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【統一地方選2015後半戦】「筆談ホステス」斉藤里恵氏がトップ当選 東京・北区議選(2015年4月27日配信『日刊スポーツ』ほか)

 

斎藤里恵

当選を喜ぶ斉藤里恵氏


 「筆談ホステス」として知られる聴覚障害者の斉藤里恵氏(31。日本を元気にする会)が定数40に50人が立候補した東京都北区議選で2位以下を大きく引き離す6630票を獲得し、トップ当選した。

 「バリアフリー社会」「女性の社会進出」などを公約に掲げた斉藤氏は聴覚障害があり、言葉がスムーズに話せない。街頭では有権者一人一人に駆け寄って握手やジェスチャーなどで支持を訴えた。

公選法上、区議選では選挙用ビラを配れない。手話は「初心者レベル」で勉強中の斉藤氏は街頭演説の代わりに、ボードに文章を書いて見せようと考えたが、公選法が禁じる「文書図画の掲示」にあたる可能性があるとして断念。告示後は有権者一人ひとりに名刺を渡してPRしたが、これも違反の恐れがあると警察から指摘され、支援者とともに有権者に声をかけるしかできなかったことから、「今の選挙制度は、『音』があることが前提。言語や聴覚の障害者を排除しているのでは」と訴える。

27日午前2時過ぎ、開票結果の確定を待ってから北区内の事務所で会見。最多得票について、「まだ信じられない気持ちです」と書き込んだ小型電子ボードを掲げた。
 今後の意気込みについては「私を理解してくださった北区の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。皆さまのお気持ちを大切にしっかりがんばってまいります」と記した。
 聴覚障がい者の北区議が誕生するのは初めて。北区議会の本会議は口頭でのやりとりが原則で、現行の規定ではパソコンや携帯電話など通信機器は持ち込めない。議事録には発言したことが記録されるため、言葉が不自由な斉藤氏の受け入れ体制をめぐり、議会の対応にも注目が集まる。

斉藤さんは27日午後2時45分ごろ、白色のスーツ姿で区役所に現れ、当選証書を受け取った。報道陣に「人の心が聴こえる街を目指したい」とタブレット端末にタッチペンで抱負を書いて見せた。

深夜に及んだ開票で、やや疲れた様子だったが、長女からは朝、「おめでとう」と伝えてもらったといい、笑顔を見せた。当選証書を受け取ると、議会事務局を訪れ、どのような方法で、議会でやりとりできるかを相談した。

斉藤さんは、議会ではパソコンの音声読み上げソフトや区長らによる答弁の字幕での表示を活用し、政策発信にはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用すれば、対応できると考えている。

 

5月13日に区議会の会派の代表者会があり、「議場へのパソコンの持ち込み」について全会一位で承認された。

 

これまでは、慣習で、議場にパソコンの持ち込みが禁止されていた。

 

斎藤さんは、パソコンを持ち込むことで、

 ●耳代わりに  ⇒ 音声認識ソフト(声を文字に変換するソフト)

 ●声の代わりに ⇒ 読み上げソフト(文字を読み上げるソフト)

など、障がいをスムーズに乗り越えられる方法があるのではないでしょうかと問いかけている。また、「耳の聞こえない私だけではなく、議場でパソコンを使えるようになることで、他の議員さんたちもメモを取るのが楽になったり、不明な点をその場ですぐ調べられたり、と、便利になるのでは…となぜ使用が認められないのか不思議です」と指摘している。

 

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◆斉藤 りえ(さいとう・りえ)=1984年2月3日、青森県生まれ。31歳。髄膜炎の後遺症で1歳10か月で聴力を失う。「青森一の不良娘」と呼ばれ高校中退。07年単身上京し、銀座の高級クラブでホステスとして活躍、NO1に。09年に刊行した『筆談ホステス』がベストセラーとなり、北川景子主演でドラマ化(TBS)された。同年に青森観光大使に。14年から東京都北区住在。ハワイで出産した現在、4歳の長女・栄万(えま)ちゃんを育てながら、セミナー講師や執筆活動を行っている。

 

【統一地方選2015後半戦】手話の訴え、聴覚障害持つ母当選…明石市議選(2015年4月27・28日配信『毎日新聞』&『神戸新聞』&5月2日配信『読売新聞』)

 

左;選挙運動期間中、手話を使って支持を訴える家根谷さん

右;当選を喜ぶ家根谷さん

 

 総じて男性優位の自治体選挙に、女性たちが各地で挑んだ。26日投開票された統一地方選後半戦の兵庫県明石市議選では、無所属の新人、家根谷(やねたに)敦子さん(55)が、定数30に対して立候補した37人のうち、18番目となる2994票を獲得して当選した。生まれつき耳が聞こえず、日常会話で使う手話の訴えを娘たちが通訳した。

 家根谷さんは、兵庫県立神戸聾学校(現・神戸聴覚特別支援学校)高等部を卒業後、会社員を経て1995年の阪神大震災でボランティア活動に従事。その際に災害弱者への支援が不十分だと感じ、明石ろうあ協会事務局で障害者の支援活動を始めた。2007年から明石市の障害者相談員を務めている(現・明石ろうあ協会事務局次長)。

 鳥取県で2013年10月、手話を言語と認めて学ぶ機会を保障する「手話言語条例」が施行され、政治に興味を持った。2014年秋、明石市で同様の手話による情報発信推進などを盛り込んだ「手話言語等条例」の検討会があり、同条例の検討委員会メンバーも務め、必要性を訴えて実現に奔走。条例は2015年4月に施行された。

 「政治の場でも手話を認めてもらおう」と立候補を決意。「手話で演説中」というカードを掲げ、駅やスーパーの前に立った。「障害のある子が地域の学校に通える制度を」「災害時に障害者に情報を伝える仕組みを拡充したい」「誰もが暮らしやすい、住みやすいまちをつくりたい」「バリアフリーのトイレ設置」などの福祉政策推進の抱負を、次女の智美さん(28)や三女の明美さん(20)が手話通訳のマイクで訴えた。

 「本当に議員活動ができるのか」。有権者からそんな言葉も浴びせられた。「障害があってもやれると理解してもらうために決意しました」「手話も言葉です」。支持が広がっていった。演説を聞いた女性が覚えたての手話で「頑張って」と話しかけてくれ、うれしかった。「私の挑戦が後に続く人たちの希望になれば」と戦い続けた。

 家根谷さんは明石市の事務所で深夜、当選確実の知らせを受けると、手話で「たくさんの方の支援のおかげで当選できた。本当にありがとうございました」と何度も繰り返し、支援者らと抱き合って喜んだ。親族から贈られた明石産のタイを高々と掲げ、涙を流しながら「明石の福祉の前進に努めたい」「壁はあると思うが乗り越えていきたい」と決意表明した。

 全日本ろうあ連盟などによると、2001年の長野県白馬村議選で聴覚障害の女性の桜井清枝(すみえ)さんが当選して1期4年務めたが、不自由ながらも話すことはできた。耳が聞こえず声も出ない議員は国政も含めて過去に例がなく、明石市議会事務局は本会議での手話通訳者や要約筆記者の配置を検討している。

 27日、家根谷さんに市選挙管理委員会から当選証書が渡された。家根谷さんはあらためて「責任の重さを感じている。市民誰もが暮らしやすいまちにしたい」と手話で抱負を語った。

 同市役所で行われた交付式では、市が用意した手話通訳2人が同席する中、緊張した様子で川木菊正・選管委員長から当選証書を受け取った。

家根谷さんの当選を受け、再選を果たした障害者の弟を持つ泉房穂(いずみ ふさほ)市長(51)が「もっと手話を勉強して議会において手話で答弁してみたい」と表明したことに対しては「うれしく思います」と笑顔を浮かべた。泉市長は2014年秋、手話検定2級を取得しており、日常会話はできる。

 家根谷さんは、5月1日に初登庁。任期は2019年4月末まで。

 1日に初登庁した泉房穂市長が記者会見で「障害のある人とともに生きていく当たり前の社会を目指し、明石がそのモデルになる」と強調、2期目への意気込みを語った。

 泉市長は、聴覚障害者の家根谷敦子さん(55)が同市議選で初当選したことについて改めて言及。「障害のある人を選出した市民を誇りに思う。市職員や市民が手話を学ぶ機会をもっと増やしたい」と述べ、今年度から手話通訳士の支援を拡充することもアピールした。さらに、障害のある児童・生徒が特別支援学校だけでなく、地域の小中学校にも通えるよう、市としてサポートしていく考えも示した。

 家根谷さん(55)は5月15日、初の本会議に臨んだ。

 この日の本会議では午前中、議長・副議長の選出をし、市が手配した手話通訳2人が交代で議場に入った。議長席の横でやりとりが手話で通訳され、家根谷さんは緊張した表情で通訳の手もとを見つめた。傍聴席では支援者の聴覚障害者や家族らが見守った。

 家根谷さんは「とても緊張したが、手話通訳も見やすく内容もよく理解できた。ほかの議員の皆さんと同じようにがんばっていきたい」と手話で語った。

 

手話や要約筆記、各地で研修 10月の「紀の国わかやま大会」へ(2015年4月23日配信『紀伊民報』)

  

 10月に和歌山県である「紀の国わかやま大会」(全国障害者スポーツ大会)の会場で、手話や要約筆記で聴覚障害者とコミュニケーションを取るボランティアの研修会が、各地で開かれている。大会の全会場に「情報保障席」を設けると決めている県は「取り組みを通じ、会場を訪れる人に手話や要約筆記を知ってもらう機会にもしたい」と話している。

 手話や要約筆記を用いるのは情報支援ボランティアと呼ばれる。県障害者スポーツ大会課によると、2013年9月に募集を始めたところ、想定の600人を上回る700人超が集まった。

 会場で流れるアナウンスや試合の状況を情報保障席のホワイトボードに書いたり、聴覚障害がある競技入賞者に手話で感想を聞いたりするのが主な役割になる。

 ただ、大会では目立つ服を着ることもあって交通手段や食事についてなど、いろいろなことを来場者から聞かれることも多い。競技のルールはもちろん、会場内の配置やタイムスケジュールも把握しておく必要があるという。このため、県は4月から、各競技の会場となる市町にボランティアに集まってもらい、研修会を開いている。

 上富田町朝来の上富田スポーツセンターではこのほど、同町が会場となっている「フライングディスク」の情報支援ボランティアを対象にした研修会があった。

 約60人の参加者は、競技団体の役員から競技について説明を受けたほか、県聴覚障害者情報センターの担当者からは「ボランティアの皆さんにも楽しんでもらいたい」などと助言を受けた。

 要約筆記を担当する、すさみ町周参見の主婦芝恵子さん(51)は「何かの役に立てたらと思って応募した。和歌山の人は心が温かいなと感じてもらえるように頑張りたい」。自身も聴覚障害がある田辺市高雄2丁目の北武尚さん(75)は手話ボランティア。「初めてのことで多少の混乱はあるかもしれないが、皆さんと力を合わせ、笑顔でおもてなしをしたい。勇気を持って頑張ります」と笑顔だった。

 各競技の研修会は5月10日まで。6月7日にはリハーサルとなる「県障害者スポーツ大会」があり、ボランティアらが役割を確認する。本番は10月24〜26日

 

日本初ろう者による「手話TV」(2015年4月21日配信『ソーシャル・イノベーション・マガジン Alterna)

 

番組MCのアフロ山本さん(左)とあやさん

 

いつでもどこでも手話のある社会を作るShuR(シュアール)グループのNPO法人シュアール(神奈川県藤沢市)が1月から、日本初となる手話総合バラエティ番組「GO!GO!しゅわーるど」をインターネット上で配信を始めた。手話人(ろう者)が中心となって、日本語と異なる文法体系をもつ自然言語の手話の世界観を大切にしながら番組の制作・配信を行っていく。番組は、5日、25日の毎月2回配信され、各回15分で構成されている。(フリーライター・今一生)

 番組の内容はお笑い、クイズ、視聴者参加型コーナーなどの娯楽コンテンツ。音声はないが、字幕が付き、ろう者だけでなく、手話がわからない聴者も楽しめる。聴者が見れば、いささかオーバーにも見える顔の表情や、体全体を使った大きなリアクションも、ろう者独特の文化を思わせる。

 番組の担当ディレクターで、同法人のエンターテインメント事業部に勤務する手話人の今井ミカさんは言う。

 「社会の中でマイノリティになっているろう者には手話を禁止されたり、就ける仕事が限られているなど差別されてきた歴史もあり、ろう者にとっては当たり前の文化も聴者からは一方的に『障がい』として見られがち。生活していて、聴者との間に言語の壁も感じます」

 「ろう者は聞こえないのが当然なので、呼ぶ時に肩を叩いたり、明かりを消すなど独特の習慣や特長、文化があるのですが、既存のテレビ番組にはろう者が関わるものは少なく、字幕を見てもろう文化の人にはわからないことがある。聴者と価値観も違いますし、ろう者が見ると面白いと感じられないのですね。そこで、ろう者同士で共有でき、楽しめる番組を作りたいと思いました」

 4月18日から順次全国公開されている映画「ザ・トライブ」(ミロスラヴ・スラボシュピツキー監督)も、素人のろうあの出演者だけで作られた。セリフも、字幕も、ナレーションも、音楽もない。だが、昨年、カンヌ国際映画祭の批評家週間でグランプリを受賞したほか、世界中で高評価を得た。

 「GO!GO!しゅわーる」も、今後はCM スポンサーを広く募集し、番組の充実、多角化を進めていく予定という。

 「テレビにろう者が出てるのを観て、『ろうでもできる』と夢が持てるとか、聴者が『自分もろう者と話してみたい』と思ってもらえるような変化を起こしたい」(今井さん)

 

手話TV 「GO!GO!しゅわーるど」(http://shuwa.tv

 

東芝製“受付ロボ”がおもてなし−日本橋三越で「地平(ちひら)アイこ」がデビュー(2015年4月21日配信『日刊工業新聞』&2015年4月20日配信『毎日新聞』)

 

 

 “ロボット受付嬢”がおもてなし―。東芝のコミュニケーションロボット「地平(ちひら)アイこ」が20日、三越伊勢丹(東京都新宿区)の日本橋三越本店1階受け付けにデビューした。館内のイベント情報などを、来店者に音声や身ぶり手ぶりで案内する。22日から5月5日までは同店7階で開かれるイベント「未来を遊ぶ with Toshiba」の会場で歌も披露する。

 中陽次三越伊勢丹常務執行役員三越日本橋本店長は「東芝と一緒に新しいデジタル技術をプロモーションできるのは幸せ」と、“受付嬢”の活躍に期待を寄せた。徳田均東芝研究開発統括部マーケティング戦略室参事は地平アイこについて「2014年に公開して以来、反響は大きい。生活に真に溶け込んだ存在にしたい」とした。

地平アイこは手話ができるほか、自己紹介もこなすなど来店客との交流が可能。最近の改良の結果、中国語も話せるようになったという。

地平アイこは、人とコミュニケーションする目的で2012年から開発。身長165センチで、顔や両腕など43カ所を動かして人間のようなそぶりを見せる。名前には、「地球の平和」と、アイデア、コミュニケーションで技術革新を図りたい思いを込めた。受付では、来店客に「ご来店いただき、ありがとうございます」と話しかけながら、腕を動かして店内に誘導する仕草を見せていた。録音した女性の声を合成して発音する。事前に登録した話や動きで来店客の関心を引きつけるが、会話などはできない。

 

「筆談ホステス」斉藤里恵さん区議選で第一声(2015年4月19日配信『日刊スポーツ』)

 

「筆談ホステス」斉藤里恵さんが自らの言葉で選挙戦に向けての意欲を語る

 

 「筆談ホステス」が、自らの言葉で演説した。

 聴覚障害者で東京都北区議選に立候補した斉藤里恵さん(31)が19日午前、同区のJR十条駅前で告示日の第一声を発した。流ちょうに話すのは難しいが、「自らの言葉で伝えたい」と希望。支持者の演説に続き、マイクを握った。

 「皆さん、今日はありがとうございます。今日から、自分の思いを皆さんに伝えられるように、頑張ってまいります。よろしくお願いします」

 約15秒間と短かったが、周囲から大きな拍手が響いた。その後は、駅前の商店街を練り歩き、区民と握手したり、名刺を配ったりして、支持を訴えた。関係者によると、まったく耳が聞こえない状態で話す言葉としては、うまく話している方だという。

 

談ホステス、選挙カー&マイクなし 電子ボードで“声”届ける(2015年4月18日配信『スポーツ報知』)

左;電子ボードを使い選挙戦を展開することを明かした斉藤りえさん

右;斎藤さんの著書とテレビドラマ主演北川景子さん

 

 東京都北区議選(19日告示、26日投開票)に出馬する「筆談ホステス」こと聴覚障害者の斉藤りえ(本名・里恵)さん(31)=日本を元気にする会=が17日、選挙カーやマイクなどを使わない「音のない選挙戦」を展開することを明らかにした。ウグイス嬢も動員しない。話すことができない斉藤さんは街頭活動では、小型電子ボードなどを使い、「筆談」で支援者らと1対1のコミュニケーションを図るという。

 筆談による接客が人気を呼び、銀座の高級クラブでNO1になり、2009年に刊行した「筆談ホステス」はベストセラーとなった斉藤さん。19日から本格的に始まる選挙活動も専ら「街頭筆談」となる。

 1歳から聴覚障害で今も耳が聞こえず、話すこともほとんどできない斉藤さんは、「音を一切使わない戦い」で人生初の選挙戦に挑む。筆談で取材に応じ「私は声を出すことができない上に、区議選ではビラ配布を禁じられている。言語、聴覚障害者は最初から排除されていると思う。この現状に警鐘を鳴らす意味でも新しい選挙の方法を考えました」。選挙といえば、マイクを握り、お願いをするイメージがあるが、今回は一切使用せず、ウグイス嬢や司会者も動員しない。応援議員の演説だけは、例外としてマイクを使う。

 「音のない選挙戦」で武器となるのは、ノートサイズの「小型電子ボード」と裏側にメッセージが書ける枠がある「名刺」。当初、大きなホワイトボードの使用も考えたが公職選挙法に抵触する可能性があり、電子ボードに文字を書き、街頭に集まった支援者らと1対1の「筆談」でコミュニケーションを図っていく。

 都選挙管理委員会によると、「文書図画の掲示」は、主に「選挙事務所」「選挙カー」「候補者が身に着ける物」「演説会場」「選挙ポスター」以外は公選法で違反とされている。ただし、会話の代替として、小型電子ボードの1対1の伝達行為は問題ないという。また、名刺に関しては、ビラのようにばらまくのではなく、あいさつで渡すことは禁じられていない。

 十数人のボランティアらと始めた街頭活動での手応えは上々だ。「口元を見てある程度言葉は理解できる。北区の皆さんは、ゆっくり話してくださる方が多くて優しいです」と笑顔。

 北区選管によると、聴覚障害者の立候補は初めて。仮に当選しても、議会の議事進行をどのように理解し、意見をいかに発信していくかなど課題は残る。だが、「変えていく自信はあります」。握る筆に力がこもった。

 

 ◆斉藤 りえ(さいとう・りえ)1984年2月3日、青森県生まれ。31歳。髄膜炎の後遺症で1歳10か月で聴力を失う。「青森一の不良娘」と呼ばれ高校中退。07年単身上京し、銀座の高級クラブでホステスとして活躍。09年に青森観光大使に。14年から東京都北区在住。現在、4歳の長女を育てながら、セミナー講師や執筆活動を行う。

 

聴覚障がい者も参加できるコミュニケーションツール--発言を自動でテキスト化(2015年4月16日配信『ZD NET JAPAN』)

 

 富士通と富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)は4月14日、聴覚障がい者参加型コミュニケーションツール「FUJITSU Software LiveTalk」を発表した。税別価格は5ライセンス1セットで20万円。5月中旬から販売する。

 会議や授業など複数人が情報を共有する場で発話者の発言を音声認識し、即時にテキストに自動変換して複数のPCに表示することで、聴覚障がい者を含む参加者全員がリアルタイムに情報を共有できるという。総務省の2013年度情報通信利用促進支援事業費補助金の採択を受けて研究開発された。

 

LiveTalkの利用イメージ

LiveTalkの利用イメージ(富士通提供)

 

 LiveTalkは、ハンドマイクやヘッドセットマイクを通して発話を音声認識し、テキスト化した文字情報をリアルタイムにPCやタブレット端末の画面に表示して文字でコミュニケーションする。テキストは、同一の無線LANルータ環境で接続されたすべての端末に対しリアルタイムに転送される。音声認識技術には、アドバンスト・メディアの音声認識ソフトウェア「AmiVoice SP2」を使用している。

 複数人が同時に発言した場合も、テキスト化を平行処理しながら同時に表示することで、話の流れを正確に把握できると説明。テキスト化された発言内容に誤りがあれば、その発言をPCから修正できる。キーボード入力のほかにも、直感的に意思を表示できるスタンプ入力や使用頻度の高い文章を登録して発言する定型文入力機能で誰もがスピーディーに発言できるとしている。

 

無線LAN通信による発話のリアルタイム表示

無線LAN通信による発話のリアルタイム表示(富士通提供)

 

LiveTalkの画面イメージ

LiveTalkの画面イメージ(富士通提供)

 

