寝屋川市手と手で心をつなぐ手話言語条例
大阪府寝屋川市議会は、2018年12月18日、寝屋川市手と手で心をつなぐ手話言語条例(案。議案第101号)を可決した。施行は2019年4月1日。
同様の条例は府内では、大阪府、大東市、大阪市、熊取町、堺市、岬町、貝塚市ですでに制定。施行されており、寝屋川市が8例目。全国では202例目。
同市は、条例制定にあたり、条例の素案に対するパブリックコメント(意見表明の募集)を2018年9月1日から9月30日まで行い、26人から64件(条例の内容に関する意見13人、30件。障害者施策に対する要望等が34件)の意見が出されたが、意見による条例の修正はなかった(意見表明の結果)。
寝屋川市は、大阪府の東北部、淀川左岸(上流から下流を見て左側)に位置し、大阪市域の中心から15キロメートル、京都市域の中心から35キロメートルの距離にあります。南北は7.22キロメートル、東西は6.89キロメートルに広がり、面積は24.70平方キロメートルになる。
寝屋川市の東部は交野市(かたのし)、西部は淀川を境にして高槻市、摂津市に接し、南部は守口市と門真市、大東市、四條畷市、北部は枚方市に隣接し、北河内地域の中心部に位置している。
市名は、御伽草子(おとぎぞうし=)鎌倉時代末から江戸時代にかけて成立した、それまでにない新規な主題を取り上げた短編の絵入り物語)の「鉢(はち)かづき」に登場する主人公・初瀬姫(はつせひめ)の父である藤原実高(さねたか)の別荘が、高野街道を行く旅人に宿を提供して「寝屋」と呼ばれるようになったことに由来する。
寝屋川市の人口は、233,631人(男性;113,185人/女性;120,446人)、109,570世帯(208年12月1日現在)。2019年4月中核市に移行。
寝屋川市の聴覚障害者数は、943人(2017年4月1日現在)。
寝屋川市の2008(平成20)年以降の障害者数は、身体障害者手帳を所持している人は7,873人から9,234人(1.17倍)、療育手帳を所持している人は1,465人から2,341人(1.60倍)、精神障害者保健福祉手帳を所持している人は853人から2,263人(2.65倍)と、いずれも増加している。
これらは高齢化の進行、発達障害や高次脳機能障害等の増加や制度の普及などによるものですが、障害者手帳を取得していない人もおり、障害のある人の多様化がすすんでいる。また、障害者総合支援法の改正により、2013(平成25)年度から難病のある方も障害福祉サービスが利用できるようになり、その後も対象疾病の見直しにより範囲が広がっている。
なお、特定医療(指定難病)等受給者証を所持している人は、2016(平成28)年3月31日現在で2,004人。
寝屋川市障害者長期計画(第3次計画) [平成30年度〜平成35年度]
パブリックコメントをおこなった条例の素案
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条例制定の背景
市では、手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進に努め、手話を使用しやすい環境づくりを推進することにより、障害のある人もない人も人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに安心して暮らせる地域社会の実現を目指して、寝屋川市手と手で心をつなぐ手話言語条例(素案)を制定します。
2
条例の主な内容
⑴ 前文
条例制定の背景等について規定しています。
⑵ 第1条(目的)
基本理念を定め、寝屋川市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにすることにより、全ての市民が共生する地域社会の実現に寄与することを目的としています。
⑶ 第2条(定義)
手話を主なコミュニケーションの手段として用いる聴覚障害者を「ろう者」と定義しています。
⑷ 第3条(基本理念)
条例の基本理念を定めています。
⑸ 第4条(寝屋川市の責務)
市は、手話への理解の促進及び手話の普及など、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有するものとしています。
⑹ 第5条(市民の役割)
市民は、基本理念を理解し、手話に関する市の施策に協力するよう努めるものとしています。
⑺ 第6条(事業者の役割)
事業者は、基本理念を理解し、手話に関する市の施策に協力するよう努めるとともに、ろう者がサービスを利用しやすい環境を整備するよう努めるものとしています。
⑻ 第7条(手話に関する施策の推進に係る基本的事項)
市は、手話への理解の促進及び手話の普及に関する事項等を基本として、手話に関する施策を推進するものとしています。
⑼ 第8条(意見の聴取)
市は、手話に関する施策の推進に当たって、必要がある場合は、当事者及び 関係者から意見を聴くものとしています。
⑽ 第9条(財政上の措置)
市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとしています。
3
施行期日
平成31年4月1日
寝屋川市手と手で心をつなぐ手話言語条例
手話は、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。障害者基本法及び障害者の権利に関する条約においても、手話は言語として位置付けられています。
私たちは、手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進に努め、手話を使用しやすい環境づくりを推進することにより、障害のある人もない人も人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに安心して暮らせる地域社会の実現を目指して、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話への理解の促進及び手話の普及に関し、基本理念を定め、寝屋川市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにすることにより、全ての市民が共生する地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を主なコミュニケーションの手段として用いる聴覚障害者をいう。
(基本理念)
第3条 手話への理解の促進及び手話の普及は、手話が言語であること及びろう者が手話によりコミュニケーションを図る権利を有することを前提として、ろう者とろう者以外の者が、相互に人格と個性を尊重することを基本として行われなければならない。
(寝屋川市の責務)
第4条 寝屋川市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話への理解の促進及び手話の普及を行うとともに、日常生活及び社会生活において手話が使用できる環境の整備に努め、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念を理解し、手話に関する寝屋川市の施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念を理解し、手話に関する寝屋川市の施策に協力するよう努めるとともに、ろう者がサービスを利用しやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(手話に関する施策の推進に係る基本的事項)
第7条 寝屋川市は、次の各号に掲げる事項を基本として、手話に関する施策を推進するものとする。
⑴ 手話への理解の促進及び手話の普及に関する事項
⑵ 手話による情報の取得に関する事項
⑶ 手話によるコミュニケーションの支援に関する事項
⑷ 前3号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な事項
(意見の聴取)
第8条 寝屋川市は、手話に関する施策の推進に当たって必要がある場合は、ろう者、手話通訳者その他関係者から意見を聴くものとする。
(財政上の措置)
第9条 寝屋川市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、平成31年4月1日から施行する。