中野区手話言語条例

 

東京都中野区議会は、2020年3月23日の定例会において、手話が言語であることの理解が十分ではないことの現状に鑑み、「手話が言語であることに対する理解を促進するための基本理念を定め、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、手話を使用する全ての人に対して社会的障壁がない地域社会を実現する」ことを目的とする「中野区手話言語条例ふりがな案を可決し、4月1日に施行した。

 

 23日には、障害者の多様な意思疎通に対する理解を促進し、意思疎通手段の普及を図るための基本理念を定め、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、全ての人が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら安心して暮らせる地域社会を実現することを目的とする「中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例」も可決し、4月1日に施行した。

 

中野区では2018年4月に[中野区ユニバーサルデザイン推進条例]を施行し、全ての人が、自らの意思により自立して活動し、自己実現できる環境を段階的かつ継続的に整備することとしている。このことから、すべての区民が、障害の有無にかかわらず、等しく情報を取得し、意思疎通を行うことのできる環境を整備しなければならないと考え、このことを踏まえたうえで、障害者の多様な意思疎通手段の普及などを推進するため、中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例についても検討を進めてきていた。

 

 区は、2019年12月20日から2020年1月9日まで条例案に対するパブリックコメントを行い、47(電子メール37、ファクシミリ4、郵送1、窓口5)人から意見が出された条例に盛り込むべき主な事項と区の考え方

 

 

中野区は、新宿駅からJR中央線で4分の中野駅を中心に、区の南には地下鉄丸ノ内線、北には西武新宿線、都営大江戸線が走り、区内には15の駅があって、利便性に優れている。

 

中野駅の北口には漫画やアニメなど、サブカルチャーの発信地として知られる「中野ブロードウェイ」があり、サブカルチャーだけでなく、中古の高級時計を扱うお店、鉄道模型の店な、様々なマニアに支持されるお店が集まっており、地下には8段の特大アイスクリームで知られるお店などの飲食店や、鮮魚、精肉、八百屋などのお店も入り、生活に必要なものすべてが揃うショッピングモールがある。

 

中野駅北口を出て西へ向かうと、緑豊かな中野四季の森公園と最新オフィスビルの中野セントラルパークがあり、明治大学、帝京平成大学の中野キャンパスや、早稲田大学中野国際コミュニティプラザが進出し、新しい中野の顔「四季の都市(まち)」が広がっている。

 

 

また、哲学者で東洋大学の創立者、故・井上円了(井上圓了、いのうえ えんりょう)博士が精神修養の場として作った世界でも珍しい哲学がテーマの哲学堂公園(東京都名勝)やハンガリーの著名な彫刻家、ワグナー・ナンドール氏の「哲学の庭」も哲学堂公園の南側に設置されている。

 

 

              

 

 区の人口は、          335,561(男性;169,264・女性;166,297人、208,077世帯202031日現在)

 

 

中野区手話言語条例

 

 手話は、独自の言語体系を有し、手や指などの身体の動きや顔の表情などを使う言語であり、日常生活又は社会生活を営む上で手話を言語として使用する聴覚障害者やその支援者等によって大切に受け継がれてきた文化的所産です。また、手話は、障害者の権利に関する条約や障害者基本法(昭和45年法律第84号)においては、言語として位置付けられており、誰もがその使用を選択できなければなりません。

 しかしながら、手話は、過去に使用が制約されてきた歴史があり、現在においても、手話が言語であることに対する理解が十分であるとはいえないことから、手話が言語であることに対する理解を促進していく必要があります。

ここに、手話が言語であることに対する理解を促進し、手話を使用する全ての人に対して社会的障壁がない地域社会を実現するため、この条例を制定します。

 

 (目的)

第1条 この条例は、手話が言語であることに対する理解を促進するための基本理念を定め、中野区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、手話を使用する全ての人に対して社会的障壁がない地域社会を実現することを目的とする。

 

 (基本理念)

第2条 手話が言語であることに対する理解の促進は、次に掲げる事項を基本理念とする。

 ⑴ 手話を使用する全ての人が手話による意思疎通を円滑に行うことができること。

⑵ 全ての人が障害の有無によって分け隔てられることなく、かけがえのない個人として尊重されること。

 

(区の責務)