 これまで聴覚障がい者と健聴者が同じ環境でともに働いたり学んだりしていく上で必要であった筆記通訳などがなくても円滑な双方向コミュニケーションを実現すると説明する。LiveTalkで聴覚障がい者と健聴者のコミュニケーションが円滑に図れ、聴覚障がい者の職域や教育の場の広がりが期待できると説明する。

 富士通と富士通SSLでは、今後もLiveTalkの機能開発を重ねていくことで、会話ログの保存や議事録などの作成支援へと応用を広げていく予定。今後も聴覚障がい者とのコミュニケーションの課題解決に取り組み、日常的なものから専門性や緊急性の高いものまであらゆる音声が可視化され、さまざまな場面で情報保障が可能となるような快適で安心な社会づくりを目指していくとしている。

 

聴覚障害者が会議に参加しやすく 富士通、ソフトで紡ぐ新手法(2015年4月14日配信『日経コンピュータ』)

 

発話の内容を時系列に表示しているところ。認識ミスや誤変換を適宜修正する機能もある

 

LiveTalkのデモの様子。パソコンに接続したマイクに向かって離す

 

 富士通と富士通ソーシアルサイエンスラボラトリは2015年4月14日、発話内容をテキスト化することで聴覚障害者の会議参加を容易にするソフトウエア「FUJITSU Software LiveTalk」(以下、LiveTalk)を発表した。音声認識技術を用いて参加者の発言内容をリアルタイムに文字で表示し、音声が聞き取れない人でも会議や打ち合わせの流れをスムーズに把握できるのが特徴。18歳以上の聴覚障害者は全国に約27万6000人いるとされ、そのうち従業員5名以上の事業所で働く人は5万人以上。健常者と同等に意志の疎通を図りやすくすることで、活躍の場を広げるのが狙い。1年間で2000ライセンスを販売することを目指す。発売は2015年5月中旬。

 LiveTalkは、パソコン上で動作するソフトウエア。会議参加者のパソコン同士を無線LANで接続し、個々の発話の内容を交換し合うことで全員の発話を時系列に表示する仕組み。音声認識エンジンは搭載しておらず、アドバンスト・メディアの音声認識ソフトウエア「AmiVoice SP2」と組み合わせて利用する。

 会議を実施する際は、会議参加者一人ひとりにLiveTalkとAmiVoice SP2をインストールしたパソコンを用意する。パソコンにマイクを接続して発話すると、AmiVoiceがテキストに変換。これを受け取ったLiveTalkが、その内容を他のパソコンに送信する。こうして、全ての発話者と発話内容が各自のパソコン上にリアルタイムに表示される(写真1、写真2)。これを見れば、誰が今どんな発言をしているかが分かる。

 聴覚障害者も、キーボードから文字を入力することで発言が可能。「スタンプ」と呼ぶイラストを使ったコミュニケーションもできる。

 富士通 グローバルマーケティング本部 総合デザインセンターの森淳一部長は「聴覚障害を持つメンバーにとって業務上最も支障を感じるのが、会議や打ち合わせだ」と話す。大型の会議などでは発言をテキスト化して表示するなどの取り組みが進んでいるが、日常業務の中で開催される小規模な打ち合わせでは難しい。全員の発言内容をテキスト化するのは負荷が高く、聴覚障害を持つ社員は会議に参加メンバーとして呼ばれにくい、といった問題があった。

 問題の解決を狙って開発されたのがLiveTalkで、実際に聴覚障害を持つ社員も開発に加わった。聴覚障害者が手軽に発言しやすくするなど、当事者だからこそ必要性が高いと感じる機能を盛り込んだ。製品発表会には聴覚障害を持つ開発メンバーも登場。「以前は会議の内容を後になってから知ることが多かった。LiveTalkが入ってから、その場で会話に参加できるようになった」とメリットを語った。

 同様の製品は他社も発売しているが、LiveTalkとは異なりサーバーで音声認識を実行する仕組みが多いという。LiveTalkはパソコンで音声認識をする分、遅延が少なく会話の内容をリアルタイムに把握しやすい。将来的には、スマートフォンへの対応も検討している。

 LiveTalkのみの価格(税別)は、1セット(5ライセンス)で20万円。追加は1ライセンス当たり5万円。これとは別に、利用人数分のAmiVoice SP2(実勢価格は1万8000円前後)やマイクなどが必要。

 

富士通;聴覚障害者の会議参加スムーズに 富士通がシステム開発(2015年4月14日配信『朝日新聞』)

 

発言内容がパソコンの画面にリアルタイムに文字で表示され、聴覚障害者でも会議に参加しやすくなる=東京都港区

 

 富士通は14日、耳が不自由な人や言葉が話せない人がスムーズに会議に参加できるシステムを公開した。発言が即座に文章になって出席者全員のパソコン画面に表示されるほか、マウス操作で「わかりました」「待ってください」といった定型文を素早く表示させることもできる。

 どんな内容の話をしているかをソフトが判断し、同じ発音でも最適な単語を表示してくれる。複数の人が同時に発言しても、それぞれの発言を文章にできる。キーボードで文章を修正することもできる。

 人が話し言葉を文字にする要約筆記に比べ、会議の流れをつかみやすく、発言しやすいのが特徴。富士通の担当者は「聴覚障害者の社会参加を切り開く手段にしたい」と話す。5人用のシステム(パソコンやマイクなどはのぞく)で30万円程度。5月中旬から企業や学校向けに販売する。

 

11の気配りバッチリ特典で安心! バリアフリーウエディングの新プランが登場(2015年4月11日配信『マイナビニュース』)

 

 

新宿駅からすぐ、高層ビルが建ち並ぶ西新宿の中でもひときわ存在感を放つ京王プラザホテル(東京都)。都会の喧騒を忘れるかのような、落ち着いた上質な空間と高いホスピタリティが、幅広い世代の方に愛されています。そんな京王プラザホテルでは、4月20日(月)にチャリティイベント「ボランティア・プラザ」を開催。なかでも、特に注目したいのは今回初となるバリアフリーウエディング「Wedding for all」です。

当日は摸擬挙式のほか、ユニバーサルルームや会場をホテルスタッフが案内してくれる「ホテル内バリアフリー施設見学ツアー」の開催や、5月1日(金)より発売される11のバリアフリー特典が充実したウエディングプランも発表! バリアフリーの結婚式を多数手がけたベテランスタッフが担当するのに加え、広めの特別ブライズルームでの支度や磁気ループのある会場、そしてユニバーサルルームでの宿泊のプレゼントも付いた安心と安全を提供してくれるプランです。

 ほかにも、車椅子利用可能の客室や、聴覚障害者のための設備、「磁気ループシステム」対応の会場、補助犬専用トイレの設置、ホテルスタッフのユニバーサルマナー検定の取得など、どんな方でも安心して利用してもらえるようにと万全の体制でサポート。新郎新婦はもちろん、参列者も安心して最良の一日を迎えられるのがうれしいですよね。

 

聴覚障害者に観光案内 金沢(2015年4月11日配信『読売新聞』)

 

 

 北陸新幹線開業で観光客が増えるのに合わせ、金沢市は4月から、聴覚に障害がある観光客を対象に手話で観光案内をするボランティアガイド「かがやきR」を発足させた。市によると、自治体が手話ガイドを派遣する仕組みを設けるのは全国で初めて。

 手話でガイドをするのは、鴻野一緒さん(71)、宮崎キヨノさん(63)、吉岡真人さん(44)、福村俊彦さん(38)の4人。いずれも、金沢ボランティア大学校の観光コースを修了した同市在住の聴覚障害者。

 事業は、市聴力障害者福祉協会が市から委託を受けて実施する。名称の「かがやきR」は北陸新幹線の「かがやき」にちなみ、Rは「ろう(ROU)」のローマ字表記からとった。かがやきある観光を楽しんでほしいとの願いを込めた。

 同協会では昨年、すでに約30件のガイドを実施。ガイドにあたった福村さんらによると、「何回か金沢に来たこともあったが、説明を受けると伝統や歴史への理解が深まる。また来たい」などの感想があったという。吉岡さんは、「雨で傘を差すと、片手での手話になってしまうのが悩み」としながらも、「由来などを説明、理解してもらうため、手話表現に工夫している。障害があるもの同士の交流もでき、楽しい」としている。

 8日は、ボランティアガイドらが市役所に山野之義市長を訪問し、事業のスタートを報告するとともに、スタッフジャンパーを受け取った。山野市長は「金沢の良さを知ってもらうために活躍してほしい。おもてなしの心で接してください」と激励した。

 11日には新潟からの観光客を初めて案内するほか、5、6月には首都圏からの20〜30人規模の団体のガイドも予定しているという。

 ガイドは無料だが、ガイド分の交通費や入場料などの負担が必要。利用を希望する場合は、1か月前までに同協会にファクス(076・233・9011)か、メール(guide@k-deaf.sakura.ne.jp)で申し込む。

 

高校生手話スピーチ、出場者を募集(2015年4月11日配信『朝日新聞』)

 

 手話の普及と福祉教育の推進を図るため、高校生が手話と音声で同時に発表する「第32回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」を8月29日[土]、東京・有楽町朝日ホールで開きます。

·          申込書と弁論原稿を6月8日[月](必着)までに、〒104・8011(所在地不要)朝日新聞厚生文化事業団「手話スピーチコンテスト」係(03・5540・7446、ファクス03・5565・1643)へ。テーマは「手話が広げる世界」か「これから挑戦したいこと」。原稿と映像審査で選ばれた10人が出場します。詳細は同事業団ホームページ(申込書も入手可)。

 主催・全日本ろうあ連盟、朝日新聞厚生文化事業団、朝日新聞社、後援・厚生労働省、文部科学省、テレビ朝日福祉文化事業団、日本手話通訳士協会、全国聾学校長会、協力・東京都聴覚障害者連盟、協賛・NEC

 

障害持つ学生、最多1万4000人 14年5月1日時点(2015年4月10日配信『共同通信」)

 

 

 障害のある大学、短大、高等専門学校の学生は2014年5月1日現在で、1万4127人だったこと日本学生支援機構(JASSO)の調査で分かった。13年度から678人増え、05年度に調査を始めて以来、過去最多だった。

 JASSOの担当者は「障害者への社会的な理解も深まり、大学の支援体制も整ってきていることで、進学しやすくなっているのではないか」と話している。

 調査には全国の国公私立の全1185校が回答。障害者手帳を持っている学生や、健康診断などで障害があると分かった学生を集計した。

 障害者が在籍していたのは全体の70%に当たる833校。障害種別では、病弱・虚弱が3037人で最も多く、発達障害2722人、肢体不自由2534人、聴覚・言語障害1654人と続いた。

 授業の際に何らかの支援をしている学校は639校。支援の内容は障害に応じて(1)使用教室や座席の配慮(2)聴覚障害者のため授業内容を要約して伝える「ノートテイク」(3)手話通訳(4)休憩室の確保――などだった。

 JASSOは今後も教職員向けの研修などを実施して、支援体制の充実を図りたいとしている。

 

岡山で県内消防職員が意見発表 大会最優秀に辻本、藤田消防士(2015年4月10日配信『山陽新聞』)

  

手話を交えて発表する最優秀賞の辻本さん

 

岡山県内の消防職員が業務の改善提案などを主張する消防職員意見発表県大会(県消防長会主催)が10日、岡山市内のホテルで開かれ、最優秀賞に井原地区消防組合消防本部の辻本裕臣消防士(29)、赤磐市消防本部の藤田浩之消防士(27)が選ばれた。

 県内の14消防局・消防本部から1人ずつ参加。地域の防災力向上など思い思いのテーマで各5分間、意見を述べた。

 辻本さんは東日本大震災で障害者の死亡率が高かったことに触れ、消防職員の手話の習得を提案。手話を交え「私たちが習得すれば救える命が増える」と強調した。

 藤田さんは、自動体外式除細動器(AED)がボタンを押すだけで使えることと、スマートフォンが指一本で操作できることを説明し「スマホの使い方についてAEDのように研修を受けた人はいないはず。身近な人に教わったのでは」と指摘。AEDの使い方を広める方策として、使い方そのものよりも周囲への教え方を普及させる必要性を述べた。

 2人は24日、倉敷市で開かれる中国大会に県代表として出場する。

 

スーパー駐在:瀬谷署にもいた 手話で現場に安心感 笑顔大切、相手と距離縮まる 北新駐在の田川警部補(2015年4月7日配信『毎日新聞』−「神奈川版」)  

 

 三味線の名取や山岳救助のエキスパートなどといった特殊な技能を生かし、駐在所の警察官として地域密着の活動をする「スーパー駐在」。警察官に珍しい「手話通訳士」の資格を持つ、瀬谷署北新駐在(横浜市瀬谷区)の田川孝詞(たかふみ)警部補(43)もその一人だ。1日には県の「手話言語条例」が施行され、田川さんは「条例施行で手話に興味を持つ人が増え、聴覚障害者の理解につながれば」と期待を寄せる。

 「『手話ができない』と手話で伝えるだけで、耳の聞こえない方は安心します」。県警本部で1日にあった交番相談員の研修会。県警を引退後、新たに交番相談員として雇用された元警察官らを前に、田川さんは簡単な手話を披露した。参加者は「自分が交番相談員であること」や「手話がほとんど分からず筆談でやり取りしたいこと」などの伝え方を学んだ。田川さんは「笑顔が大切。間違ってしまっても、手話は筆談より相手との距離が縮まります」と話した。

 田川さんは幼少期、手話のできる親族の影響で手話に関心を持った。1999年に偶然、地域の手話サークルの案内を見つけて入会。週に1度、勤務後に参加し、手話を身につけた。趣味が高じ、厚生労働省の認定する「手話通訳士」の資格の取得を目指すまでになり、2009年に試験に合格。手話サークルでも指導的な立場を務めるようになった。

 趣味として始めた手話だったが、これまでに何度も現場で役に立つ場面があった。そのたびに、聴覚障害者の「暮らしにくさ」を実感してきた。

 数年前に管内であった乗用車の追突事故。田川さんは無線で「追突された側の当事者は耳が聞こえない」と聞き、現場に駆けつけた。追突された側の当事者は、事故の処理にあたる警察官と追突した側の当事者の口頭でのやり取りを不安そうに見守っていた。「やり取りが聞こえなければ、自分に不利なことを言われているのではないかと疑心暗鬼になる。手話で同時通訳ができれば、当事者双方が安心できる」と田川さんは言う。

 手話言語条例の施行は、都道府県では鳥取県に次ぎ2例目。聴覚障害者が手話を使って社会参加しやすい環境づくりを進めることとし、県民が手話への理解を深めることや事業者が聴覚障害者の手話の使用に配慮することを努力義務とした。鳥取県では14年10月の施行後、県民の手話への関心が高まったり、手話通訳士の派遣の依頼が増えたりという効果があったという。

 

お子様連れで、どうぞ傍聴に 地方議会、広がるバリアフリー(2015年4月5日配信『朝日新聞』)

 

 暮らしに身近な問題を話し合う地方議会。議論の内容が気になるけれど、幼い子どもを連れていくのは気が引ける。障害があって声を聞き取れない――。そんな人たちも安心して傍聴席に足を運んでもらおうという取り組みが、各地の地方議会で広がっている。

 島根県出雲市。市役所6階の議会フロアにある10畳の和室で、女性たちが幼い子どもと過ごしている。市議会の傍聴者から預かった子どもを世話する保育ボランティアだ。

 市議会が昨年3月、無料の託児サービスを始めた。対象は0歳児から小学生まで。本会議のほか、議案などを詳しく審査する委員会を傍聴する時も利用できる。希望日の1週間前までに申し込みが必要だ。

 「落ち着いて傍聴できます」。主婦の潮有理香さん(35)は昨年12月以降、これまで3回利用した。市が検討していた第3子以降の保育料有料化の議論が気になり、3歳の次女を連れて傍聴に通ってきた。

 2年前に子どもの医療費無料化が話し合われた委員会では、1歳だった次女が傍聴席で立ち上がると、職員に「出て下さい」と退室を求められた。別の日は入室さえ認めてもらえなかった。潮さんは「子を持つ親も傍聴に行きやすくなり、市民が何に関心を抱いているか、議員にも分かってもらえる」と話す。

 福岡市議会は2004年、本会議場の傍聴席の一角を仕切った貴賓席(5席)を防音化し、乳幼児を連れた人も利用できるようにした。室内にスピーカーを備え、子どもが泣いてもあやしながら傍聴できる。

 11年には拡張工事をして授乳用スペースとベビーベッドを設置し、親子専用の傍聴室に。長時間の質疑も傍聴できるようにした。年間10組前後が利用するという。議会事務局の担当者は「より多くの市民に議場へ足を運んでもらい、市議会への関心を高めてもらうきっかけになれば」と期待する。

 ■補聴器に音声を伝送/手話通訳者付き添い

 障害のある人たちに安心して傍聴してもらう取り組みも広がっている。

 東京都狛江市議会は13年、本会議場の傍聴席の床に磁気ループを敷設した。音声を磁波に変えて補聴器に伝える仕組みで、難聴の人も広い議場の音をクリアに聞き取れる。その1年前、難聴の女性が連れてきた要約筆記者が、議会独特の用語の記述に苦労したという話を市議が聞いたのがきっかけだ。

 堺市議会は、本会議で手話通訳者や要約筆記者が傍聴に付き添う無料のサービスを行っている。議会事務局によると、手話通訳は04年、要約筆記は昨年から申し込みを受け付けているが、いずれも利用はまだないという。担当者は「サービスがあることを広く知ってもらえるようにしたい」と話す。

 ■地方議会の主な取り組み

<茨城県議会>

・本会議のインターネット中継で手話通訳を導入(2013年)

<東京都品川区議会>

・傍聴席に親子ルームを整備(13年)

・本会議場に磁気ループを設置(14年)

<滋賀県長浜市議会>

・傍聴席に車椅子用の昇降機を設置(15年3月)

<鳥取市議会>

・点字による請願や陳情を受理(14年)

 (カッコ内は開始時期)

 

人模様:言葉のないウクライナ映画 ヤナ・ノビコバさん(2015年4月4日配信『毎日新聞』−「夕刊」)

 

出演した女優、ヤナ・ノビコバさん

 

 聴覚障害者を起用し、昨年のカンヌ国際映画祭の批評家週間グランプリに選ばれたウクライナの映画「ザ・トライブ」が18日から東京・渋谷のユーロスペースなどで公開される。主演女優のヤナ・ノビコバさん(21)は「私たちは目や身ぶりで物を言う。言葉はなくとも演技はできる」と手話で表現する。

 舞台は聴覚障害の生徒が集まる寄宿学校。そこには「族」(トライブ)と呼ばれる組織がはびこる。手話のみで構成され字幕や吹き替えはない。一体、何が起きるのか。観客は想像力を働かせて見ることに。自身は組織のリーダーの恋人役だ。

 隣国のベラルーシ出身。生後まもなく病気で聴力を失った。米映画「タイタニック」のヒロインにあこがれ女優になることを夢見た。ウクライナの劇団のオーディションを受け、不合格になったが、ろうあの役者を探しに来ていたM・スラボシュピツキー監督(40)が、意欲と情熱を評価し、出演が決まった。

 「自分の心の芯を強くすれば道は開ける」とヤナさん。

 

「手話法制定を」全国で 全ての都道府県議会、意見書可決(2015年4月3日配信『共同通信』)

 

 手話を言語として認め、使用しやすい環境整備を目指す「日本手話言語法」の制定を求める意見書が全ての都道府県議会で可決されたことが3日までに、全日本ろうあ連盟(東京)への取材で分かった。連盟は「全国からの民意を法制定の追い風にしたい」と意気込んでいるが、国レベルでの動きは鈍い。

 連盟がつくった法案は国や地方自治体に手話の言語活動や文化振興に関する施策を実施する責務を負わせ、手話に関するあらゆる施策の推進を図ることが主な内容。制定により、特別支援学校などで手話を学習するチャンスや、テレビ番組で手話通訳がつく機会の拡充が期待される。

 連盟は各地の聴覚障害者団体を通じて働き掛けを強めており、意見書の可決や請願・陳情の趣旨採択をした地方議会は全体で1700を超えた。秋田や福井、兵庫、大分などでは県内の全ての地方議会で可決されたという。

 首都大学東京の長野基准教授(地方自治)は「意見書は民意の表れ」と指摘したうえで「当事者からの意見聴取などを経て至る可決の過程は、意見書の内容に関する地元自治体の施策を見直したり、住民に知らせたりする契機にもなり得る」と評価する。

 ただ、地方議会での動きと異なり、政府や国会での法制定に向けた積極的な動きはない。内閣府の担当者は「障害者基本計画などで手話普及を進めている」との立場だ。

 連盟は「手話を言語として法的に認めることはろうあ者のアイデンティティーの確立になる。各地からの意見書の重みを感じてほしい」と法制定に向け働き掛けを続ける考えだ。

 

第18回冬季デフリンピック開幕  ロシア国歌が手話で歌われる(2015年3月29日配信『スプートニクニュース』) 

 

 ロシア・ハンティ・マンシースクのユグラで2015年3月28日、第18回冬季デフリンピックが開幕した。ロシアでデフリンピックが開催されるのは初めて。
 開会式ではロシア国歌が手話で歌われ、記憶に残る名場面の一つとなった。

 

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 今大会の参加者は、過去最多。27か国から340人以上の選手が参加する。各国代表団のために、ハンティ・マンシースクの観光やコンサート、イベントなどが予定されている。デフリンピックには、約100人の手話通訳が参加している。

