1945−」(7月25日、チトセピアホール)のモチーフ。長崎で被爆したろうあ者の母親と娘の70年にわたる物語が描かれている。

 

 

調布市:災害時の障害者支援ガイド配布 2000部(2015年5月14日配信『毎日新聞』−「東京版」)

 

 調布市は、障害のある人を大災害時に支援する方法を分かりやすく説明したガイドブック「障害のある方への災害時支援ガイド」を作製した。自治会や公共施設などに計2000部配る。

 ガイドブックはA4判13ページ。(1)視覚障害者の手やつえをつかんだり引っ張ったりせず、自分の肩や肘につかまってもらって半歩前を歩く(2)聴覚障害者には筆談や携帯電話のメールの文字で情報を知らせる−−などと方法を具体的に紹介し、文字を指さして言葉を伝える表も載せた。障害福祉課は「これをきっかけに障害者への理解を深めてほしい」と話している。

 

障害のある方への災害時支援ガイドを発行(調布市)

 

市では、このたび、災害時に適切に避難することが困難となる障害者の支援について、市民の皆さんに啓発すること目的に「障害のある方への災害時支援ガイド」を作成しました。

 内容は、視覚障害のある方、聴覚障害のある方、身体障害のある方、知的障害のある方、精神障害のある方、その他高次脳機能障害や発達障害などのある方を支援する時に注意することなどをイラストを用いてわかりすく表記しています。

今回のガイドの作成に当たっては、NPO法人調布市心身障害児・者親の会、調布市障害者(児)団体連合会、作業所連絡会、社会福祉協議会、福祉総務課、障害福祉課からなる避難行動要支援者検討会を4回開催し、御意見をいただきました。今後は、愛の手帳所持者を対象とした援護される側のガイドを作成する予定です。

 

社会福祉課職員が毎朝手話練習 小野市(2015年5月11日配信『神戸新聞』)

  

酒井真由美さん(左から3人目)に手話を教わる社会福祉課の職員=小野市役所

 

 兵庫県小野市の社会福祉課の職員約20人が平日の毎朝、窓口開庁前の5分間、手話の練習に励んでいる。4月から同課に手話通訳員として配置された嘱託職員、酒井真由美さん(50)が指導する。職員らは「聴覚障害のある市民が気軽に来庁できる窓口に」と意欲的に取り組んでいる。

 同市は本年度、社会福祉課に手話のできる職員として横山成彦課長(53)と酒井さんの2人を配置し、手話を言語とする市民に対応している。

 朝の手話練習は、同課の職員たちが「酒井さんに手話を学びたい」と希望し、4月2日に始めた。以来、毎日午前8時40分に窓口を開けるまでの約5分間、酒井さんがあいさつや自己紹介の手話を少しずつ教えている。

 酒井さんは、息子が通っていた保育所の保護者に耳の聞こえない女性がいたのがきっかけで、2000年に手話を習い始めた。6年後に再会した時に手話で会話できたことがうれしかったという。08年に全国統一試験に合格し、09年に県手話通訳者として登録された。

 ほかの職員の前向きな姿勢に「最初に応対する職員が手話であいさつができるだけでも喜ばれるはず。手話を言語とする市民に積極的に来庁してもらえるきっかけになれば」と話していた。

 

小野市=兵庫県の中南部・東播磨のほぼ中心で神戸市と姫路市の中間に位置し、市域中央部を加古川が南流する。東隣の手話言語条例を制定している三木市と共に金物で知られ、播州鎌は兵庫県の伝統的工芸品に指定されている。人口は、49,521人(2015年4月現在)。

 

インクルーシブ教育 差別のない共生社会へ(2015年5月11日配信『デイリー東北』−「時評」)

 

 障害の有無にかかわらず共に学ぶ「インクルーシブ教育」システム(inclusive education system=包容する教育制度)の構築に向け、国のモデルスクール事業に委託された三戸町の小中一貫三戸学園(三戸小学校、三戸中学校)の取り組みが本年度で3年目を迎えた。小中一貫教育を通じ全ての子どもが一緒に学び、共生社会の実現を目指す試みとして成果を挙げており、他地域への将来の波及効果が期待される。