第3条 区は、前条の基本理念にのっとり、手話を使用して日常生活又は社会生活を営む者及びその支援者その他関係者と協力し、手話が言語であることに対する理解を促進するために必要な施策を実施するものとする。

 

 (区民の責務)

第4条 区民は、第2条の基本理念に対する理解を深めるよう努めなければならない。

2 区民は、前条の規定により区が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

 

 (事業者の責務)

第5条 事業者は、施設、商品及びサービスの提供その他自らの事業を通じて、第2条の基本理念に対する理解の促進に努めなければならない。

2 事業者は、第3条の規定により区が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

 

(委任)

第6条 この条例の施行に関し必要な事項は、区長が定める。

 

 附 則

 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

 

 

中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例

 

 中野区は、中野区ユニバーサルデザイン推進条例(平成30年中野区条例第18号)を制定し、障害者を含む全ての人がそれぞれの意欲や能力に応じて社会参加するとともに、多様な生き方、個性や価値観を受け入れることのできる地域社会の実現を目指しています。

 そのような地域社会を実現するためには、障害者がそれぞれの障害の特性に応じた意思疎通手段により情報を取得し、円滑に意思疎通ができる環境づくりを推進していく必要があります。

 ここに、障害者が常にその障害の特性に応じた意思疎通手段を適切に選択することができ、全ての人が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら安心して暮らせる地域社会を実現するため、この条例を制定します。

 

 (目的)

第1条 この条例は、障害者の多様な意思疎通に対する理解を促進し、意思疎通手段の普及を図るための基本理念を定め、中野区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、全ての人が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら安心して暮らせる地域社会を実現することを目的とする。

 

 (定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 ⑴ 障害者 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病その他心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活を営む上で相当な制限を受ける状態にある者をいう。

 ⑵ 意思疎通手段 手話、要約筆記、点字、筆談、触手話、指点字、音声、絵図、平易な表現、代筆、代読その他障害者が日常生活又は社会生活を営む上で必要とする意思疎通の手段をいう。

 

 (基本理念)

第3条 障害者の多様な意思疎通に対する理解の促進及び意思疎通手段の普及は、次に掲げる事項を基本理念とする。

 ⑴ 障害者がそれぞれの障害の特性に応じた意思疎通手段を適切に選択することができ、意思疎通手段により情報を取得し、円滑に意思疎通ができる環境の整備を推進すること。

 ⑵ 障害の有無にかかわらず、全ての人が相互に人格と個性を尊重する地域社会づくりを推進すること。

 

 (区の責務)

第4条 区は、前条の基本理念にのっとり、障害者の多様な意思疎通に対する理解の促進及び意思疎通手段の普及に必要な施策を実施するものとする。

 

 (区民の責務)

第5条 区民は、第3条の基本理念に対する理解を深めるよう努めなければならない。

2 区民は、前条の規定により区が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

 

 (事業者の責務)

第6条 事業者は、施設、商品及びサービスの提供その他自らの事業を通じて、第3条の基本理念に対する理解の促進に努めなければならない。

2 事業者は、第4条の規定により区が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

 

 (障害者の多様な意思疎通の促進に係る施策の実施)

第7条 区は、障害者の多様な意思疎通の促進を図るため、次に掲げる事項について必要な施策を講ずるものとする。

 ⑴ 障害者の多様な意思疎通に対する理解の促進及び意思疎通手段の普及に関すること。

 ⑵ 障害者がそれぞれの障害の特性に応じた意思疎通手段を適切に選択することができる環境の整備に関すること。

 ⑶ 障害者の意思疎通を支援する人材の養成に関すること。

 ⑷ 前3号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために区長が必要と認める施策

2 前項各号に掲げる事項に係る施策の実施における基本的な方針は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項に規定する市町村障害福祉計画に定めるものとする。

3 区長は、第1項各号に掲げる事項に係る施策の実施に当たり必要があると認めるときは、障害者及びその支援者その他関係者の意見を聴取するものとする。

 

 (委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、区長が定める。

 

附 則

 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

 

 

中野区ユニバーサルデザイン推進条例

 

平成30330

条例第18

 

私たちは皆、自らの存在と尊厳が守られ、自由に幸せを追い求めることのできる権利を持っています。こうした権利は、誰もが生まれながらに持っているものであるとともに、いつの時代にも共通する、変わらないものです。

