上田市手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進に関する条例

 

上田市は、障害を抱える人たちの意思疎通手段の促進などを目指す「手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進に関する条例」案(議案第51号)を68日開会の6月市議会に提案し、市議会本会議最終日の625日に可決された。施行は公布日。

 

提案理由

  手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進することに関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、  施策の基本となる事項を定めることにより、共生社会実現に向けた障害福祉施策を推進するため。

 

 

土屋陽一市長は提案説明で、自身の選挙公約でもある手話言語の普及や視聴覚障がい者の情報コミュニケーションについての条例制定について「市民、事業者及び行政が一体となって手話言語の普及を図る」とした。

 

議案第51号の手話言語の普及等に関する条例制定につきましては、私の公約であります「上田再構築プラン」においても掲げておりますが、「つながり」と「多様性」を大切に、市民総参加のまちづくりを実現するための指針の一つとなるよう、平成30年度から本条例の制定について調査・検討を重ねてまいりました。

こうした中、上田市障害者施策審議会をはじめ多くの市民の皆様から御意見等をいただいた上で、本年4月に条例の骨子がまとまったところであります。この度、パブリックコメントの内容等も踏まえ、今定例会に条例案を提案いたします。

 

条例手話言語の普及について、視聴覚などの障がいの有無にかかわらず、人格と個性を尊重して共生社会の実現のため、市は必要な施策推進、市民や事業者には施策への協力や配慮の努力義務を規定している。

 

同種の条例は、市に次いで長野県内で3例目、全国では349例目の制定となる。情報コミュニケーション条例としては、67例目

 

条例制定を祝い、上田市聴覚障害者協会(神代拓也会長)などから約30人が市役所を訪れた。神代会長は「大変うれしい。手話が言語であることを普及してもらい、聴覚障がいへの理解を広げたい」と喜んだ。長野県聴覚障害者協会の井出萬成理事長もかけつけ「他の自治体にも広がってほしい。障がい者と一般の皆さんがより交流でき、共生する社会にしたい」と話した。

 

市は、2020年4月1日(水曜日)から4月30日(木曜日)まで条例案に対するパブリックコメントを行い、 34人から282件の意見が出された(意見の概要と市の考え方)。

 

 市は、市内の障害者団体などからの要望を踏まえて条例案を検討(検討経過)。手話を「言語」と位置付けて学ぶ機会を積極的に提供し、手話通訳者らを養成して普及を図るとしている。

 

市の人口は、153,156人(男性;74,987/女性;78,169人)、64,558世帯(2020年6月1日現在)。

 

身体障害者手帳所持者は、6,248人、療育手帳所持者(知的障害者)は、1,650人、精神障害者保健福祉手帳所持者 1,845人(いずれも2020年331日現在)

 

聴覚障害2級(全ろう)は65人、ろうあ者は37人(いずれもR2.3.31時点)。意思疎通支援事業(手話通訳者派遣)利用者は、21人(2018年度実績)。

 

市の身体障害者に状況は、以下の通り。

 

 

第5期上田市障がい福祉計画及び第1期上田市障がい児福祉計画

 

 

  長野県の東部(東信地方)にある市は、2006(平成18)年36日に()上田市、丸子町、真田町、武石村が合併して発足した。東信地方および上田地域の中心都市で、長野県内では長野市、松本市に次ぐ3番目の規模の都市である。

 

千曲川右岸の旧市街は、戦国時代に真田氏が築いた上田城を中心とする城下町。千曲川左岸の塩田は鎌倉時代の執権北条氏の一族塩田北条氏の所領で、安楽寺、北向観音などの多くの文化遺産が残されており「信州の鎌倉」の異称で呼ばれる。上田市街地から北に向かうと真田氏発祥の地とされる真田郷(旧・真田町)に達する。

 

 

上田城には南櫓・北櫓・東虎口櫓門をはじめとして真田石・堀・土塁などかつての城を感じさせる見所が多くあり、戦国時代は千曲川だった尼ヶ淵側から見上げる櫓と石垣も人気のスポット。

 

 