 戦後、障害のある子どもへの教育は「特殊教育」として障害の種別により、盲・聾(ろう)・養護学校に分けて行っていた。2006年の学校教育法改正で、発達障害も含め子ども一人一人の特性に適した教育支援を行う「特別支援教育」へ転換が図られた。

 この特別支援教育の新たな取り組みが、インクルーシブ教育のモデル事業だ。青森県では13年度から三戸学園がモデルスクール、青森県と弘前市がモデル地域に指定された。障害から生じるさまざまな問題の解決に向け、カリキュラムや教員の指導方法などを変更・調整する「合理的配慮」を行っている。

 三戸学園では、通常の学級に在籍しながら一部特別な指導を必要とする子どもを対象に、その時間だけ別の教室で教える「通級」による指導に力を入れる。合理的配慮協力員の千葉隆史・元八戸第二養護学校長が担当教員に助言。読み書きや計算などが苦手な子には補助具を用意したり、教室が落ち着いた雰囲気になるよう声掛けしながら授業を進めたりと、きめ細やかな指導を展開している。

 インクルーシブ教育は、障害者の固有の尊厳を尊重し差別をなくすことを目的とした国連の「障害者の権利に関する条約」と深く関わる。日本は14年1月に批准した。ただ、同じ批准国でもヨーロッパでは、歴史的に多くの移民を受け入れる中で言語や人種の壁を乗り越えようと共生社会を目指した国もある。社会背景が異なる日本は条約の理念を共有しながらも、地域社会や教育現場の実情に即した独自の対応が求められる。

 例えば、障害のある子どもへの配慮だけではなく、周りにいる通常学級の子どもに差別意識をなくすよう働き掛けることが大事だ。できれば小学校低学年の早い段階から「同じクラスの仲間」であるという意識を持たせ、授業や学校生活で助け合う関係を築くのが望ましい。

 支援が必要な子どもへの対応策を複数の教員が意見交換する場も必要だ。多様な特性を持つ子どもにじっくり向き合う時間をつくるため、教員の多忙解消の議論も同時に進めてほしい。

 

手話通訳士の「スーパー駐在」頼られる存在に 神奈川県警田川孝詞警部補(43歳)(2015年5月11日配信『東京新聞』)

 

 

 厚生労働省が認定する「手話通訳士」の資格を持ち、昨年10月に特別な技能を生かした地域警察活動を行う駐在所勤務の警察官「スーパー駐在」に指定された。4月には新規雇用された交番相談員への実技研修も担当し「警察内で手話ができる人が増えるよう手助けできれば」と話す。

 小学生の時、耳の不自由な親族に、自己紹介など簡単な手話や指文字を教えてもらったのがきっかけ。横浜市瀬谷区の瀬谷署北新駐在所勤務になり、付近の手話サークルに通い始め、少しずつ上達させた。「手話を覚え、耳の聞こえない人とコミュニケーションができたことがうれしく、練習を積み重ねた」と振り返る。

 「プライベートでやっていたことなので、最初は仕事に反映させることは考えていなかった。だが、せっかく学んだ技術を仕事で生かせば、頼りにされる機会が増える」と資格取得を目指し、2009年に手話通訳士に合格した。

 仕事では耳の不自由な人が付近で事件や事故の当事者となった場合、通訳として呼ばれることがある。先日も、マンション敷地内で眼鏡を紛失したという女性が署に相談に来た。管理人に「防犯カメラを見せてほしい」という意思を伝えるだけでも多くの手間が必要。実際にカメラを見ると、すぐに付近の子どもが持ち去っていたことが判明した。交通事故にあった女性が、保険会社と連絡を取ることができずに駐在所に相談に訪れたことも。「少しでも手話ができる人がいれば、安心感が違うのでは」と手話の必要性を感じている。

