松山市議会;手話の理解・普及の取り組みについて

 

2016年3月3日 質問者 幸伸議員 答弁者 野志克仁市長

 

 

質問要旨;手話の理解・普及の取り組みについて質問全文

 

(1)手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解や普及及び地域において手話を使用しやすい環境を構築することについての市長の認識並びに手話言語条例制定についての考えを問う。

 

(2)他市では聴覚障がいがある来庁者への対応力を向上させようと、市職員向けの手話研修を実施する自治体がふえているが、本市においてもこうした取り組みをするべきと考えるが見解を問う。

 

(3)災害時において、聴覚障がい者への対応のため、本市の女性消防団員は手話を学んでいるが、地域防災において聴覚障がいの皆さんと触れ合う機会が多いのは自主防災組織や民生児童委員であると思うが、聴覚障がい者に安心していただくためにも、地域の防災士や民生児童委員向けに手話についての研修会を実施してはどうか見解を問う。

 

(4)学校での障がい理解教育の取り組みの中で、手話に関する授業を取り入れてはどうか見解を問う。

 

野志克仁市長答弁

 

太田議員に、手話の理解・普及の取り組みについてのうち、私からは、学校での障がい理解教育の取り組みの中で、手話にかんする授業を取り入れてはどうか以外の部分についてお答えします。

 現在、国では、全ての国民が、障がいの有無で分け隔てられることなく、お互いに人格と個性を尊重し合いながら、共生できる社会の実現を目指して、障がい者制度の改革が進められています。          

 そこで、まず、手話の理解や普及、地域で使用しやすい環境の構築についての認識と、手話言語条例制定についてですが、平成28年に改正された障害者基本法では、手話は言語と定義されており、その重要性は認識しています。                     

 本市では、平成I3年から、手話のボランティア養成講座を実施しており、平成26年度までに、およそ1,000人の方が受講し、手話に対する理解を深めています。                 

 また、これまでも、手話通訳者の養成や派遣、福祉総合窓口への手話通訳者の配置などにも積極的に取り組んでいるほか、さらに、平成26年5月からは、警察や市内救急病院と連携し、緊急時に手話通訳者を派遣するなど、24時間、365日、聴覚障がい者の安全、安心な生活を支援しています。             

 また、手話言語条例制定については、国の手話言語法制定の動向や、他市の状況も見ながら、今後も、調査研究したいと考えています。         

 次に、市職員向けの手話研修の実施についてですが、本市の窓口では聴覚障がい者の方が来られた際に、職員が、ホワイトボードやメモを使って筆談で対応しています。                         

 今後は、職員が手話を知る機会を設けることで、聴覚障がい者に対するコミュニケーション能力の向上につなげていきたいと考えています。             

最後に、地域の防災上や、民生・児童委員向けの手話についての研修会の実施については、本市では、女性消防団員が手話を習得し、手話を広めていくために、消防職員と勉強会を行っていますが、加えて、地域の身近な支援者になる防災モや民生・児童委員が手話を学ぶことは聴覚障がい者への理解が一層深まることから、手話を知る機会を設けていきたいと考えています。                            

 そのほかの質問につきましては、関係理事者からお答えいたしますのでよろしくお願いします。

 

 

太田議員質問全文

 

はじめに手話の理解・普及の取り組みについてお伺いいたします。

皆様は全国高校生手話パフオーマンス甲子園をご存知でしょうか。手話言語条例を全国の地方自治体で初めて策定しました鳥取県で手話の普及、手話を通じた交流の推進を目的に2O14年より開催されています。高校生が手話を使った歌やダンス、演劇、コント、朗読などのパフオーマンスを競い合い、手話の正確さや演出、構成、表現力などを審査し勝敗を決めます。2014年の第1同大会は21都道府県から41チーム、昨年の第2回大会は22都道府県47チームが出場し熱戦が繰り広げられました。残念ながら愛媛県からの出場はまだ1校もありませんが、今後手話に対する理解関心が広がり出場校が出ることを期待したいと思います。

参加した高校生の言葉を紹介しますと、聾学校の生徒では、「手話は人間関係を築いた社会に僕を導いてくれた恩人のような存在」「手話は聞こえなくても思いが伝わる大切な手段」また、障がいがない傍聴者の高校生は、「手話は心と心が通じ合う魔法の言葉」「手話で聾者の方との言葉の壁がなくなる」「手話は人と人を繋ぐ大事な大事な一つの言葉」こうした感想をもっています。手話を通じて、様々な壁をとりはらい本当の共生社会が促進すると思いました。