古くは「七久里の湯」と呼ばれ平安時代の有名な和歌集にもその名をとどめている信州最古の肌がなめらかになることから「美人の湯」とも呼ばれている高約570mの高地にある信州最古と伝わる別所(べっしょ)温泉は、北条氏が別院として使っていたことから「別所」という名前がついたといわれている。温泉街には、旅館の内湯のほかに3つの外湯と足湯「ななくり」がある。標、温泉地で、日本武尊が7か所に温泉を開き「七苦離の温泉」と名付けたという伝説から「七久里の湯」とも呼ばれる。

 

温泉の周辺一帯は「塩田平」と呼ばれ、全国でも数少ない文化財の宝庫となっているほか、鎌倉時代から室町時代にかけて造られた神社仏閣をはじめ、石造りなどの中世の文化財が多数残されていることから、「信州の鎌倉」と呼ばれている。

 

塩田平は、かつて塩田北条氏三代の居城「塩田城」があり、またその周りには神社仏閣が点在し、現在なおその面影を残している。


 

安楽寺はその禅宗としては、鎌倉の建長寺などと並んで日本では最も古い臨済禅宗寺院の一つで、1588(天正16)年ころ、高山順京が曹洞宗に改めた。

「建長(鎌倉の建長寺)と塩田(安楽寺)とは各々一刹により、或は百余衆或は五十衆、皆これ聚頭して仏法を学び、禅を学び、道を学ばんことを要す云々」これは大覚禅師語録(建長寺開山蘭渓道隆の遺書)の一節である。


 これにより安楽寺は鎌倉時代中期すでに相当の規模をもった禅寺であり、信州学海の中心道場であったことがうかがわれる。

 

鎌倉北条氏の外護によって栄え、多くの学僧を育てていたこの寺も北条氏滅亡(1333年)後は、寺運も傾いて正確な記録はないが、国宝、重要文化財等数多くの鎌倉時代の文化遺産を蔵、信州最古の禅寺のおもかげを残している。

 

国宝 八角三重塔(安楽寺/日本最古の禅宗様建築)

 

木造八角三重塔は、木造の八角塔としては全国で一つしかないという貴重な建築で、1952(昭和27)年329日、文化財保護法の規定により長野県では一番早く国宝に指定された。

 

 

上田市手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進に関する条例

 

(前文)

障害のある人もない人も、全ての市民が等しく情報を取得し、互いに意思や感情を伝え合うとともに、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加し、安全安心に心豊かに暮らすことは、私たちの願いである。

視聴覚障害者等は、手話や点字を含めた意思疎通手段のみならず、情報の取得又は利用のための手段についても、自由に選びたいという想いがある。

これらの願いや想いは、障害者基本法においても、共生社会の実現を図るための基本原則の一部として位置付けられている。

一方で、こうした願いや想いを実現させるための取り組みは十分な広がりを得ておらず、生活のしづらさを感じている視聴覚障害者等が少なくない状況である。

私たちは、このような状況にあることの認識を共有し、一体となって、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等が日常生活で利用される上田市を目指すため、この条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進することに関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、障害のある人もない人も分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

⑴ 視聴覚障害者等 視覚障害、聴覚障害、言語機能又は音声機能の障害その他の障害のため、情報を取得し若しくは利用すること、意思を表示すること又は他人との意思疎通を図ることに支障がある者をいう。

⑵ 意思疎通手段等 手話、点字、触手話(触覚により認識することができる手話をいう。第6号において同じ。)、拡大文字、筆記、音声、平易な表現その他の視聴覚障害者等がその意思を表示し、又は他人との意思疎通を図るための手段及び情報を取得又は利用するための手段をいう。

⑶ 社会的障壁 障害のある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

⑷ 合理的配慮 個々の場面において、視聴覚障害者等から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の表明があった場合に、視聴覚障害者等の権利利益を侵害することとならないよう行う必要かつ適切な現状の変更又は調整であって、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。

⑸ 事業者 商業その他の事業を行う者であり、目的の営利又は非営利及び個人又は法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行うものをいう。

