第63回全国ろうあ者大会『介護保険制度改定に関わる特別決議』pdf

 

 

戦後70年の今、十分な教育を受けることができなかったろう高齢者は、手話を含む言語の獲得が十分にできないまま、主体的な意思決定や経済的自由が制約され、人としての尊厳、基本的人権が著しく損なわれてきました。その辛さや悔しさは、想像を絶するものであったでしょう。私たちは、ろう高齢者の人生を、「人として豊かに生きる」という理念により、社会保障と福祉の拡充を目指して特別養護老人ホームの建設や在宅支援事業所の設置を進め、経営に奮闘してきました。

 

しかし、2014年6月に可決・成立された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保推進法)」は、ろうあ高齢者を受け入れている特別養護老人ホームや在宅支援事業所の経営に大打撃を与え、生活介護が必要なろう高齢者を介護サービスの利用から閉め出すものとなっています。ろう高齢者の生きる希望を奪う今回の改定はとうてい容認できるものでありません。

 

私たち第63回全国ろうあ者大会参加者は、手話を言語と認めなかった苦難な時代を生きてきたろう高齢者が、専門的な支援を得て安心して介護サービスを利用できるようにするために、以下の項目を決議します。

 

一.要支援1・2に該当するろう高齢者は、その障害特性により、今までどおり予防給付を行い、訪問介護と通所介護を介護保険給付から外さないことを求める。

 

二.要介護1・2に該当するろう高齢者全員が、特別養護老人ホームに入所できるよう求める。

 

三.ろう高齢者を受け入れる特別養護老人ホームには、コミュニケーション支援の加算を追加することを求める。

 

四.低所得の施設利用者の居住費・食費の補助(補足給付)を削減しないこと、また補助の段階決定にあたっては、非課税年金(障害年金)を算定対象に入れないことを求める。

 

2015年6月14日

第63回全国ろうあ者大会

 

 

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