手話の歴史を振りかえってみますと、世界で手話が誕生したのは1760年、フランスのド・レペ神父が世界初の聾唖学校であるパリ聾唖学校を設立し、聾者の皆さまに読み書きを教え、聾者がごく身近な人とコミュニケーションをとるために使っていた身振り手振りであるホームサインを統合し発展させて手話を創り上げたそうです。

日本での手話の始まりは、近代日本において音聾教育を確立した、教育者の古河太四郎が1878年に設立した京都盲唖院だそうです。生徒の間で使われていた自然発生的な手話を、教育を目的に体系だて、言語機能をもつ手話として洗練していき確立していきました。このとき誕生した手話が、現在の標準の手話の原型となっているとのことです。

聾者に対する教育方法では長年対立の歴史がありました。手話を使って教育を行う考え方と、ロの形を読み取る口話法という考え方の対立でした。はじめは、手話がヨーロッパはじめアメリカにも広がりましたが、19世紀後半になると一国家一言語政策を進める国家が増えていき、1880年イタリアのミラノで開催された国際聾唖教育会議で口話法の優位性を宣言、手話は否定され、手話の使用が世界的禁止される流れが進んでいき、聾教育から手話は排降されました。口話法を採用する理由には、国家の強化をはかるには言語を統一することが重要であり、また、教育は音声の言語を獲得することが重要という考え方があったからだそうです。ミラノ会議での考え方は、その後、日本にも広がってきて、日本の聾教育も口話法による方法が主流となっていったとのことです。こうして日本の聾学校では手話が禁止され、手話は教育において、また、社会の中でも認められない、偏見を持たれる言語となったとのことです。1933年に全国盲唖学校長会議で、当時の文部大臣が「手話は国語に非ず」と訓示し、聾者は口話法を押し付けられることとなり、生活になじみ使いやすく、親しんできた手話は否定され、聾者の尊厳は大きく傷つけられました。聾教育においても手話が事実上禁止されました。そして1948年の聾教育が義務化になってからも、口話法のみの徹底した教育が続きました。しかし、口話は習得が難しく、聾学校の教育現場では「口により効果のある生徒は全体の2〜3割しかいない。その他の子供には、手話による教育が必要である」との声を上げた校長もいたそうです。

1993年、文部省の諮問機関として「聴覚障害児のコミュニケーション手段に関する調査研究協力者会議」が設置され、聾学校における手話の使用を促す内容の報告書が記されました。これにより、昔ほど手話使用を厳しく制限する聾学校はほとんどなくなり、手話がコミュニケーションの手段のひとつとして認められるようになりました。

2006年には国連総会において障害者権利条約が採択され、日本は2014年に批准しましたが、この権利条約の第2条では、「言語とは音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう」と規定され手話は言語であることが明記されました。

また、日本では2O11年に障害者基本法が改正され、第3条第3項に「言語(手話を含む)」と明記され、手話が国内の法律の中で初めて言語として位置づけられました。

こうした状況の中、手話言語法の制定を目指す機運も高まり、本市も一昨年採択されましたが、全国の地方議会において手話言語法を求める意見書の採択はほぼ1OO%になっております。国では様々な課題を克服しながら法制定に向け議論がされているところでありますが、全国の地方自治体では先行して手話言語条例の制定の機運が高まっています。県条例では、鳥取県、神奈川県、群馬県が条例を制定し、北海道、埼玉県、三重県、沖縄県が制定に向け検討しています。

市町村では情報コミュニケーション条例を含め33自治体が条例を制定、11自治体が制定に向け検記しています。全国の先進自治体では、議会の本会議や市長の記者会見を手話でホームページ上に流したり、公立校の授業に手話を導入したり、小中高向けの手話の学習教材を作っている自治体もあります。北海道の石狩市では小学生が聾者と手話で伝え合う体験を通じ「他者の理解」を深めることを目指した授業を行っています。また、観光客の多い京都市では、聴覚障がいのある観光客へのおもてなしを想定した「手話言語条例」を今議会で制定する予定です。観光手話ガイドの育成や、国際手話通訳の普及など具体策を検討しているそうです。四国では条例を制定している自治体はまだありませんが、現在、高知市が「手話言語条例」の制定に向けて準備を進めており、手話を普反させて、使いやすい環境をつくることを目的に本年度中の施行を目指しています。まずは学校や町内会での手話学習会や、市職員の手話研修の強化などから着手する方針とのことです。