⑹ 意思疎通支援者 手話通訳、点訳(文字を点字に訳すことをいう。)、盲ろう者向け通訳(点字、触手話その他の視覚及び聴覚に障害のある者が他人との意思疎通を図るための手段を用いて通訳をすることをいう。)、要約筆記(口述を要約して筆記することをいう。)、文字通訳(音声を文字に変換することをいう。)又は音訳(文字を音声に変換することをいう。)を行う者その他の視聴覚障害者等と他人との意思疎通を支援する者をいう。

⑺ 情報保障 視聴覚障害者等に対し知る権利を保障し、代替手段により情報提供を行うことをいう。

 

(基本理念)

第3条 手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

⑴ 障害のある人もない人も、等しく基本的人権を享有する個人であり、その自発的意思が尊重されること。

⑵ 手話の普及は、手話が独自の体系を有する言語であって、手話を使い日常生活及び社会生活を営む者が受け継がれてきた文化的所産であるとの認識の下に行うこと。

⑶ 視聴覚障害者等の意思疎通手段等についての選択の機会が、可能な限り確保され、及び拡大が図られること。

⑷ 市、市民及び事業者が、それぞれの責務や役割を相互に認識し、支え手と受け手といった関係を超えて主体的に、そして分野を超えて複合的に、連携して取り組むものであること。

 

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進するための施策を推進するものとする。

2 市は、その事務又は事業を行うに当たり、視聴覚障害者等が意思疎通手段等を利用できるようにするための合理的配慮を行うものとする。

3 市は、前項の規定に基づき、情報の利用しやすさを向上させ、情報保障施策を推進するものとする。

 

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進するための市の施策に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、基本理念に対する理解を深め、外見から判別できる障害とできない障害があることを認識したうえで、視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用及び情報保障に対して配慮するよう努めるものとする。

 

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進するため市の施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、その事業を行うに当たり、視聴覚障害者等が意思疎通手段等を利用できるようにするための合理的配慮を行うよう努めるものとする。

3 事業者は、その事業を行うに当たり、情報の利用しやすさの向上及び情報保障に努めるものとする。

 

(市の施策)

第7条 市は、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進するため、視聴覚障害者等及びその支援者その他の関係者と協力して、次に掲げる施策を推進するものとする。

⑴ 手話は言語であることの理解の促進及び普及に関する施策

⑵ 意思疎通手段等を学ぶ機会の提供等に関する施策

⑶ 意思疎通手段等への理解の普及に関する施策

⑷ 意思疎通手段等を利用するにあたっての環境の整備に関する施策

⑸ 意思疎通支援者を確保し又は養成するための施策

⑹ 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 市は、視聴覚障害者等が市政に関する情報を取得し、利用することができるよう、意思疎通手段等を用いた速やかな情報提供及び情報の利用しやすさの向上並びに情報保障に努めるものとする。

 

(財政上の措置)

第8条 市は、手話の普及及び意思疎通手段等の利用を促進するための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 附 則

この条例は、公布の日から施行する。

 

 

 

 

趣旨と概要

 

1 制定趣旨

障害のある人もない人も、全ての市民が等しく情報を取得し、互いに意思や感情を伝え合うとともに、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加し、安全安心に心豊かに暮らすことは、私たちの願いです。

視聴覚障害者等は、手話や点字を含めた意思疎通手段のみならず、情報の取得又は利用のための手段についても、自由に選びたいという想いがあります。

これらの願いや想いは、障害者基本法においても、共生社会の実現を図るための基本原則の一部として位置付けられています。

一方で、こうした願いや想いを実現させるための取り組みは十分な広がりを得ておらず、生活のしづらさを感じている視聴覚障害者等が少なくない状況です。

私たちは、このような状況にあることの認識を共有し、一体となって、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等が日常生活で利用される上田市を目指すため、この条例を制定します。

 

2 条例案の概要

⑴ 条例の制定目的を規定します。(前文及び第1条関係)

⑵ 視聴覚障害者等の定義を規定します。(第2条関係)

⑶ 手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進について、4つの基本理念を規定します。(第3条関係)

⑷ 市の責務として、基本理念にのっとり、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進するための施策を推進するとともに、その際には、合理的配慮を行うこと、情報の利用しやすさを向上させることなどを規定します。(第4条関係)

