手話はいのち!周南市手話言語条例

 

市長と記念写真

 

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手話を通じて市議会を傍聴する市聴覚障害者協会の役員ら=18日、周南市役所手話を通じて市議会を傍聴する市聴覚障害者協会の役員ら=18日、周南市役所

 山口県周南市議会は、2020年9月18日、聴覚障害者のために手話の普及啓発と利用促進に取り組む「手話いのち!周南市手話言語条例」案を可決した。施行は公布日。

 

提案理由

平成28年度に手話奉仕員養成講座を開設以降、聴覚障がい者団体等から条例制定の要望が高まったこと、また、本市障がい者計画において「障がいのある人もない人も共生できる社会の実現」を基本理念としており、条例を制定することにより市民の手話への理解を深め聴覚障がい者の福祉の向上を図るため。

 

同条例は、市が手話習得の機会を確保し、市民が地域で手話を使用しやすい環境構築に努めることなどを定めている。

 3年前から市に条例制定を要望していた周南市聴覚障害者協会(塚原辰彦会長、約30人)の役員6人と市手話通訳者派遣協会や手話サークル周南ひまわりの会、新南陽手話さくらの会の通訳者ら約10人が傍聴し、通訳者の手話を見て、うなずきながら条例が可決される様子を見守った。


 周南市聴覚障害者協会の塚原会長(45)は「本当に感動してうれしい限り。早く会員に伝えて喜びを分かち合いたい。聞こえない人にとって手話は一番大切な言語。たくさんの市民に知ってもらいたい」と話した。

  手話言語条例は
山口県が2019年制定しており、県内市町では萩市に次いで2番目。全国では362例目

 

 市の人口は、141,409人(男性;68,799人/女性;72,610人)、68,300世帯(2020年3月31日現在)。

 

  市の直近の聴覚・平衡障がい手帳所持者数は、399名。うち、日常的に手話を使用するろう者は約10名(2020年3月31日現在)。

 

 条例関連の施策と予算額は以下の通り。

 2020年度(現行)

  ・手話通訳者派遣(市登録者)        380千円

  ・手話奉仕員養成講座委託事業       340千円

  ・意思疎通支援者派遣事業(県委託)    180千円

  ・手話通訳者養成事業(県講座)補助金   160千円

  ・窓口手話通訳者配置            2,769千円

 

条例施行後、周知のためのポスター、チラシ作成として  35千円

 

 2021年度以降計画している施策

  ⑴ 手話を学ぶ機会の確保

@市民や職員向けミニ手話講習会、啓発事業の新設

A手話ポスターやハンドブックの作成・配布

⑵ 手話通訳者等の確保、養成

@手話通訳者養成・派遣事業の充実(予算増額等)

A意思疎通支援の拡充

B手話通訳者等の研修の拡充

⑶ 手話を使いやすい環境の整備

@相談体制の整備や生活支援

A市主催の講演会、行事、市政情報の発信等における情報提供の際の手話通訳の配置

⑷ 事業者への支援

@手話に対する理解の促進等に関する支援で、聴覚障害者への意思疎通を容易にするコミュニケーションボードを市内店舗へ配布する

⑸ 学校における手話の普及

 @手話の授業の取入れ

 

 

手話はいのち!周南市手話言語条例制定について2

手話はいのち!周南市手話言語条例を次のように定める。

令和2年9月1日 提出

周南市長 藤 井 律 子

 

手話はいのち!周南市手話言語条例

 

手話は、ろう者にとって「いのち」であり、不可欠な言語です。

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきました。

手話は、音声言語と異なり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできました。

しかしながら、これまで手話が言語として認められない時代があったこと、手話を使用することができる環境が十分に整えられてこなかったことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることも十分なコミュニケーションをとることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。

こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語として位置付けられましたが、手話に対する理解の広がりをいまだ感じる状況に至っていません。

したがって、手話の理解と広がりをもって、地域で支え合い、手話を使って安心して暮らすことができるまちづくりが必要です。

ここに、私たちは、障害者基本法等の理念を基に、ろう者の生活に不可欠な言語である手話の普及及び習得の機会の確保を図り、ろう者を含む誰もが尊重し合い、心豊かに安心して暮らすことができる周南市を目指し、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及及び習得の機会の確保に関し、基本理念を定め、地域において手話を使用しやすい環境の構築のため、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、聴覚障害者のうち手話を使用して日常生活又は社会生活を営む者をいう。

 

(基本理念)

第3条 手話の普及及び習得の機会の確保は、手話が言語であること、ろう者が手話により意思疎通を円滑に図る権利を有していること及びその権利を最大限尊重することを基本として、行われなければならない。

 

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、手話の普及及び習得の機会の確保を図り、ろう者が生活する場面で手話による意思疎通ができ、自立した日常生活及び生き生きと社会参加できる環境を保障するために、必要な施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

 

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市の施策に協力するとともに、地域において手話を使用しやすい環境の構築に努めるものとする。

 

(施策の推進)

第6条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

() 手話に対する理解の促進及び手話の普及を図るための施策

() 手話の習得の機会の確保を図るための施策

() 手話通訳者の確保及び養成を図るための施策

() 教育の場における手話に親しむ取組その他手話への理解促進のための施策

() 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

 

2 市は、前項の施策の推進に当たっては、ろう者その他の関係者と協議の場を設けるものとする。

 

(財政措置)

第7条 市は、手話の普及及び習得の機会の確保に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(委任)

第8条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

 

附 則

この条例は、公布の日から施行する。

 

 

 徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町は、合併により2013(平成15)年421日から周南市として生まれ変わり、「県勢発展をリードする−元気発信都市−の創造」を基本目標とした新たなまちづくりがはじまっている。

 

 市の南部は瀬戸内海に面し、国際拠点港湾である徳山下松港とともに、主要産業である重化学工業企業が多数立地しており、これに接する形で市街地が形成されている。また、港は複数の島に囲まれており、一部は定期航路が設定されている。一方北部は中国山地の一部にあたり、農村地域が点々と存在している。

 

なお、市は、2020617日(水曜日)から717日(金曜日)までパブリックコメントを行い、2人から、39件の意見が出され、条例案の一部が修正された意見と市の考え方

 

 市の人口は、141,409人(男性;68,799人/女性;72,610人)、68,300世帯(2020年8月末現在)。

 

市の障害者手帳所持者数は、2014(平成26)年4月1日現在で7,220人、総人口に対して約5%の障害者手帳所持率となっており、2009(平成21)年度と比較すると433人、6.4%増加している。

 

内訳は、身体障害者手帳所持者が130人、療育手帳所持者(知的障害者)が140人、精神障害者保健福祉手帳所持者が163人の増加で、増加した割合は、身体障害者手帳所持者2%、療育手帳所持者15%、精神障害者保健福祉手帳所持者30%となっている。

 

種類別身体障害者手帳所持者数は、2014年4月1日現在で「肢体不自由」が2,919人で最も多く全体の53.5%を占めており、次に、「内部障害(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう又は直腸、小腸、免疫、肝臓の機能障害)」が1,630人で、全体の29.9%。このほか、「聴覚・平衡障害」が431人、「視覚障害」が392人、「音声・言語機能障害」が88人となっている。

 

第4期周南市障害福祉計画

 

 

 

 

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