 神奈川県では4月から手話言語条例が施行された。都道府県としては2例目の条例制定で、手話を言語と位置付けて普及を目指す。現状では、事件事故時には県警(警務部)の通訳センターを通じて手話通訳者を派遣することができる(県警は2008年、事故現場などに手話通訳を派遣する制度を設けた)が、「まだまだ一般には手話が言語とは認知されていない」と指摘する。

 「事件や事故の当事者となり、警察官が相手方だけと話していると、耳の不自由な人は『不利になるのでは』と不安に感じたりする。困っていても『どうせ通じない』とあきらめている人も多い。社会全体で理解を深めることが重要」。地域では、もっと自身の存在を知ってもらいたいと思っている。

 

警察官、手話通訳の派遣拒む…事故被害者に謝罪(2011年8月14日配信『読売新聞』)

 

神奈川県警中原署が7月、川崎市中原区で起きた交通事故の現場で、当事者の聴覚障害者の女性(48)が手話通訳の派遣を要請したのに受け入れず、実況見分を行っていたことが13日分かった。

 手話通訳の派遣は県警の制度にもあり、女性は同署に抗議文を提出。同署は「配慮に欠けていた」と謝罪した。

 同署などによると、事故は7月11日午後、同区の県道で発生し、女性の乗用車に対向車線からはみ出した同市高津区の男性(71)の車が衝突。女性は聴覚障害者向けの「メール110番」で通報した際、手話通訳を要請し、駆け付けた同署員3人にも筆談で求めたが、派遣してもらえなかったという。事故は物損事故として処理された。

 県警は2008年、事故現場などに手話通訳を派遣する制度を設けたが、現場にいた署員は制度を知らなかったという。

 対応に不満を持った女性は、同市ろう者協会に相談し、同署を訪れて対応の経緯を説明。その後、女性が首などに軽傷を負っていたことが分かり、同署は同27日に、人身事故として再度、手話通訳を交えて実況見分し、男性を自動車運転過失傷害容疑で横浜地検川崎支部に書類送検した。

今月12日、女性と同協会の理事長らは同署に対し、事実経過の説明や手話通訳制度の周知を求める抗議文を提出した。女性は「現場では、自分が説明しようとすると警察官に威圧的な態度を取られた。二度と同じことが起きないようにしてほしい」と話している。

 

要約筆記者の派遣要請 限られた人材がフル稼働(2015年5月8日配信『日本海新聞』)

 

 2013年10月の鳥取県手話言語条例制定以降、鳥取県内では手話通訳者と同様に要約筆記者の派遣要請が急増している。しかし、対応できる要約筆記者の数は横ばいで、限られた人材がフル稼働している状況。養成講座も思うように人が集まらない。難聴者や中途失聴者にとって要約筆記は必要不可欠な意思疎通の手段で、関係者は要約筆記者の増加を切望している。

 

難聴者の山根さん(右)が理解しやすいよう、講演などの要旨を文字化する要約筆記者や奉仕員ら。要約した文章は山根さんのパソコンに映し出される=米子市内

 

■わずか19人

 要約筆記者を派遣する鳥取県聴覚障害者協会によると、条例制定前の12年度の派遣件数は90件だったが、昨年度は約6割増の139件に増加。特に団体からの要請が多い。22年間、要約筆記者として活動している遠藤美代子さん(65)=米子市永江=は「手話とセットでの要請が増え、この1年は本当に忙しかった」と話す。

 一方、県登録の要約筆記者は13年度7人、14年度13人、15年度19人。筆記者になる前の「要約筆記奉仕員」を加えても近年は70人台で推移している。平日は仕事をしている人も多く「実働は半分ぐらい」と同協会。交代要員を入れると1回の派遣に4人は必要で、イベントが集中する秋はやりくりに苦心する。

■良き理解者

 県西部聴覚障がい者センターで働く山根和志さん(30)=大山町加茂=は後天性の難聴者。人工内耳を装着し対面での会話はある程度理解できるが、騒音の中や複数人数での会話を聞き取ることは難しい。

