【要約筆記】

 

要約筆記とは、聴覚障害者への情報保障手段の一つで、話されている内容を要約し、文字として伝えることをいう。主に第一言語を手話としない中途失聴者・難聴者などを対象とする。

要約筆記作業に従事する通訳者のことを要約筆記奉仕員(ノートテイカー)と呼ぶ。あくまで聴覚障害者のために「発話時点で要約し、通訳すること」を保障するのであって、音声の記録行為とは異なる。

 

聴覚障がい者への支援方法として広く知られているものに「手話通訳」があるが、しかし手話を習得する機会のなかった中途失聴・難聴者は「筆記通訳」が有効で、特に高齢難聴者は手話の習得は難しいため、要約筆記通訳の必要性が大きくなっている。

要約筆記者は、このような人々のために、その方の耳代わりになって「その場で話された内容を文字にして伝える」筆記通訳を行う役割を担っている。

 

主な実施形態は、次の通り。

筆談要約筆記=情報保障上の筆談は、ノートやホワイトボードに文字を書いて情報を伝える。特に学校の授業を筆記する場合をノートテイクと呼ぶ。

OHP要約筆記=オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)を用いる。屋内でスクリーンが使用できる場合、少ない機材で運用できる。ロールと呼ばれる巻物状のOHPシートに、フェルトペンで文字を書き、それをスクリーンに映し出す。筆記者は光源を注視するため専用のサングラスが必要となる。

OHC要約筆記=屋内でオーバーヘッドカメラ(OHC=書画カメラ)を用い、紙に筆記したものをスクリーンに映し出す。

パソコン要約筆記=パソコンをプロジェクタに接続し、音声情報をパソコンにテキスト入力し、テキストをスクリーン上に提供する。

 

なお、要約筆記には「速く、正確に、読みやすく、私感を含めず、秘密を守る」という原則がある。

 

 

話の内容を少しでも多く伝えるために、聴覚障害者関係でよく使われる言葉を全国標準略号・略語として(特定非営利活動法人)全国要約筆記問題研究会(全要研)(一般社団法人)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(全難聴)が提案し、聴覚障害者団体の了解のもとに使用している。

 

【要約筆記】 全国標準略号・略語

 

「略号」は、すべて「○」で囲み、「略語」は、普通の文字だけで書かれるように、「略号」と「略語」は、きちんと区別される。

 

 

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