東京都板橋区手話言語条例

 

 東京都板橋区は、東京都板橋区手話言語条例を2019年6月21日に施行した。

 

同種の条例は、都内では、江戸川区荒川区豊島区足立区墨田区葛飾区についで7例目。全国では27例目

 

区は、20180年12月1日〜24日「板橋区手話言語条例の条例案の概要」に対するパブリックコメントを実施した。結果は、意見提出者の数114人、意見内容の総件数524件(重複あり)で内訳は以下の通り条例案の概要に対するパブリックコメント意見と区の考え方

条例の制定に関する意見 41件(賛成40件・反対1件)

条例制定手続き等に関する意見 5件

条例内容等の表記に関する意見 241件

条例制定による施策に関する意見194件

そのほかの意見 43件

 

条例案の概要

 

1 目的

 手話は言語であるという認識の下に、区民の手話への理解の促進を図ることにより、地域における手話の使いやすい環境を構築することで、区民が、自立した日常生活を営み、社会参加をし、心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的と定めます。

 

2 区、区民、事業者の責務

(1)区は、区民の手話に対する理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものと定めます。

(2)区民は、手話の理解を深め、区が推進する施策に協力するよう努めるものと定めます。

(3)事業者・団体等は、手話の理解を深め、区が推進する施策に協力し、聴覚障がい者が広く地域で活動しやすい環境を整備するよう努めるものと定めます。

 

3 施策の推進方針

 区は、施策を推進するための方針を策定し、次のような必要な措置を講ずるものと定めます。

(1)手話の支援者養成に関する事項

(2)手話を普及する環境づくりに関する事項

(3)手話を使用することができる職員の育成に関する事項

(4)手話通訳者等の配置に関する事項

 

4 そのほか手話を普及促進するための取り組み

  施策の推進状況の管理について定めます。

 

5 委任

  条例の施行に関し必要な事項は、区長が別に定めます。

 

東京都板橋区手話言語条例

 

手話は、障害者の権利に関する条約の批准や障害者基本法により、音声言語である日本語と同様に、耳が聞こえない、聞こえづらいろう者が意思疎通の手段として使う非音声の言語として位置づけられた。また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき、言語としての手話を、手話を必要とする全ての区民が使いやすい環境にしていくことや、医療、教育、災害の場等を含む日常生活において、様々な取組を進めていくことが地域社会に求められている。

区は、手話が言語であるとの認識の下に、手話を普及するための取組を施策として総合的かつ計画的に推進し、区民の手話に対する理解が広がり、聴覚障がい者が自然に社会に参画し、区民として同等の権利を得ることができる地域社会の実現を目指して、この条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話は言語であるという認識の下に、区民の手話への理解の促進を図ることにより、地域における手話の使いやすい環境を構築することで、手話を使用する区民が、手話により、自立した日常生活を営み、社会参加をし、心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 区民は、手話により相互に意思を伝え合い、情報を共有する権利を有し、その権利は尊重されなければならない。

 

(区の責務)

第3条 区は、区民の手話に対する理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めるものとする。

 

(区民の責務)

第4条 区民は、手話への理解を深め、区が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(事業者・団体等の責務)

第5条 区に所在する事業者・団体等は、手話への理解を深め、区が推進する施策に協力し、聴覚障がい者が地域で活動しやすい環境を整備するよう努めるものとする。

 

(手話を普及啓発する取組の推進)

第6条 区、区民及び事業者・団体等は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)に基づき、医療、教育、災害の場等を含め、地域社会において、言語としての手話を使いやすくする様々な取組を進めるための環境の実現に寄与するよう努めるものとする。

 

(施策の推進方針)

第7条 区は、施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定し、必要な措置を講ずるものとする。

2 施策の推進方針は、区が別に定める障がい者に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。

3 施策の推進方針においては、手話の普及啓発及び手話による支援者養成のほか、必要な事項について定めるものとする。

4 区は、施策の推進方針を定め、又はこれを変更する場合その他必要がある場合は、手話を必要とする者(盲ろう者を含む 。)、 手話通訳者その他関係者等に、広く意見を聴くよう努めるものとする。

5 施策の推進方針は、これを公表するものとする。

 

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、区長が別に定める。

 

付 則

この条例は、公布の日から施行する。

 

(提案理由)

手話を使用する区民が、手話により、自立した日常生活を営み、社会参加をし、心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与するため、条例を制定する必要がある。

 

 

 

inserted by FC2 system