 病院や役所で名前を呼ばれても分からず、不便を感じることもしばしば。聞こえていると誤解され、「友人との会話で他人がなぜ笑っているのか分からず、孤立を感じることもある」と振り返る。

 「要約筆記者がいれば講演や会議でも理解が深まり、周囲との連携や意思疎通が図りやすい」と山根さん。買い物に同行してもらい、納得して商品を買えた経験も。要約筆記者の存在の大きさを実感しており、「一番身近な所で寄り添ってくれる良き理解者」と強調する。

■1人でも多く

 厚生労働省の06年の調査によると、聴覚障害者のうち、手話を日常的に使うのは約2割。中途失聴者や高齢の難聴者は手話を覚えるのが難しく、山根さんは「要約筆記が浸透すればニーズは手話を上回る」と指摘する。

 県は要約筆記者を増やそうと、同協会に委託して講習会を毎年開催。今年も5〜11月に予定するが、7日現在で定員計80人に対して申し込みはわずか10人にとどまる。

 要約筆記者や難聴者でつくる「要約筆記問題研究会県支部」の内藤伸江事務局長(56)によると、近年はIT技術の進歩で遠隔地から講演の全文を筆記するサービスもあるが、スピードが速く読みづらい人も多い。内藤事務局長は「その場で要旨を伝える要約筆記は今後も必要。筆記者を目指す人の試験対策のサポートや交流も進め、仲間を増やしたい」と話している。

 

 要約筆記 音声情報をその場で要約し、文字化して聴覚障害者に要旨を伝える。養成講座を受講し試験に合格すれば「要約筆記者」として活動できる。県や市町村はイベント主催者や当事者の依頼を受け、要約筆記者を派遣。筆記者はパソコンやスクリーンを使って内容を文字化するほか、病院や役所に同行し手書きで意思疎通を仲介する。県内での派遣業務は県聴覚障害者協会に委託されている。

 

手話カフェが人気、障害者雇用で働きがい確保へ(2015年5月7日配信『日経新聞』)

 

 日本企業のダイバーシティー推進は政府の後押しなどもあり、女性の活躍ばかりにスポットライトがあたりがちだ。もっとも欧米では国籍やセクシャルマイノリティー、障害者など多様な人材を尊重し、価値を生かす「ダイバーシティー&インクルージョン」が経営戦略として組み込まれている企業も多い。日本でも、多様な人材の価値を引き出し、利益につなげる動きが出てきた。外食チェーンを運営するスープアンドイノベーション(長野市)では、耳が聞こえない「ろう者」に店舗を任せる「手話カフェ」を運営。これまでの障害者雇用のイメージをくつがえす取り組みに、企業のダイバーシティーを考える手掛かりも多い。

■「聞こえない」ことが前提のカフェ(「手話」という空間で紡ぎだされる言葉を通して「スープ」という温かみのある料理に彩りを添えながら「憩い」「学び」「相談」ができるカフェ空間)

 本郷三丁目駅(東京都文京区)にある、一見、普通のスープカフェ。入ってみると、通常、外食のお店で聞こえてくる「いらっしゃいませ!」という店員の声は聞こえてこない。代わりに、店内を見渡すと、店員の柔らかい笑顔と席を促すジェスチャーが返ってくる。

 

客はメニューを指さして注文

 

 

 この店、「Sign with me」の公用語は日本手話。オーナーも店員も耳が聞こえない「ろう者」が中心のカフェだ。噂を聞きつけたろう者が全国から訪れるほか、地元の人たちや東大生にも愛されている。

 ふらりと立ち寄った客の中にはカフェの趣旨を知らない人も多い。耳が聞こえる「聴者」は一瞬戸惑うものの、すぐにメニューを指さして注文すれば何の支障もないことに気が付く。よく来るという東京大学大学院生の女性(29)は「スープがおいしい。店員の大きな声がなく、落ち着いた雰囲気も気に入っている」と話す。

 聴者の客も慣れてくると、店員の身振りで席を融通しあったり、店舗内のホワイトボードへの書き込みやジェスチャーで、それぞれの方法で店員に「ごちそうさま」「おいしかった」を伝えたりと、聞こえないことが前提の環境に合わせて行動をしはじめる。ここでは、聞こえないことはもはや障害ではない。