 デフリンピックは1924年に始まった。冬季デフリンピックの競技は、クロスカントリー、スノーボード、カーリング、アイスホッケー、アルペンスキー。クロスカントリー、スノーボード、カーリング、アイスホッケーは、ハンティ・マンシースクで行われ、アルペンスキーは、チェリャビンスク州のマグニトゴルスクで開催される。競技観戦(入場料)は、全て無料。

 

聴覚障害者 挑む「五輪」 デフリンピック、知名度アップ期待(2015年3月25日配信『共同通信』)

 

 2020年東京五輪・パラリンピックに関心が高まるなか、「もう一つの五輪」に挑む選手たちがいる。ロシアで28日開幕する聴覚障害者の祭典「デフリンピック」第18回冬季大会。知名度はまだ低いが、これから20年にかけて障害者スポーツが注目され、大会への理解が進むことを関係者は期待している。

 デフリンピックは第1回の夏季大会が1924年にフランスで、冬季は49年にオーストリアで開催された。当時は「世界ろう者競技大会」と呼ばれていた。2001年に国際オリンピック委員会(IOC)の公認を受け、現在の名称になった。

 13年のブルガリア夏季大会では90の国・地域の約2900人が、水泳や柔道など18競技で熱戦を展開。日本は夏、冬とも60年代半ばからほぼ毎回参加している。

 今回大会は4月5日まで、ロシア中部のハンティマンシースクなどでアルペンスキーなど5競技が行われる。

 競技のルールは五輪と同じで、異なるのは「競技開始の音や審判の声などの合図を照明や旗で代用する点くらい」と日本選手団の粟野達人総監督は説明。健常者の国内大会に出場し上位に入る選手もいるという。

 今回、アルペンスノーボード日本代表のコーチを務める鶴岡剣太郎さん(40)は、06年トリノ冬季五輪スノーボード男子パラレル大回転代表。「聞こえない中で(健常者と同様に)高い技術やスピードが求められる競技をする姿に驚き、感動することも多い」と話す。

 アルペンスノーボード選手で、過去2度の大会で金メダルに輝いた栃木県日光市の原田上さん(39)は「少しでも多くの人に大会を知ってもらい将来、若い聴覚障害者が活躍できるよう頑張りたい」と意気込む。

 日本選手団を派遣する全日本ろうあ連盟にとって国内開催は長年の悲願。粟野総監督は、東京五輪・パラリンピックに向けて「国内外の聴覚障害者も楽しめるよう、手話通訳や字幕サービスなど情報格差を減らす環境整備を訴え、日本開催につなげたい」と話す。

 

傍聴席に身障者専用席 一宮市議会、6月定例会から利用(2015年3月25日配信『中日新聞』)

 

愛知県一宮市議会の傍聴席に、身体障害者の専用席が設けられることになった。県議会や名古屋市議会でも導入されておらず、県内の人口30万人以上の自治体の議会では初めて。24日の市議会定例会で傍聴規則の改正案を可決し、6月の定例会から利用できる。

 8席を身体障害者専用にする。車いす専用スペースも1台分増やして計3台分に拡張する。一方、一般席は10席減って60席となる。

 市議会事務局などによると、昨年6月の定例会を聴覚障害者団体の20数人が手話通訳を伴って傍聴した際、事前に人数分の一般席を確保したものの、手話通訳者が傍聴席の前方に立つことになったため、この団体関係者から「他の傍聴者が見えにくくなるのでは」との声が上がり、検討してきた。

 一般席が満席となった場合、30席ほどのいすがある議会外のロビーに案内し、映像で議会の中継を見てもらう。

 専用席について、一宮市身体障害者福祉協会副代表の松崎俊行さん(62)は「特に視覚障害者にとっては、専用席があると安心して出入りができるメリットがある。より市政に参加しやすくなる」と期待する。

 一方、名古屋市身体障害者福祉連合会の関係者は「席を分けることで、かえって差別につながらないか心配。本来は同じ立場で互いに譲り合えることが大切なのでは」と話している。

 

兵庫県聴覚障害者協:自由に手話使用、県議会へ要望書(2015年3月21日配信『毎日新聞』−「神戸版」)

 

 県議会本会議の一般質問で手話を使って自己紹介した議員が議会事務局から注意を受けた問題で、県聴覚障害者協会(本郷善通理事長)は、議会で自由に手話が使用できるよう求める要望書を県議会議長あてに提出した。

 提出は13日付。要望書は「手話は言語である」との認識について尋ね「同じ日本人の言葉として手話の取り扱いが異なるのは疑問を覚える」と指摘。国連が採択した障害者権利条約で障害者の意思疎通の手段の確保を規定していることから、議会でも手話の使用を促進するよう求めた。

 この問題では、聴覚障害者が傍聴に訪れた2月26日の一般質問で丸尾牧議員(無所属)が手話を使って名前を名乗ったところ、一部の議員が「質問と関係ない冗長な行為」と指摘。議会事務局は各会派の申し合わせで慎んでいる傍聴者へのあいさつにあたると判断し、丸尾議員を口頭注意していた。

 

『おい、手話落語できへんか』。「上方落語中興の祖が…」が永眠(2015年3月20日配信『産経新聞』)

 

戦後の上方落語の復興に尽くした人間国宝・文化勲章受章者の桂米朝さんが89年の生涯を閉じた。(中略)

上方落語協会理事の落語家、桂福團治(74)さんは「消滅しかかった古典作品を発掘し、現代人に分かりやすく伝えた人で、昭和の上方落語において中興の祖だった。(自身がライフワークとする)私が手話落語を始めたとき周囲から反対されたが、米朝師匠がただ一人賛同して『おい、手話落語できへんか』と他の落語家に声を掛けてくれた。手話落語が、今日あるのは、米朝師匠の後ろ盾が大きかった。人間的にも大人物で、私のようなよその門下の者もかわいがってくれた。謹んでお悔やみ申し上げます」と、コメントした。

 

GPSで緊急車、最短出動(2015年3月20日配信『読売新聞』)

 

 ◇西部消防局高機能指令センター運用開始

 

最新の情報技術を取り入れた県西部広域消防局の高機能消防指令センター

 

 県西部広域消防局(米子市)は、「高機能消防指令センター」の運用を始めた。全地球測位システム(GPS)を利用し、現場に最も近い緊急車両を自動的に選んで出動命令を出せるなど、到着時間の短縮を期待できるという。

 同センターは、GPSで把握した消防車や救急車の位置情報を元に、出動部隊を自動的に編成できる。また、車両に搭載した情報端末に、災害現場付近の消火栓や他の車両の配置状況を送って図示し、現場への移動、活動を支援する。

 このほか、聴覚障害や言語機能障害のある人がファクスしてきた119番通報を、指令台上のモニターに直接表示することが可能になった。外国人からの119番に、英語や韓国語など5か国語で機械的に問いかける、通報受信システムも導入した。

 同センターは2010年度以降、計約14億円かけて設備を更新してきた。

 17日には同センターで運用開始式があり、県西部広域行政管理組合管理者の野坂康夫市長ら約50人が出席。野坂市長は「現場到着の時間短縮や、現場と指令センターの情報共有により、住民の生命、財産、安全の確保を図りたい」と話した。

 

セブン&アイが入社式…1331人、一足早く(2015年3月19日配信『読売新聞』)

 

入社式を前に手話の練習をするセブン&アイ・ホールディングスの新入社員(19日午前、東京都港区で)=伊藤紘二撮影

式を前に手話の練習をするセブン&アイ・ホールディングスの新入社員

 

流通大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は19日、一足早い入社式を東京都内のホテルで行った。

 セブン―イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂などグループ16社の新入社員1331人が出席した。式典前には接客のあいさつを手話で練習した。

 セブン&アイHDの鈴木敏文会長はあいさつで、「どんなに会社が大きくなっても誠実さが一番大事」と強調した。

 新入社員の久保有澄(あすみ)さん(22)は、「変化の激しい時代だからこそ、社員ひとりひとりが創意工夫し、失敗をおそれず挑戦し続ける」と決意を語った。

 新入社員数は、通販大手の買収などで2014年度よりも112人増えた。

 

防災行政無線をデジタル化(2015年3月18日配信『長崎新聞』)

 

新しい防災行政無線システムで運用される統合放送装置の大型モニター=島原市役所

 

 島原市は、デジタル化に対応した新防災行政無線システムの運用を4月から始める。市内各所のスピーカーや全世帯配備の「防災ラジオ」などを通じた音声情報に加え、聴覚障害者向けの戸別受信機、登録者の携帯電話へのメール、ケーブルテレビ(CATV)画面などでの文字情報でも発信。雲仙・普賢岳噴火災害を経験した自治体として、災害に強いまちづくりにつなげる。

 気象警報や避難指示、火災発生など「緊急情報」の伝達の迅速化が図られるほか、消防団などが携帯する無線機での受信が難しかった不感地域も、中継局の新設などでほぼ解消される。総事業費は約12億2千万円。

新たに全世帯に配備する防災ラジオは、地元のFMしまばらを介して「緊急情報」を必要時に流すほか、行事などの「行政情報」も定時に放送。ラジオを使っていなくても自動的に電源が入り、通常のラジオ番組を聞いている場合は自動で切り替わる。

 「緊急情報」などの携帯電話へのメール配信は、住民以外の観光客なども登録が可能。市外居住者が受信し、市内に住む高齢の親に注意を促すような活用方法も考えられるという。

 このほか、音声放送を電話で確認できる専用ダイヤルも開設。市市民安全課は「住民の安心、安全のため、災害に備えたあらゆる情報伝達手段を構築していく必要がある。多角的な情報発信の運用で、住民や関係機関の防災意識にもつなげたい」としている。

 

消防緊急通報の流れ 聴覚障害者らが学ぶ(2015年3月18日配信『読売新聞』)

 

消防指令センターをガラス越しに見学する茅野市聴覚障害者協会メンバーら

 

 加茂町の諏訪広域消防本部高機能消防指令センターに13日、茅野市聴覚障害者協会のメンバーらが訪れ、メールやファクスによる緊急通報の受信から出動までの流れなどについて理解を深めた。

 消防本部は4月から、聴覚障害者からの通報をメールやファクスで受け付ける。メンバーは、センター内の画面にどのように表示されるのかを見学。本部員からは「(各家庭の)FAX119番を受信すると瞬時に自宅の場所が分かる」「携帯電話からメールする際は居場所が分かるようGPS機能をONにしておいてほしい」などの説明があった。

 メールやファクスによる緊急通報はこれまで、消防本部下の6消防署の中で茅野消防署しか対応していなかったが、茅野市聴覚障害者協会の要望を受けて、残る5消防署からも一元的に受け付けることになった。

 同本部は「利用を希望する人は連絡してほしい」と呼びかけている。問い合わせは同消防本部(0266・21・1190)へ。

 

群馬県手話言語条例が可決 県聴覚障害者連盟理事長「忘れられぬ日」(2015年3月13日配信『産経新聞』『朝日新聞』『NHKNEWS』ほか)

 

本会議が終わり、傍聴席で手を振って喜ぶ聴覚障害者ら

 

 

 耳の不自由な人が暮らしやすい地域社会の実現を目指す「県手話言語条例案」が12日の県議会本会議において全会一致で可決された。都道府県では鳥取、神奈川についで3例目。

本会議場には手話通訳が立ち、関係者約120人が傍聴席から採決を見守った。全議員が起立し、議長が「可決」を告げると、手を握り合ったり、「拍手」を示す手話で喜びを表現していた。

群馬県聴覚障害者連盟(前橋市)の早川健一理事長は閉会後に記者会見し、手話通訳者を通じ、「大変な喜びを感じている。聴覚障害者が手話を守り続けて今日までやってきた。きょうは、本当に忘れられない1日になった。この条例によって、県内各地で手話講習会などの催しが充実し、手話の普及や聞こえない人への理解も広がってほしい」 期待を込めたうえで、「私達も手話の普及を進め、県民に手話の必要性を理解してもらえるよう、頑張りたい」と思いを語った。

聴覚障害者の全国組織の全日本ろうあ連盟(本部・東京都新宿区)は、1947(昭和22)年に伊香保温泉(終戦後で東京は荒廃し、旅館があって全国から集まりやすい温泉地が選ばれた)で発足しており、本県と手話の関わりは深い。会見に同席した同連盟の久松三二常任理事は手話で「連盟が生まれた群馬で条例が採択されたことに深い感銘を受けている。非常にうれしい」と喜びを表現した。

 条例では、制定の目的として、「ろう者とろう者以外の者が共生し、等しく全ての障害者福祉の向上に寄与することのできる地域社会を実現すること」と明記。手話を学習する取り組みを推進する▽手話を用いた情報発信に努める▽手話通訳者や指導者の養成・研修に努める−など、県が手話の普及のために取り組むべき内容を示している。

また、聴覚障害の児童生徒が通う学校が、子どもや保護者が手話を学ぶ機会の提供や乳幼児から手話を学べる環境の整備、教職員の手話技術向上などに努め、「教育環境の整備」も掲げている等、鳥取や神奈川の条例と比べて、より“手話教育”に重きを置いた内容になっているという。

ろう学校では長年、子どもたちに手話を通じなくても言葉を理解させるなどの理由により、発音時の口の形を読み取る教育が重視されてきた。

久松さんは「ろう学校などで、子どもたちが自然に手話を身に付けられるようになってほしい」と期待を語った。

早川さんは成立を受け、県内で手話のコンテストを企画し、手話講習会を増やす検討をするという。

条例は4月1日施行。

  なお、条例案提出にあたり、中沢丈一議員(自民)が提案説明に臨み、「すでに世界的には、“手話は言語”との認識は当たり前のものになっている。一生懸命応援したい」などと述べていた。

 6月10〜14日には前橋市のヤマダグリーンドーム前橋で「第63回全国ろうあ者大会」がある。6月11日には全日本ろうあ連盟発祥の地である渋川市の伊香保温泉で記念碑の除幕式も行われる。

 

クラウド利用の要約筆記で聴覚障害者を支援、NECソリューションイノベータ(2015年3月12日配信『日経デジタルヘルス』) 

 

運用のイメージ(拡大画像)

 

システム利用イメージ(支援者画面)(拡大画像)

 

 NECソリューションイノベータは、クラウドを利用した要約筆記による聴覚障害者向けの支援サービスの提供を開始した。

 要約筆記とは聴覚障害者への情報保障手段の1つで、発言者の話を要約して文字として伝えるもの。通常は現場に要約筆記の支援者を複数人派遣し、その場でノートやパソコンなどを利用して文字を書き起こしている。しかし、移動時間などがネックとなって支援者の確保が難しいこともあり、調整に苦慮しているのが現状だという。

 こうした背景を踏まえ、同社ではクラウド上のサーバーを通じて遠隔地からの要約筆記を支援するシステムを開発した。クラウドの特性を活かして、支援者の柔軟な配置やスケジュール管理も可能とし、調整担当者の負担を低減できるとしている。2012年から吉備国際大学(岡山県高梁市)などの教育機関で実証実験を重ね、現場からのニーズに応えた機能強化を図り今回のサービス提供に至った。

 システムは、聴覚障害者がいる会場・教室の音声や映像と、遠隔地の支援者が入力する要約テキストをクラウドを通じて相互配信する。機能強化のポイントとして、支援者同士のリアルタイム情報共有、支援者配置の調整時間短縮、聴覚障害者と指定する支援者のみが参加できる依頼設定などがある。同社では今後3年間で、100団体への提供を目指す。

 

映画「架け橋」香川県内初上映/被災地聴覚障害者追う(2015年3月12日配信『四国新聞』)

 

仙台空港で撮影する監督の今村彩子氏

 

 4年前の東日本大震災に遭った聴覚障害者を追ったドキュメンタリー映画「架け橋 きこえなかった3・11」が15日、香川県丸亀市綾歌町の綾歌総合文化会館アイレックスで上映される。香川県内初上映。聴覚に障害がある人は、津波警報のサイレンなど音声で届く情報を得にくい。災害弱者が直面する情報格差の現実を突き付けるとともに、迫り来る次の災害への備えを訴える。

 監督は、生まれつき耳が聞こえない映像作家の今村彩子(35)=名古屋市=。震災発生の11日後に宮城県に入り、2年4カ月にわたって取材。74分の作品にまとめ、2013年8月に公開した。国内外の映画祭に出品したほか、各地で上映会が続いている。

 映画は、宮城の聴覚障害者団体の会長を務める男性を中心に、被災者へのインタビューなどで構成。会長は仕事の傍ら、余震の中で心細く暮らす人たちの支援に日々駆け回るが、そのさなか、脳梗塞で倒れる。

 今村によると、東日本大震災では津波警報が聞こえなかったために亡くなった人もいた。「聞こえる人と聞こえない人の交流が日常からもっとあれば、助かったかもしれない」と今村。「映画を通じて、お互いができること、できないことを考えるきっかけになれば」と願っている。

 会場は大ホール。入場料は一般1800円(前売り1500円)、中高生1300円(同1000円)。県聴覚障害者協会が開く「第35回手話まつり」の一環。午前10時からの式典の後、上映は同10時50分から。昼休憩を挟んで午後1時30分から今村の講演、同2時40分から手話同好会「菜の花」(坂出市)のアトラクションがある。問い合わせは手話まつり実行委員会、電話0877(75)5185。

 

役立つ:防災ソング「『い・つ・も』『お・か・に』」 手話付き「楽しく広がる」(2015年3月11日配信『毎日新聞』)

 

近藤ひろ子さん(左)の指導で、手話付きの「『い・つ・も』『お・か・に』」を習う愛知県常滑市内の幼稚園、保育園の教諭や保育士ら

 

 名古屋大学減災連携研究センターの防災教育アドバイザー、近藤ひろ子さん(63)が、地震・津波から避難する際の注意点を子供たちに覚えてもらうための防災ソング「『い・つ・も』『お・か・に』」の普及に努めている。

 近藤さんは長年、愛知県東浦町などで小学校教員として防災教育に取り組んだ。2011年の東日本大震災で多くの子供が津波の犠牲になったことを機に、的確な避難方法を教える歌を作ろうと思い立った。定年退職後の11年7月に名大減災連携研究センターへ移り、13年に完成させた。歌詞は、大人がそばにいる時と、大人がいない時とでは、避難方法が異なることを重視している。

 1番では大人の指示に従って避難することを強調した。

 「い」いっしょうけんめい/「つ」ついていくんだ/「も」もどっていかない ぜったいもどらない

 2番は、子供が自ら考えて丘など高い場所に逃げるよう促す。

 「お」おちついてみて/「か」かんがえるんだ/「に」にげる にげるよ おかに にげるよ

 センターの同僚の研究員が作曲し、県内の小学生らの合唱でCD録音した。全国から注文があり、これまでに約400枚を配った。保育園や小中学校のほか、高齢者施設からも引き合いがある。手話付きの動画も作り、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」に投稿した。

 近藤さんが学校などへ出向いて手話付きで教えると、子供たちはすぐに覚え、親や弟妹にも伝えるという。「楽しいから広がる」と近藤さんは言う。

 CDの注文などの問い合わせは名大減災連携研究センター(052・789・3468)へ。

 

国連防災世界会議で文字通訳 ネット経由で瞬時 アイセック(2015年3月11日配信『沖縄タイムス』)

 

 

 聴覚障がい者向けに文字による同時通訳サービスを提供するアイセック・ジャパン(うるま市、一瀬宗也社長)が14〜18日に仙台市で開かれる第3回国連防災世界会議で日本語と英語の文字通訳を担当する。国際会議クラスの大規模会議で通訳するのは同社として初めてで、一瀬社長は「今回を皮切りに2カ国語同時の通訳サービスを拡大していきたい」と意欲を燃やしている。

 同社によると、同様の通訳サービスを提供できる国内事業者はあるが、大規模で長時間の会議に対応できるところはないという。

 今回の会議では、同社が発表者の発言に字幕を付ける業務を一括で受託。

 日本語の字幕は、うるま市にある同社の文字通訳センターへ音声を送り文字化する。

 英語字幕は、同社が米国の字幕翻訳家に委託。2カ国語に翻訳された文字はインターネットを使って仙台の会議参加者のスマートフォンやタブレットに送る仕組みだ。翻訳文字を届ける早さはほぼ同時通訳並みという。

 世界会議は延べ50時間で、日本語字幕は12人を2チームに分けて対応。英語も複数人で文字化する。

 今回、主催者側から業務依頼があった。

 同社はフィリピンのセブ島で文字通訳センターの開設を進めており、稼働予定の11月以降、同社だけで2カ国語の文字通訳サービスに対応できるという。

 一瀬社長は2020年の東京オリンピックや県が誘致を強化しているMICEなどの国際会議に関連して、今後は需要が増えると予想。「米国などの国際会議では、字幕提供が一般的だが、日本ではまだまだ。英語と日本語の2カ国語に対応できることを強みにしたい」とアピールした。

 

兵庫県議会事務局:議場で手話「品位反する」、議員を注意 聴覚障害者「差別だ」 「言語」普及、求めておきながら(2015年3月10日配信『毎日新聞』−「大阪版夕刊」)

 

 2月26日の兵庫県議会本会議で、一般質問の際に手話で自己紹介した県議に対し、議会事務局が口頭で注意していたことが分かった。傍聴していた聴覚障害者へのあいさつに当たるとして、議場での傍聴者への謝辞などを「議会の品位に反する」行為として慎む申し合わせに反すると判断した。手話の普及が進む中、兵庫県聴覚障害者協会は「手話は言語の一つ。聴覚障害者への差別とも言え、看過できない」として、県議会に近く説明を求める。

 無所属の丸尾牧県議(50)が県立病院への手話通訳者配置などを尋ねた質問の冒頭、手話で名前を名乗った。今月2日の議会運営委員会で一部の委員から「質問と関係なく冗長な行為」との声が上がったことを受けて、議会事務局が丸尾県議に口頭で注意した。

 議会事務局議事課によると、兵庫県議会は議場での手話使用に明確な規則を設けていない。ただ、各会派の申し合わせで、傍聴者に謝辞を述べたり、手を振ったりすることを慎んでいる。

 この日は傍聴席にいる聴覚障害者に対応できるよう、議会事務局が丸尾県議の依頼で手話通訳者を配置。議事課は「あえて手話で自己紹介する必要はなかった。手話を否定するものではなく、ルールを守ってほしいという趣旨だ」と説明する。

 丸尾県議は「一般質問はインターネットでも動画配信され、手話を身近に感じてもらうきっかけになると考えた」と話している。丸尾県議は昨年10月の県議会本会議でも同様に手話で自己紹介し、議会事務局側から注意を受けていた。

 全日本ろうあ連盟によると、手話利用の普及を義務付ける「手話言語法」の制定を国に求める意見書を全都道府県が採択しており、兵庫県議会も昨年10月に採択した。鳥取、神奈川両県議会は手話の普及促進を目指す条例を制定している。

  ◇認識足りぬ−−「少数言語としての手話」などの著書がある斉藤くるみ・日本社会事業大学教授(言語学)の話

 聞いたことがない事例。手話を使って名前を述べたことが、なぜ注意の対象になったのか理解に苦しむ。2011年の障害者基本法改正では手話を言語と明記し、手話の普及促進を目指す条例の制定も進んでいる。今回の対応は、認識不足だと言わざるを得ない。

 

本会議の質問の挨拶で手話を使ったら県議会事務局職員から注意を受けました!(2015年3月5日:丸尾牧県議ブログ

 

2015年2月25日(水)本会議一般質問する丸尾議員

 

議会の品位と権威の保持等の観点から、質疑・質問に際して、同僚議員、傍聴者等に対する感謝の言葉や歓迎のあいさつなど、質問と関係のない冗長な発言は慎むべきとして、前回の討論時、今回の質問時に、手話を使ったことについて、議会運営委員長の命を受けた議会事務局職員から注意を受けました。

 県立病院で手話通訳者を配置すべきとの質問をしたので、聴覚障がい者の方が傍聴に来られていただけではなく、ネット中継でも手話のわかる人が見ている可能性もあると思い、手話で自己紹介のみしました。ちなみに県から手話通訳者は配置され、傍聴席で手話通訳をしていただいていました。 

 手話が当たり前に使われる社会を目指すのであれば、県議会の場でも積極的に手話を使っていくことが必要だと考えます。 

 自民党から注意の指摘があったようですが、皆さんはどのように考えられますでしょうか? 