⑸ 市民及び事業者の役割として、基本理念に対する理解を深め、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用を促進するための市の施策に協力することを努力義務として規定します。(第5条及び第6条関係)

⑹ 市が実施する施策体系を規定します。(第7条関係)

⑺ 手話の普及及び意思疎通手段等の利用を促進するための市の施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずることを市の努力義務として規定します。(第8条関係)

 

 

条例案の検討経過

 

当市では、市と市民が一体となって、手話の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等が日常生活で利用される上田市を目指そうという想いのもと、「市の意思を市民に明確に示すこと」「透明性に優れていること」「市政への市民の関心を喚起し、幅広い参加を促すこと」など、条例のもつ性質を活かし、市独自の政策的な条例を制定し、その条例を活かした政策の実現に努めるため、本条例制定に向けて検討を進めてまいりました。

平成 30 7 18 日 長野県佐久市へ視察・聞き取り

佐久市での条例制定過程及び制定後の取り組みについて情報収集を行いました。

 

平成 30 10 5 日 埼玉県上尾市へ視察・聞き取り

上尾市での条例制定過程及び制定後の取り組みについて情報収集を行いました。

 

平成 30 10 5 日 東京都葛飾区へ視察・聞き取り

葛飾区での条例制定過程及び制定後の取り組みについて情報収集を行いました。

 

平成 30 11 2 日 障がい者団体等懇談会の開催(12 団体)

障がい特性に応じたコミュニケーション手段についてご意見をいただきました。

 

平成 30 12 6 日 上田市視覚障害者福祉協会懇談会の開催

手話に限らない幅広いコミュニケーション手段の利用促進に対するご意見をいただきました。

 

平成 30 12 21 日 上田市聴覚障害者協会懇談会の開催

 手話に特化した条例とせず、対象を広げることについてご理解をいただきました。

 

平成 31 1 25 日 上田市障害者施策審議会の開催

審議会で条例案をご審議いただく計画案をお示ししました。

 

令和元年 6 28 日 上田市障害者施策審議会の開催

条例の骨子案についてご審議いただきました。

 

令和元年 10 2 日 上田市聴覚障害者協会懇談会の開催

 

条例の骨子案についてご意見をいただきました。

令和元年 10 17 日 上田市視覚障害者福祉協会懇談会の開催

 条例の骨子案についてご意見をいただきました。

 

令和元年 10 23 日 障がい者団体等懇談会の開催(13 団体)

 条例の骨子案についてのご意見をいただきました。

 

令和元年 12 11 日 上田市障害者施策審議会の開催

 条例の方向性及び修正案についてご審議いただきました。

 

令和2年 3 5 日 上田市障害者施策審議会の開催

 条例の最終案についてご審議いただきました。

 

 

パブリックコメント

 

1 条例案の名称

 上田市手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進に関する条例(案)

 


2 募集期間

 令和2年4月1日(水曜日)から令和2年4月30日(木曜日)まで

 


3 実施結果


意見の件数(括弧内は提出人数)

 282件(34人)


提出方法別実績

提出方法別の意見件数及び意見人数一覧

持参

郵便

電子メール

ファクシミリ

38件(1人)

8件(1人)

115件(10人)

121件(22人)

282件(34人)


4 意見に対する市の考え方

※類似の意見はまとめて回答しているため、提出件数と一致していません。


条例案に反映させるもの

条例案に反映させる意見一覧

No.

意見区分

意見の概要(要旨)

市の考え方

総論

「及び」「並びに」「以下、○○という。」などの法令上の表現に関して、わかりにくい、不要ではないか。
助詞や接続詞、言い回しなど、日本語の表現に関して、わかりやすい表現への再検討を要望する。

法規文としてのルールに則り使用している文言については、市全体のルールに沿っての記載となります。
文章の分かりやすさに関わる表現については、皆様からご指摘いただいた点を含め、改めて当事者目線で精査して参ります。
なお、わかりやすいかどうかの判断基準のひとつとして、国の障害者基本法の表現を参考としています。障害者基本法は、障がいのある人も参画して原案が作成され、障がいのある人のために作られ、障がいのある人にとっても分かりやすいものとして作られました。したがって、障がいのある人を含め市民にとって分かりやすいかどうかは障害者基本法の表現も判断基準としています。