■仕事に対する誇りを

 障害者の法定雇用率は2013年度から2.0%に上がった。しかし、達成していない企業も多いうえ、あくまでも福祉として実施している企業も多い。誰にでもできる雑用しか任せてもらえなかったり、意思決定に参画できなかったりするために、仕事に対する誇りを持てない障害者は多い。

 

Sign with meの店舗前と柳オーナー

 

 自身もろう者で、Sign with meのオーナー柳匡裕さん(42)は、前職で障害者の就労支援を手掛けているとき、障害の種類によって定着しやすい職場が異なることに気づいたという。「多くの障害では、勤務時間に融通が効く、福利厚生が充実しているなどの制度的・物理的な支援が効果的。ただ、ろう者については、働きやすさを売りにしている職場よりも、自分に裁量権があるような働き方ができるほうが定着率は高かった」(柳さん)

 多くの職場で前提となっているコミュニケーション方法は、口頭で会話するというもの。目が見えない、四肢が動かしづらいなど、ほかの障害であれば大抵は口頭でのコミュニケーション方法が共有できるが、ろう者は意見を伝えにくく、ディスカッションに参加ができない。決定されたことの結果しか伝えられずに、参画意識が薄くなり、離職が多くなるという。

 そこで、2011年に紆余曲折(うよきょくせつ)を経て開店することになったSign with meは、「1人1人が主役で、オーナーシップという意識を持ってもらう」ことに力を入れている。柳さんは「これまでの障害者雇用や福祉政策は、持つ者が持たざる者に対して援助をすることが中心だった。障害のある側も福祉で助けてもらうことに慣れてしまっている面がある」と話す。

 当然、障害の種類や程度によってはまた別の働き方や工夫が望まれる。障害者の中で雇用されやすい人とされにくい人が分かれてしまう問題もあり、福祉が必要な部分は残る。でも、意欲も能力もある人まで、発揮する場が極めて少ないというのが現状だ。「この店では、自分の足で立ち上がりたい人向けに、当事者による当事者の雇用創出をしたかった」と柳さん。

 柳さんにフランチャイズ店舗を任せたスープアンドイノベーションの室賀康社長(36)は「頭脳明晰な方が、何らかの障害があるという理由だけで、雑用しかやらせてもらえないというのはもったいない」と、全面的に運営をオーナーに託す。「お情けで買ってもらうのではない店舗を作りたかった。Sign with meは助成金頼みの運営ならやらない方針」(室賀社長)。結果的に助成金がなくても採算を確保しており、ほかの店舗と遜色ない利益を上げている。

■成功事例が広がるには課題も

 障害者自身に裁量権を任せることで活躍してもらうSign with meの成功事例が、社会的に広がるには、課題も多い。室賀社長は「文教地区の本郷三丁目では成功したものの、一つの都市に何か所も同じような店舗ができるとは想定しにくい」という。

 柳さんは、既存の福祉政策や医療・教育の方向性が「持つ者」に合わせるような方向に向かっていることで、障害者自身の意識や能力が育っていない面もあると見ている。たとえば、ろう者の場合、「そもそも母語である手話から、口話法に“矯正”していくような教育が行われることが多く、人に想いを伝える力が弱い」(柳さん)。リーダーシップを発揮していく障害者が増えるには、教育段階から変えていく必要もある。舗は若い女性などでにぎわう。

 ただ、それでも柳さんは、ビジネスを通じてSign with meの取り組みを発信していく意義は大きいと考える。ろう者にとっての最大の障害は、「聞こえることが正義」という価値の押しつけだという。そうではない空間を作り、ろう者にも聴者にも体験してもらうこと自体が店の存在意義になっている。

 店舗にはお昼どきを過ぎても客足が途絶えず、インタビューする場所が確保できないくらいの満席状態が続いていた。

 

店舗は若い女性などでにぎわう

 

