兵庫県丹波市;丹(まごころ)の里手話言語条例

 

2015年12月22日、兵庫県丹波市議会の12月定例会本会議で、手話言語条例案可決した。

 

手話言語条例案の採決では、本会議場に手話通訳者が初めて登場。同案が全会一致で可決されると、丹波ろうあ協会会員らが、両手を上げて手首を振る「手話の拍手」で祝った。条例は2016年4月1日に施行される。

 

地方自治体の手話条例制定は、丹波市が30番目。

 

 

同協会の古川重己事務局長(62)は「これからが新たなスタート。手話で話せる社会が当たり前になってほしい」と話した。

 

丹波市では、手話が言語であることを理解し、手話を必要とする市民がいつでも自由に手話を使え、誰もが社会参加できるこころ豊かな住みよい丹波市を目指して手話言語条例を検討し、「【仮称】丹波市丹(まごころ)の里手話言語条例」の素案を作成した。

 

丹波市は、この条例素案について、2015年9月25日から10月26日まで市民の意見を募集(パブリックコメント)した。

 

手話を身近に感じてもらおうと、兵庫県丹波市内の聴覚障害者や手話通訳者ら約20人が2016年4月3日、同市春日町黒井の市役所春日庁舎で開かれた「ちゃれんじスペースふれあい桜まつり」の会場で、ミニ手話教室を行った。簡単なあいさつや童謡の手話を実演し、訪れた人たちも一緒に楽しんだ。

 

企画したのは丹波地域に会員がいる「丹波ろうあ協会」と、市内の4つの手話サークルなど。同市で今月1日に「手話言語条例」が施行されたことから、普及活動を本格化させるという。

 

まつりは同市社会福祉協議会が主催。同協会員らは舞台に立ち、「こんにちは」「ごくろうさま」などを表す手話を披露した。童謡「故郷」「手のひらを太陽に」を歌う場面では、音楽に乗せて観客も手話に挑戦した。

 

司会を務めた同協会の古川重己事務局長(63)=同市青垣町沢野=は「少し緊張したが楽しめた。当たり前のように手話を使える社会になればうれしい」と話した。

 

 

丹波市丹(まごころ)の里手話言語条例の概要

 

1 条例の制定意図を前文で説明。

[前文]

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。

手話は、音声言語である日本語とは異なり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、お互いの気持ちを理解し合うためのコミュニケーション手段として手話を使用してきた。また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として、大切に育み受け継いできた。

しかし、これまで手話が言語として認められず、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を得ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語として位置づけられ、私たち市民は、手話を必要とするすべての人が、いつでも自由に手話を使える地域社会となるよう取り組む必要がある。

よって、ここにすべての丹波市民が、手話が言語であることを理解し、誰もが社会参加できるこころ豊かな住みよい丹波市となることを目指してこの条例を制定する。

 

2 目的・手話の意義・基本理念・市の責務・市民の役割等を定めた。

@(目的)

この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解及び普及に関し基本理念を定め、市の責務と市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、手話を必要とする市民が、あらゆる場面で手話による意思疎通を行い、自立した日常生活を営み、社会参加をし、安心して暮らすことのできる地域社会が実現することを目的とする。

A(手話の意義)

手話は、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者がさまざまな知識を得てこころ豊かな社会生活を営むために、大切に受け継いできたものであることを理解しなければならない。

B(基本理念)

手話の理解及び普及は、手話を必要とする市民が、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

C(市の責務)

市は、市民の手話に対する理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものとする。

D(市民の役割)

市民は、手話の理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

E(施策の実施)

市は、施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定するものとする。

2 施策の推進方針においては、次の事項を定めるものとする。

(1) 手話の理解及び普及に関する事項

(2) 手話による情報取得及び手話の使いやすい環境づくりに関する事項

(3) 手話通訳者の配置又は派遣等意思疎通支援に関する事項

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

F(協議会の設置)

施策を推進するため、丹波市手話施策推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

2 協議会は、施策の推進方針及び実施状況について審議し、市長に意見を述べることができる。

3 前各項の協議会の組織及び運営については、市長が別に定める。

G(財政上の措置)

市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

H(委任)

この条例の施行に関して必要な事項は、市長が別に定める。

 

3 施行予定期日は平成28年4月1日。

 

 

丹波市丹(まごころ)の里手話言語条例

 

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。

手話は、音声言語である日本語とは異なり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者は、物事を考え、お互いの気持ちを理解し合うためのコミュニケーション手段として手話を使用してきた。また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として、大切に育み受け継いできた。

しかし、これまで手話が言語として認められず、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を得ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。 

こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語として位置づけられ、私たち市民は、手話を必要とするすべての人が、いつでも自由に手話を使える地域社会となるよう取り組む必要がある。

よって、ここにすべての丹波市民が、手話が言語であることを理解し、誰もが社会参加できるところ豊かな住みよい丹波市となることを目指してこの条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解及び普及に関し基本理念を定め、市の責務ど市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、手話を必要とする市民が、あらゆる場面で手話による意思疎通を行い、自立した日常生活を営み、社会参加をし、安心して暮らすことのできる地域社会が実現することを目的とする。

 

(手話の意義)

第2条 市及び市民は、手話が独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者がさまざまな知識を得てこころ豊かな社会生活を営むために、大切に受け継いできたものであることを理解しなければならない。

 

(基本理念)

第3条 手話の理解及び普及は、手話を必要とする市民が、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行われなければならない。

 

(市の責務)

第4条 市は、市民の手話に対する理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策(以下「施策」という。)を推進するものとする。

 

(市民の役割)

第5条 市民は、手話の理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(施策の推進方針)

第6条 市l士、施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定するものとする。

2 施策の推進方針には、次の事項を定めるものとする。

(1)手話の理解及び普及に関する事項

(2)手話による情報取得及び手話の使いやすい環境づくりに関する事項

(3)手話通訳者の配置又は派遣等意思疎通支援に関する事項

(4)前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

 

(協議会の設置)

第7条 施策を推進するため、丹波市手話施策推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

2 協議会は、委員15名以内で組織し、次の各号に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。

(1)識見を有する者

(2)手話による意思疎通を行う者

(3)手話による意思疎通を支援する者

(4)公募による市民

(5)前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める者

3 協議会は、施策の推進方針及び実施状況について審議し、市長に意見を述べることができる。

 

(財政上の措置)

第8条 市は、施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

 

(その他)

第9条 この条例の施行に関して必要な事項は、市長がíJlJに定める。

 

附則

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

 

 

             

2004年11月1日に氷上郡に属していた6町(六つの里=氷上町、柏原町、青垣町、春日町、山南町、市島町)が合併し新設された丹波市は、兵庫県の中央東部に位置し、北東では京都府、南東では篠山市、南西では多可町、南では西脇市、北西では朝来市と境を接していり。 阪神間からJRや自動車で約1時間30分から2時間圏域であり、「都会に近い田舎」ともいえる。

また、市内の南部地域は阪神都市圏との係わりが比較的深く、一方、北部地域は隣接する京都府等との係わりが比較的強くなっている。

人口は、66,948(男32,053・女34,895)人。世帯数25,332(2015年9月末時点)

なお、丹には「赤色」のほかに「丹精をこめて」や「丹念に」などの言葉にあるように「まごころ」の意がある。「丹(まごころ)の里」には、丹波市への愛着と誇りを育て、「六つの里」でひとつの丹波市になって、住民同士の連帯感を高め、市の振興・活性化を行っていこう」という熱い思いが込められている。

 

 

 

 

 

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