総論

「手話」は「手話言語」と表記してもらいたい。

条例の名称において「手話言語」と表記しているため、条例文中における「手話」を「手話言語」で統一します。

総論

「障がいのある人」と「障がいのある者」は、どちらかに統一すべき。

条例文中における「障がいのある者」を「障がいのある人」に統一します。

定義

第2条

「手話言語」を定義に加えてはどうか。

「手話言語」は表題にも含まれているため、定義に盛り込む方向で検討して参ります。
(定義案)
音声ではなく、手、指及び体の動き並びに顔の表情を組み合わせて表現される独自の語彙と文法体系を持つ視覚言語をいう。

定義

第2条

第1号

「当該各号」という表現がわかりにくい。
定義づける言葉には「」を付けてはどうか。

法令の形式に倣った表現でしたが、ご意見を踏まえ、障害者総合支援法の定義規定に倣い、分かりやすい表現に改めて参ります。

定義

第2条

第2号

「意思疎通手段」の定義を、「手話、点字、触手話、拡大文字、筆記、音声を使い自ら意思表示をしたり他者とのコミュニケーションを図るために利用する手段」としてはどうか。
また、「平易な表現」は分かりにくいので不要ではないか。

ご提案の定義では、意思疎通手段が「手話〜音声」に限定されてしまうことと、障がいのある人からの発信や双方向のコミュニケーションのみを捉え、受動的部分を含めていないため不十分であると考えます。また、仮に「〜音声等を用い」とした場合、「等」が何を指すのかという別の問題が生じます。
そのため、原案については「手話〜平易な表現」までを例示列挙したうえで、(1)意思を表示したり、(2)意思疎通を図ったり、(3)情報を取得したり、(4)情報を利用するための手段を総称するものとしています。
ABCその他のD」という表現は、Dを説明するためにABCを例として挙げる法令上の表現方法です。
「平易な表現」については、ご意見を踏まえ、後半の「その他の〜」に含めることとし、削除します。


条例案に反映させないもの

条例案に反映させない意見一覧

No.

意見区分

意見の概要(要旨)

市の考え方

1

総論

「コミュニケーション」や「バリアフリー」などのわかりやすい表現を使ったらどうか。

条例案を検討する過程で、上田市障害者施策審議会において「カタカナで記載された和製英語は分かりにくい」とのご意見があったため、カタカナ表記を排しています。「コミュニケーション」や「バリアフリー」については一般的に普及しているとも考えられますが、支援者団体、当事者団体等の代表からなる審議会での意見のため、尊重することとしました。

総論

施策推進のための具体的な計画や予算確保に尽力してもらいたい。

条例に掲げる施策については、市の障がい者基本計画等に盛り込むなどして計画的に推進して参ります。

総論

視聴覚障害者等の「等」が何を指しているのかがわかりにくい。「等」は不要ではないか。

視聴覚障害者等の「等」については、定義に記載のとおり、「言語機能又は音声機能の障害その他の障害のため、情報を取得し若しくは利用すること、意思を表示すること又は他人との意思疎通を図ることに支障がある者」を指しています。
本条例が社会的障壁の除去を目的として支援していく主たる対象者は視聴覚障害者ですが、意思疎通や情報の利活用に困難を抱えている人はこの2つの障がいに限ったことではないため、そうした人を排斥しないように、広く障がい全般を捉える定義としています。

総論

知的障害者の意思疎通について触れられていないのが残念。

本条例は、広く意思疎通に困難を抱える障がい者全般を対象としており、支援対象として知的障がい者を排斥するものではありませんので、御理解いただければと思います。

総論

手帳を持ってない人、中途失聴、高齢者にも、分かりやすい、優しく暮らしやすい上田市であることを望む。

本条例は、広く意思疎通に困難を抱える方全般を対象としているため、障害者手帳の有無や障がいの程度、障がいの時期によって異なるものではありませんが、条例の制定後も優しく暮らしやすい上田市を目指して参ります。