 ダイバーシティーを標榜する企業が増える中、いかに多様な軸で多様な能力を生かすことができるか。援助するという姿勢ではなく、ときに当事者に意思決定を任せながら利益を達成していくことは、高齢者雇用や女性雇用にも共通する課題といえるのではないか。

 

ダイバーシティー(diversity)=ダイバシティー」ともいう。企業で、人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用すること。こうすることで、ビジネス環境の変化に柔軟、迅速に対応できると考えられている。

 

手話言語条例の向こうには(2015年5月6日配信『高知新聞』−「小社会」)

 

 「手話は独自の言語体系」。2年前、鳥取県が全国に先駆けて制定した「手話言語条例」は、手話をこう位置付け、耳の不自由な人が生活する上で障壁となるものを取り除くことを求める。 

 先月の統一地方選で兵庫県明石市議に初当選した家根谷(やねたに)敦子さんが、立候補を決めたきっかけの一つはこの条例。55歳の家根谷さんは、生まれつき耳が聞こえない。不便さを感じていたが、手話は心豊かな生活に必要という条例に感動。議員になって当事者の声を行政に届けたいと思うようになったという。 

 現状は心豊かな社会生活を送るには心もとない。買い物にしても手話に対応でき、筆談器を備えた店舗は少ない。阪神大震災、東日本大震災などでは防災無線が聞こえず、逃げ遅れるという悲劇も起きている。 

 家根谷さんの選挙運動は簡単ではなかった。公約を訴えようにも、手話だけだと分かってくれる人は少ない。家根谷さんの手話の内容を支援者らが声に出した。明石市議会は本会議での手話通訳者、要約筆記者の配置を検討している。 

 高知市はりまや町の商店街に、障害のある人や高齢者の買い物を支援する施設「タウンモビリティ」が開設された。耳の不自由な人を含め、買い物が遠かった人々には朗報だ。 

 きょう6日は「立夏」。新緑をなでて、さわやかな風が渡る候に、誰しも気軽に外出できる。手話言語条例の向こうにはこんな社会の姿がありそうだ。

 

タウンモビリティ

 大型の店舗や商店街、街の中心部において、歩行が不自由な高齢者や障害者に電動三輪車、電動スクーター、電動車いすなどを無料で貸し出し、買い物だけでなく、街を散策する手段と環境を支援し、誰もが出掛けたい場所に当たり前に出掛けられる移動の権利を保障する取組み。1978年に英国において、ショップモビリティとしてミルトンキーンズというニュータウンで始まった。日本でも導入する地域や店舗が増えてきている。

 高知市ではボランティア団体が、『障害があっても高齢になっても、誰もが出掛けやすい中心商店街を目指して』2011年より移動のサポートを行ってきたが、2015年5月から高知市・高知県の助成で、はりまや橋近くの京町商店街に常設の施設を設け、「タウンモビリティステーション ふくねこ」として運営を開始した。

 

 

道後貸浴衣リメーク第2弾 湯玉柄の鮮やかバッグ(2015年5月5日配信『愛媛新聞』)

 

道後温泉本館の売店に並ぶ浴衣を再利用したトートバッグ

 

 道後温泉本館(愛媛県松山市道後湯之町)で貸し出される浴衣をリメークした「湯玉トートバッグ」が完成し、このほど販売が始まった。 

 色あせやほつれから年間約70〜80着廃棄される浴衣の再利用と、高齢者や障害者のやりがいづくりを目指し市社会福祉協議会が実施。道後を中心に活動する女性クリエーターの提案を基に、市内の障害者就労支援事業所と高齢者グループが手作りした。「松山トリコ」のブランド名で展開し、昨年9月のクッションに続く第2弾。 

 バッグはL(縦横40センチ)とS(縦30センチ、横40センチ)の2種類。道後温泉のシンボル「湯玉」柄の浴衣を黄緑や赤に染め、茶や白などの帆布と組み合わせている。本館内の売店と市総合福祉センター(同市若草町)でL、Sともに5000円(税込み)で販売する。

