兵庫県篠山(ささやま)市;みんなの手話言語条例

 

条例可決の日の市議会前の情景(動画) 市議会手話研修会

 

2019年5月「丹波篠山市」へ市名変更予定

 

 

 

酒井隆明市長日記

 

2月市議会が閉会しました。

みんなの手話言語条例、農都創造条例、ふるさとの森づくり条例など議決して頂きました。

いずれも、篠山市ならではの独自性のある条例です。

なかでも、みんなの手話言語条例の審議には、多くのろうあ関係の皆さんが傍聴に来られ、期待の大きさを感じます。

この篠山市の条例が他の自治体にも広がって社会全体の取り組みになればと願います。

 

2014年11月26日(水)、第98回篠山市(丹波篠山)市議会12月定例会において、耳の不自由な人が暮らしやすい地域社会の実現を目指す「篠山市みんなの手話言語条例」案が提出され、提案説明においては、前田保健福祉部長が手話で行った。

 

 

手話言語条例案は「手話は言語である」と明記し、手話を使いやすい環境にするための施策の推進などを市の責務とし、市民にも協力を求める。

 

議場では保健福祉部の前田公幸部長と地域福祉課の福西寿美子課長補佐が手話で提案理由の説明などを行った。傍聴席には丹波ろうあ協会の人たち6人が入り、手話を見つめた。議場で手話による発言があったのは3回目。

 

 

前田公幸部長

 

 篠山市では、2014年5月28日に、有識者や聴覚障害者、手話通訳者らでつくる条例検討委員会を発足させ、検討が重ねられてきた。

 

 検討委員会は、兵庫県聴覚障害者協会の嘉田眞典理事、丹羽ろうあ協会の大内和彦会長ら、計14名でメンバー構成され、会長には協会の嘉田理事、副会長には兵庫教育大学の鳥越隆士教授が選出された。

 

条例検討委員会(前列左から3人目が嘉田委員長

 

同委員会で酒井市長は「大きな課題は市民の関心と理解。今後いろんな機会を通じ、手話が言語であることの理解を深め、ろう者が社会参加できる環境づくりをしていかなければならない」と述べた。

 

また、丹羽ろうあ協会の大内和彦会長は「条例制定を期待している。条例制定を機に市民の理解が広がり、手話が当たり前の社会になってほしい」と語った。

 

 条例案は、民生福祉常任委員会に付託され、審議された後、12月19日(金)の本議会で可決され、2015年4月1日から施行される。

                       

 同様の条例は2013年10月8日、鳥取県が全国で初めて制定。2014年12月25日神奈川県でも可決された。兵庫県内では、2014年11月27日に近畿では初めて、加東市で制定され、篠山市が2番目となる(全国で8番目)。このほか、明石、三木市、神戸市などが2015年の提案を目指している。神戸市で実現すれば、政令指定都市では初めてとなる。

 

篠山市みんなの手話言語条例(2014年12月19日可決;2015年4月1日施行)

                            

 篠山市で暮らしているろう者は、市民として生活を営んできました。しかし、聞こえないため周りとの音声言語によるコミユニケーションや交流が難しく、また、十分な情報が得られないため、地域では暮らしにくく孤立しがちでした。聞こえる人も、ろう者のことを学び、理解する機会が少なく、ろう者に話しかけることをためらい、お互いが十分にわかり合うことができませんでした。    

 手話は、手指や体、表情等で視覚的に表現する言語で、ろう者の中で生まれ大切に育み受け継がれてきました。それは、日本語とは異なる独自の体系をもっています。そして、ろう者やろう者と係わる人たちは、手話が言語として広がり、市民が日常的に直接コミュニケーションするとともに、手話通訳などの情報保障によって、誰もが取り残されることのない社会にすることを願ってきました。                                                                 

 私たちは、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が言語として位置づけられたことで、手話を必要とするすべての人が、いつでも自由に手話を使える地域社会となるよう取り組まなければねりません。         

 ここに、市民が、手話が言語であることを理解し手話の広がりを実感することで、すべての人が社会参加するとともに、こころ豊かな住みよい篠山市となることをめざしてこの条例を制定します。 

 

(目的)           

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解及び普及に関し基本理念を定め、市の責務と市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、手話を必要とする市民が、あらゆる場面で手話による意思疎通を行い、自立した日常生活を営み、社会参加をし、安心して暮らすことのできる地域社会が実現することを目的とする。                                                            

 

(手話の意義)                                                         

第2条 手話は、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者がさまざまな知識を得てこころ豊かな社会生活を営むために、大切に受け継いてきたものであることを理解しなければいらない。                       