名称

条例の名称は以下のようにしたらどうか。
「うえだ手話言語の確立と普及及び共生社会を目指すコミュニケーション・情報保障の確立と利用促進条例」

条例の名称に「上田市」と入れるのは当市の条例の形式的ルールですので、ひらがなの「うえだ」ではなく、「上田市」とします。条例の愛称又は通称を決める際には参考とさせていただきます。
手話は言語であるため「確立」する必要はなく、かつ、地方自治体が言語を確立するというのは適切ではないと考えます。
上田市が本条例により目指すところは、手話言語の普及と、意思疎通手段等の利用促進ですので、条例の内容を表す名称については、原案のとおりとします。

名称

「上田市手話言語条例及び視聴覚障害者の情報保障・コミュニケーション手段等の利用促進に関する条例」のようにわかりやすくしてほしい。

条例案を検討する過程で、上田市障害者施策審議会において「カタカナで記載された和製英語は分かりにくい」との意見があったため、カタカナ表記を排してします。「コミュニケーション」については一般的に普及しているとも考えられますが、支援者団体、当事者団体等の代表からなる審議会での意見のため、尊重することとしました。
条例の趣旨や内容をなるべく正確に表現するため、原案の条例名は長くなっていますが、市民に親しみをもっていただけるよう、通称又は愛称を設けることを検討しておりますので、いただいたご意見は参考とさせていただきます。

名称

幅広くコミュニケーション障がいに対応する趣旨から、副題に「コミュニケーション条例」を付記してはどうか。

条例の趣旨や内容をなるべく正確に表現するため、原案の条例名は長くなっていますが、市民に親しみをもっていただけるよう、通称又は愛称を設けることを検討しておりますので、いただいたご意見は参考とさせていただきます。

その他

条文の文頭の数字に括弧があるものとないものがあるが、どういうことか。

括弧のないものは項数を表し、括弧のあるものは号数を表しています。
すなわち、一条の中で段落が変わった場合に、段落番号を表すものとして項番が存在します。箇条書きにする場合の一つ一つを表す場合には、号番を用います。

10

その他

市の施策に関して、具体策を立案、実行する上で関係団体の皆さんからご意見を聴く必要があると考えます。

条例(案)の第7条以下に、第8条として(協議の場)の追加を検討してはどうか。

現在、市の施策実施に当たっては、上田市障害者施策審議会への諮問や当事者団体、支援者団体からの意見聴取などを行っており、関係者の意見等を伺う機会を設けながら進めています。
一方で、こうした協議の場を設けることを市の責務として条例で定めてしまうと、施策の具体化や実施に当たって、スピード感をもって取り組むことが困難になる可能性もございます。
本条例においては、第7条において「関係者と協力して」とありますとおり、引き続き意見聴取の場、協議の場を設けて丁寧に施策推進を進めて参りますので、「協議の場の設置」について条項を設けることは致しませんが、ご理解いただきたいと考えております。

11

定義

第2条

第1号

「視聴覚障害者等」の定義を可能な限り具体的に表現したらどうか。

定義については、詳細かつ具体的に記載することで丁寧になるものと認識しているところですが、その反面、字数が多くなることで条例への親しみやすさが損なわれること、分かりやすいようでいて逆に分かりにくくなってしまうこと、といった側面もあるため、両者のバランスを考え、現在の表現にしています。

12

定義

第2条

第1号

視聴覚障害者等が意思疎通等において困難をもつのは、その障がい故であるという考え(障害者を下に見ているような考え)に立脚しているのではないか。立場の上下がない対等な関係であるというメッセージを込めてはどうか。

この条例の趣旨は、障がいについて医学的に解消、軽減していこうというものではなく、社会的障壁を除去することで、障がいの有無にかかわらず意思疎通等が円滑になされる社会の実現を目指すものとしています。定義の中に健常者も含まれる場面があるのは、上下関係のない対等な立場であればこそです。
その意味で、意思疎通が困難な者と幅広く支援対象者としてしまうと、乳幼児や意思能力に制限がある人のように恒常的に意思疎通が困難な者のほか、感情の起伏により一時的に意思疎通が困難な者まで含まれることになりかねないため、この条例では、社会的障壁を除去するという施策の趣旨に沿う対象者に絞るため、案のような定義にしています。

