京都府;古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例

 

 

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手話への理解の促進や普及を図り、地域において手話が使いやすい環境を構築することで、ろう者とろう者以外の全ての市民が、共にいきいきと暮らせる地域社会の実現を目ざし、向日市(むこう)市手話言語条例の制定を進めていた京都府向日市は、2016年11月28日に条例案を議会に提出し、12月19日可決された。

 

条例名は、古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例。

 

施行は2017年3月3日。

 

手話条例の制定は、手で輪を広げる城陽市手話言語条例京都市手話言語がつなぐ心豊かな共生社会を目指す条例に続き京都府内で3市目。全国で64番目

 

条例は、「市民の手話への理解の促進と手話の普及を促進するために、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、聴覚障がいの有無に関わらず、安心して暮らし続けられる共生社会の実現を目指す」ことを目的に市は、「市民があらゆる場面で手話による意思疎通ができる環境を整備するため、必要な施策を推進する」。そのため市は、必要な財政上の措置を講ずるよう努める」としている。

 

京都府向日市は、京都盆地の南西端に位置し、市域をほぼ縦断する形でJR東海道本線・阪急京都本線が貫いている。なお、面積は7.72km2で、全国の市では、蕨(わらび)市、狛江(こまえ)市に次いで、3番目に狭い。北西東を京都市と接し、南を長岡京市と接している。

 

かつては山城国(やましろのくに)乙訓郡(おとくにぐん、おとくにのこおり)に属し、第50代桓武(かんむ)天皇の勅命により長岡京(現・向日市、長岡京市、京都市西京区)が設置された。

 

現在、タケノコの産地として著名であるが、そのほか、京野菜の千両ナスやみず菜にポインセチアなどの花き栽培が盛んである。

 

向日市人口は、54,854人(男;26,170人/女;28,684人)、22,591世帯(2016年9月1日現在)

 

向日市で聴覚障がい者手帳(障害者手帳)を所持し、手話を言語として生活をしている者は約40名。

 

向日市役所で手話通訳ができる職員は3名とアルバイト職員1名(2016年7月現在)

 

 

古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例

 

向日市は、かつて我が国の都「長岡京」が置かれ、先人たちによって古代から連綿と歴史・文化が受け継がれてきた魅力あふれるまちです。「誰もがいきいきと共に暮らせるぬくもりのあるまち」を目指しており、これまでも多くの市民が手話やろう者の暮らしについて学び続けています。

手話は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において、「言語」の中に位置付けられています。「言語」とは、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で必要不可欠なものであり、人類の発展にも大きく寄与するものです。手話は、身振りに意識的な工夫を加えて表現するものであり、手指だけでなく、視線、表情、身体の向きなども駆使して視覚的に表現する「言語」からだです。

手話の誕生は、この京都の地であり、明治11年に耳の聞こえない子どもたちに対する全国初の教育機関「京都盲唖院(現京都府立ろう学校)」の創立がきっかけでした。その後も、入学する生徒は増え、コミュニティが形成され、共通言語として手話は更に発達してきました。

しかし、発声や相手の唇の動きから話の内容を読み取る口話法が欧米から伝えられ、国において取り入れられたことにより、多くのろう学校で自由に手話を使うことができなくなりました。そのような状況下であっても、ろう者にとって手話は「いのち」と位置付けられ、大切に育み、守り育てられてきた歴史があります。

現在においては、手話への理解が広がりつつあるものの、市民が手話と接する機会は限られており、ろう者だけではなく聞こえる人たちも、コミュニケーションを図りたいという思いがありながらも意思疎通の方法が分からず、もどかしい思いにかられることがあります。

ここに、手話が「言語」であるとの認識に基づき、手話に対する理解が更に広がるよう環境を整えることにより、全ての人々がお互いを尊重し、分かり合い、心豊かに安心して暮らすことができるふるさと向日市を目指し、この条例を制定するものです。

 

(目的)

第1条 この条例は、市民の手話への理解の促進と手話の普及を促進するために、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、聴覚障がいの有無に関わらず、安心して暮らし続けられる共生社会の実現を目指すことを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 市及び市民は、手話が言語であることの認識に基づき、手話に対する理解の促進と手話の普及を図り、手話によるコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとする。

2 全ての市民が、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。

 

(市の責務)

第3条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市民があらゆる場面で手話による意思疎通ができる環境を整備するため、必要な施策を推進するものとする。

 

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、地域社会で共に暮らす一員として、誰もが安心・安全・健康に暮らすことのできる環境の実現に寄与するよう努めるものとする。