 

(基本理念)                                                          

第3条 手話の理解及び普及は、手話を必要とする市民が、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有L、その権利が尊重されることを基本として行われなければならない。                                                       

 

(市の責務)                                                                                                                            

第4条 市は、市民の手話に対する理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものとする。

 

(市民の役割)                                                                                                                         

第5条 市民は、手話の理解を深め、市が推進する施策に協カするよう努めるものとする。                                                                                                                       

 

(施策の実施)                                                                                                                         

第6条 市は、施作を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定するものとする。                                                                                                                 

2 施策の推進方針においては、次の事項を定めるものとする。                                                                              

 (1) 手話の理解及び普及に関する事項                                                                                                     

(2) 手話による情報取得及び手話の使いやすい環境づくりに関する事項                                                                       

 (3) 手話通訳者の配置又は派遣等意思疎通支援に関する事項                                                                              

 (4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項                                                                                 

 

(委員会の設置)                                                                                                                       

第7条 施策を推進するため、篠山市手話施策推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。                                                                                                                      

 2 委員会は、施策の推進方針及び実施状況について審議し、市長に意見を述べることができる。                                                                                                                     

 3 委員会は、15人以内で組織する。                                                                                                     

 4 委員は、ろう者団体、手話通訳者、公募市民、識見を有する者及び市長が適当と認める者の中から市長が委嘱する。                                                                                              

 5 委員の任期は、2年とする。ただし、捕欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。                                                                                                                          

 6 前項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。                                                                                                                       

 

(財政上の措置)                                                                                                                    

第8条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものする。                                                                                                                        

 

(委任)                                                                                                                              

第9条 この条例の施行に関して必要な事項は、市長が別に定める。                                                                         

                                                                                                                                          

  附  則                                                                                                                           

(施行期日)                                                                                                                           

1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。                                                                                             

(篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)                                                               

2 篠山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に閲する条例(平成11年篠山市条例第46号)の一部を次のように改正する。            

   別表障害支援区分認定審査合の項の次に次のようは加える。              

    手話施策推進委員会  委員     日額44, OOO円  

 

 

なお、篠山市議会では、2014年6月27日に、「手話言語法」制定を求める意見書が可決されている。

 

「手話言語法」制定を求める意見書

 

手話とは、日本語を音声ではなく手や指、体などの動きや顔の表情を使う独自の語彙や文法体系をもつ言語です。手話を使う聴覚障害者にとって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報獲得とコミュニケーションの手段として大切に守られてました。

しかしながら、ろう学校では手話は禁止され、社会では手話を使うことで差別されてきた長い歴史がありました。

 2006(平成18)年12月に採択された国連の障害者権利条約(条約第8号)には、「手話は言語」であることが明記されています。

 障害者権利条約の批准に向けて日本政府は国内法の整備を進め、2011(平成23)年8月に成立した「改正障害者基本法」では、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と定められました。

 また、同法第22条では、国・地方公共団体に対して情報保障施策を義務づけており、手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に広め、きこえない子どもが手話を身につけ、手話で学べ、自由に手話が使え、さらには手話を言語として普及、研究することのできる環境整備に向けた法整備を国として実現する必要があります。

 よって、政府と国会が下記事項を講ずるよう強く要望します。

 

 

 手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に広め、きこえない子どもが手話を身につけ、手話で学べ、自由に手話が使え、さらには手話を言語として普及、研究することのできる環境整備を目的とした、「手話言語法(仮称)」を制定すること。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

篠山市議会

平成26年6月27日

提出先 ・・・ 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣

 

篠山市の議会が、手話研修会 2015年1月26日

 

兵庫県篠山市の議会が2015年1月26日、手話研修会を開いた。市議が先頭に立って手話を覚えようと企画したという。

 

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 手話通訳者の市地域福祉課職員2人が講師となり、市議と議会事務局職員が聴覚障害者の不便さやコミュニケーション法などを習い、「お金」「ダメ」などの単語は一般的な身ぶり手ぶりと同じ、また、手話を使う際の注意点として「豊かな表情で」「口を大きく動かす」などとアドバイスを受けた後、実際に「私は篠山市議会議員の○○です」と自己紹介に挑戦。会合などのあいさつで使えるよう練習し、全員の前で1人ずつ披露。さらに「世界のみなさん こんにちは」などと手話で表現しました。

 受講した議員らは「難しかったが、学んでよかった」と話し、林茂議長は「議員が率先して手話を使うことで徐々に市民にも広がり、弱者に寄り添う温かいまちになれば」と語った。

 

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手話研修会(pdf)

 

 