 下記はその質問の映像です。 

http://www.hyogokengikai.jp/broadcast/20150226−4.wvx

 

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兵庫県議会2014(平成26)年第324回定例会意見書 第80号

手話言語法の制定を求める意見書

 

 手話とは、手や指、体などの動きや顔の表情を使った独自の語彙及び文法体系を持つ言語である。手話を使う聴覚障害者にとって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報獲得とコミュニケーションの手段として大切に守られてきたが、聾学校では手話は禁止され、社会では手話を使うことで差別されてきた長い歴史があった。

 平成18年12月に国連で採択され、我が国でも本年1月に批准された障害者権利条約において「手話は言語」であることが明記された。

 また、平成23年8月に成立した「改正障害者基本法」では、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と定められるとともに、同法第22条において、国や地方公共団体に対して情報保障施策が義務づけられている。

 よって、国におかれては、手話が音声言語と対等な言語であることを国民に広め、聞こえない子供が手話を身に付け、手話で学べ、自由に手話が使え、さらには手話を言語として普及、研究することのできる環境を整備し、これらの内容を盛り込んだ「手話言語法(仮称)」を早期に制定されるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成26年10月24日

 衆議院議長

 参議院議長

 内閣総理大臣

 内閣官房長官           様

 総務大臣

 財務大臣

 厚生労働大臣

兵庫県議会議長  梶 谷 忠 修

 

手話版広報紙:県がユーチューブで公開 聴覚障害者の要望に応え(2015年3月6日配信『毎日新聞』−「高知版」)

 

県は毎月発行している広報紙「さんSUN高知」1、2月号の手話版をインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。県のホームページ(HP)から毎月見られる。聴覚障害者の要望に応えた。

県聴覚障害者協会(竹島春美会長)と県聴覚障害者情報センター(西村周二所長、いずれも高知市越前町2)が協力し、毎号約20分の動画を製作。手話通訳ではなく、協会の3人が広報紙を読み、内容を手話同士で会話するように伝える。

協会とセンターによると、県内の聴覚障害者は約3000人。聞こえなくなった時期や教育環境により、文字を読むより手話の方が理解しやすい人もおり「英語が不得手な人が、単語は分かっても文意を理解できないのと同様」という。

また、観光案内が外国人向けにタブレット端末などで多言語で対応しているのに、手話は多くなく「『高知家』からはじかれている」との思いも持つ。そこで県に要望した。

手話版を「広報紙を読んだことがない人が一生懸命喜んで見ていた」といい、竹島会長と西村所長は「情報が公平に得られるスタートラインに立つための一つ」と強調する。

 県は視覚障害者向けには、広報紙の内容を読み上げたカセットテープ(録音版)を希望者に無料配布しているほか、2014年4月からは音声版をHPに公開している。

 なお、「県からのお知らせ」と「さんSUN高知」は、点字版も発行している。

 

浜松市:手話言語条例に前向き 市議会傍聴席、聴覚障害者ら見守る(2015年3月5日配信『毎日新聞』−「静岡版」)

 

手話通訳者と議場を見る傍聴者

 

浜松市議会の傍聴席が4日、「浜松市手話言語条例制定」に関する一般質問を聞こうと集まった聴覚障害者やその支援者らで埋まった。県内で同条例がある自治体がまだない中、同市は初めて、制定に関して前向きに検討する方針を示した。【飯田和樹】

 集まったのは浜松ろうあ協会や市内の手話サークルのメンバーなど。傍聴席の中央に手話通訳者が立ち、議員の質問や市側の答弁を同時通訳した。傍聴者は手話通訳者と議場を交互に見ながら、議論を見守った。

 2011年の障害者基本法改正で障害者の意思疎通手段として「言語(手話を含む)」と明記されるなどした後、全国の多くの地方議会で手話言語法制定を国に求める意見書や請願などが可決された。浜松市議会も県内で最も早い昨年3月に意見書を採択。全国ではさらに進んだ動きとして、鳥取県が13年10月、手話を言語と位置付けた独自の手話言語条例を初めて制定。その後北海道石狩市、三重県松阪市、山口県萩市など条例を制定する動きが少しずつ全国的に広がりつつある。

 議員の質問に対し、市は高林泰秀・健康福祉部長が「聴覚障害のある方に対する理解がこれまで以上に進むことを目標にして、手話言語条例制定に向けて検討する」と答弁した。

 傍聴した浜松ろうあ協会の藤森秀一会長(49)は「答弁が少し短かったのは残念だが、前向きに検討すると受け止めた。条例制定が、公的機関であればどこでも手話でコミュニケーションが取れる社会への第一歩になれば」と話した。

 

「震災ドキュメント」バリアフリー上映 8日、国立で「先祖になる」(2015年3月4日配信『東京新聞』)

    

 東日本大震災のドキュメンタリー映画に、国立市民らのボランティアが視覚障害者向けの音声ガイドを付けたバリアフリー上映会が8日、同市である。ガイド用のシナリオは市民らが自ら作成、被災地で暮らす人々の意見を取り入れて完成させた。 

映画は、津波で岩手県陸前高田市の自宅を流されながらも、元の場所に家を建て直そうとする77歳の男性の生活を追った「先祖になる」(池谷薫監督、2012年)。

 音声ガイドは、せりふや音響だけでは分からない動きや情景、場面転換などを声で説明するもの。音訳、点訳グループでボランティア活動をしている国立市谷保の金井かず子さん(64)ら6人が、ガイド用のオリジナルシナリオ作りに取り組んでいる。

 昨年9月から映画のせりふを文字に起こすなどの準備を始め、音声ガイドでどう場面を説明するかを話し合ってきた。金井さんは「せりふや効果音など、映画のもともとの音と重ならないよう、限られたタイミングでどこまで説明するか。必要以上にガイドを入れてうるさくなっていないか。皆で議論をしながら進めてきた」と話す。

 昨年末にシナリオをほぼ完成させた後は、陸前高田市の仮設住宅で暮らす朗読ボランティアの女性や池谷監督にも見せ、被災地にとって違和感のあるガイドになっていないか確認してもらった。震災で何もなくなった市街地を「元の市街地」と表現したら、「地元の人たちにとっては今も市街地」と指摘され、「被災した市街地」に変えた。

 「現地の人でないとなかなか気付かない点をいくつか教えてもらえて良かった」と金井さん。「いつか、陸前高田市でも上映会を開き、現地のボランティアと交流したい」

 くにたち福祉会館(国立市富士見台)で8日に開かれるイベント「くにたち福祉のつどい」の一環で、午後1時から上映。音声ガイドはボランティアの同市中、佐伯房恵さん(58)と小金井市中町、油井真知子さん(66)がその場で読み上げる。映画には聴覚障害者向けの字幕も入っている。上映時間118分。入場無料、申し込み不要。問い合わせは国立市社協=電042(575)3226=へ。

 

手話で歌を楽しもう 篠山のホールで音楽祭(2015年3月4日配信『神戸新聞』)

 

 丹波篠山手話うた音楽祭が7日、兵庫県の篠山市北新町のたんば田園交響ホールで開かれる。ゴスペルや童謡唱歌、歌謡曲など幅広いジャンルの音楽が、楽器や歌と合わせて手話で楽しめる。障害者支援団体「いのちのうた」(同市北新町)が初開催する。

 手話歌は、音楽に合わせて歌詞を手話で伝える。音楽祭では、幼少期に病気で両耳が聞こえなくなり各地で手話歌を披露している松本千賀子さん=仙台市=が、しの笛奏者と共演する。また、障害のある人が集い大阪市を拠点に活動する「大阪チャチャチャバンド」や、篠山出身の兄弟デュオ「ちめいど」、丹波地域の住民グループが出演する。

 同団体の山中信彦代表(59)は「音楽祭をきっかけに手話への関心が高まり、手話や筆談を必要とする人が社会参加しやすい環境づくりにつながるとうれしい」と話している。午後0時半〜3時半で入場無料。

 また、同日午前10時半〜午後4時、会場で東日本大震災の支援バザーがある。開催中、洗剤やタオルなどの日用雑貨や生鮮品を除く食料品などの持ち込みを受け付けている。売上金全額を福島県の福祉作業所に寄付する。山中さんTEL090・8231・0100

 なお、篠山市では、4月1日から篠山市みんなの手話言語条例が施行される。

 

仙台市議会、手話通訳を導入 6月定例会から開始(2015年3月4日配信『産経新聞』−「宮城版」)

 市議会は、聴覚障害者に内容を伝える手話通訳の導入を6月定例会から始める。2月定例会の一般質問では、聴覚障害者に向けて手話通訳の試験導入を実施。今後は傍聴者のアンケート結果などを踏まえて改善していくという。

                  ◇
 2月16日に開かれた市議会の傍聴席で、市聴覚障害者協会の会員20人が手話通訳を見つめる。多くの会員は議会の傍聴が初めて。しきりに左右上下に動く手を見つめ、ときおりうなずきながら、真剣な表情を浮かべていた。約2時間、議員4人の質問と市との質疑応答を見守った。
 参加した松本克之会長(70)は「議会でどのようなことが議論されているのかが分かってうれしい」と話した。別の参加者からも「今までテレビや新聞でしか情報がなかった。継続して傍聴したい」と前向きな感想が相次いだ。これまでは「議会を傍聴できることは知っていたが手話通訳がないため、やりとりが分からず、行ったことがなかった」など、傍聴へのハードルが高かったという。聴覚障害を持った市民にも傍聴の門戸が開かれた。
 一方、通訳者側の負担は大きい。今回の議会で手話通訳は3人体制で臨んだ。約10〜20分ずつの交代制だ。長時間を連続して通訳することは負担が大きく、交代で対応しないと難しいという。
 また、議会で話される内容は、平易な言葉ばかりではない。難しい言葉を訳すため、手話通訳にとっても予習が欠かせないが、議員が質問する内容は前日に判明する。ホームページで情報を集めたり、議事録から用語を調べるなどして対応したが、時間的な余裕はない。
 手話通訳として参加した横沢麻子さん(46)は「(手話を)熱心に見てもらっている実感があった」と手応えを口にする。「議会は複数人が一度にしゃべることはないので、そういった意味では通訳しやすい」としながらも、「質問について詳細をあらかじめ知ることができれば、予習できて伝えやすい」と改善点を口にした。解決すべき課題もあるのが現状だ。
 市は今回傍聴した聴覚障害者にアンケートを実施し、その回答を踏まえて6月定例会から聴覚障害者の事前申し込みで、手話通訳を利用した傍聴ができるようになる。

 

「はっきり聞こえ助かる」 山梨・県立ろう学校で学ぶ設備 FM磁気ループ活用(2015年3月3日配信『毎日新聞』−「山梨版」) 

 

 2年前のこの欄で、視覚障害者が通う県立盲学校(甲府市)を取材し、最新の「拡大読書機」や点字プリンターなどを活用した指導の現場を紹介した。では、聴覚障害者が学ぶ設備は、どのような機器や施設を取り入れているのだろうか。山梨市大野の県立ろう学校(根岸洋一校長)を訪れ、授業の様子などを見せてもらった。

 小学部の教室に入ると、児童らの机が細長いプラスチックで四角く囲まれた床が目に入った。床にはワイヤのアンテナが張られ、磁気で補聴器に音声を送る設備で、磁気ループによるFM補聴システムという。土橋寛仁教諭(49)の声は胸元のマイクを通して磁気に変換され、児童がつけた専用の補聴器で音声に変換されるという。

 通常の補聴器は周囲の雑音なども一緒に拾うため、話し声が聞き取りにくくなることがあるというが、同システムによって話し声に絞って聞くことができる。授業後、記者もマイクを付けて児童らと話した。川合涼太君(12)は「はっきり聞くことができて、とても助かっています」と笑顔で話す。

 同校は、3歳以上が対象の幼稚部から18歳までの高等部まで約30人が学ぶ。教諭らが家庭や学校を訪れ指導する「支援教育部」もある。古屋徳康教頭(59)は「機器を活用するとともに、手話でのコミュニケーションも重視している」といい、「言葉の習得に関しては早い時期の対処も大事。子供の聴覚に関して不安がある親は、気軽に相談を」と呼びかける。

 

手話交えパントマイム 日本ろう者劇団・井崎さん(2015年3月2日配信『中日新聞』)

 

得意のパフォーマンスを披露しながら講演する日本ろう者劇団副代表の井崎哲也さん=津市大門の津センターパレスで

 

 手話への理解を広げる「第一回みみの日手話フェスティバル」(中日新聞社後援)が1日、津市大門の津センターパレスであった。

 3日の「耳の日」にちなみ、県聴覚障害者協会が主催。昨年まで34年間続いた「手話劇コンクール」を発展させた取り組みで、県内3団体による演劇やダンスの他、記念講演や手芸品のバザーで聴覚障害者ら300人が交流を深めた。

 記念講演では、手話を交えたパントマイムや狂言など意欲的な舞台を手掛ける「日本ろう者劇団」副代表の井崎哲也さん(62)が登壇し、表現の楽しさを伝えた。

 「魅力的な活動をしていると疲れることを知らない」と約1時間、パントマイムで会場を盛り上げながら講演し「誰のまねでもない新しい表現を続けていきたい」と手話で夢を語った。

 

津和野署作成、聴覚障害者対応シート 県内全署に配備(2015年3月2日配信『山陰中央新報』)

 

津和野署が作成した聴覚障害者対応シート

 

 島根県津和野署が、聴覚障害者への応対を迅速、丁寧に行えるように、対応シートを作成した。道案内や交通事故などの場面で、警察官が聞き取る内容をイラストと文章で分かりやすく記載。試みを評価した島根県警は、県内全署に配備し活用するという。

 作成のきっかけは、同署が昨年開いた、災害時要援護者の避難救助訓練や手話講習会。署員が障害の特性を学び、場面に応じた適切な意思疎通へ理解を深めた。その中で、益田広域消防が聴覚障害者の問診票を活用していると聞き、昨年11月から準備を進めていた。

 益田市障害者福祉センター「あゆみの里」の手話通訳者、同市聴覚障害者協会の講師の助言を受け、警備係が作成を担当。「お困りごとは何ですか?」と始め、交通事故▽道案内▽落とし物▽事件▽相談▽免許更新―の6場面を想定した。

 精神的に混乱しがちな事件発生の場合、説明しにくい犯人の特徴や逃走車両を指をさして伝えられるようイラストを多用した。

 シートは21ページで、他に警察官が使用する基本的な手話も6ページ掲載。文章の漢字全てにルビを振った。2月から、津和野署の受付窓口、管内全7駐在所、パトカーなど現場対応する車両に配備した。

 聴覚障害者として身体障害者手帳の交付を受けているのは鹿足郡内で159人、県内は4488人。同署の増野利夫副署長は「支援の第一歩。聴覚障害者の安心感につなげる一助になればうれしい」と話した。

 

軽井沢町議会、聴覚障害者らに向け 議場のやりとり即文字に(2015年2月28日配信『軽井沢新聞』)

 

 

 軽井沢町議会は2月26日に再開した定例会3月会議で、議場でのやりとりを文字にし、傍聴席のモニターに映し出す「リアルタイム文字通訳」のサービスを初めて実施した。聴覚障害者や老人性難聴の高齢者に向けたもので、今年開かれる議会定例会で試験的に導入し、傍聴者の意見を聞きながら、本格採用に繋げるかどうか決める予定だ。

 同サービスを請け負うのは、軽井沢町議会の会議録作成、議会映像の配信を担当している「会議録研究所」(東京都新宿区)。東京の同社事務所に待機した速記者数人が、議場でのやりとりを電話通話で聞いて文字を入力。打ち込んだ文字データがインターネットを介して、画面に表示される仕組みだ。

 26日は、2期目を迎えた藤巻進町長の施政方針が文字通訳され画面に表示された。傍聴に訪れた軽井沢手話サークルの一人は「耳が聞こえない人には素晴らしいサービス。早口だと文字がすぐ流れてしまうので、モニターがもう少し大きいとわかりやすくなると思う」と話した。3月2日の代表質問でも、10時から2時間実施する。

 

世界の若者、11億人が聴覚障害の危険性 WHO調査(2015年2月28日配信『日経新聞』)

  

世界保健機関(WHO)は27日、世界の中・高所得国に暮らす12〜35歳のうち、約11億人が聴覚障害に至る危険性があるとの調査結果を発表した。イヤホンなどを使うオーディオ機器の多用や、スポーツイベントでの騒音も悪影響を与えているという。大音量で音楽を流すナイトクラブなどで働く人にも注意を呼びかけている。

 WHOによると調査対象の50%近くが安全でない音量で個人向けオーディオ機器を使用している。40%はコンサートやスポーツ観戦など娯楽イベントで、鼓膜に損傷が起きる懸念のある音量にさらされている。WHOは85デシベル超で8時間、100デシベル超なら15分を過ぎると危険だとしている。

 先天性のものや加齢によるものも含めると、聴覚に障害を持つ人は世界で3億6千万人にのぼる。WHOはこのうち半分は回避可能だと指摘。対策として個人向けオーディオ機器の利用を1日1時間までにとどめたり、騒音が著しい場所に行く際に耳栓を使ったりするよう勧めている。

 

ろう者日本代表選手ら集結 兵庫県上郡(かみごおり)町でサッカーの祭典(2015年2月28日配信『神戸新聞』)

 

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日本代表候補選手らとボールを追いかける子どもたち=上郡町、播磨光都サッカー場

 

 聴覚障害者のサッカー競技を知ってもらおうと、兵庫県上郡町光都の播磨光都サッカー場で28日、ろう者サッカー日本代表選手らによる「第1回JDFA(日本ろう者サッカー協会)フェスティバル」が開かれた。招待試合や少年少女への技術指導もあり、グラウンドにはボールを追う参加者の笑顔が広がった。

 「音のない世界のサムライブルー」と呼ばれるサッカーとフットサルのろう者日本代表。男子の強化合宿に合わせ、28日と1日、交流イベントや招待試合を初めて企画した。

 代表候補選手やスタッフら約40人と、県内外の少年や一般のサッカーチーム44チームから約600人が参加。プレナスなでしこリーグなど女子8チームも招待され、INAC神戸レオネッサの澤穂希選手らがレベルの高いプレーを披露した。

 男子サッカー代表監督の中山剛さん(39)=姫路市神屋町=は「認知度不足と資金難に直面するろう者サッカーを知ってもらい、幅広い普及につなげたい」と話し、今年10月のデフリンピック予選突破を見すえる。

 1日は代表チームや女子チームの強化試合、ミニサッカー大会などが開かれる。

 

聴覚障がい者と健聴者のコミュニケーションを円滑にするアプリ「こえとら」(2015年2月27日配信『障がい者雇用インフォメーション』)