2 ろう者は、市の施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。

 

(事業者の役割)

第5条 事業者は、ろう者にとっても利用しやすいサービスを提供することにより、全ての市民が利用しやすい社会を実現できるよう努めるものとする。

 

(施策の策定及び推進)

第6条 市は、次の各号に掲げる施策を定め、総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話に対する理解の促進と手話の普及を図るための施策(2) 手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関する施策

(3) 手話による意思疎通支援を通じた、ろう者の社会参加拡充に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

2 市は、前項に規定する施策を推進するため、施策の推進方針を策定するものとする。

 

(財政措置)

第7条 市は、手話に関する施策を積極的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

 

附 則

この条例は、平成29年3月3日から施行する。

 

 

向日市手話言語条例の概要

 

1 条例名 古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例

 

2 前文

向日市は、かつて我が国の都「長岡京」が置かれ、先人たちによって古代から連綿と歴史・文化が受け継がれてきた魅力あふれるまちです。「誰もがいきいきと共に暮らせるぬくもりのあるまち」をめざしており、これまでも多くの市民が手話やろう者の暮らしについて学び続けています。

手話は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において、「言語」の中に位置付けられています。「言語」とは、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で必要不可欠なものであり、人類の発展にも大きく寄与するものです。

手話は、身振りに意識的な工夫を加えて表現するものであり、手指だけでなく、視線、表情、身体の向きなども駆使して視覚的に表現する「言語」です。

手話の誕生は、この京都の地であり、明治11(1878)年に耳の聞こえない子どもたちに対する全国初の教育機関「京都盲唖院(現京都府立ろう学校)」の創立がきっかけでした。その後も、入学する生徒は増え、コミュニティが形成され、共通言語として手話はさらに発達してきました。

しかし、欧米より発声や相手の唇の動きから話の内容を読み取る口話法が伝えられ、国において取り入れられたことにより、多くのろう学校で自由に手話を使うことができなくなりました。そのような状況下であっても、ろう者にとって手話は「いのち」と位置付けられ、大切に育み、守り育てられてきた歴史があります。

現在においては、手話への理解が広がりつつあるものの、市民が手話と接する機会は限られており、ろう者だけではなく聞こえる人たちも、コミュニケーションを図りたいという思いがありながらも意思疎通の方法がわからず、もどかしい思いにかられることがありました。

ここに、手話が「言語」であるとの認識に基づき、手話に対する理解がさらに広がるよう環境を整えることにより、全ての人々がお互いを尊重し、わかり合い、心豊かに安心して暮らすことができる向日市をめざし、この条例を制定するものです。

 

3 目的

この条例は、市民の手話への理解と普及を促進するために、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、聴覚障がいの有無に関わらず、安心して暮らし続けられる共生社会の実現をめざすことを目的とします。

 

4 基本理念

基本理念を以下のとおり定めます。

(1)市及び市民は、手話が言語であることの認識に基づき、手話に対する理解の促進と手話の普及を図り、手話によるコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとします。

(2)全ての市民が、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければなりません。

 

5 市の責務及び市民等の役割

市の責務及び市民等の役割を以下のとおり定めます。

(1)市は、基本理念にのっとり、市民があらゆる場面で手話による意思疎通ができる環境を整備するため、必要な施策を推進します。

(2)市民は、基本理念に対する理解を深め、地域社会で共に暮らす一員として、誰もが安心・安全・健康に暮らすことのできる環境の実現に寄与するよう努めます。

(3)ろう者は、市の施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めます。

(4)事業者は、ろう者にとっても利用しやすいサービスを提供することにより、全ての市民が利用しやすい社会を実現できるよう努めます。

 

6 施策の推進

市は、以下の施策を定め、総合的かつ計画的に実施します。

さらに、これらの施策を推進するため、施策の推進方針を策定します。

(1)手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策

(2)手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関する施策

(3)手話による意思疎通支援による、ろう者の社会参加拡充に関する施策

(4)その他、市長が必要と認める事項

 

7 財政措置

市は、手話に関する施策を積極的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めます。

 

8 委任

この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めます。

 

向日市手話施策推進方針

 

2017年3月3日に施行した「古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例」に基づき、今後の手話の普及や、手話を使いやすい環境づくり、ろう者の社会参加拡充に関するさまざまな施策について、向日市ろうあ協会などの関係団体のご意見を踏まえ、推進方針を策定した。

 

2018年3月27日作成

 