 なお、松山トリコの「トリコ(toricot)」とは、フランス語で “ 編んだもの ” という意味。道後温泉本館のシンボルマーク「湯玉」のもとに、松山で暮らす人々がひとつひとつ糸を編みこむように、交じり合いながら創る喜びの輪を広げ、松山の虜(とりこ)になるように…、という願いが込められたネーミングとなっている。

 商品タグのトリコカラーの赤は「道後温泉」、緑は「松山市」、オレンジは「愛媛県」をイメージしている。

 

詳細は(PDF)

 

障害者権利条約が絵本に 福井出身・全盲の藤井さん製作(2015年5月4日配信『毎日新聞』−「福井版」)

 

左;条約を擬人化して紹介した「えほん障害者権利条約」/右;著者

 

 障害者への差別を禁止し、障害のない人と同じ権利を保障する国連の「障害者権利条約」が、福井市出身で全盲の日本障害者協議会代表・藤井克徳(かつのり)さん(65)の手で絵本になり、条約発効日にちなんで3日に汐文(ちょうぶん)社から発刊された。藤井さんは「皆が大切にされる社会をつくるヒントが、ぎっしり詰まっている条約の素晴らしさを、一人でも多くの人に知ってもらいたい」と力を込める。

 祝福の拍手や口笛、足踏みが響く国連本部。物語は、条約を擬人化した「ボク」が誕生する話から始まる。その後、世界各国に広がり、日本には条約が批准された2014年1月、船に乗って到着。そこには平和と人権を大切にする憲法があった。「『よし、おもいっきり働くぞ』。ボクの中にふしぎな力がわいてきました」。

 最も力を入れて描かれたのが、障害のある人とない人が68人も登場して、共に街の中で暮らす場面。つえをついて同級生と一緒に歩き、車いすでスポーツを楽しんで、結婚式を挙げる。「条約が大切にされればされるほど、街の中で障害のある人を多くみかけるはずです。それは、だれにとっても住みやすい社会となるでしょう」。

 

障害者権利条約

2001年の国連総会でメキシコのフォックス大統領が提唱。2002年から審議が始まり、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と障害者も審議に参加。2006年12月13日に採択された。21世紀最初の人権条約で、日本を含む154カ国が批准している。

                          

藤井克徳さん

 藤井さんは生まれつき弱視で、50歳で全盲になった。「命の次に大事」という音声パソコンの力を借りて文章を書く。絵本作りは、絵担当の版画家里圭(さとけい)さんのほか、3人の協力者から絵の説明を聞き、イメージを膨らませて文章をつづった。

 日本伝統の版画を取り入れたのは、絵本を英訳する構想もあるからで「条約が日本の中で、そして国境を越えて、のびのびと働いてほしい」と願った。

 絵本は縦24・5センチ、横21・5センチ。32ページ。税込み1620円。

 

黒柳徹子さん(女優・ユニセフ親善大使)や落合恵子さん(子どもの本の専門店クレヨンハウス主宰)も推薦

 

カード大手2社、手話・筆談で問い合わせ 聴覚障害者向け(2015年5月3日配信『日経新聞』)

 

 三井住友カードとジェーシービー(JCB)のカード大手2社が聴覚障害者向けに、テレビ電話で盗難や紛失などカードに関する問い合わせを受け付けるサービスを相次いで始めた。カードを安心して使える環境を整え、カード利用の増加や、顧客満足度の向上につなげる。

 両社とも聴覚障害者向けの代理電話サービスなどを手掛けるプラスヴォイスと提携する。インターネット電話「スカイプ」や無料対話アプリ「LINE(ライン)」の専用アカウントを設ける。

 利用者はこのアカウントにテレビ電話をかけ、オペレーターに手話や筆談で問い合わせる。オペレーターが問い合わせ内容をカード会社に伝え、返答を手話などで利用者に伝える仕組みだ。専用アカウントを使った問い合わせは無料。通信料や通話料はかかる。