 

 NICT(独立行政法人情報通信研究機構)のユニバーサルコミュニケーション研究所は、NICTの研究成果、聴覚障がい者支援アプリ 「こえとら」を株式会社フィートに技術移転し、株式会社フィートで2015年2月25日(水)から「こえとら」のサービス提供を開始した。

 

こえとら 文字を音声に変換し合ってコミュニケーションを

 

 NICTの高精度音声認識技術と人間の声に近く、相手にも聞き取りやすい高品質な音声合成技術を使って開発された「こえとら」は、聴覚障がい者が手話を使えない健聴者と、文字と音声を変換し合い、スムーズにコミュニケーションができるように支援するアプリ。

 同アプリは2013年年6月からiPhone、iPod touch、iPadを対象に公開実験を開始し、聾学校や企業など協力を受け、利用者からの意見を基に改良されてきた。

 今回は新しい機能としてインターネットでチャットできる機能や、非常時にネットワーク通信ができない場合でも、端末上で最低限の音声認識・合成サービスが使える機能を追加。またAndroidTM端末でも利用できるようになった。

 しかも電気通信分野での障がい者支援ということで、電気通信事業者の協賛により無償でサーバ側の運用保守が行われている。

職場でのやり取りにぴったりのツール

 聴覚障がい者が健聴者とコミュニケーションをとる手段は手話や筆談が主流であるが、手話は使える人が少数で、手話を使えない相手とは手話通訳者が必要になり、筆談はやり取りが煩雑になるという難点がある。

 聴覚障がい者と仕事をする職場では、迅速で正確なコミュニケーションを図ることが仕事の効率アップや円滑な人間関係の構築にもつながる。障がい者雇用の現場においてこうした支援アプリをぜひ活用したいところだ。

 

難聴、諦めないで 医療も日進月歩 支援策も拡充(2015年2月27日配信『新潟日報』)

 

 新潟大大学院医歯学総合研究科の山本裕准教授(耳鼻咽喉科・頭頸(けい)部外科学分野)による耳疾患の治療や支援の現状についての寄稿。

    ◇    ◇

 3月3日「耳の日」に寄せて

 「耳の日」は、耳の障害を持つ方々の悩みを少しでも解決したいという社会福祉への願いから、日本耳鼻咽喉科学会の提案により1956年に制定されました。難聴で悩んでいる方々のための相談のほか、耳の病気のことや、健康な耳の大切さを広く知ってもらうための活動が全国で行われています。ちなみに3月3日は、電話の発明者であり、ろう教育者であったグラハム・ベルの誕生日でもあります。難聴をはじめ、耳の病気に対する治療は日進月歩です。また難聴者支援の社会福祉制度も徐々に充実してきています。

 新生児聴覚スクリーニングは、生まれたばかりの赤ちゃんに対する聴力検査です。産科医の協力の下に普及し、難聴を持つお子さんの早期発見が可能になってきました。特に高度難聴の赤ちゃんには言語発達を獲得するために、少しでも早い時期に補聴器を導入したり、近年著しい進歩を遂げている人工内耳の手術を考慮する必要があります。このスクリーニングにより、先天的に難聴を抱えるお子さんへの対応が格段に早くなってきました。

 難聴の程度が比較的軽いお子さんに関しても、社会福祉面での対応が充実してきました。従来、補聴器の助成は高度の難聴児にのみ行われていましたが、耳鼻咽喉科学会や、趣旨にご賛同いただいた多くの皆さんの働きかけで、18歳未満の軽・中等度難聴者に対する新しい補聴器購入助成制度が本県でも始まっています。

 音を伝えるメカニズムを修復する手術治療の進歩は、難聴や耳だれで長い間お悩みの患者さんに、朗報となっています。患者さんの負担がより少ないさまざまな手術法が開発され、手術適応となる病状の幅が年々広がっています。

 さらに、手術では難聴の改善が困難な患者さんに対しても、新たな補聴器や埋め込み型骨導補聴器、人工中耳など、今までにはなかった新しい医療機器が開発されています。

 われわれ耳鼻咽喉科医は耳の障害を持つ患者さんに常に寄り添いながら、さまざまなチャレンジを行っております。難聴の患者さんに対する一般の方々の理解が深まるような活動も続けています。今まで治らないと諦めていた難聴や耳の症状を解決する新しい医療を皆さんに提供できるよう、今後も努力してまいります。病気の状態に応じて選択される治療や対応は千差万別ですので、お悩みの方は気軽にお近くの耳鼻咽喉科医に相談していただければと思います。

 

手話ポスター 全戸に配布へ 日常会話をイラストに(2015年2月26日配信『十勝毎日新聞』)

 

 「手話に関する基本条例」の条例案を策定した同条例研究会(桑原隆俊代表、委員14人)は、手話のポスターを製作し、近く、町内全世帯に配布する。「新得」や「わかふじ寮」など同町に関連した手話をイラストで分かりやすく紹介するとともに、町内在住のろう者が日常的に使っている手話の“方言”も盛り込んでいる。

 

 

町によると、手話ポスターの作製は約30年ぶり。町が昨年3月に全国の町村で初めて制定した同条例で、一般町民の手話への関心が高まっていることから、制定後も施策を検討している同研究会が「手話であいさつができる町であってほしい」と願い、ポスター製作を企画した。

 掲載した手話は49単語。「ありがとう」「お疲れさま・ご苦労さま」「よろしくお願いします」など日常的に使用する頻度の高い単語をはじめ、地名の「新得」や社会福祉法人厚生協会(鈴木政輝理事長)が運営する聴覚障害者のための授産施設の「わかふじ寮」、聴覚障害者養護老人ホーム「やすらぎ荘」も紹介。

 また、全国共通の標準手話ではなく、町内のろう者がよく使う手話を覚えてもらおうと、同研究会のろう者のメンバーの手話をビデオ撮影した映像を基にイラストを描き起こした。

 「あなたの家はどこですか?」「すみませんが、電話をお願いします」など、幾つかの手話で構成する例文も紹介。他に、指文字の五十音順と数字も掲載している。

 A2判で、4000枚を製作した。広報紙と一緒に町内約3300世帯に配布し、各公共施設などにも掲示する。

 町保健福祉課では「各家庭で掲示して手話を覚えてもらい、ろう者と手話で交流を図ってもらえれば」としている。

 

手話ガイドが観光案内 受け入れ態勢を充実 北陸新幹線開業に合わせ全国初(2015年2月25日配信『北国新聞』)

 

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 新幹線開業に合わせ、金沢市は2015年度、耳の不自由な観光客向けに、手話で金沢を案内する観光ガイドを派遣します。
 自治体が手話によるガイドを派遣するのは全国初です。
 ガイドは「まいどさん」の養成講座を修了した聴覚障害者団体の会員が務め、金沢観光の魅力を伝えます。
 市は誰もが安心して訪れることのできる交流拠点都市を目指し、新幹線開業後の受け入れ態勢を充実させる方針です。

 

障がいのある学生支援 授業要約し伝えるノートテイク(2015年2月23日配信『琉球新報』)

 

ノートテイクをする学生とパソコンの画面

 

 沖縄大学が聴覚障がいのある学生に対する学習支援「ノートテイク」を実施して10年が経過した。「ノートテイク」は授業中の教員の発言などを傍らに座ったボランティア学生が文字に書き起こし、障がいのある学生を支える。現在、同大学の障がいのある学生の支援は、聴覚だけでなく、身体や視覚の障がいにも拡大している。同大学の取り組みを振り返る。

 沖大は2004年、聴覚障がいのある新入生に対応するため「障がい学生支援委員会」を学内に設置し、学生ボランティアが授業のノートテイクを始めた。以前にも聴覚障がいの学生が在籍したことがあり、その時は学校外の人が支援した。

ボランティア増加

 05年には「ノートテイクサークル」が発足した。学生の活動が活発になり、手書きからパソコンを使用するようになった。07年には、ノートテイク活動が、大学の評価を社会的に高めたとしてボランティア学生21人に「学長特別賞」を与えた。その後、身体や視覚の障がいのある学生へも支援の輪は広がっていった。

 14年には、大学や専門機関で構成する「日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク」が主催する第10回「日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」で新人賞を受賞。現在、沖大では、約50人の学生ボランティアが、聴覚障がいなどのある9人を支援している。

 ノートテイクは、障がいのある学生1人に対して、2人のボランティア学生が支援する。ボランティア学生は、授業の内容を要約してパソコンに打ち込み、障がいのある学生が読み取っていく。ボランティア学生は10分間と時間を決めて交互にノートテイクをする。

双方に変化

 聴覚に障がいのある2年生の比嘉真智さん(20)=西原町=はノートテイクの支援があることを知り、沖大への進学を決めた。地域の高校で学んでいたが、授業の内容を理解することが難しいこともあった。ノートテイクのおかげで大変助かっているという。「ノートテイクがなかったら勉強も大学生活も楽しめなかった」と笑顔を見せる。

 2年生の時からボランティアとして関わっている4年生の宜名真正吾さん(22)=うるま市=は始めた当初は不安だったが、ノートテイクの勉強会や支援学生との会話で解消されていったという。「勉強会も大切だが(障がいのある)学生とコミュニケーションを取っていれば、安心し、集中して取り組むことができる」と秘訣(ひけつ)を語る。

 比嘉さんの授業を受け持つ講師の我部聖さん(38)=那覇市=は、ノートテイクについて「障がいのある学生に対する理解が深まるだけではない」と話す。文字起こしの時間を少し待つ間、他の学生も授業内容を深く考え、教員もより分かりやすい講義を心掛けるようになるという。「ノートテイクは障がいのある学生だけでなく、ほかの学生や教員にもメリットがある」と話した。

 

7人心合わせ演奏 鹿児島聾学校が最高賞(2015年2月23日配信『読売新聞』―「鹿児島版」)

 

県立鹿児島聾学校(鹿児島市)中学部2年生の全7人が、「第26回全国聾学校合奏コンクール」で、最高賞の金賞・文部科学大臣賞を受賞した。7人中6人はこれまで楽器の演奏経験がなく、昨春以降、楽譜の読み方から勉強し、練習を重ねてきた。同級生全員で勝ち取った快挙。7人は「まさか賞を取れるとは思わなかった。よかった」と喜び、自信を深めている。

 コンクールは聴覚障害者教育福祉協会主催。全国の聴覚特別支援学校から毎年、合奏の様子を撮影した映像を募り、審査している。今回は17校22チームから応募があった。7人は打楽器アンサンブルを披露し、「緩急の対比やリズムに乗った演奏が素晴らしい」と高く評価され、年明けに最高賞の吉報を受けた。

 練習を始めたのは昨年4月。前回のコンクールで最高賞を受けた学校の演奏の様子を映像で見たことがきっかけだった。「リバーダンスメドレー」を曲目に選び、譜面にドレミの音階を書くところから始めた。

 使用する楽器は、マリンバ、カホン、タンバリンなど12種類の打楽器とピアノ。1人が複数の楽器を担当するため、覚えることが多かった。週1回の音楽の授業だけでは練習時間が足りず、朝と昼休み、7人の足は自然と音楽室へと向かった。

 「一番大変だったのは全員でリズムを合わせることでした」と、音楽科の久留明日香教諭(42)。床から伝わるカホンの響きや互いの動作を合図にし、指揮する久留教諭の手の動きも見て演奏を合わせた。また、緩急をつけるため、「出だしは朝の目覚めのような感覚。途中から、慌ただしく準備をする感じ」といった具合に、曲のイメージを言葉にして共有したという。

 7人は今月16日、学校の体育館で、同協会の山東昭子会長から賞状と盾を受け取った。

 ピアノを担当した渡辺龍輝君は「最初は、自分たちには出来ないと思っていたけど、今はどの学校よりもきれいに演奏する自信がある。これからもこの7人で演奏していきたい」と笑顔を見せる。

 7人の次の舞台は、3年生のお別れ会。新たな曲に挑戦することを決め、全員で練習を続けている。

 

au店頭で笑顔の手話接客 名古屋に「ろう者」社員(2015年2月20日配信『朝日新聞』)

 

 

 耳が聞こえない「ろう」の人たちにとって、スマートフォン(スマホ)が生活に欠かせなくなっている。地図や情報検索などを使い、「誰かに頼らなくても自力で解決できるようになった」との声も聞こえる。各携帯会社は店頭での手話サービスに取り組み始め、名古屋市では「ろう者」の社員が店頭に立っている。

 2月上旬、名古屋・栄の携帯電話ショップ「au NAGOYA」。社員の三原毅さん(50)が、旧知の男性客と手話を交わしていた。明るい笑顔の接客が評判だが、実は生まれた時からほとんど耳が聞こえない。客の田中明さん(63)=名古屋市=もろう者だ。

 互いに目を見ながら、小気味よいリズムで「会話」が進む。三原さんが「ご紹介したアプリは便利ですか?」と聞くと、田中さんは「とても良いです。友人にも教えました」。「筆談より、手話で話すほうがずっと分かりやすい」と田中さんは満足そうだ。

 同店は、KDDI(au)が2010年に全国で初めて出した直営店。出店にあたってスタッフを社内で公募し、東京の料金センターに勤務していた三原さんが手を挙げた。同社では始まっていなかった手話接客を、どうしても採り入れようと考えたからだ。

 「スマホは、ろう者が自立するための道具」と三原さん。画像や映像、メールを送ってコミュニケーションが取れ、アプリは生活を便利にした。筆談アプリは人気だし、テレビ電話を利用してオペレーターに手話で伝えると、ほぼ同時に、電話をかけたい相手に用件を話してもらえる「電話リレーサービス」もある。

 だが、そうした機能や様々な料金プラン、操作が不慣れな人への説明に、筆談では限界があると感じていたからだ。

 同社は三原さんの提案を採用し、三原さんは名古屋市への単身赴任が決まった。同時に、手話通訳士の資格を持つ柿崎衣保(きぬほ)さん(29)を契約社員として雇用。2人態勢で手話サービスが始まった。

 2人はチラシを配ってサービスを周知したり、手話によるスマホ教室を開いたり。来店できない遠くの客のために各ショップとテレビ電話でつなぎ、手話で接客が出来るようにした。こうした活動が知られ、今ではほぼ毎日、数人のろう者が来店して三原さんらに相談するようになった。

 こうした実績を評価し、同社は大阪や東京に開いた直営店でも手話スタッフの配置を決めた。

 スマホは次々と新しい機能やサービスが登場し、三原さんにとっても、耳から情報を得られないことはやはり不利だという。その分、他のスタッフについて行こうと必死だ。スマホも自ら二つ購入して使い心地を確かめるなど、接客準備に余念がない。

 胸にあるのは、28歳の時に障害者団体の支援で訪れた米国でのろう者たちの姿。大学学長や弁護士、医師として活躍する彼らに、「聞こえなくても、できるんだ」と教わった。それから、不満やあきらめを言うのはやめた。「失敗は仕方がない。挑戦していくことで、働く障害者の励ましになれれば」と話す。

 各携帯会社も手話サービスに取り組み、ソフトバンクは東京・渋谷の店に手話スタッフ7人を配置。10年からは全国17店舗でテレビ電話での手話サポートを始めている。NTTドコモでも03年から、テレビ電話を利用して手話サポートを提供しているという。

 

「手話は言語」 大和郡山市が条例案(2015年2月20日配信『朝日新聞』−「奈良版」)

 

 大和郡山市は19日、手話を言語と位置づける「手話に関する基本条例案」を、3月議会に提案すると発表した。成立すれば奈良県内初。4月1日に施行する方針。

 条例案は、「手話が言語であるとの認識に基づき、手話への理解の促進と手話の普及を図る」「手話を使用する市民は、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない」などと規定する。市の責務として、市民への理解を促し、手話を使いやすい環境にするための施策を推進することを定める。

 市内には、県内唯一の聴覚に障害のある子どものための特別支援学校「県立ろう学校」があり、3〜18歳の約120人が通う。手話の市民講座は1974年から開かれ、市職員も90年から研修で学んでいる。   

昨年12月には市聴覚障がい者協会が、条例の制定を求める要望書を提出した。

 

「手話言語条例」制定へ 群馬県議会開会(2015年2月17日配信『産経新聞』−「群馬版」)

 

 県議会定例会が16日開会し、自民党県議ら24人は、耳の不自由な人が暮らしやすい地域社会の実現を目指す「県手話言語条例案」を提出した。県に手話普及のための取り組みを促し、聴覚障害児が通う学校に手話教育の充実などを求める内容。可決されれば、都道府県では鳥取、神奈川に次いで3県目となる。4月1日施行。

                ◇

 条例案では、制定の目的として、「ろう者とろう者以外の者が共生し、等しく全ての障害者福祉の向上に寄与することのできる地域社会を実現すること」と明記。手話を学習する取り組みを推進する▽手話を用いた情報発信に努める▽手話通訳者や指導者の養成・研修に努める−など、県が手話の普及のために取り組むべき内容を示している。

 また、聴覚障害のある子供たちのための「教育環境の整備」も掲げており、関係学校における教職員の手話技術の向上などを促している。全日本ろうあ連盟(本部・東京都新宿区)によると、鳥取や神奈川の条例と比べて、より“手話教育”に重きを置いた内容になっているという。

 本県と手話の関わりは深く、戦後間もない1947(昭和22)年5月25日に、全国の約200人の聴覚障害者が伊香保温泉・小暮旅館(現・ホテル小暮)に集まり、手話の普及などを目的とした全日本聾唖(ろうあ)連盟(現・全日本ろうあ連盟)を発足させた。同連盟の担当者は「群馬にこうした条例ができることが非常にうれしい」と話した。

 条例案提出にあたり、中沢丈一議員(自民)が提案説明に臨み、「すでに世界的には、“手話は言語”との認識は当たり前のものになっている。一生懸命応援したい」などと述べた。

 なお、2015年の「第63回全国ろうあ者大会」(6月11日(木)〜14日(日)は群馬県で開かれる(第1回は1948年5月10日に京都で開催)。

 

 

 政策論議を手話通訳 仙台市議会が試験導入(2015年2月17日配信『河北新報』)

 

本会議場の傍聴席で試験的に実施された手話通訳

 

 仙台市議会は16日、開会中の2月定例会の一般質問で、聴覚障害者に質疑応答の内容を伝達するため、手話通訳を1日限定で試験的に実施した。課題や改善点を検証し、6月定例会から本会議で本格的に導入する。

 市聴覚障害者協会の会員20人が傍聴。みやぎ通訳派遣センターに登録する手話通訳士3人が傍聴席に待機し、10分交代で約2時間、議員4人の質問と市当局のやりとりを伝えた。

 会員の多くが傍聴は初体験で、手の動きを通して議論を追った。松本克之会長(70)は「これまで議会の中身を知るには、議会広報や報道に頼るしかなかった。どんな市政課題があり、どういう議論がされているのかがその場で分かった」と感慨深げだった。

 手話通訳士3人は14日に郵送された質問項目を参考に、市のウェブサイトで情報を集めたり、過去の議事録から用語の使われ方を調べるなどして本会議に臨んだ。横沢麻子さん(46)は「もう少し早く質問の要旨が分かれば十分な準備ができ、より分かりやすい通訳ができる」と指摘した。

 6月定例会からは聴覚障害者の事前申し込みに応じて手話通訳を配置する予定。

 

糸賀一雄記念賞:手話普及で安藤さん 龍谷大「ふれあい大学」も 草津で授賞式(2015年2月16日配信『毎日新聞』−「滋賀版」)

 

 障害者福祉に関わる人や団体をたたえる「第18回糸賀一雄記念賞」の授賞式が15日、草津市であり、個人1名と1団体が表彰された。

 全日本ろうあ連盟参与、安藤豊喜さん(77)=宮崎県=と、龍谷大短期大学部(京都府)の「知的障がい者オープンカレッジふれあい大学課程」が受賞した。

 安藤さんは9歳で聴力を失い、ろう学校に転校。教室では「社会に出ても通じない」と手話が禁じられ、唇の動きで理解する「口話教育」がされた。「ろう者の願いは、手話を言語として認め、社会参加や自立を図れる環境の実現」とする安藤さんは全日本ろうあ連盟の役員を長年務め、聴覚障害者の運転免許取得や手話通訳制度の確立などに尽力した。この日、欠席した安藤さんは「長い運動の中で手話は普及した。受賞は身に余る名誉」とメッセージを寄せた。

 「ふれあい大学」は知的障害のある人を対象にした公開講座で、学生も受講して単位を取得できる。「障害者の生涯学習の重要性を社会に広く発信している」と評価された。記念スピーチをした同学部の加藤博史教授(65)は「人は出会った人たちの総和で出来ている。しかし、障害を持った人は地域の中で姿が見えにくく、限られた人間関係の中にいる」と指摘し、大学の役割を語った。

 また、取り組みが先進的で、今後が期待される個人や団体に贈られる「糸賀一雄記念しが未来賞」を、農業と障害者をつなぐ「+FARM」所長、荷宮(にのみや)将義さん(37)=野洲市▽知的障害のある男性メンバーが性や身体の問題などを考える大津市の「MMKサークル」が受賞した。

 