「古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例」に規定する施策を推進するための方針(pdf

 

1.手話に対する理解の促進と手話の普及を図るための施策

(1)施策の基本的方向

これまで、手話についての認知が広がりつつあるものの、市民が直接手話と接する機会は限られていました。市民が手話に触れる機会を通じて、手話やろう者に対する理解を広めていくために聴覚障がい者団体や関係者と共に、環境づくりに取り組みます。

(2)推進施策の内容

市は、施策の基本的方向に基づき、次のとおり施策を推進します。

ア 手話やろう者への理解を広めるために、引き続き手話教室を開催し、その時々の課題に即した内容を取り入れた上で実施します。

イ 新たに手話やろう者について学びたいと思われた市民や事業者に対して、研修の機会を提供していきます。

ウ 子どもたちが手話やろう者とふれあう機会を提供すること、また手話通訳者が将来の職業選択の候補になることを見据えた取り組みを行っていくため、関係機関との協議を推進します。

エ 市職員が手話やろう者について学ぶことができる機会を推進し、すべての職員が手話への理解をさらに深められるように取り組みを行います。

オ 多くの市民の目にふれる広報誌や向日市のホームページに、手話やろう者のことを掲載し、理解を広めます。

カ 市内で開催されているイベントにおいて、手話やろう者のことを広める取り組みを推進します。

 

2.手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関する施策

(1)施策の基本的方向

現在、音声言語のみにより提供されている行政情報等について、手話による情報の取得ができる環境整備に努め、日常生活において手話を使いやすい環境づくりを進めます。

(2)推進施策の内容

市は、施策の基本的方向に基づき、次のとおり施策を推進します。

ア 手話による行政情報の発信に向けて、その内容や方法の検討を進めていきます。

イ 手話を用いる際は対面を基本としつつ、必要に応じてICT(情報通信技術)の活用も含めた手話を使いやすい環境づくりを進めていきます。

3.手話による意思疎通支援を通じた、ろう者の社会参加拡充に関する施策

(1)施策の基本的方向

ろう者が日常生活を営むうえで、正確な情報を取得し、自らの意思を相手に伝える際には高度な技術を有する手話通訳者の存在は欠かせません。市は、その重要性を認識し、手話通訳者の確保・充実に向けた方策を推進します。

(2)推進施策の内容

 市は、施策の基本的方向に基づき、次のとおり施策を推進します。

ア 登録手話通訳者現任研修会を引き続き実施し、手話通訳者の技術及び知識の向上を図ります。

イ 手話通訳者をめざす人たちを支援し、登録手話通訳者の確保を図ります。

 

 

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「聞こえない」怖さや不安、漫画に 若い世代に手話への理解訴え(2019年6月11日配信『京都新聞』)

 

キャプチャ

 

 手話言語条例を制定している京都府向日市は、耳が聞こえない人を主人公にした漫画「HELLO むこうの私」を制作した。当事者の視点が重視され、市内の障害者団体が協力した。当事者は、日常の苦労や聴覚に障害がある人でないと気づきにくい不安を話し、「私たちの思いが多くの人に届いてほしい」と願いを込める。
 市は2017年3月に条例を施行した。手話への理解を広める取り組みを続ける。漫画は、聴覚障害について若い世代に関心を寄せてもらうおうと企画。京都精華大(京都市)に依頼し、卒業生のプロの漫画家3人と一緒に、市内の当事者へ取材を重ねた。
 「ろう者編」や「難聴者編」など3章で構成。聴覚に障害のある主人公が発音へのコンプレックスで引っ込み思案になったり、病院で名前を呼ばれたことが分からず受付で叱られたりする。不安な日々を送る中、手話を通じて周囲の理解が深まり、次第に前を向いていく物語だ。最終章は「手話通訳者編」として、通訳の意義と当事者からの期待を紹介している。
 各章の末尾には、聴力に応じた支援の方法も掲載する。市障がい者支援課は「言葉が聞き取りにくい人がいることに思いをはせ、手話に興味を持つきっかけになってほしい。誰もが住みやすいまちづくりにつながれば」としている。
 A5判100ページ。8千部発行し、市内の小学4年〜高校生に渡したほか、府内の自治体や図書館、中学・高校に配布する。市のホームページで5月29日に公開した。
■背後の音気づかず、災害時に情報伝わらない…当事者の体験盛り込む
 向日市が制作した漫画は、聴覚に障害がある当事者の経験を題材にしている。
 一対一ならコミュニケーションを取れるが、大勢になると誰が何を話しているのか分からなくなる−。難聴者編に盛り込まれたエピソードは、向日市難聴者協会長の太田ヒサさん(75)の体験だ。
 太田さんはわずかに聞こえる左耳に補聴器を着けて暮らす。東近江市で生まれ育ち、幼少のころに「おやつよ」と呼んでも反応がないことに家族が気づいた。手術しても改善しなかった。
 結婚を機に向日市へ。背後から鳴らされた自転車のベルに気づけず、通り過ぎざまの大きな怒鳴り声に身を縮こまらせる日々だった。「外に出たら叱られるから、家の中に閉じこもっていました」。難聴者は外見からは分からず、理解を得にくいといい、「周囲にこんな人がいると気づくきっかけになってほしい」と願う。
 ろう者編には、災害時や電車が急停車した場合に情報が伝わらない不安が記されている。体験を語ったのは向日市ろうあ協会の村田庸好さん(44)。5歳の時に周囲の声が突然聞き取りにくくなった。左右ともに感音性難聴と診断されている。現在は、会社員として働きながら手話教室の講師を務める。「音声案内など、聞こえる人にとっては当たり前のことが私たちには不便な場合もある。その気持ちを知ってもらえるとうれしい」と漫画に期待を寄せた。