一方で、私たちを取り巻く環境は、絶えず変化が生じ、人々の暮らしや価値観も多様化していきます。移り行く時代の中で、持続的にまちの活力を生み出していくためには、多様な生き方、個性や価値観を受け入れることのできる地域社会を実現することが必要になります。私たちは、ユニバーサルデザインの推進を通じて、多くの人の社会参加を促すとともに、まちの魅力の向上に取り組んでいきます。

全ての人が、それぞれの意欲や能力に応じて社会参加する「全員参加型社会」やまちの魅力向上による地域の活性化の実現に向けて、この条例を制定します。

 

(目的)

1 この条例は、全ての人が、自らの意思により、自立して活動し、自己実現できる環境を段階的かつ継続的に整備することを通じて、全員参加型社会及び地域の活性化を実現するため、区、区民及び事業者のそれぞれの責務を明らかにするとともに、基本的な事項を定めることにより、ユニバーサルデザインの推進を図ることを目的とする。

 

(定義)

2 この条例において「ユニバーサルデザイン」とは、年齢、性別、個人の属性や考え方、行動の特性等にかかわらず、全ての人が利用しやすいようあらかじめ考慮して都市及び生活環境を設計することをいう。

 

(基本理念)

3 ユニバーサルデザインの推進は、次に掲げる事項を基本理念とする。

(1) 支障なく円滑に利用できる都市基盤・施設の整備の推進

(2) 平等かつ円滑に利用できる商品・サービスの提供の推進

 

(3) 一人一人の個性や多様性が理解され、かつ、尊重され、様々な人が支え合うための理解の促進

 

(区の責務)

4 区は、この条例の目的を達成するため、ユニバーサルデザインを推進するための目標(将来像)を示すとともに、ユニバーサルデザインの推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

2 区は、区民及び事業者に対し、ユニバーサルデザインについて普及啓発を図るものとする。

3 区は、区民及び事業者と協働して、ユニバーサルデザインを推進できるよう相互調整及び連携促進を図るものとする。

 

(区民の責務)

5 区民は、ユニバーサルデザインについて理解を深めるよう努めなければならない。

2 区民は、様々なユニバーサルデザインの取組について、主体的に参加し、ユニバーサルデザインの推進に努めなければならない。

3 区民は、ユニバーサルデザインの推進に当たり、区及び事業者と協働するよう努めなければならない。

 

(事業者の責務)

6 事業者は、施設、商品及びサービスの提供その他自らの事業を通じて、ユニバーサルデザインの推進に努めなければならない。

2 事業者は、ユニバーサルデザインの推進に当たり、区及び区民と協働するよう努めなければならない。

3 事業者は、当該事業者の従業員がユニバーサルデザインについての理解を深めることができるよう努めなければならない。

4 事業者は、次条第1項に規定する推進計画の実施に関して、区に協力するよう努めなければならない。

 

(推進計画の策定等)

7 区長は、この条例の目的を達成するため、ユニバーサルデザインに係る施策の総合的かつ計画的な推進に関する計画(以下「推進計画」という。)を策定する。

2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) ユニバーサルデザインを推進するための目標(将来像)

(2) ユニバーサルデザインの推進に関する施策の方向及び主な取組

3 区長は、推進計画の策定及び改定に当たり、区民及び事業者の意見を求めるものとする。

 

(施策の評価・点検及び中野区ユニバーサルデザイン推進審議会の設置等)

8 区長は、推進計画に基づく施策について継続的に評価・点検を行い、当該評価・点検の結果を広く区民に公表するとともに、当該施策に反映させ、当該施策の持続的な改善・向上を図るものとする。

2 推進計画の改定に当たり、推進計画に基づき実施した施策の評価・点検を行い、当該施策の改善・向上を図るため、区長の附属機関として、中野区ユニバーサルデザイン推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。

3 審議会は、区長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。

(1) 推進計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、ユニバーサルデザインの推進に関し必要な事項

4 審議会は、ユニバーサルデザインの推進に関し特に必要な事項について、区長に意見を述べることができる。

5 審議会は、区民、事業者、学識経験者その他区長が必要と認める者のうちから、区長が委嘱する委員20人以内をもって組織する。

 

(委任)

9 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

 

附 則

この条例は、平成3041日から施行する。

 

 

 

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