注;糸賀一雄=日本の社会福祉の実践家。知的障害のある子どもたちの福祉と教育に一生を捧げた。日本の障害者福祉を切り開いた第一人者として知られ、「社会福祉の父」とも呼ばれる1946年11月、戦後の混乱期の中で池田太郎、田村一二両氏の懇請を受け、知的障害児等の入所・教育・医療を行う「近江学園」を創設し、園長となる。その思想を自身が語ったものとして書籍『福祉の思想』がある。主たる著書に、「この子らを世の光に」、「愛と共感の教育」、「勉強のない国」、「精神薄弱児の職業教育」、「精薄児の実態と課題」などがある。

 

手話と言葉、軽快なテンポ 「ぷ〜&み〜」が漫才(2015年2月16日配信『朝日新聞』―「鳥取版)

 

「ぷ〜&み〜」の2人が手話漫才で会場を沸かせた=倉吉市上灘町

 

 耳が聞こえる人と聞こえない人の手話漫才コンビ「ぷ〜&み〜」の公演が15日、倉吉市の上灘公民館であった。倉吉手話サークル(西村ゆかり代表)の主催で、県内では初公演。話し言葉と手話を交えたテンポのいい掛け合いで、約120人で満員の会場を沸かせた。

 「ぷ〜&み〜」は、2010年に活動を始めた岡山県在住の男性2人組。「み〜」こと、ろう者の佐藤正士さん(45)のコミカルな手話と身ぶりを、「ぷ〜」こと三宅寿(ひさし)さん(47)が話し言葉で同時通訳しつつ、ボケながら突っ込みを入れる。この日はダイエットや参拝などを題材にした手話漫才を披露し、会場からは笑い声がどっとあがった。

 鳥取市から来たろう者の田中作治さん(76)は、「手話漫才を見るのは初めて。とても面白くてびっくりした」。手話サークルに通う北栄町の河本純子さん(55)は「視覚的にぱっと見て分かる手話の特徴を利用しながら、表情が豊かで、見ても聞いても面白かった」と話した。

 

演劇:「残夏1945」 ろうあ被爆者の体験継承へ 長崎公演に向け実行委設立(2015年2月15日配信『毎日新聞』−「長崎版」)

 

 聴覚障害があり手話を使う人たちでつくる県ろうあ協会と、全国手話通訳問題研究会長崎支部は14日、被爆70年を記念し「ろうあ被爆者」について伝える演劇「残夏(ざんか)1945」の長崎公演に向けた実行委員会を設立した。

 長崎にどれだけのろうあ被爆者がいたのか正確な記録はないが、両団体が1986年に出版した「手よ語れろうあ被爆者の証言」には「原爆の洗礼を受けた、耳の不自由な者は、長崎県内で、約百名と推定される」とある。同支部はこれまでに、ろうあ被爆者28人から被爆体験などの聞き取りをした。

 同支部によると、ろうあ被爆者は、被爆後の混乱の中、耳が聞こえず正確な情報が得られないため苦難を味わってきた。長崎市内であった実行委で委員長に選ばれた坂口義久・県ろうあ協会副会長は手話で「ろうあ被爆者たちはどんどん亡くなっている。力を合わせ、戦争を知らない世代にきちんと体験を継承していきたい」と語った。

 取り組みは長崎市の被爆70年記念事業に採択された。聴覚障害者らでつくる劇団「サイン アート プロジェクト・アジアン」が演じ、手話や字幕などを交え、耳が不自由でも楽しめる。7月25日、同市千歳町のチトセピアホールで。問い合わせは同支部の居村憲昭事務局長(090・9566・1757)。

 

記者有情:手話言語条例(2015年1月12日配信『毎日新聞』−「福岡都市圏版」)

 

 福岡市議会で手話言語条例の制定を求める請願審査があった。継続審査となり今回は採択されなかったが、市内には聴覚障害者が約4100人おり、うち約800人が手話を必要としていることを知った。

 市の手話通訳者派遣事業の利用者は2013年度が226人、延べ2503回に上る。利用は通院時の説明補助などに限られ、携帯電話の買い替えなどは対象外だ。利用が広がらないことに市議の一人は「実施要項が時代遅れでは」と指摘した。

 手話は、生活に必要不可欠な「言語」であり、それを使う環境を保障してほしい。条例にはそんな願いがある。市によれば、既に鳥取県や神奈川県、佐賀県嬉野市などが条例を制定している。【下原知広】

 

手話は言語、一層普及を 法制定へ地方議会の9割意見書(2015年2月10日配信『神戸新聞』)

 

 手話を言語として明確に位置付け、普及を促す「手話言語法」の制定を国に求める機運が全国で高まっている。全日本ろうあ連盟(東京都)の調べでは、全自治体の9割に迫る1600超の地方議会で意見書が採択され、独自の手話言語条例制定も相次ぐ。同連盟は「3月末までに採択100%を達成し、手話言語法の実現に弾みをつけたい」とする。

 手話をめぐっては、2006年に国連総会で採択された障害者権利条約で言語に含まれると定義され、日本でも11年に成立した改正障害者基本法で認められた。ただ、法整備や具体的な施策が進んでおらず、全国の聴覚障害者団体が地方議会に働き掛けてきた。

 13年に鳥取県で、手話を使いやすい環境整備を県や市町村に義務づける全国初の手話言語条例が成立。兵庫県内では加東、篠山市が同様の条例を制定し、神戸や三木市なども今春の施行を目指す。意見書採択も一気に広まり、県内では昨年12月までに県会と全市町議会で採択した。

 一方、国の反応は鈍い。内閣府の担当者は「13年に策定された第3次障害者基本計画に障害者への情報提供や意思疎通の充実が盛り込まれている。優先して取り組みを進めたい」としている。

 同連盟がまとめた手話言語法案では、聴覚障害者を対象とした特別支援学校での手話の必須教科化▽生活のあらゆる場面で手話を使用できる環境の整備▽手話の普及促進のための審議会や研究所の設置−などを定める。

 兵庫県立聴覚障害者情報センター(神戸市灘区)の嘉田眞典所長は、地方自治体や議会の動きを「とても心強い」と歓迎。「テレビの緊急放送に字幕や手話が付かないことや手話通訳者の不足など、直面する課題は多い。一日も早い法制定を」と訴える。

 

 【手話】 主に聴覚障害者が手指の動きや表情を使って行うコミュニケーション手段の一つ。国内の聴覚障害者数は約25万人以上とされ、全日本ろうあ連盟によると、手話使用者は5万〜10万人。国内の特別支援学校(ろう学校)では口の動きを読む「口話」が推奨され、手話が禁じられた時期もあった。近年は多くの学校で手話が導入されている。

 

こんにちは広島:ろう者と聴者の人形劇を招致した、三好久美子さん(2015年2月10日配信『毎日新聞』−「広島版」)

 

 

 ◇言葉に頼らない「初めての世界」へ−−三好久美子さん(66)=福山市

 耳が聴こえないろう者と、聴者でつくる人形劇団「デフ・パペットシアター・ひとみ」の公演が2月、県内4カ所で開催される。広島公演のうち、福山市分を主催し、他の3カ所でも実行委の1人を務める。

 「ねえ、知ってる?」。20年ほど前、友人からかかってきた1本の電話が出合いのきっかけだった。

 「デフパペ」は、NHKで放送された人形劇「ひょっこりひょうたん島」を手がけた人形劇団を母体にろう者が加わって誕生。市民が公演を主催する形で全国各地で上演されている。

 劇団の人と会い、制作中の新しい演目について聞かされた。「魔がさしたのか、話しているうちに『やってみたいですね』と答えてしまったんです」と茶目っ気たっぷりに笑う。約1年後には、仲間たちと一緒に福山市で公演を開催。「これまで体験したことのない世界感」にすっかりはまってしまった。

 言葉に頼らず、視覚の世界に生きるろう者の感覚を生かした舞台。手話などの身体表現や、漫画のセリフのような吹き出しパネルなど多様な手法を駆使して、登場人物の心情を伝える。「大人の人形劇」でありながら、子供にも直感的に分かるという。「初めての世界が体験できるよ」。知らない人にはこう説明することにしている。

 今回、上演される「森と夜と世界の果てへの旅」はナイジェリアの神話や民間伝承を元にした小説が原作。酒を飲んでばかりの放蕩(ほうとう)息子が、奇怪な生物たちが住む森に旅立つ物語だ。「ストーリーも楽しみだけど、どんな新しい表現を見せてくれるのかわくわくします」

 「手話言語条例」が鳥取県で制定されるなど、手話に対する新たな見方が広がっている。「だからこそ、若い人たちに舞台を見てほしい。一つの言語として広まるきっかけになったらうれしいですね」

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 ◇「森と夜と世界の果てへの旅」

 13日=三次市十日市コミュニティセンター(1000円、おやこ劇場0824・63・1745)▽14日=県民文化センターふくやま(同・三好さん090・8600・3305)▽15日=広島女学院大(1200円・同)▽19日=大崎上島文化センター(1000円・谷川さん090・4895・5378)。

 

北朝鮮、ろう者は今 現地支援のドイツ人が講演会(2015年2月8日配信『朝日新聞』―「新潟版」)

 

北朝鮮のろう者をとりまく現状について、手話で講演するロバート・グルンドさん

 

 世界ろう連盟平壌事務所に勤め、北朝鮮のろう者支援に取り組んでいるドイツ人、ロバート・グルンドさん(29)の講演会が7日、新潟市中央区であった。現地でのろう学校の様子や就労状況、今後の課題などについて語り、日本の支援を呼びかけた。

 グルンドさんは、ベルリン出身。自身もろう者で、幼いころから手話のニュースに親しんでいたという。

 そんなある日、たまたま目にしたニュースが「世界で唯一、北朝鮮にろう者がいない」と報じていた。

 疑問を抱いたのがきっかけで、19歳のときに初めて訪朝。3度目の訪問でついにろう者と出会うことができた。

 「北朝鮮にもろう者がいる」。その事実を連盟に伝えた。やがて連盟の北朝鮮担当に抜てきされ、2012年に平壌に赴任した。

 昨年、北朝鮮のろう者3人をフィンランドの連盟本部に招待。手話ニュースの制作現場やろう学校などを視察した。それがきっかけで、北朝鮮でも子ども向けの手話の本やトランプカードなどが発行されるようになった。10月にはテレビで手話通訳が流れる予定だという。

 「北朝鮮には8校のろう学校があるが、首都の平壌にはない」とグルンドさん。連盟は、国の人口の1〜2%がろう者だと推計している。講演後、グルンドさんは「ろう者に国境はない。日本からも、資金はもちろんのこと、様々な援助をしてもらいたい。そしていつか日本にも連れてきたい」と訴えた。

 

Go!Go!ファイターズ:プロ野球 ろう学校生19人、石井投手と交流 沖縄キャンプ(2015年2月7日配信『毎日新聞』−「北海道版」) 

 

 プロ野球北海道日本ハムファイターズが春季キャンプを行っている沖縄県名護市に4日、立川ろう学校(東京都立川市)高等部2年の生徒19人が修学旅行で訪れ、先天性の聴覚障害を持つ石井裕也投手(33)と交流した。

 石井投手は、かすかに聞こえる右耳に補聴器を付けてプレーしている。次々と三振を奪う姿から高校時代、「サイレントK」の異名を取った。昨年に続く2度目の交流会で、生徒らは手話を交えながら石井投手に質問。「耳が聞こえる人と一緒にやっていて大変なことは何か」との問いに、石井投手は「大変なことはない」と答えていた。

 

 

石井裕也=横浜商工高校から三菱重工横浜に入社。かつては中日ドラゴンズ、横浜ベイスターズに所属。ハンディキャップがありながら三振を奪っていく投球から「サイレントK」と呼ばれている。社会人入りは障害者雇用であり、終身雇用が保障されていたため周囲からはプロ入りに反対されたが、それを押し切り中日ドラゴンズに入団。その経緯はNHKで特集されたり、英語の教科書に取り上げられたりした。

 

MaDの黄英g会長「コーヒー10杯の値段でスペース提供」(2015年2月7日配信『日経新聞』)

 

 黄英g(エーダ・ウォン)氏 米ポモナ・カレッジ卒、香港大学で教育学修士。1995〜2008年に香港島・湾仔区議会議員。05年から同区議会議長。98年に教育や文化を通じたチェンジメーカー育成をめざすNPO「香港当代文化中心(HKICC)」を創設。09年MaD創設。

 

リーマン・ショック後の2009年に設立されたMaDの会長で、自身も社会起業家である黄英g氏に、MaD設立の経緯や運営などについて聞いた。

――MaDを創設したきっかけは何ですか。

 「2008年のリーマン・ショックだ。投資銀行などは人減らしに走り、若者にとって最高だった仕事が暗転した。これを機に人々は人生やお金、仕事の意味を真剣に問い直すようになった。そんななか、社会をもっと良くして同時にある程度のお金も入るソーシャル・エンタープライズ(社会企業)が脚光を浴びるようになったわけだ。米英でも09年に発足した社会企業は多い」

 「手話のオンライン辞書をつくったひとがいる。手話は130種類近くあり、それぞれが異なる。耳の不自由なひとは外国の手話が理解できないことが多い。そこでオンラインの辞書を作り、障害を持ったひとの行動範囲を広げた。香港だけでなく、アジア全体でこうした変革者の知識や経験を共有したいと思い、MaDフォーラムも立ち上げた。去年は日本からも講演者を招待した。みんな社会をどう変えるかを考えている」

 ――設立当初は苦労がありましたか。

 「資金がないので政府や企業に協力をお願いしても、経済の主流のひとは株式市場のことばかり考えていて、なかなかMaDの枠組みを理解してもらえなかった。ひとびとは経済や金融市場、成長戦略には熱心だが、なぜ人生の創造性や社会のイノベーション、サステナビリティー(持続可能性)といった大きなテーマには無関心なのか。われわれはMaDでこうした問題と向き合おうと思っていた。発足して6年になるが、いまでは多くのひとがMaDや社会企業を理解してくれている」

 ――そして共同オフィスの「好単位(グッドラボ)」もつくりました。

 「誰もやらなかったから(笑)。資金の乏しい社会企業は香港の高い家賃など払えない。自宅や友人の家を使う例も多い。でも、ロンドンなどでは数多くの共同オフィスが社会企業のゆりかごになっている。共有型経済(シェアリング・エコノミー)の一例だろう」

 「グッドラボは例えばひと月に450香港ドル(約7000円)の家賃でスペースを提供している。起業家はコーヒー10杯ぐらいの値段でコミュニティを共有できる。ここには200人以上が出入りしており、いろいろなひとたちと知り合って、協力し合えるのが最大の利点だ」

 ――収益的には苦しい?

 「グッドラボ自体が社会企業だ。赤字を垂れ流すわけにはいかない。ただ、大家の香港不動産大手、恒基兆業地産(ヘンダーソンランド)から家賃の優遇を受けている。香港中心部としては通常では考えられない家賃でここを提供してもらっている。最初は払えなかったが、3年目から払えるようになった」

 「収益の多様化は課題だ。香港政府は変わりつつある。徐々に自治を失い、中国政府が物事を決めるようになってきた。われわれは独立したポジションを維持していく必要がある。政府にイエスとしか言えないようではダメだ。政府からもらっている資金は少ないが、もっと独立性を高めたい」

 

聴覚障害者映像祭:初の戦争テーマ作品も 京都・南区で2月7、8日(2015年2月5日配信『毎日新聞』−「京都版」) 

 

 

 聴覚障害者が制作した作品だけの国内唯一の公募映像祭「第11回きょうと聴覚障害者映像祭」が7、8両日、京都市南区の龍谷大学アバンティ響都ホールで開かれる。戦後70年で迎える今回は、初めて戦争をテーマにした作品が寄せられた。両日とも応募作10点が全て上映されるほか、8日には「リング」「らせん」などの映画プロデューサー、河井真也さんが講演する。

 戦争テーマは2点。奈良県の松谷琢也さんの「約束」は、祖母との約束を果たそうと広島を訪ねた孫が原爆の恐ろしさを伝える。千葉聴覚障害者センターの「ろう者が戦争の時代を語る」では、空襲やアメリカ人捕虜処刑など、戦時下を生きたろう者3人が生々しい実体験を語る。この他、アフリカ・ガーナのろう学校を描いた「Walk Togetherいっしょに歩こう」、京都の「聾(ろう)宝」が聴覚障害者の結婚をテーマにした物語「つながる more more」などがある。

 映像祭実行委員で全国手話研修センターの河井友佳さんは「手話という見る言語を持つろう者だからこそ表現できる映像がある。聞こえる人も聞こえない人も楽しんでほしい」と呼びかけている。

 一般1日券1000円など。実行委(075・873・2646)。

 

大今良時さん『聲の形』 「このマンガがすごい!」1位(2015年2月5日配信『読売新聞』)

 

 識者投票によるランキング本『このマンガがすごい! 2015』で、『聲(こえ)の形』(講談社)がオトコ編1位に輝いた。聴覚障害者へのいじめというショッキングな内容を扱う同作に込めた思いを、作者の大今良時(おおいまよしとき)さんに聞いた。

 

大今良時さん / 「聲(こえ)の形」第1巻

 

 『聲の形』は2008年に「週刊少年マガジン新人漫画賞」に入選したが、難しい問題を扱っていることもあって、しばらく掲載が見送られていた。全日本ろうあ連盟が監修に入り、社内で協議を重ねた上で読み切りを2度掲載、13年8月から1年余り連載された。1位の栄冠について大今さんは、「たくさんの選考委員に選んでいただく『賞』のようなものだと感じました。賞を目指して描いたわけではありませんが、やはりうれしかったです」と笑みをみせる。

 主人公の石田将也(しょうやは)小学生時代、級友と一緒に、耳の聞こえない転校生・西宮硝子(しょうこ)をいじめる。補聴器を壊したり、ノートに落書きをしたり。やがていじめの矛先は将也に向き、彼は周囲から孤立していく。

聴覚障害は一つの個性

 大今さんは母親が手話通訳者だったこともあり、聴覚障害者は身近な存在。「描くことに抵抗はなかった。障害者だから特別な存在というわけではなく、ひとつの個性として描きたかった」。ただ、西宮を描く時にはリアリティーにこだわり、どのくらいの音量が聞こえ、どの言葉が発音出来ないのかを細かく設定した。「石田君、どこ行くの?」を「いちだくぅ、どこいうお?」など、聴覚障害者がどんな発音をするのかも、一つひとつ、母親や全日本ろうあ連盟に聞いて調べた。

 テーマは障害だけでなく、コミュニケーションの難しさだという。「自分の気持ちをうまく伝えられない西宮、周囲から理解されないと思っている石田のような人たちに向けて描きたかった」。登場人物の気持ちや行動について説明がされないままストーリーが進む場面も多い。「伝える手段は言葉や手話だけではない」。読者は表情や細かいしぐさなどからメッセージを読み取り、登場人物の感情を想像していく。

 読み手が痛いほど心を揺さぶられるのは、「石田と読者の目線を合わせるようにした」からだろう。「(小学生時代の)石田にとって西宮をいじめることは、虫をいじめるのと同じこと」。なめくじに塩をかけたり、アリをつぶしたりするシーンも描き、誰しも経験がありそうな出来事と関連づけたという。高校生になった石田は過去を清算するために西宮に会い、2人は次第に打ち解けていく――。

 連載中は「この作品は、耳が聞こえないことを『個性』として描いてくれている」、「現実は、こんなに楽じゃない」とさまざまな感想が寄せられた。「どんな形であれ、リアクションがあることがうれしかった」

 まだ25歳。本作は冲方丁(うぶかたとう)さんの小説を原作としたデビュー作『マルドゥック・スクランブル』に続いて2作目だ。「今度はSFものを描きたい」と意欲をみせた。

 

手話パフォーマンス甲子園の映像 ネット配信開始(2015年2月4日配信『山陰中央新報』)

 

インターネット配信された手話パフォーマンス甲子園の様子=2014年11月23日、鳥取市扇町の県民ふれあい会館

 

2014年11月に鳥取市扇町の県民ふれあい会館であった「全国高校生第1回手話パフォーマンス甲子園」の模様がインターネット配信された。観客の感動を呼んだ全国の高校生による手話表現を交えたダンス、劇、朗読などを見ることができる。

 全国初の手話言語条例を制定した鳥取から手話が持つ大きな可能性を発信。予選を勝ち抜いた全国の高校、特別支援学校20校の生徒が競った。ダンス、劇、朗読など、手話表現を入れて仕立てた演目はどれも観客を魅了し、石川県の田鶴浜高校が優勝、鳥取県の鳥取聾(ろう)学校が準優勝に輝いた。今年第2回の開催も決まっている。

 実行員会事務局が出場チームの演技と開会式、表彰式の様子を区切って整理した28本を、動画サイト「You Tube」の手話パフォーマンス甲子園チャンネルで公開した。

 

初歩的な手話習得 加東市議16人が研修会(2015年2月2日配信『神戸新聞』)

  

市会議員が手話を学ぶ研修会=加東市

 

 昨年11月、近畿の自治体で最も早く手話言語条例が成立した兵庫県加東市で、市会議員が手話を学ぶ研修会がこのほどあった。全16人が参加し、あいさつや自己紹介など初歩的な会話を習得した。

 同条例は、手話を言語として位置付け、耳の不自由な人も暮らしやすい環境を整えることを目的とし、各地で同様の条例の制定が進んでいる。同市では4月1日に施行される。

 研修会では、県聴覚障害者協会副理事長の小林泉さんが、聴覚障害者の置かれている現状や課題を説明。その後、市の手話通訳士・龍美香子さんが「おはよう」「こんにちは」や、名字の漢字を手話で表す方法などを伝えた。市議らはこれまで知らなかった言語を身に付けようと、手や腕をさまざまに動かした。