聾の皆さまは十分な意思疎通ができないことがあり、職場や地域で孤立する聴覚障がい者の生活はすごく楽になるとも言われています。手話の理解・普及および地域における手話を使用しやすい環境の構築によって、地域や職場などにおいて聾者と健聴者の心を繋ぎ、心豊かに暮らすことができる地域社会の実現、お互いが個性を尊重しあう共生社会の実現に繋がると思います。四国最大の都市である本市として、手話言語条例を制定し、積極的に手話の普及啓発をするべきと考えます。

先日、手話団体の皆さまや聴覚障がいの皆さまが、昨年の福祉関係の大会において野志市長が手話を使ってご挨拶されたことをとても喜ばれていました。これからも市長が積極的に手話を使っていただき、手話について市民の関心が高まるよう取り組んでいただけますようお願い申し上げ、以下4点質問いたします。

   

1点目の質問として手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理角や普及および地域において手話を使用しやすい環境の構築することについての市長の認識、また手話言語条例制定についてのお考えをお聞かせください。              

 

2点目の質問として、他市では聴覚障がいのある来庁者への対応力を向上させようと、市職員向けの手話研修を実施する自治体が増えています。本市においてもこうした取り組みをするべきと考えますが。ご所見をお聞かせください。

                                                                             

3点目に災害時において、聴覚障がい者への対応のため本市の女性消防団員は手話を学んでいますが、地域防災において聴覚障がいの皆さんと触れ合う機会が多いのは自主防災組織や民生児童委員であると思います。聴覚障がい者に安心していただくためにも、地域の防災士や民生児童委員向けに手話についての研修会を実施してはいかがでしょうか。ご所見をお聞かせください。

 

   

2015(平成27)年 9月定例会(9月16日) 定例会会議録6号

 

◆太田幸伸議員 皆様おはようございます。公明党議員団の太田幸伸でございます。通告書に従いまして、一括方式で質問をさせていただきます。市長並びに理事者の皆様の明快な御答弁をよろしくお願いを申し上げます。今回は、障がい者の皆様に関する課題について数点お伺いいたします。本年4月の統一地方選挙で、2名の聴覚障がいがある女性議員が誕生しました。1人は筆談ホステスでも有名な東京都北区の斉藤区議、もう一人は私の出身の兵庫県明石市の家根谷市議であります。お二人とも6月議会で音声変換ソフトによる読み上げや手話通訳により初めての一般質問をされ頑張っておられます。日本の障がい者の数は、約740万人、全人口の約6%ですが、障がいがある政治家の数は、先ほどの2人を含め全国で9名だそうです。国会議員はゼロで、全て地方議員です。こうした現状もあるのか、障がい関係の支出規模の国際比較を見ても、日本の障がい者政策は、世界の主要国と比較しておくれていると言われています。障がい者の皆様の意見がまだまだ政治に反映されていないのが今の現状です。明治時代、盲人の身で初めて自治体の首長になった余土の偉大な政治家、森 盲天外先生は、目が不自由であることを理由に、知事に村長の就任を反対されました。しかし、盲天外先生は、障がいがある人が公職につく権利を失ってはいけないと知事に対し情熱を持って必死に訴え続けました。知事は、その情熱に感動し、涙ながらに村長の就任をお願いしたそうです。こうした先人に学び、私も微力ながら障がい者政策の向上を訴え続けてまいりたいと決意をしております。9年前に障がい者の人権や尊厳を守る障害者権利条約が国連総会で採択されましたが、日本は条約の批准をする前に、障がい者関連の制度改革をするべきとの世論を背景に、障害者基本法、障害者総合支援法の改正・成立、そして一昨年、障害者差別解消法の成立と障害者雇用促進法の改正が実施され、昨年、ようやく世界141番目の障害者権利条約の締約国になりました。これにより、日本の障がい者政策が、大きく前進することが期待をされております。また、再来年2017年には、本県におきましても、えひめ国体とともに開催されます全国障害者スポーツ大会、2020年には東京パラリンピックが開催されます。障がい者の皆様の活躍を祈念するとともに、障がいに対する理解が大きく前進することを期待しつつ、以下質問をさせていただきます。初めに、障害者差別解消法についてお伺いいたします。2013年6月26日に公布された障害者差別解消法は、障がいを理由とする差別の解消を推進するための基本的事項や国の行政機関や地方公共団体及び民間事業者の障がいを理由とする差別解消の措置について規定し、全ての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、お互いに人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を目的としています。来年4月の施行まであと半年となり、本市においても、職員の対応要領など、さまざま取り組んでおられると思います。質問の1点目ですが、法で策定を求めている職員の対応要領について、内容や完成までのスケジュール、相談体制の構築、市職員への研修などの取り組みについてお聞かせください。

