東京都北区手話言語の確立及び障害の特性に応じた意思疎通の支援に関する条例

 

東京都北区議会は、2020年3月24日、手話が言語であることの理解の促進、障害の特性に応じた意思疎通の手段についての選択の機会の確保及び普及により、障害者の円滑な意思疎通を図り、すべての区民が、障害の有無にかかわらず、相互に尊重し合いながら共生する地域社会の実現を推進することを目的とした「東京都北区手話言語の確立及び障害の特性に応じた意思疎通の支援に関する条例」案を可決し、4月1日に施行した。

 

区は、条例骨子(案)のパブリックコメントを実施し、58名(ホームページ33名、ファクス13名、窓口への持参9名、郵送3名)から124件の意見が出された意見と区の考え方

 

同種の条例は、都内では、東京都江戸川区荒川区豊島区足立区墨田区葛飾区板橋区港区、江東区、中野区、台東区次いで、13例目。全国では、327例目。情報コミュニケーション条例としては例目

 

 

東京都北区手話言語の確立及び障害の特性に応じた意思疎通の支援に関する条例が施行されました=北区

 

条例の内容

手話は言語です。

手話は、独自の語彙や文法体系を持ち、手の形や位置、動き、表情を使って視覚的に表現する非音声言語です。そして、ろう者にとって「手話言語」で語り合うことは、生きる喜びであり、命そのものです。

私たちは、手話がろう者にとって命であり、生活を営むために大切に受け継がれ、確立された言語であることを踏まえ、その理解の促進に努めていかなければなりません。

 

基本理念

手話は、言語として確立されたものである。

すべての障害者が、緊急時及び災害時も含めたあらゆる場面で、可能な限り、障害の特性に応じた意思疎通の手段を利用できる機会を確保される。

障害者が有する意思疎通を円滑に図る権利は、最大限尊重される。

 

区の責務

区は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施します。

手話が言語であることの理解を促進し、ろう者が手話で意思疎通及び情報取得できる地域社会の構築

障害者が多様な手段で意思疎通及び情報取得できる地域社会の構築

 

区民、事業者の役割

区民や事業者の皆さんは、区が実施する施策などへのご協力をお願いします。

区民及び事業者は、基本理念に対する理解を深め、区が実施する施策に協力するよう努める

事業者は、事業を行うに当たり、障害の特性に応じた意思疎通の手段により、障害者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努める

 

今後の取り組み(予定)

条例の内容を紹介するリーフレットを作成・配布するとともに、障害者の差別解消・理解促進事業を活用して、区民や事業者の皆さんに、手話が言語であることなどについて普及啓発を行います。

また、コミュニケーションに支援が必要な障害児・者の話し言葉に代わるツールとして、イラストを用いた「コミュニケーション支援ボード」を作成・配布し、障害の特性に応じた意思疎通の支援の取組みを推進します。

 

 

 北区は、その名のとおり東京の北部に位置していることかという安易な方法で名付けられた。荒川を挟んで埼玉県と接しおり、区内には、桜の名所「飛鳥山公園」や荒川の水辺空間をはじめとした、緑豊かな公園や美しい自然が存在している。

 

また、交通のアクセスが良く、JRの駅の数は都内最多の11駅。JR山手線、JR京浜東北線、JR埼京線、東京メトロ南北線、都営三田線、都電荒川線と、多くの交通がいきかう便利なロケーションで、区内ほぼ全域が駅から徒歩10分圏内にあり、都心へのアクセスも非常に便利である。

 

8代将軍徳川吉宗が庶民のために桜を植樹したことで知られる飛鳥山公園は都内有数の桜の名所であり、歴史的な資産には恵まれていて、かつて陸奥宗光の旧邸にして古河財閥ゆかりの旧古河庭園は都内を代表する近代庭園の一つである。

 

飛鳥山公園

 

旧古河庭園

 

 区の人口は、353,654(男;163,744人・女;166,405人)198,462世帯(2020年3月1日現在)

 

 区の身体障害者の状況は以下の通り。

 

第5期北区障害福祉計画・第1期北区障害児福祉計画

 

 

東京都北区手話言語の確立及び障害の特性に応じた意思疎通の支援に関する条例

 