 安田朗議長は「手話の普及に向け、市議が率先して使うことが大切。2月にも研修会を2回開く予定」と話した。

 

「障害者支援、普段から」 神戸で震災の教訓考えるつどい(2015年2月2日配信『産経新聞』)

 

 阪神大震災と東日本大震災で身体障害者が得た教訓について考えた「災害と障害者のつどい」=神戸市中央区

 

阪神大震災と東日本大震災で身体障害者が得た教訓について考える「災害と障害者のつどい」が1日、神戸市中央区の市勤労会館で開かれ、障害者や研究者らが「災害時は障害者福祉の課題が浮き彫りとなるが、普段から支援の仕組みを充実させることが重要だ」と訴えた。

 NPO法人「兵庫障害者センター」が主催。阪神大震災から20年の節目に合わせて開催し、県内と東北地方の障害者や福祉関係者ら約200人が参加した。

 室崎益輝・県立大防災教育センター長は、阪神大震災での障害者の死亡率が健常者の3倍以上だったことを示し、「障害者は俊敏に動けずに危険を回避できなかったり、避難時に車いすが使えなかったりして、被災リスクが極めて高かった」と言及。「災害時に限らず日頃から社会で障害者を見守り、ハードやソフト面のバリアをなくして支え合うコミュニティーをつくるべきだ」と強調した。

 また、阪神大震災の被災経験について手話で講演した県聴覚障害者協会の嘉田真典理事は「音が聞こえないため避難や生活再建のための情報が入ってこなかった。避難所では手話通訳者がおらず、罹災(りさい)申請の手続きや他の避難者とのコミュニケーションも難しかった」と振り返り、東日本大震災でも同様の問題が発生していると指摘した。

 兵庫障害者センターの井上義治理事は「いざというときどのような行動をとればいいか、両被災地の教訓を学んで防災意識を高めてほしい」と話していた。

 

聴覚障害者に宮城県が支援拠点 手話通訳者ら養成(2015年2月1日配信『河北新報』)

 

出席者を前にあいさつする小泉理事長

 

 聴覚に障害がある宮城県民の支援拠点「県聴覚障害者情報センター」(みみサポみやぎ)が、仙台市青葉区の県本町第3分庁舎に開設された。聴覚に特化した県内唯一の情報提供施設として、障害者をサポートをする。

 センターは相談室や交流スペースなどを備える。スタッフは手話通訳者や要約筆記者ら計10人で、聴覚障害者や家族らの相談に無料で応じる。

 手話通訳者や要約筆記者を養成。聴覚障害の基礎知識やコミュニケーションに関する出前講座も行う。災害時は行政と連携して聴覚障害者を支える。

 1月30日の開所式には関係者約40人が出席。村井嘉浩知事は手話を交え「東日本大震災後、平時の支援体制と大規模災害への対応を検討してきた。開所式を迎えられたことは大変な喜びだ」と述べた。

 運営する県聴覚障害者福祉会の小泉正寿理事長は手話で「聴覚障害者の暮らしを充実させ、安心した地域づくりにまい進する」と強調した。

 開館時間は午前9時半〜午後5時半(日曜休館)。センターに関する連絡先は022(393)5501。相談専用の連絡先は022(393)5503。

 

佳子さまら手話狂言鑑賞 手話で「ありがとう」(2015年2月1日配信『共同通信』)

 

手話狂言を鑑賞するため、国立能楽堂を訪問された秋篠宮妃紀子さまと次女佳子さま

 

 秋篠宮妃紀子さまと次女佳子さまは1日、東京都渋谷区の国立能楽堂で、聴覚障害がある俳優らによる手話狂言を鑑賞された。佳子さまは出演者のやりとりに時折笑いながら、公演を楽しんだ。

 手話狂言は女優、黒柳徹子さんの発案で約30年前に始まり、俳優が手話でせりふを表現するのと同時に、狂言師の音声も会場に流れるため、幅広い人々が楽しむことができる。

 舞台を終えた出演者らと懇談して能楽堂を出発する際、佳子さまは俳優一人一人に手話で「ありがとう」と伝えた。

 案内した黒柳さんは「皇族が来て『面白かった』と手話をなさることが俳優の力になる」と喜んだ。

 

「手話言語条例」施行へ 篠山市会が手話を学ぶ研修会(2015年1月26日配信『神戸新聞』)

 

手話通訳者(右)の指導で自己紹介に挑戦する市議=篠山市役所

 

兵庫県の篠山市会は26日、手話を学ぶ研修会を市役所で開いた。手話通訳者の市地域福祉課職員2人が講師となり、市議に教えた。

 市は12月に「篠山市みんなの手話言語条例」を制定、4月に施行される。市議が先頭に立って手話を覚えようと企画した。

 研修会では、座学で聴覚障害者の不便さやコミュニケーション法などを習った。「お金」「ダメ」などの単語は一般的な身ぶり手ぶりと同じという。また、手話を使う際の注意点として「豊かな表情で」「口を大きく動かす」などとアドバイスを受けた。

 その後、実際に「私は篠山市議会議員の○○です」と自己紹介に挑戦。会合などのあいさつで使えるよう練習し、全員の前で1人ずつ披露した。

 林茂議長は「議員が率先して手話を使うことで徐々に市民にも広がり、弱者に寄り添う温かいまちになれば」と話した。

 

手話甲子園、米子で9月22日に(2015年1月24日配信『読売新聞』)

 

 鳥取県は22日、昨年初めて開催した「手話パフォーマンス甲子園」の実行委員会を県庁で開き、第2回大会を9月22日に米子市で開くことを決めた。

 より多くのチームに参加してもらえるよう出場枠を見直すなどし、大会をアピールしていくという。

 同大会は、県が2013年に全国初の手話言語条例を制定したことを受けて企画。高校生が手話を駆使した演劇やダンス、コントなど様々なパフォーマンスを通じて、手話の可能性を示す大会で、昨年11月に鳥取市で開かれた第1回は、21都道府県から41チームが参加した。

 今年の会場は米子市公会堂。昨年の県民ふれあい会館より広く、一般客席を多く設けることができる。さらに、9月22日は5連休の4日目で、遠方の生徒が参加しやすくなり、前日にもリハーサルの時間を設けるという。

 本選に出場できるのは前回と同じ20チーム程度だが、実力本位の大会にするため、手話言語条例を制定している自治体を対象に無条件で本選に進めた特別枠(5チーム)は廃止。予選審査を勝ち抜いたチームを除く県勢のうち、上位2チームに与えられた開催地枠は1チームに減らす。

 委員の広田喜春・全日本ろうあ連盟青年部長は「手話の広がりを一過性のものにしないためにも、前回を超える大会にしたい」と意気込む。手話パフォーマンス甲子園実行委の小西慎太郎事務局長は「全国の高校生が目指す大会にしたい。前回参加がなかった東北地方の高校にも呼びかける」と話した。

 

手話甲子園:第2回、米子で9月 特別枠廃止、県内は1チーム 会場や、リハ時間を改善(2015年1月23日配信『毎日新聞』−「鳥取版」)

 

昨年11月に鳥取市で初めて開かれた「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」の実行委総会が22日、県庁で開かれ、第2回大会を今年9月22日に米子市公会堂(同市角盤町2)で開くことを決めた。2月に開催告知を始め、5月上旬から出場チームの申し込みを受け付ける。

 大会は県の手話言語条例制定1周年を記念して昨年、全国で初めて開催。全国から41チームが応募し、20チームが本選で披露した。

 第2回では、動画による予選を経て本選に出場するのは前回同様20チームとするが、手話の普及に関する条例を制定した自治体などが対象の特別枠は廃止する。条例を制定する自治体が増えたためで、開催地(県内)枠も1減の1チームとする。その分、予選審査で得点上位のチームの本選進出枠が増える。

 また、第1回の参加者から▽リハーサル時間が短い▽会場が狭いなどの意見が出たため、約1100人が観覧できる会場を選び、前日に十分なリハーサル時間を設ける。開催日は参加しやすいよう9月のシルバーウイーク(5連休)とした。

 参加希望者はパフォーマンス動画を提出して申し込む必要があり、締め切りは7月10日。7月下旬の予選審査で本選出場チームが決まる。

 

今年も「手話甲子園」 9月、米子で開催(2015年1月23日配信『山陰中央新報』)

 

手話によるさまざまなパフォーマンスを披露した高校生=2014年11月23日、鳥取市扇町の県民ふれあい会館

 

昨年11月に全国で初めて鳥取市で開催された「全国高校生手話パフォーマンス甲子園大会」が、今年は9月に米子市で開催することが22日、鳥取市内であった実行委員会で決まった。5月から受け付けを開始し、鳥取県は「手話の甲子園」としてさらに発展させたい考えだ。

 同大会は、手話を通じた交流と理解の促進を目指し、県が実行委を組織し開催。昨年は全国20チームが参加し、手話を使った歌やダンス、演劇などパフォーマンスを展開した。

 実行委で平井伸治知事は「一過性のイベントではなく毎年続け、子どもや健常者に手話の裾野を広げたい」とあいさつ。会場の狭さが課題となった前回大会を踏まえ、今年は米子市公会堂(定員1120人)で開催する。

 第2回大会は秋の大型連休中の9月22日に開催。ビデオ予選を経て20チームが本選に出場する。出場チームには上限25万円の交通費、同5万円の宿泊費が助成される。

 

手話通訳が電話”仲介” 県がサービス導入検討(2015年1月21日配信『山陰中央新報』)

 

 鳥取県は新年度、ろう者に代わって手話通訳者が電話で用件を伝える「電話リレーサービス」の導入を検討している。タブレット端末のテレビ電話機能を使い、ろう者が手話で通訳者に用件を伝えると、通訳者が相手先に電話をかけてくれるサービス。ろう者と聞こえる人の間で双方向のやりとりが可能になり、意思疎通がスムーズになる。

 

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 2013年度から実施している遠隔手話通訳サービスを拡大。米子市角盤町1丁目の「県西部聴覚障がい者センター」に配置している手話通訳者がリレーサービスも担う。

 ろう者は店舗や病院、企業などに電話したい場合、まずテレビ電話で同センターにアクセス。依頼を受けた通訳者が電話で伝言する。詳細なやりとりが必要な場合は、テレビ電話と電話をつないだままにすることで、通訳者を介してろう者と聞こえる人が「会話」する。ファクスやメールでの問い合わせは返事に時間を要するため、比較的急ぐ時に役立つ。

 これまでの「遠隔手話通訳サービス」は店舗や窓口での手話通訳が対象で、離れた場所にいるろう者と聞こえる人との意思疎通は対象にしていなかった。県は宅配便の再配達依頼やホテル予約のキャンセル、病院への問い合わせなど、日常生活のさまざまな場面での活用を想定している。

 県障がい福祉課の日野力課長は「タブレット端末の購入助成も継続し、一つ一つ課題をクリアすることで、ろう者の意思疎通の手段を確保していきたい」と話している。

 

聴覚障害者への理解深めよう 三木市が手話言語条例案(2015年1月21日配信『神戸新聞』)

  

 兵庫県三木市は市会3月定例会に、手話が言語であると周知し、聴覚障害者への理解と支援を広めることを目的とした「(仮称)共に生きる手話言語条例」案を提出する(施行は4月1日)。条例案をホームページや市立公民館などで公開しており、2月16日まで意見を受け付けている。

 市によると、手話への理解を深めようという機運の高まりや聴覚障害者からの要望を受け、制定に向けた議論を進めてきたという。同様の条例は鳥取県が2013年10月に、兵庫県内では加東篠山市などが制定している。

 

演劇だってバリアフリー 俳優の背後に吹き出し・全盲の看板女優・触れる舞台模型(2015年1月20日配信『朝日新聞』)

 

「ばっかりばっかり」の公演「海坊主」では俳優がせりふを話すと、吹き出し字幕が出た。右が看板女優の美月めぐみさん=東京都練馬区

 

 耳や目の不自由な人にも芝居を楽しんでもらいたい――。そんなメッセージに満ちた「バリアフリー演劇」が広がりを見せている。俳優がせりふを発すると、マンガの吹き出しのような字幕が出る劇や、手話で構成する舞台など、工夫がぎっしり詰まっている。

 海坊主「オマエ今日どうすんだ」

 ヤス「デートッス!!」

 海坊主「それが信じられねぇ……」

 俳優のせりふに応じて、舞台奥の白い幕にぽっと吹き出しがプロジェクターで投影される。まるでマンガの一コマのよう。吹き出しの枠は登場人物ごとに色を変え、俳優は枠と同じ色調の服で演じる。だれのせりふかを分かりやすくするためだ。耳の不自由な観客に配慮したという。

 演劇結社「ばっかりばっかり」が昨秋、東京都練馬区のスタジオで上演したダフ屋が主人公の劇「海坊主」。上演前の説明では舞台の広さや構造について、「5歩」などといいながら足音を交えて伝えた。せりふには「これ」「それ」などの指示語を使うのを極力避ける。目の不自由な観客にも伝わりやすいような工夫をした。

 劇団は2007年に設立、理念は「観(み)る側も、演じる側も、バリアフリー」。もとは普通の芝居をしていた。が、主宰の鈴木大輔さん(46)の妻で、全盲の美月めぐみさん(50)が「出演したい」と切望したことが変わるきっかけになった。

 ■ハードル洗い出す

 団員たちは、耳や目の不自由な人にとってのハードルなどを洗い出した。「せりふが飛び交うと、だれが言ったか理解しにくい」「動作だけで物語が進むと不親切」「登場人物の性格や衣装が分かりにくい」など試行錯誤。気づけば、バリアフリーを考える劇団になっていた。美月さんは現在、「看板女優」として活躍中だ。

 東京都八王子市から訪れた観客で全盲の平重忠さん(60)は「足音をバタバタさせて歩くので動作や登場人物の位置関係が分かりやすい。せりふにも状況説明が織り込まれている。観劇で生活にハリが出ます」。

 演劇実験室◎万有引力の見世物(みせもの)オペラ「身毒丸(しんとくまる)」(寺山修司作、29日〜2月1日)では、東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターのロビーに舞台模型を置く予定だ。目の不自由な人が触り、舞台装置のイメージをつかむ一助にしてほしいという。「言葉では説明しにくい構造なので、触ってもらえばイメージが伝わりやすい。劇団独自の世界を味わってもらいたい」と俳優の伊野尾理枝さん。「劇場は観客も含めた出会いの地であり、創造力の祝祭の地である」という主宰J・A・シーザーさんのポリシーが織り込まれている。

 ■手話織り交ぜ演技

 劇団「は〜とふる・はんど」(山辺ユリコさん主宰)は、団員27人のうち11人が聴覚障害者。舞台「ステップ!〜運命のままに〜」(2月21、22日、東京・日本橋の三越劇場)は、突発性難聴になった女性が主人公。手話を採り入れ演技する。手話ダンスや手話うたのショーもある。耳が不自由な団員、安藤梨帆さん(16)は「楽しんでいることをみんなに知ってもらいたい」。

 目の不自由な人の映画鑑賞を推進するボランティア団体「シティ・ライツ」の平塚千穂子代表(42)は「障害者にとって、こうした工夫を採り入れた芝居や映画は、外出意欲を後押しする。健常者との交流も広がり、心のバリアフリーにつながるのではないか」と話している。

 

ろうあ新成人を祝うつどい:手話で将来の夢−−仙台(2015年1月19日配信『毎日新聞』−「宮城版」) 

 

手話を使って将来の目標を発表する新成人=仙台市青葉区で

       

 聴覚障害者の社会への門出を祝う「ろうあ新成人を祝うつどい」が18日、仙台市青葉区の市福祉プラザで開かれた。今年20歳を迎える県立聴覚支援学校(太白区)の卒業生5人が参加。父母や福祉関係者ら約100人が見守る中、手話で「美容師になりたい」「スポーツを通じてさまざまな挑戦をしたい」などと将来の夢を語った。

 聴覚障害者は言語習得前に失聴したろう者や、難聴者、成長後に聴覚を失った中途失聴者の総称で、国内で身体障害者手帳を交付されている聴覚障害者は約36万人。外見上は健常者と変わらないため周囲に障害が理解されにくく、災害時には音声情報から取り残されるなど課題も多い。

 登壇者は手話を織り交ぜて新成人を祝った。主催した市聴覚障害者協会の松本克之会長は「皆さんが生まれた20年前は阪神大震災が起きた年。4年前の東日本では悲しくつらい思いをしたと思うが、復興に向けて頑張っていこう」と激励。奥山恵美子市長は「仙台を、一歩ずつでも障害を持つ方が住みやすいまちにしたい」と述べた。

 新成人代表の塩釜市の会社員、真壁伸太朗さん(20)は「社会の壁を乗り越える強い意志を持った社会人でありたい。我々を育んでくれた地域社会に感謝し、貢献できるように精進したい」とあいさつした。

 2013年の障害者白書によると、11年度に特別支援学校を卒業した聴覚障害者の進路は、大学など進学が41・6%で、就職が32・7%。就職先は、製品の組み立てや機械の操作を行う「生産工程・労務」が21・8%で最も多い。

 「つどい」終了後、中学時代の恩師に憧れて教師を目指しているという石巻市の学校職員、渋谷奈津美さん(19)は「大学進学の前に現場を見たいと思って職員になったが、普通の学校は(支援学校と比べて)生徒が多くて大変。知識と経験を積みたい」と笑顔を見せた。

 

防災など手話集第2巻 武生のサークル顧問が製作(2015年1月15日配信『中日新聞』)

 

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1年がかりで作り上げた手話集を手に、災害時などでの活用を呼び掛ける福島幸一さん=越前市の自宅で

 

「いつでもどこでも自由に手話で話ができる社会に」。そんな願いを込めた手話集の第2巻を、武生手話サークル「はぐるま」顧問の福島幸一さん(64)=越前市中新庄町=が製作した。第1巻と同じ3500の単語をイラスト付きで解説。防災に関わる用語も盛り込み「近所に耳の不自由な人がいたら、簡単な手話で話しかけて」と訴える。

 手話サークルで45年余り活動する福島さんは、60歳になったのを機に手話集の編さんに取りかかり、昨年12月に第1巻を完成させた。「普通の言葉と同様に、手話にも新しくなったり使われなくなったりする表現法がある」。すぐに第2巻発刊の準備に取り組み、毎日8時間ほどパソコンに向かった。

 手の動かし方が分かるようなイラストと解説の文書を書いて、A4判の紙に印刷した手話集は千百ページに上る。地元の伝統工芸「越前焼」「越前箪笥(たんす)」といった固有名詞などを新たに追加。防災関係では「特別警報」「緊急地震速報」「避難勧告」などの用語、「救急箱」「伝言板」「心臓マッサージ」といった災害などの現場ですぐに使える単語も載せた。

 第1巻は、全国から問い合わせがあるなど反響が大きく、「防災関係の手話を取り上げて」という要望もあった。「聴覚障害者は緊急速報やサイレンの音が聞こえず、周囲の人に助けを求めることを遠慮しがち。簡単な手話で話しかけてくれるだけで心強く思う」と福島さん。第3巻の製作にも意欲をみせている。

 手話集は市内の図書館や公民館、小中学校などに配るほか、希望者にはデータで配布する。はがきかメールではぐるま事務局へ申し込めば、USBメモリーにデータを取り込んで送り返してくれる。郵送代込みで千円。はがきの送り先は、〒915 0816 越前市小松1の8の37、幸田穣治さん。メールアドレスは−kouda−@ezweb.ne.jp

 

手話技能 便利で意外な使い道も(2015年1月15日配信『東京新聞』)

  

 耳の不自由な人とのコミュニケーションに役立つ手話を習っている方も多いだろう。これから習ってみようと思われている方も。

 専門の学校に通うほか、自治体が行っている講座やテレビの講座など、学習法はいくつかあるが、自分の手話がどのぐらいのレベルにあるのか、どこまで上達したのかを知る一つの手段が手話技能検定だ。

 「指文字だけの7級から単語数・例文数制限なしの1級まであります。準2級まではどのレベルからでも受験できます」とNPO手話技能検定協会の神田和幸理事長が説明してくれた。7級は週2時間、1カ月程度の学習で、1級になると3年(240時間)以上が目安になる。年間5千人、これまでに約8万人が受験しているが、1級の合格者はこれまで15人となかなかの難関だ。3級程度で日常会話がこなせ、同協会のインストラクター養成講座にも進める。

 「このところ男性も増えていますが、やはり受験者は女性が圧倒的に多い。医療現場など男性のニーズもあるので男性にもぜひ挑戦してほしい」と神田さん。

 「手話は助け合いのサインとして学んでほしい」と語りながら、「情けは人のためならず」をもじって、「『手話は人のためならず』なんです。自分が高齢になってサービスを受ける側になった時に役立ちますよ」とも。認知症予防にもいいそうだ。

 「聴覚障害の方に安心感を持ってもらえた。そういう時に手話をやっていてよかったと思う、という話を看護師さんや受け付け業務の人からよく聞きます」と話すのは、出産直後に突発性難聴になり手話を始めたというインストラクターの村田節子さん。「物の特徴を捉えるのがうまくなる、集中力がつくなどの“効用”もあります」と話し、「駅で線路を隔てたホームや電車内にいる知人とやりとりするのにも便利ですよ」と意外な使い道も教えてくれた。

 ■問題例

 (次の文章を手話で表す)