 職員の対応要領作成の上で大切なことは、国から示された基本方針や対応要領を参考にするだけではなく、障がい者の皆様のスローガンになっている「私たちのことを私たち抜きに決めないで」のとおり、本市の障がい者の皆様の意見をできる限り反映させていくことが、実態に合った対応要領になると思います。他市では、対応要領策定に当たり、障がい者の皆様にアンケート調査を実施し、市役所や市関連施設の利用や窓口の対応において、こうしてほしいと感じていることやよかったと感じていることなどの情報収集を実施しています。こうした取り組みは、本市においても実施すべきと考えます。2点目の質問として、アンケート等を実施し、障がい者の皆様の具体的な意見を反映させることについての御所見をお聞かせください。

 また、法律では、制度の谷間やたらい回し等を防ぎ、地域全体で情報を共有しながら、差別の解消に向け主体的に取り組み、関係する機関のネットワークが構成されるよう、障害者差別解消支援地域協議会を組織することができるとあります。他市では行政関係者のほか、さまざまな障がい者団体、学識経験者、弁護士、医療、商工会議所などで構成をしております。特に、当事者の障がい者団体が入ることが重要であると思います。3点目の質問として、本市において、支援協議会の設置についての考えとまたその構成員についてどのように考えているのか、御所見をお聞かせください。

 来年4月の施行に向け、特に重要なことは、法律の15条にもあるとおり、この法律を市民の皆様に周知啓発していくことだと思います。障がい者の差別を解消するためには、一人でも多くの皆様にしっかりと理解をしていただかなくてはいけません。啓発の取り組みとして、市の広報やホームページ、ポスター、パンフレットの掲示や配布のみでは、理解していただくレベルに達するのはわずかではないかと危惧をいたします。例えば、4月の法律施行に向け、障がい者差別の理解促進のためのフォーラムやセミナーの開催、公民館等での学習会の開催を実施してはいかがでしょうか。しっかりと理解していただく市民をふやしていくことが、本市における差別解消の拡大につながっていくと思います。4点目の質問として、障害者差別解消法の啓発活動の取り組みについて御所見をお聞かせください。

 来年4月の法施行を目前に控え、全国的に障がい者の差別解消の取り組みの機運が高まっていますが、現在、11の道府県、市ではさいたま市、八王子市、別府市の3市、合計14の地方自治体が障がい者差別解消に関する条例を策定しており、その他の自治体でも条例の策定を検討するところがふえてきているようです。本市においても、障がい者団体の皆様を初め、多くの皆様が条例の策定を望んでおります。5点目の質問として、本市として障がい者の差別解消に関する条例の策定についての考えをお聞かせください。