音楽で「心のバリアフリー」を 篠山で21日祭典(2018年4月10日配信『神戸新聞』)

 

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手話で「I love you」を表すチラシを持ち、音楽祭をPRする実行委のメンバー=篠山市役所

 障害のある人もない人も共に音楽を楽しみ、「心のバリアフリー」を目指す「兵庫・篠山とっておきの音楽祭」(神戸新聞社など後援)が21日、篠山城跡(篠山市北新町)周辺12会場で催される。今年は全国から過去最多の約500人が出演し、ろうあの人たち専用のステージも設けられる。 音楽祭は2001年に仙台市で始まり、現在では全国18カ所で開かれている。県内の開催地は篠山のみで、障害者だけでなく趣旨に賛同するアーティストら計95組が100のステージを繰り広げる。
 神戸市の事業所「たんぽぽ」で働く障害者がアフリカン太鼓を演奏するほか、片手だけでピアノを演奏し、国際的に活躍している月足さおりさんも登場する。東日本大震災の復興ステージも設けられ、被災地からプロ・アマを問わず、音楽家が駆け付ける。
 また、今年から市役所前に「手話うたステージ」が設けられ、丹波ろうあ協会や篠山市内の手話サークルによる企画が終日催される。手話うたをはじめ、手話による漫談や落語があり、聴覚障害者への理解を深めてもらう。
 実行委員長の小西達也さん(姫路市)は「こちらから誘っていないのに、出演希望者がどんどん増えて驚いている。みんなが音楽の力で一つになればうれしい」と思いを語った。
 入場無料。午前10時15分〜午後4時50分。実行委事務局長の山中信彦さんTEL090・8231・0100

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チラシ表ここをクリック(タップ)

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ちらし裏ここをクリック(タップ)

 

 

「市の名前変えます」 「丹波篠山市」へ市が変更の意志まとめる/兵庫・篠山市(2018年8月1日配信『丹波新聞』)

 

市名を「丹波篠山市」とする意思を決めたと発表する篠山市の酒井市長=2018年8月1日午前10時1分、兵庫県篠山市北新町で

 

 兵庫県篠山市は1日、同市役所で記者会見し、同市の市名に京都と兵庫にまたがる旧国名の「丹波」を冠した「『丹波篠山市』に変更する意志を決めた」と発表した。今後、市名変更の条例を市議会に上程。新元号に移行する来年5月1日の変更を見据える。自治体の合併を伴わない市名の変更は非常に珍しいケースとなる。

 お節料理に代表される丹波黒大豆の発祥の地で、日本六古窯の一つである丹波焼の里、民謡・デカンショ節のまち。同市は、1999年の市制発足以前から、特産をはじめとするまちづくりの多くに、「丹波国の篠山」を略した「丹波篠山」を用いてきた。

 しかし、04年、隣接する同県氷上郡が合併して、「丹波市」となったことを機に、「丹波篠山」が「丹波市と篠山市」と誤解されるようになったことや、「黒大豆の本場は丹波市」などと言われることも出てきたことから、以前から「丹波篠山のブランドを守るべき」との声があり、昨年2月以降には、商工会や観光協会、JAなどの団体が、市に対して「丹波篠山市」への変更要望書を提出してきた。

 市は今年4月、市名を変更した場合の経済効果を「52億円以上」と発表。その後、変更に前向きな姿勢を持つ酒井隆明市長らが市内各地区で説明会を開催してきた。一方で、現状維持を望む市民もおり、「市名変更問題」に発展した。

 会見で市は、変更を決めた理由について、▽「丹波篠山」は全国的に圧倒的に優位な魅力あるブランド▽「丹波篠山」がどこを指すのか混乱、誤解が広がっており、先人から受け継いだ「丹波篠山ブランド」を守るため▽変更した場合、農業、観光など地域経済の活性化につながる―などとした。また、地域の主要団体の多くが要望していることや、説明会で行ったアンケートの結果などから、「多数の賛成を得ている」と判断した。

 また、「人口減少社会にあって地域資源をいかしたまちづくりが求められる今、『丹波篠山』という名称は何物にも代えることができない資源。このことを自覚し、市民みんなで『未来志向』で考え、ともに『丹波篠山市』として盛り上げていきたい」とした。

 一方、市民の間から、市の条例に則った「住民投票」で、「篠山市のままか、丹波篠山市にするのかを決めたい」という動きもあり、市は、「(住民投票の請求に必要な)署名活動が今にも始まるというならば、市議会への上程を見合わせ、行方を見守る」とし、「署名が集まらない時や、活動が始まらないならば、直ちに上程する」とした。

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