 5級・あなたの家族は何人ですか・少々お待ちください▽4級・今夜は残業しなくちゃならない・頭が痛くて熱もあるんです▽3級・遅い!みんな怒ってるぞ・彼に無視されてがっかりしたよ・あのホテルはサービスがいいのでまた行こう

★手話技能検定協会 東京都中央区日本橋小舟町6の13、日本橋小舟町ビル5階。1〜7級まで9段階(準1級、準2級含む)の検定を実施。7級は筆記試験のみで、在宅で受験できる。準1級、準2級と3〜6級は、今年は3月22日(1月21日申し込み締め切り)と10月4日(8月5日同)の2回。1、2級は別途。申し込み方法・試験範囲などの詳細はホームページで。問い合わせは(電)03・5642・3353。

★教材 検定の過去の問題のDVDが発売されている。3〜6級で各級3000円(税別)。申し込みはホームページなどから。

 

協定:災害時、聴覚障害者支援 県と4町あす締結、個人情報提供(2015年1月14日配信『毎日新聞』−「三重版」)

 

 災害時に聴覚障害者の避難行動を支援するため、県は、玉城、度会、大紀、南伊勢の4町との間で、聴覚障害者の同意を得て個人情報の提供を受ける協定を結ぶ。同様の取り組みを進めるのは全国でも三重県だけといい、伊勢市との協定に続き2例目。

 県南勢志摩地域活性化局によると、4町は提供に同意した障害者の名前や住所、連絡先、障害の程度などの個人情報を、県聴覚障害者支援センター(津市)に提供する。対象者は計約300人おり、今後意向などを確認する。協定締結式は15日に行われる。

 聴覚障害者には防災無線から避難や災害の情報を得られないなどの困難がある。センターは、支援を必要とする聴覚障害者が住む地域や連絡先を把握し、手話などができる「聴覚障がい者災害支援サポーター」や各町とともに、電子メールや直接訪問による安否確認や避難の手助け、避難所での手話通訳などの支援をするという。

 2013年4月に県と協定を締結した伊勢市は、61人から同意を得て個人情報を提供している。鈴木英敬知事は「専門的知見があるセンターが介入することで、確実に命を救う効果がある」と話している。

 

健常者から見た世界と障害者から見た世界は違うのだなあと気付かされた一件(2015年1月13日配信『手話新聞』)

 

政見放送、字幕と手話通訳両方って不要じゃないの? 政見放送でいくつかの政党が手話通訳と字幕両方を出していますが、字幕があれば手話は必要無いんじゃないの?という疑問をつぶやいたところ、両方必要な理由を教えていただきました。

政見放送で字幕が出るのに手話通訳があるのはなんなんでしょうか。耳が聞こえない人に配慮してますよポーズ?字幕でいいやろ。読めない漢字検索する方がわからない手話単語調べるより100倍楽でしょ。

ポーズというより、次々切り替わる字幕でずーっと文字を追うのが辛い人もいて、でも耳が聞こえない人でも手話ができる人とできない人がいるので、両方用意されているみたいですよ。

そういえば祖母(耳は聞こえます)が字幕追えない人でした。なるほど、それぞれ必要なんですね…。いろんな人の状況に無理解なことに反省しました。

詳しくは知らないのですが、聴覚障害者の方にとっては手話と日本語は別の言語という感覚らしいです。手話が母語で日本語は第二言語なので、字幕を読むのは私たちが英語字幕を読むような感覚らしいです。なので、手話で理解するのと字幕を読むのは全然理解度が違うと聞いたことあります。

 言われてみるとたしかに!わたしたち健常者は文字も手話も頭の中で音にしているから同じ言語だけど、生まれつき耳が聞こえないとそうだよなあ、英語みたいなものだよな、と思いました。色々な人がいることへの無理解に反省です。ありがとうございます。

なるほど健常者は頭の中で字幕も手話も音再生して同じものだと思ってるけど、聴覚障害の人は必ずしもそうではなくて別々の言語として認識している場合もあるのだな。それはとても大変そうだなあ。こういう、健常者の不理解がまだまだあるんだろうな。色々な人への想像が及ばなかったことへ、反省。

 とくに先天性の障害の人は「視覚情報をどう脳で処理するのか」が自分の状態にあわせて発達するので、かなり健常者と違うみたいな研究もあるみたい。このへんをアスペルガーの人がまとめたのを読んだ事があるけど想像もつかないことが書いてあって驚きが多かった。

 

私も同じように「なんで字幕と手話あんのかなー、どっちかいらないんじゃ?」と思っていたので勉強になりました……

わたしも、勉強になりましたー。知らなかった!

 聴覚障害の当事者として補足させてもらうと、日本手話の文法と日本語の文法って全然違うんですよ。(たしか日本手話は助詞がなかったはず…うろ覚えですみません) なので、日本手話に馴染みのある人だと、字幕で出してもらっても全然わからない!って人もいますね→

私は手話じゃなくて日本語が母語(手話は全然できないです。ここら辺ちょっとややこしいので、聞いてくださったら解説します)なんですが、手話が第一言語の友人は「字幕でも理解はできるけど、字幕をいちいち脳内で手話変換してるからちょっと疲れる。手話の方がわかりやすい」と言っていました。そういう方からすると、「政見放送に手話がついた方がわかりやすい」んですね。私の様に耳が聞こえなくて日本語が第一言語の人からすると「政見放送に字幕ついてる方がありがたい」ので、双方両立させるためには「手話と字幕を両方表示する」手法がベストなんです。

 

ぼうさい甲子園:表彰・発表 「学び、伝える」 淡路高、神戸聴覚特別支援学校、アトリエ太陽の子 /(2015年1月12日配信『毎日新聞』−「兵庫版」)

  

 神戸市中央区の県公館で11日開かれた「ぼうさい甲子園」(毎日新聞社など主催)の表彰式・発表会。全国から集まった受賞校がそれぞれ自分たちの取り組みをアピールし、会場は熱気に包まれた。県内からは、被災地での経験や教訓から生まれた活動が対象の「はばタン賞」に選ばれた県立淡路高校(淡路市)社会研究部▽「フロンティア賞」の県立神戸聴覚特別支援学校(神戸市垂水区)▽「継続こそ力賞」のアトリエ太陽の子(同市東灘区)−−が参加し、それぞれ井戸敏三知事や河田恵昭・人と防災未来センター長から表彰状を受け取った。

    淡路高社会研究部は、阪神大震災を語り継ごうと、20年前に被災した地域を生徒が歩いて住民から話を聞いたり、北淡震災記念公園で語り部活動をした。出席した2年の坂本礼奈さん(17)は「学んだ知識を後輩にも伝え、これから地震が起こった時に生かしたい」と話した。

 神戸聴覚特別支援学校は、全校生徒が「耳が聞こえません」「手話ができます」と裏表に書かれたバンダナを持ち歩く。この日の式典で県立長田高校合唱部の歌に合わせ、手話も披露した。表彰状を受け取った高等部3年の船野ひかるさん(18)は「活動が評価されたことがうれしい。卒業しても募金活動などのボランティアに関わりたい」と語った。

 

「戻っておいで」…成人式、Uターン考えるきっかけに(2015年1月12日配信『読売新聞』)

 

 成人式をUターンを考えるきっかけにしてもらおうと、鳥取県江府町教委は11日の式で、町外から移住してきた人らに町の魅力を語ってもらう。同町の若者は高校卒業後、8割以上が進学や就職で町を離れるといい、関係者は「古里の良さを伝え、戻っておいでよと呼びかけたい」と意気込む。

 同町の成人式は例年、町長や来賓らの祝辞に続き、新成人が決意を発表、町内の合唱団が歌で祝福してきた。しかし、昨年4月初めて、町外の6人が地域おこし協力隊員として着任、交流事業や農業支援などで活動。県の補助で、高齢化が進んだ小集落への移住事業も始まったことから、成人式にも町外の視点を取り入れようと、町教委が依頼した。

 今年は出身者ら39人のうち31人が出席予定。式典では、協力隊員と米子市から家族で移住してきた圓山まるやま加代子さん(48)の計7人が、町での活動や暮らしぶりなどを語る。

 手話ソング講師の圓山さんは、新成人に手話を教えながら一緒に「江府町讃歌」を歌う予定。エコツアーガイドとしても活躍しており、「町外から来て江府町に魅力を感じている人たちがいることを伝えたい」と話す。

 同町の人口は2004年12月末の約3900人から、昨年末には約3200人に減少した。それでも活性化の兆しはあるといい、協力隊を代表して新成人にメッセージを送る上谷かみたに美波さん(22)(奈良県橿原市出身)は「協力隊員や移住者が入り、町が動き出している、変わり始めていることを知ってほしい」と力を込める。

 

聴覚障害者の「デフリンピック」へ菅平で代表合宿(2015年1月11日配信『信濃毎日新聞』)

 

 4年に1度の聴覚障害者の国際スポーツ大会「冬季デフリンピック」がロシアで3、4月に開かれるのを前に、アルペンスノーボードの日本代表選手5人が10日、上田市菅平高原で3日間の日程で強化合宿を始めた。菅平での合宿は昨年に続き2回目。近づく本番に向け、選手たちはそれぞれ課題を見つけて改善に取り組んだ。

 5人は、左右に設置された旗門を通過するパラレル回転とパラレル大回転に出場する。予選はタイムで争い、上位者による決勝は2人同時に滑って速い方が勝ち上がる。選手たちは日頃から全国各地のスキー場を回って練習しており、菅平は「雪質が硬く、レースの練習にはいい環境」と高く評価している。

 この日は、コーチやスタッフら計12人がパインビークスキー場のゲレンデに集まり、午前と午後に2時間ずつ、旗を立てた専用のコースを何度も滑走した。12日午前まで練習する。

 2011年にスロバキアで予定されていた大会は、地元組織委員会が運営費を確保できず中止された。03年大会の大回転、07年大会のパラレル大回転とパラレル回転でいずれも金メダルを取った原田上(のぼる)選手(38)=栃木県日光市=は「8年ぶりというのは気にしていない。3連続金メダルを期待されていて重圧もあるが、技術を磨いてきた成果を出せればいい」。主将の高嶋弘貴選手(30)=横浜市=も「みんなでメダルを取ります」と手話で意気込みを語った。

 

大阪の女性が体験もとに聴導犬をパラパラ漫画で紹介、動画サイトに(2015年1月7日配信『産経新聞』―「大阪府版」) 

 

 聴覚障害者の生活や聴導犬の役割を紹介するパラパラ漫画を、障害児支援の活動をしているNPO法人「MAMIE」(大阪市淀川区)代表で、聴覚障害者でもある安藤美紀さん(45)が制作し、インターネット動画サイト「ユーチューブ」などで公開した。携帯電話のメール着信音が鳴ると、体に触れて教えてくれるなど、聴導犬の日常的な姿を描写しており、「分かりやすく、絵もかわいい」と早くも反響を呼んでいる。

 制作したのは、生まれつき耳が聞こえない安藤さんの幼少時代を描いた「きこえないことって?」と、平成21年から一緒に暮らしている聴導犬レオンとの触れ合いを描いた「聴導犬って?」の2作品。

 「きこえないことって?」は545枚、「聴導犬って?」は454枚の原画で構成され、計999枚を1カ月がかりで制作した。

 安藤さんは幼いころから絵を描くことが好きで、高校時代には大手出版社の新人漫画賞を受賞。プロの漫画家を目指したこともあったが、耳の障害のために断念した。

 現在は、MAMIE代表として、障害児を対象にしたパソコン教室や学習塾の運営をはじめ、企業のホームページ制作なども手掛けている。

 昨年4月、テレビ神奈川の聴覚障害者向け番組で「聴導犬4コマ漫画劇場」の連載を始めたところ、4コマ漫画の画像が増えたため、パラパラ漫画を動画にして聴導犬の役割を広く伝えたいと発案。動画化のプロジェクトを立ち上げ、費用31万円の募金を呼びかけて実現させた。

 「きこえないことって?」の作品には、耳の聞こえない安藤さんが幼い頃、食事の際に親から「全部のおかずの名前を言えないとあげません」と言われ、必死に言葉を覚えたエピソードなどを紹介。

 「聴導犬って?」の作品では、生後3カ月で捨てられた後、保護されて訓練を受け、安藤さんの聴導犬になったレオンが、安藤さんの背中に寄り添ってメール着信を伝えるかわいい姿などを描いている。

 安藤さんは「聴覚障害は周囲の人には外見から分かりにくく、聴覚障害者が何に困っているかも理解してもらいにくい」としたうえで、「パラパラ漫画を公開して、『聴導犬が手話を理解できることを初めて知った』という声も多くいただいた。さらにたくさんの人に、聴覚障害者や聴導犬のことを知ってほしい」と話している。

 

政令市初、神戸市議会が手話条例案(2015年1月7日配信『朝日新聞』−「兵庫版」)

 

 神戸市議会4会派は、「みんなの手話言語条例」(仮称)を2月議会に提案する。手話を言語として位置づけ、日常的に使用できる環境を整える。成立すれば政令指定市では初になる見込みという。3月中の成立、4月1日施行を目指す。

 民主、公明、自民系2会派の代表が発表した。条例案では、学校教育の場で手話に接する機会を設けることや、手話通訳者の確保・養成などについて、市が推進方針を定めて必要な財政措置を講ずる、としている。理念が形骸化しないように、市長に対し、ろう者や手話通訳者らと協議の場を設けることや、施策の実施状況を議会に毎年度報告することを求める。

 昨年8月に4会派で検討会を立ち上げ、大学教授や聴覚障害者の代表らと議論。公明党の向井道尋議員は「障害のある全ての人への理解を促進し、施策の充実を図ることが目的」と話している。

 手話言語条例は2013年10月に鳥取県が全国で初めて制定。県内では篠山市が14年12月議会で可決している。

 

壁登りで心の壁も越えよう 障害者と健常者が交流(2015年1月7日配信『朝日新聞』−「茨城版」)

 

自分の手と足だけを頼りに壁をよじ登るフリークライミングを楽しみながら、障害者と健常者が理解を深め合おうという催しが、月末の土曜の夜、つくば市で開かれている。主催するのは障害者世界選手権・視覚障害部門の金メダリスト、小林幸一郎さん(46)。つくばに拠点を構え、「見えない壁も、心の壁も越えられる」とメッセージを発信する。

 ショッピングビル3階の一室。天井まで届く三方の壁に、様々な形の突起物が打ち付けてある。そこに足をかけ、手を伸ばし、何の道具も使わずに登っていく。フリークライミング専用ジム「モンキーマジックつくば」は昨年3月にできた。

 愛好者でにぎわう風景が、月に1回、ちょっとだけ様変わりする。アイマスクで目隠しをしたり、手話が飛び交ったり。視覚や聴覚に障害のある人と健常者が一緒になって、同じ壁に挑むイベントの始まりだ。

 「お互い接点がないから誤解も生じる。もっと近づいて、楽しんで、仲間づくりができたらいいな、と」

 そう語る小林さんは、28歳で進行性の網膜の病気を発症。視力は次第に失われ、今では明かりの方向がぼんやりわかるだけだ。

 それでも、高校時代に始めたクライミングに挑み続ける。2006年にロシアで開かれた障害者の国際大会で優勝。11年、世界選手権に障害者部門が創設されると「強度弱視の部」で優勝し、第2回も準優勝をおさめた。昨年9月にスペインであった第3回大会は「全盲の部」に出場し、再び金メダルを手にした。

 「晴眼者が脇について、ホールドの位置を教えてくれる。それを頭の中に描いて、登るルートや体勢を判断していく。動かない壁を相手に、自分の成長を確かめられるのが楽しい」

 スポーツは自信や可能性を与えてくれる。障害がある人にも、それを味わってほしい。視覚障害者向けのクライミング講習会などを企画する「NPOモンキーマジック」を05年8月に設立し、日本各地を飛び回ってきた。

 その手応えを、障害者と健常者の間の壁を越えるために生かしていこうと、12年春から東京・高田馬場で月1回の交流イベントを始めた。2カ所目の会場となるのがつくばで、昨年6月にスタートした。

 「つくばとは縁がありましたから」。視覚・聴覚障害者が学ぶ筑波技術大で体育の集中講義を教えるほか、市内の小学生とキャンプをしたり、講演会に呼ばれたり。自前のジムという初めての拠点も、だからつくばを選んだ。

 土曜の夜なので「サタデーマジック」と名付けたイベントは、これからも続けていく。「クライミングは実際の壁だけじゃなく、『これは無理だ』という心の中の壁も越えるスポーツ。その力で、誰もが元気になれる社会にしたい」

 サタデーマジックは原則毎月第4土曜日の午後6時から午後9時まで。1620円(初回は登録料が別途1080円)。問い合わせ先はモンキーマジックつくば(029・852・5233)。

 

最年少15歳で日本代表 西郷出身の越前由喜君 聴覚障害者のバスケ世界選手権に出場(2015年1月5日配信『福島民友新聞』) 

 

 福島県郡山市の県立聾学校高等部1年の越前由喜(えちぜん・ゆうき)君(15)=西郷村出身=は聴覚障害者向けのバスケットボール「デフバスケットボール」の日本代表に選ばれ、7月に台湾で開かれる世界選手権に出場する。15歳での選出は史上最年少。「世界の舞台で活躍し、県民や障害がある人を勇気づけたい」。障害を乗り越え、“世界一”の目標に向かって練習に打ち込んでいる。

 越前君は先天性の難聴を抱え、補聴器と手話で周囲とコミュニケーションを取っている。幼いころから体を動かすのが好きで、空手や水泳に夢中になった。西郷村の小田倉小4年の時、小田倉ミニバスケットスポーツ少年団に入団。対戦チームのエースに徹底して張り付き、シュートをさせない守備のスペシャリストとして活躍した。聴力にハンディキャップがある分、相手の表情や動きを見る「観察眼」が磨かれたという。

 県立聾学校中学部に進学したが、同校にバスケ部はなかった。落ち込む息子を励まそうと会社員の父延由(のぶよし)さん(54)が、埼玉県のデフバスケットボール社会人チーム「AITVS」を探し出し、越前君は中学1年の夏に加入した。平日は聾学校で寮生活を送り、土・日曜日に埼玉で練習を積んだ。延由さんが車で送迎し、挑戦を支えた。

 大会にも出場し、めきめき力を付けた。日本代表でプレーしたいとの思いが募った。昨年夏、チャンスが訪れる。吉武頼飛(よりたか)日本代表監督(34)が越前君の出場した試合を観戦、きびきびとしたプレーを評価した。越前君は9月に大阪で行われた代表選考合宿に参加し、自慢の守備力をアピール。12月に代表入りが決まった。社会人中心のチームの中で、10代の選手は2人だけだ。吉武監督から「一緒に頑張ろう」と、日の丸が刺しゅうされたユニホームとジャージーを贈られた。「頭が真っ白になるくらいびっくりした」と振り返る。

 延由さんは「目標を実現し、誇らしく思う。世界一に向かって羽ばたいてほしい」とエールを送る。

 越前君の憧れは米国プロバスケットボールリーグNBAに挑戦している富樫勇樹選手。「日本代表は夢への第一歩。誰にも負けない強い気持ちを持ってプレーし、勝利に貢献したい」と世界選手権を心待ちにしている。

 

※デフバスケットボール

 「デフ(Deaf)」とは「耳が不自由な」という意味。ルールは通常のバスケットボールとほぼ同じ。補聴器などを付けずに音が聞こえない状態でプレーし、ホイッスルの代わりに選手の体を触るなどして試合の中断を伝える。日本には約15チームあり、日本デフバスケットボール協会主催の日本デフバスケットボール選手権大会(ミミリーグ)などの大会で競っている。主要な国際大会には世界選手権と聴覚障害者のための五輪「デフリンピック」がある。

 

劇団四季「FESTIVAL! 扉の向こうへ」 俳優たちの熱量が誘う別世界(2015年1月4日配信『産経新聞』)

 

 四季の人気シリーズ「ソング&ダンス」を年末年始用にアレンジした祝祭的ショー。名作ぞろいの四季ミュージカルから、1幕は旧年、2幕は新年をテーマに、それぞれ上演作品ナンバーで構成する。1幕は「オペラ座の怪人」などアンドリュー・ロイド・ウェッバー作品、2幕はディズニーミュージカルが主軸だ。

 観客参加型の人気コーナーなどは残しつつも、必ず進化や変化を盛り込むのが加藤敬二演出(振り付け、構成も)。今回は映像を使った演出も取り入れ、2次元の絵画が3次元のリアル空間に変化する様(さま)などを見せる。俳優が手話とともに歌う場面もあり、ショーのバリアフリー化も試みた。

 注目は2幕。5月に日本初演されるミュージカル「アラジン」から「ホール・ニュー・ワールド(新しい世界)」などディズニーアニメでもおなじみの名ナンバーが披露される。「フレンド・ライク・ミー(僕は大親友)」は、5月もキャスト候補になっている瀧山久志が巧みで、期待が高まった。映画「アナと雪の女王」の日本語歌詞の翻訳を担当した高橋知伽江さんの訳詞(暫定)も新鮮。

 全体的に装置も衣装もシンプルで、歌と踊りをとことん見せる姿勢が潔い。突出したスターはいないが、日本トップのミュージカル俳優たちの熱量が圧倒的で、観客を“扉の向こう”の別世界へ誘う。芝清道ら中年俳優のパワフルさ、飯田達郎や山本紗衣らの歌唱力に酔った。年末年始の定番化を望む。2月1日まで、東京・東新橋の電通四季劇場「海」。

 

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