 聴覚障害者による問い合わせはこれまでメールや郵送などに限られており、回答に時間がかかっていた。また、知人や親族が代わりに問い合わせる場合もあったが、プライバシーに関わるため自ら問い合わせたいとの要望も多かった。

 

「筆談ホステス」斉藤りえ氏が議員デビュー!ボードは持ち込めず(2015年5月2日配信『スポーツ報知』)

 

 

 東京都北区議選でトップ当選した「筆談ホステス」こと聴覚障害者の斉藤りえ氏(31)=日本を元気にする会=が1日、区役所で行われた「区議会議員初顔合わせ会」に出席し、区議デビューを果たした。議会で初めてのセレモニーを終え、斉藤氏は「改めて身が引き締まる思いがいたしております」と話した。

一方、同区の佐藤有恒(ありつね)区議(65)=社民党=は「議会や委員会以外の複数人で行う打ち合わせなどに対応できるか」と懸念を示した。

 斉藤氏は午後1時20分すぎ、トレードマークの白スーツ姿で、笑顔を見せながら区庁舎に現れた。受付で手渡された議員バッジを、女性職員から「バッジおつけしますか」と問われると、「お願いします」とゆっくりと答えた。

 花川與惣太(よそうた)区長(80)はじめ、区の理事者19人と今回当選した区議全40人が出席した「議員顔合わせ会」。斉藤氏は女性職員とともに緊張した面持ちで前列右側に座り、区長らのあいさつを用紙を見ながらうなずいた。議会には筆談用の小型電子ボードは持ち込めず、会も約10分で終了したため、議会での他の議員との“対話”はなかった。

 その後、議会の各会派にあいさつ回りをする中で、自民党議員から「活躍期待してますよ」とエールを送られた。花川区長も「障害のある方が議会活動に参加することは喜ばしいこと。今後の議員活動が円滑に行えるよう環境整備に努めていく」と、斉藤氏を後押しする意向を示した。取材に対し、斉藤氏は「(他の議員から)一緒に頑張りましょうと声をかけていただき心強く感じています」と筆談で答えた。

 一方で、耳が聞こえずほとんど話せない斉藤氏が、議会活動する上での具体的な救済措置は決まっていない。この日も、斉藤氏側と区議会事務局幹部ら5人が話し合ったが、結論は出なかった。事務局次長は「(パソコンで文章を音声に変換する)音声読み上げソフトの使用や手話通訳、要約筆記者、付き添い補佐の起用など案はある。段階的に導入することも考えられる」とした。

 同区議を6期務める佐藤氏は「本会議では事前質問ができるし、委員会はパソコン導入が認められているので何とかなるかもしれない。だが、議員だけの打ち合わせが多々あり、それに対応するのが難しそうだ」と指摘した。

 晴れて「筆談区議」となった斉藤氏だが、5月末の初めての本会議までに環境が整うかは不透明なままだ。

 

障害者との共生モデルに(2015年5月2日配信『読売新聞』)

 

 ◇泉・明石市長、初登庁で抱負

 統一地方選で再選を果たした明石市の泉房穂市長が1日に初登庁し、記者会見で「障害のある人とともに生きていく当たり前の社会を目指し、明石がそのモデルになる」と強調、2期目への意気込みを語った。

 泉市長は、聴覚障害者の家根谷敦子さん(55)が同市議選で初当選したことについて改めて言及。「障害のある人を選出した市民を誇りに思う。市職員や市民が手話を学ぶ機会をもっと増やしたい」と述べ、今年度から手話通訳士の支援を拡充することもアピールした。さらに、障害のある児童・生徒が特別支援学校だけでなく、地域の小中学校にも通えるよう、市としてサポートしていく考えも示した。

 

息子の耳が聞こえないことが分かった日(2015年5月1日配信『日経DUA』)

 

 

現在、音楽活動をしながら、男の子1人を育てている、元SPEED・今井絵理子さん。息子さんは生まれつき、耳に障がいがある。「耳が聞こえないのは、個性の一つにすぎません」と明るく語る、今井さんの子育てに迫る。連載・第1回では、息子さんが難聴であることが分かった日のことを語る。

 

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