手話は、独自の語彙及び文法に基づき、手、指等の体の動き及び表情を使って視覚的に表現する非音声言語であり、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)及び障害者基本法(昭和45年法律第84号。以下「法」という。)においても、言語として位置付けられている。私たちは、手話が、ろう者にとって命であり、生活を営むために大切に受け継がれ、確立された言語であることを踏まえ、その理解の促進に努めていかなければならない。

また、障害者は皆、一人一人に合った手段で意思の疎通を行い、その人らしい豊かな生活を営む権利を有している。しかし、実際は、言語である手話をはじめとして意思疎通のための手段を選択することができる環境は十分に整えられているとは言えず、日常生活又は社会生活に必要な情報が取得できない等不便及び不安を感じる人も多い。

区民の誰もが安心して暮らし、地域の一員として活躍できるようにするためには、障害の有無及び特性を認め合い、支え合う共生社会を築くことが不可欠である。私たちはこの認識の下、障害の特性に応じた意思疎通のための手段を選択する機会の確保及び環境整備等の普及の取組を推進する不断の努力が求められている。

  全ての区民が、手話が言語であることを理解するとともに、手話をはじめとした障害の特性に応じた意思疎通のための手段を選択した上で、必要な情報を取得し、他人と心を通わせながら、充実した生活を送ることができる地域社会の実現を目指して、ここに、この条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であることの理解の促進並びに障害の特性に応じた意思疎通のための手段についての選択の機会の確保及び普及に関し基本理念を定めるとともに、区の責務並びに区民及び事業者の役割を明らかにすることにより、障害者の円滑な意思疎通を図り、全ての区民が、障害の有無にかかわらず、相互に尊重し合いながら共生する地域社会の実現を推進することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1)ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(2)障害者 法第2条第1号の障害者であって、障害の特性に応じた意思疎通の支援を必要とするものをいう。

(3)区民 区の区域内(以下「区内」という。)に在住、在勤又は在学する者をいう。

(4)事業者 区内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(5)意思疎通のための手段 言語(手話を含む。)、筆談、点字、拡大文字、読み上げ、写真等を使った分かりやすい表現その他の意思の疎通を図るために必要とする手段をいう。

 

(基本理念)

第3条 手話が言語であることの理解の促進は、手話が独自の語彙及び文法体系を有する一つの言語として確立されたものであるという認識の下に行われなければならない。

2 障害の特性に応じた意思疎通のための手段の選択の機会の確保及び普及は、全ての障害者が、緊急時及び災害時の情報取得も含めたあらゆる場面で、可能な限り、当該手段を利用できる機会を確保されることを基本として行われなければならない。

3 障害者が有する意思疎通を円滑に図る権利は、最大限尊重されなければならない。

 

(区の責務)

第4条 区は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、次の各号に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

1)手話が言語であることの理解を促進し、ろう者が手話で意思疎通及び情報取得ができる地域社会の構築

(2)障害者が多様な手段で意思疎通及び情報取得ができる地域社会の構築

 

(区民の役割)

第5条 区民は、基本理念に対する理解を深め、区が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、区が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、事業を行うに当たり、障害の特性に応じた意思疎通のための手段により、障害者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるものとする。

 

(施策の実施)

第7条 区は、第4条に規定する責務を果たすため、同条第1号に関し、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1)手話が言語であることの理解促進及び普及啓発

(2)手話を言語として使用することができる環境の整備

(3)手話通訳者の養成及び確保

(4)前3号に掲げるもののほか、区長が必要と認めるもの

2 区は、第4条に規定する責務を果たすため、同条第2号に関し、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1)障害の特性に応じた意思疎通のための手段についての理解促進及び普及啓発

(2)障害の特性に応じた意思疎通のための手段を選択することができる環境の整備

(3)障害者の意思疎通の支援を行う者の養成及び確保

(4)前3号に掲げるもののほか、区長が必要と認めるもの

3 区は、前2項の施策の実施に当たっては、法第11条第3項の規定により区が策定する北区障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項の規定により区が定める北区障害福祉計画との整合性を図るものとする。

 

(財政上の措置)

第8条 区は、前条第1項及び第2項の施策を実施するため、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

 

(委任)

第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、区長が別に定める。

 

付 則

1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

2 区は、社会環境の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。

 

 

 

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