13

定義

第2条

第1号

「意思表示」という名詞があるので「意思表示する」と言えばよく、「意思を表示する」とは言わないのではないか。

「意思表示」は民法上の用語として使用されることもあるため、その内容が法律行為に限定されると解釈される恐れがあり、法律用語としての「意思表示」ではないことを明確にするため、「意思を表示する」としています。

14

定義

第2条

第1号

「視聴覚障害者」の文章は盲ろう者と誤解が多いと思われるため、「視聴覚障害者」でなく「障がいのある人に」にしてほしい

「視聴覚障害者等」の用語については、誤解のないように定義規定を設けています。ご提案の「障がいのある人」では、社会的障壁の除去を主眼とする本条例の趣旨を曖昧にする恐れがある抽象的な表現であると考えます。

15

定義

第2条

第2号

「意思疎通手段等」に「スマホ・タブレット・パソコン等の情報機器」を加えてはどうか。

定義については、詳細かつ具体的に記載することで丁寧になるものと認識しているところですが、その反面、字数が多くなることで条例への親しみやすさが損なわれること、分かりやすいようでいて逆に分かりにくくなってしまうこと、といった側面もあるため、両者のバランスを考え、現在の表現にしています。
ご提案いただいた手段については、定義に記載の「その他」に含まれるものと認識しています。

16

定義

第2条

第2号

意思疎通手段等の「等」が何を指しているのかが分かりにくい。「等」は不要ではないか。

意思疎通手段等の「等」については、定義に記載のとおり、「情報を取得又は利用するための手段」を指しています。すなわち、「意思疎通手段」と「情報を取得したり活用する手段」をまとめて「意思疎通手段等」としています。対話といった双方向の意思疎通(コミュニケーション)だけでなく、場内放送やインターネット上で一方的に発信される情報を取得したり活用するという受動的な性質を含めた定義とする趣旨です。

17

定義

第2条

第3号

「事物」「制度」「慣行」「観念」など、定義づけが必要ではないか。
定義づけをしないのであれば、「一切のもの」だけでよいのではないか。

国の障害者基本法においても同様の定義がされています。障害者基本法は、障がいのある人も参画して原案が作成され、障がいのある人のために作られ、障がい者にとっても分かりやすいものとして作られました。したがって、障がいのある人を含め市民にとって分かりやすいかどうかは障害者基本法の表現も判断基準としています。
分かりにくい文言の全てに定義づけを行うことが望ましいとも考えられますが、一方で文章量が膨大になることで分かりにくさや親しみにくさを助長してしまう面もあるため、分かりにくいものについては、別途条例の周知用に作成するパンフレット等にて説明して参ります。
「一切のもの」だけでは何を表らしているのか分かりにくく、漠然としすぎていると考えます。

18

定義

第2条

第4号

「現に」は意味不明なため不要ではないか。

「現に」とは、実際に、事実として、といった意味があり、条例案では、社会的障壁を除去してほしい旨の表明を「実際に、事実として」行っている場合であると定めています。
市の責務、また事業者の努力義務として「合理的配慮の提供」を位置づけるため、その意味するところは限定的であるべきであり、「合理的配慮の提供」は障がいのある人からの暗黙の表明や、事業者側の忖度、思い込みによってなされるべきではありません。場合によっては「見下されている」「余計なお世話」としてトラブルになることも想定されますので、障がいのある人からの主体的かつ明確な意思表示を前提とする必要があります。
条例によって義務付けられない単なる「配慮」については、こうした表明は不要です。

19

定義

第2条

第5号

「同種の行為を反復継続して行う意思をもって行うもの」の意味が分からない。

「同種の行為」とは、例えば物を売るとか、サービスを提供するといった行為を指します。「反復継続して行う意思をもって行う」とは、例えば物を売り続けるとか、サービスを提供し続けるというように、営利・非営利を問わず、事業として行う意思をもって行うことを指します。
個人か法人か、営利目的か非営利目的かといった違いや、会社形態等にかかわらず、業として行う者を事業者とする定義です。
単発の活動では努力義務を課される事業者に含まれません。