 次に、障がい理解教育についてお伺いいたします。以前、ある障がいがある子どもさんのことで泣きながら御相談をお受けしたことがあります。その子どもさんは、障がいがありますが、少しでも自立できるように努力しようと大変な状況の中、列車に乗って障がい者の就労施設に通っていました。そうした中、列車の中で何度となく通学中の子どもたちに心ない言葉の暴力を受けたそうです。本当につらい、苦しい状況でしたが、お母様が何度も何度も必死に励まし、その子どもさんは今も元気に通っていらっしゃいます。そのお母様はおっしゃいました。どんなにまちが発展しようが、豊かになろうが、こうした弱い立場の人間を平気で踏みにじるような子どもがふえれば、未来はないのではないでしょうかと。本当にそのとおりだと思いました。差別は暴力であります。差別を許す社会は病める社会であります。思いやりのある心豊かな子どもたちを育てるのは、我々大人の責任です。教育が重要です。子どもたちが障がいについて正しい知識を持ち、正しい行動ができるよう、教育できる環境づくりが重要であります。障がいの理解教育の方法は、車椅子体験や目隠し体験など、疑似体験が一般的ですが、安易な疑似体験は、かえって障がいに対する恐怖心をあおるなど逆効果の場合もあるとお聞きしました。他市では、養護学校の先生や障がいのある御本人が介助犬とともに子どもたちに話をする出前授業をするなど、さまざま取り組んでおります。障がいの理解教育で重要なことは、障がいに関する具体的な知識を与え、その知識をもとに自分が何をすればよいのかを考えさせる教育が大切であると言われております。また、単発で終わるのではなく、継続的な取り組みが大事であるとも言われております。本市においても、こうした視点で、より一層の障がいの理解教育に力を入れるべきと考えます。質問として、本市の障がい理解教育の現状と課題、今後の取り組みについてお聞かせください。

 次に、障がい者の医療についてお伺いいたします。障がい者の皆様よりよく御要望いただくのが、障がい者医療についてであります。現在、本市の重度心身障害者医療費助成制度は、身体障害者手帳の場合だと、所得制限なしで1級、2級のみが対象です。例えば、片足を切断した障がい者の方は、素人判断だと対象ではないかと思ってしまいがちですが、片足の切断では3級に該当し、本市では医療費助成の対象にはなりません。同じ四国の高松市のように、所得制限を設け、対象範囲を4級まで拡大している先進的な自治体もありますが、全国的には3級まで拡大するところがふえつつあります。そこで、質問ですが、本市の重度心身障害者医療費助成制度について、対象拡大についての御所見をお聞かせください。

 次に、障害者優先調達推進法についてお伺いいたします。就労施設で働く障がい者や在宅で働く障がい者の経済的な自立を進めるため、国や地方公共団体などが物品やサービスを調達する際、障害者就労施設から優先的、また積極的に購入することを進めるための法律、障害者優先調達推進法が施行されて2年半がたちました。各自治体もさまざま知恵を出し、取り組んでいるところもふえているようです。しかし、積極的な自治体とそうでない自治体の格差もかなり生まれているともお聞きをします。本市でも私が昨年6月の議会で提案しました障がい者施設ごとの仕事のリストを、四国の自治体では初めて作成していただき、発注拡大への環境づくりをしていただいております。また、先日訪問した高松市では、各課に優先調達の推進員を配置し、発注額が毎年、飛躍的に伸びております。障がい者の自立促進のために、一層の取り組み強化の必要性を感じております。1点目の質問ですが、本市の各課の優先調達の実績をお示しください。

 2点目の質問として、本市の各課に優先調達の推進員を配置してはいかがでしょうか、御所見をお聞かせください。

 次に、市職員の障がい者の雇用についてお伺いいたします。差別解消法とともに、来年4月に改正障害者雇用促進法が施行されます。民間企業の理解も進み、障がい者の皆様の雇用環境も年々拡大をしております。厚労省によりますと、昨年度の障がい者の就職件数は8万4,602件で、5年連続過去最高を更新している状況です。法施行に伴い、官民ともに一層の拡大が進むことが期待をされております。1点目の質問ですが、本市職員の障がい者雇用の現状と今後の拡大の考えがあるのか、御所見をお聞かせください。

 また、本市の障がい者採用試験の要領では、受験資格の中で、自力により通勤ができ、かつ介護者なしで一般事務職の職務遂行が可能な者等の条件をつけております。改正障害者雇用促進法では、募集や採用に関し、障がい者に対してだけ不利な条件を与えることを禁じております。他市では、自力で通勤できるは業務遂行には関係ないとして廃止し、介護者なしで職務遂行できる等についても見直しを検討し、より多くの障がい者の受験が拡大するよう取り組んでおります。2点目の質問として、本市職員の障がい者採用の受験資格も、改正障害者雇用促進法の規定にのっとり、条件を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお聞かせください。

