荒川区手話言語条例
東京都荒川区議会は、2018年7月5日の本会議で区長提案の、「手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備について基本理念を定め、区、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、手話に関する施策の推進に係る基本的な事項を定める」荒川区手話言語条例案を可決した。施行は7月17日。
手話を言語と認めることで人々の理解が進み、防災や医療の分野などで手話による情報提供が充実するといった効果が期待できる。
手話言語条例は2013年、鳥取県が初めて制定。2018年7月5日現在、22道府県/140市/2区/19町の計183自治体に広がった。
23区では、千代田区が手話を含む障害者とのコミュニケーションに関する千代田区障害者の意思疎通に関する条例(条例の名称には「手話」使用していない)を2017年10月に施行しており、江戸川区でも手話言語条例制定され、2020年パラリンピックを見据え、障害者も暮らしやすい共生社会を形成するための取り組みが広がりつつある。
なお、東京都は2018年6月制定(10月1日施行)の「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」で、都と事業者には障害者への合理的配慮を義務づけ、差別の訴えを解決する体制整備のほか「言語としての手話の普及」にも言及している。
全日本ろうあ連盟の久松三二(みつじ)事務局長は、東京での条例制定の動きに「全国の自治体にも波及効果が期待できる」と指摘。「制定後は、地域の聴覚障害者団体などの意見を施策に十分に反映させていく必要がある」と注文している。
本日、荒川区役所内議会にて荒川区手話言語条例が午前10時38分に可決されました。都内23区として江戸川区に続き2番目の手話言語条例が出来たことは、喜ばしいです。 |
議案第1号 荒川区手話言語条例 上記の議案を提出するロ 平成30年6月20日 提出者 荒川区長 西川 太ー郎 荒川区手話言語条例 手話は、独自の文法に基づき、手、指、体等の動きや表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者にとっての手話は、第ーの言語であり、コミュニケーションの手段であると同時に、アイデンティティであり、命である。 しかし、ろう者は、これまで手話が言語として認められず、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったこと等により、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。 こうした状況の中で、手話は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において言語として位置付けられ、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備に取り組むことが求められている。 荒川区は、手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する施策を推進し、全での区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現を目指して、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備について基本理念を定め、荒川区(以下「区」という。)、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的な事項を定めるニとにより、金ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。 (基本理念) 第2条 手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備は、ろう者が安心して日常生活を営み、地域において社会参加をし、全ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現を目的としで行われるものとする。 2 手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備は、手話は言語であるとの認識の下に、積極的に推進されるものとする。 (区の責務) 第3条 区は、手話に関する理解を促進し、手話を普及し、及ぴ手話を使用しやすい環境を整備するために効果的な施策を講ずるものとする。 (区民の責務) 第4条 区民は、手話に関する理解を深めるよう努めるものとする。 2 区民は、区が実施する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (事業者の貴務) 第5条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供するとともに、働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。 2 事業者は、区が実施する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。 (施策の策定等) 第6条 区は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画において、次に掲げる施策を策定し、これを総合的かつ計画的に実施するものとする。 (1) 手話に関する理解の促進及び手話の普及に関する施策 (2) 手話により情報を取得し、及び共有する機会の拡大に関する施策 (3) ろう者の社会参加の促進に関する施策 (4) 前3号に掲げるもののほか、区長が必要と認める施策 (災害が発生したときの支援) 第7条 区は、災害が発生したときは、ろう者に対し、手話により情報を取得し、及び共有するための支援を行うよう努めるものとする。 (委任) 第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、荒川区規則で定める。 附 則 この条例は、公布の日から施行する。 提案理由 手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備について基本理念を定め、区、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、
手話に関する施策の推進に係る基本的な事項を定めるため、この条例案を提山いたします。 |
パブリックコメント(2018年2月11日(日)〜2月26日(月)
障害者基本法(昭和45年法律第84号)第3条において、「全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」の実現は、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること」などを旨として図るものと規定しています。この規定のうち「言語(手話を含む。)」という部分には、手話が言語に含まれるという考え方が明記されています。
このように障害者基本法に規定されていることなどを鑑みると、手話が言語であるとの認識の下に、手話に関する対する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備に一層取り組んでいく必要があると考えます。
そのため、荒川区では、(仮称)荒川区手話言語条例を制定することといたしました。
この度、この条例を制定するに当たり、(仮称)荒川区手話言語条例の素案の骨子を作成しましたので、荒川区パブリック・コメント手続要綱に基づき、御意見を募集します。
1 目的
この条例は、手話は言語であるとの認識の下に、手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備について基本理念を定め、区、区民及び事業者の責務を明らかにするとともに、手話に関する施策を推進するための基本的な事項を定めることにより、全ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
2 基本理念
(1) 手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備は、ろう者が安心して日常生活を営み、地域において社会参加をし、全ての区民が相互に尊重し、心豊かな生活を営むことができる地域社会の実現を目的として行うものとする。
(2) 手話に関する理解の促進、手話の普及及び手話を使用しやすい環境の整備は、手話は言語であるとの認識の下に、積極的に推進されるものとする。
3 区、区民及び事業者の責務
(1) 区の責務
区は、手話の理解を促進し、手話を普及し、及び手話を使用しやすい環境を整備するために必要な施策を講ずるものとする。
(2) 区民の責務
区民は、手話に関する理解を深めるとともに、区が実施する施策に協力するよう努めるものとする。
(3) 事業者の責務
事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供するとともに、働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
4 施策の策定等
区は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画において、次に掲げる施策を策定し、これを総合的かつ計画的に実施するものとする。
(1)手話に関する理解の促進及び手話の普及に関する施策
(2)手話により情報を取得し、及び共有する機会の拡大に関する施策
(3)ろう者の社会参加の促進に関する施策
(4)(1)から(3)までに掲げるもののほか、区長が必要と認める施策
5 災害が発生したときの支援
区は、災害が発生したときは、手話による情報の取得及び共有を必要とする者に対し、手話により情報を取得し、及び共有するための支援を行うよう努めるものとする。
6 委任
この条例の施行に関し必要な事項は、区長が別に定める。
東京都の特別区のひとつで、23区東部に区分され、低地に発達した地域の荒川区は、職住近接形態が多く、人口密度も高い下町としての特色を強く残す一方で、工場跡地を活用した大規模な再開発や公園整備が行われている。
特に、これまで都営団地くらいしかなかった南千住地区の再開発は都内最大級の規模となっている。これに伴い、超高層マンション・超高層ビルの建設ラッシュが続いているため、若いファミリー層を中心とした人口流入が続いている。
荒川区の人口は、214,646人、114,208世帯(2018年2月1日現在)。
荒川区で障害者手帳を所持する人の等級別人数及び障がい別人数は、次表のとおり(2011年3月31日現在)。
障がいの種別では、肢体不自由が最も多く、次いで内部障がい、聴覚・言語障がい、視覚障がいの順。障がいの程度については、1、2級の重度障がい者が3,965人で全体の50.2%(2014年10月31日現在)。