 

 

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タブレット端末で遠隔手話通訳 京都・向日市が初導入(2018年8月13日配信『京都新聞』)

 

カメラ機能の付いたタブレット端末に向かって手話で話すと、東向日別館にいる資格を持った職員が通訳して対応する(向日市寺戸町・市役所本庁舎)

 

 京都府向日市は、市役所本庁舎(寺戸町)を訪れた聴覚障害者への対応として、タブレット端末を利用した遠隔手話通訳サービスを導入した。手話通訳の資格を持った職員が5月に開設した東向日別館(同)に移ったことによる措置。窓口業務が複数の庁舎にまたがる自治体は多いが、同様の取り組みは府内では初めてという。

 向日市では、東向日別館の開設に伴い、窓口業務のほとんどが同別館に移った一方、市民税などの申告や相談、防災や教育に関連する業務は引き続き本庁舎で行っている。手話通訳の資格を持った障がい者支援課の職員計3人は東向日別館へ移ったため、本庁舎で聴覚障害者への対応が必要となっていた。

 遠隔手話通訳サービスでは、無線で接続できるカメラ機能付きタブレット端末を、本庁舎と東向日別館にそれぞれ配備した。本庁舎を訪れた聴覚障害者は、端末の画面に映し出された東向日別館の通訳職員と手話で会話する。通訳職員は、本庁舎の職員に会話内容を音声で伝え、本庁舎職員の声を聞き取って手話通訳する。

 このほど向日市ろうあ協会の会員たちが本庁舎を訪れ、課税証明の受け取りなどの設定で今回のサービスを体験した。会長の狩野直≠ウん(80)は「端末を通じて相手の顔を見ながら会話できたのがよかった。意思疎通が十分できたので、役立つサービスになると思う」と話していた。

 

手話、動画で理解深めて 京都・向日、条例施行伴い(2018年4月16日配信『京都新聞』)

 

日向

向日市が配信を始めた手話を学んでもらうための動画

 

 京都府向日市はこのほど、手話について多くの人に理解を深めてもらうための動画をインターネット上に配信した。昨年3月に市手話言語条例を施行したことに伴う取り組み。市内の施設や観光スポットで収録した6回シリーズになっており、市のPRも兼ねている。
 動画は、あいさつ、買い物、ホテルのフロント、駅、病院、急病の6話があり、各回10分前後の内容。いずれも、ろう者と手話通訳者、手話勉強中の3人が出演者として登場する。あいさつの動画では阪急西向日駅東側の桜並木を背景に出演者の中の2人が登場し、「やあ、おはようございます」「お久しぶりです」などとやりとりを紹介。駅の動画ではJR桂川駅前で電車の遅延状況について受け答えをしている。
 登場した単語を手話でどのように表現するのかも解説。「困る」は側頭部を手でかくしぐさとともに、困っている表情をすることが大切と指摘している。耳が不自由な人は後ろから話しかけられても気付かないなど、日常生活で困っていることも取り上げて「話しかけても反応がない場合は耳が不自由な人かもしれないと思って接して」と呼び掛けている。第6話の動画の最後では、出演者が「手話を勉強して周囲の人にも広めてほしい」と訴える。
 1年かけて撮影し、満開のサクラや紅葉の向日神社など、観光客向けのPRコーナーも盛り込んだ。市障がい者支援課は「市民にふるさとを身近に感じてもらい、市外の人には向日市に関心を持ってほしい」としている。