 最後に、身体障がい者補助犬についてお伺いいたします。補助犬には、目の不自由な方をサポートする盲導犬、肢体不自由の方をサポートする介助犬、そして耳の不自由な方をサポートする聴導犬があります。2002年に施行された身体障害者補助犬法は、ことしで13年目になりますが、まだまだ理解が進んでいない現状です。特に、聴導犬は、全国でも61頭しか普及してない状況ですが、今月9月1日、愛媛県で初めての聴導犬が誕生しました。聴導犬は、目覚ましの時計の音や玄関のチャイムの音、非常ベルの音、また子育て中のお母さんには赤ちゃんの泣き声など、聴覚障がい者の耳としてサポートをいたします。愛媛県第1号の聴導犬の贈呈を受けた本市在住の大学職員の太田さんは、アメリカ滞在中に火災に巻き込まれた際、火災報知機の音が聞こえなかった経験を通じ、聴導犬の利用を決めたとのことでした。障がい者の皆様の生活力が向上するよう、今後、聴導犬等の補助犬のさらなる普及、また理解が進むことが大切であります。7月に障がい福祉課の職員の皆様向けに、介助犬、聴導犬の理解のための研修会をしていただきましたが、他の職員や市民の皆様にも身体障がい者補助犬の理解が広がることが重要であります。最後の質問として、市職員や市民に身体障がい者補助犬の理解が進むよう、啓発の取り組みに力を入れるべきと考えますが、御所見をお聞かせください。先日、読んだ本に、「苦しんでいる人がいる限り、自分も安閑とはしていられない。この感覚こそ人権意識の核である」とありました。差別のない共生社会の実現のため、本市が人権意識の高さで先進市となることを願い、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました

 

◎野志克仁市長 太田議員に、私からは市職員の障がい者の雇用について及び身体障がい者の補助犬についてお答えします。

 現在、国では、全ての国民が、障がいの有無で分け隔てられることなく、お互いに人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会の実現を目指して、障がい者制度の改革が進められています。松山市では、福祉に関する相談や申請がワンストップでできる福祉総合窓口を平成24年7月に市役所別館1階に開設しました。また、市内2カ所に地域相談支援センターを設置し、身体、知的、精神障がいに加え、発達障がい、難病、虐待などのさまざまな相談に総合的に対応しています。さらに、ことし3月には、「自分らしく いきいきと 笑顔で暮らせるまち まつやま」を基本理念とする障害者計画を策定し、障がいのある方々を地域全体で支え合い、誰もが住みなれた地域でいきいきと笑顔で暮らせるまちづくりを目指し、福祉サービスの充実や就労の支援などに積極的に取り組んでおります。

 そこでまず、市職員の障がい者の雇用についてですが、本市では、平成14年度から、身体障がい者の方を対象にした一般事務の正職員採用試験を開始しました。その後、手話通訳者の配置、筆談での応対、試験問題の文字拡大、点字での受験など、広く受験者の要望に応じられるよう努めてまいりました。また、平成22年度には、身体障がい者に限らず、障害者手帳の交付を受けている全ての方を対象にして受験資格を拡大し、現在までに18名を採用しています。あわせて、平成20年度から、障がい者の方を対象にした技能労務職の臨時的任用職員採用試験も開始し、現在までに52名を採用するなど、積極的に採用しており、今後も障がい者雇用の拡大につながるよう努めてまいります。また、改正後の障害者雇用促進法の規定に基づき、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針が告示され、平成28年4月1日に施行されることになっていますので、他団体の状況や指針の内容を参考に、受験資格の見直しなどについて検討したいと考えております。

 次に、身体障がい者の補助犬についてお答えいたします。

 先日、愛媛県で初めて、聴導犬ベルが、聴覚障がいのある方へ贈呈されたと伺い、私も大変うれしく思っており、障がい者をサポートする盲導犬や介助犬、聴導犬が地域で活躍することは、市民の障がいに対する正しい理解につながると期待しています。これまでも本市では補助犬の啓発のために、市庁舎を初め、支所、公民館などの市有施設に補助犬ステッカーの掲示やリーフレットを設置するとともに、市のホームページを活用し、補助犬に関する情報を発信しています。今後も、障がいのある方の自立や社会参加に欠かせない補助犬について、市民にもっと知っていただけるよう、広報紙なども活用しながら周知・啓発に努めてまいります。

 そのほかの質問につきましては、関係理事者からお答えいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

 

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