20

定義

第2条

第6号

意思疎通支援者の定義を以下のとおり改めてはどうか。

「手話通訳〜(略)〜音訳を行い、視聴覚障害者と他人とのコミュニケーションを支援する者」

ご提案の定義では、意思疎通支援者が「手話通訳〜(略)〜音訳」に限定されてしまい、不十分であると考えます。また、仮に「〜音訳等を行い」とした場合、「等」が何を指すのかという別の問題が生じます。
そのため、原案については「手話通訳〜(略)〜音訳」までを例示列挙したうえで、視聴覚障害者等と他人との意思疎通を支援するもの全般を表す定義としています。

 

ABCその他のD」という表現は、Dを説明するためにABCを例として挙げる法令上の表現方法です。

21

定義

第2条

第6号

盲ろう者向け通訳のカッコ内については、点字と触手話だけで十分であり、その他は不要ではないか。

現時点においては点字と触手話だけで十分かもしれませんが、将来的にそれ以外の方法、例えば電気信号によって直接脳に情報を届けるといったものが登場するかもしれません。
意思疎通手段が点字と触手話だけではなくなった場合に備えて、その他以下の記載を残しておくことに意義はあると考えます。

22

基本理念

第3条

第1号

「享有」の意味をどれだけの人が知っているのだろうか。違う表現に改めてはどうか。

国の障害者基本法の第1条においても同様の表現が使われています。障害者基本法は、障がいのある人も参画して原案が作成され、障がいのある人のために作られ、障がいのある人にとっても分かりやすいものとして作られました。

したがって、障がいのある人を含め市民にとって分かりやすいかどうかは障害者基本法の表現も判断基準としています。

23

基本理念

第3条

第2号

「文化的所産」は説明が必要ではないか。

分かりにくい文言の全てに定義づけを行うことが望ましいとも考えられますが、一方で文章量が膨大になることで分かりにくさや親しみにくさを助長してしまう面もあるため、分かりにくいものについては、別途条例の周知用に作成するパンフレット等にて説明して参ります。

24

基本理念

第3条

第4号

「関係や分野を超えて主体的かつ複合的に連携して取り組むもの」という表現に改めてはどうか。

当事者団体から事前にご意見を聴取した中で、障がいのある人にも支援の受け手でいるだけでなく支える側になってほしいという想いから、「支え手と受け手という関係を超えて」という表現を望む声があり、強調する意図があること、「支え手と受け手という関係を超えて」と「複合的に」とは直接には結びつかない表現であることなどを勘案して、原案の表現としています。

25

市の施策

第7条

手話に関わる者は質の向上への意識を高めなければいけないと思う。

意思疎通支援者の質の向上についても課題のひとつとして捉えておりますので、必要な施策を講じて参りたいと考えます。

26

市の施策

第7条

意思疎通手段を学ぶ機会の提供に関する施策について、職場やサークル等への講師派遣も含まれるか。また、講師料等の補助は含まれるか。

職場やサークル等への講師派遣については、条例記載の施策に含まれるものと認識していますが、事象の実施、補助制度実施については講師の確保や補助要件、補助額などの課題もありますので、制度化に向けて検討をして参ります。

27

市の施策

第7条

条例制定後の具体的施策、事業、合理的配慮の中身に対する意見要望。

 

(主な要望を別枠に掲載)

本条例では、市の合理的配慮の提供を義務付けるとともに、市民や事業者の努力義務として市の施策への協力と合理的配慮の提供、情報保障を定めています。
いただいたご意見、ご要望については、市の目指す将来像に近づけるための具体的提案として、市において費用対効果を精査しつつ実施に向け検討して参りたいと考えます。
また、事業者に対しても、合理的配慮あるいは意思疎通手段等の利用促進の一事例として情報提供していくとともに、障がいのある人への配慮が行き届いた活動によって顧客満足度の向上や企業価値の向上などが見込める点なども強調しながら、意思疎通手段等の利用促進について奨励して参りたいと考えます。

そのほか、条例制定に期待する、理念に賛成するといった意見を多数いただきました。

また、条例制定に反対する意見はありませんでした。


要望事項

条例案に対する意見ではなく、条例制定後の具体的施策や事業等に関する意見要望が多数ありました。
いただいた要望は以下のとおりです。

 

 

 

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