手話を学べる動画「手話でふれあう向日市」

 

 本市では、2017年3月3日(耳の日)に「古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例」を施行しました。その取り組みのひとつとして、手話動画を配信します。これは、手話を学べるとともに聴覚障がい者の暮らしを知っていただけるもので、向日市内の施設や観光スポットで収録しています。市民のみなさまには身近に感じていただき、市外の方々には向日市に関心を持っていただけたら幸いです。(全6回 1回約10分)

手話動画メニュー

学べる手話

ロケ地

第1話 あいさつ

あいさつなど

噴水公園、鬼瓦のモニュメントほか

第2話 買い物

なに?いくら?など

物集女車塚古墳、乙訓ひまわり園ほか

第3話 ホテルのフロント

京都、バリアフリーなど

中小路家住宅、全国手話研修センターほか

第4話 駅

電車、遅れるなど

向日神社ほか

第5話 病院

痛い、大丈夫、薬など

竹の広場、向日回生病院ほか

第6話 急病

救急車、連絡、家族など

向日市天文館ほか

 

手話、漫画で理解深めて 京都・向日市が事業費(2018年3月15日配信『京都新聞』)

 

 京都府向日市は2018年度、若い世代に手話についての理解を深めてもらうための漫画を制作する。事業費480万円を盛り込んだ一般会計当初予算案を開会中の3月定例市議会に提出している。

 手話言語条例の施行から2年目を迎え、耳が不自由な人の生活や、どのような支援が必要なのかを知ってもらうことが目的。特に小中学生に狙いを絞り、漫画形式の冊子を計画している。

 市障がい者支援課は、3部構成で100ページほどの内容を企画。聴覚障害でも、ろう者と難聴者では生活の課題が異なるため、1〜2部ではそれぞれの視点に基づいて、暮らしの中で直面する困り事や解決に必要なことを網羅する。3部では手話通訳者の仕事を紹介するほか、彼らから見た社会の課題も取り上げる。

 当初予算が可決されれば、京都市内の大学で漫画について学ぶ大学生に制作を依頼する。内容を充実させるため、執筆者には聴覚障害者や手話通訳者の実態を丁寧に取材してもらい、来年3月の完成を目指す。

 できあがった漫画は向日市内の小中学生に配るほか、学校や市立図書館、飲食店などにも配布する予定。同課は「将来、子どもたちが職業を選ぶ時、手話通訳者を選択肢の一つにしてほしい」と期待する。

 また、手話言語条例を広く知ってもらうために16年度に作ったパンフレットを2千部増刷し、市役所などの公共施設で配布する。

 

手話の輪、市民に広げよう 京都・向日市で条例スタート(2017年3月4日配信『京都新聞』)

 

キャプチャ

朝礼で手話を練習する市職員たち(京都府向日市寺戸町・市役所)

 京都府向日市の手話言語条例が「耳の日」の2017年3月3日施行された。市では施行日を控え、職員が毎日、各課に配置された「手話リーダー」を通じ、あいさつなど窓口対応で使う手話を練習してきた。市は2017年度予算案で、手話動画をホームページ(HP)上で公開する新規事業も計上し、障害への理解を広める。
 市職員の誰もが手話で最低限の対応ができる環境を整えるため、市役所庁舎などに入る34の課や部署でリーダー計51人を決めた。
 リーダーは2月から週1回、担当課から週替わりの課題で指導を受け、毎日の朝礼や夕会で所属職員に向け、手話の由来や動きを記したテキストに基づいて教えている。
 「おはよう」など基本的なあいさつの他、「もう一度お願いできますか」といった受け答えを実施済み。「手話通訳を呼んでもいい?」「気をつけてお帰り下さい」などの課題に広げる予定。健康推進課でリーダーを務める松本雄子・主任保健師は「話の入り口で手話が使えれば、緊張や不安を解きほぐせ、意思疎通がスムーズになると思う」と話す。
 市は17年度一般会計予算案で、生活の各場面で必要となる手話を紹介する動画のHP公開経費に150万円を充てた。駅での問い合わせや病院の受付、スーパーのレジなどで使う手話を示し、障害者が困る事柄を解説する構想。市障がい者支援課は「聴覚障害者に応対する人をはじめ、広く市民が手話に触れるツールを提供したい」とする。

 

 

 

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