手話を広める知事の会 記念セレモニー(総会と手話言語フォーラム)

 

2017年11月7日

 

手話言語法の制定について

 

手話言語法議員立法で法制化目指す

 

2016年7月に、手話言語を全国に広げ、耳が聞こえない人たちがどこでも手話を使える社会づくり聴覚障がい者の更なる自立と社会参加の実現)を目指す「手話を広める知事の会」(会長・平井伸治鳥取県知事)は、2017年10月13日付の福岡県の入会をもって、全47都道府県が加盟した。

 

それを記念して、2017年11月7日に国会内で記念セレモニー(総会と手話言語フォーラム)が開かれ、全国の行政関係者、聴覚障害者や与野党の国会議員、加盟団体会員・手話関係者等、合せて291名が参加し、手話教育を広め、通訳配置を求める「手話言語法」制定を議員立法で目指すことで一致した。

 

注;議員立法国会議員によって法律案が発議され、成立した法律。国会が「国の唯一の立法機関である」と定めた憲法41条からすれば、「議員が立法を行うこと」は当たり前であるが、内閣が法律案を作成して国会に提出すること(「内閣立法」)があり、しかも、従来、日本の立法では、内閣立法が中心を占めていることから、内閣立法と対比する趣旨で、ことさらに「議員立法」という表現が用いられている。

議員立法は、国民から直接選挙された代表である議員が、その政策を法律の形に結実させるもの、近年、複雑多様な社会経済情勢を反映して質量ともに拡充しており、その重要性はますます増大している(衆院法政局)。

 

同会顧問の笹川陽平・日本財団会長は総会の来賓あいさつで「これほど知事による一致団結した活動は戦後初めて」と述べた。

 

総会では副会長として吉村美栄子・山形県知事、黒岩祐治・神奈川県知事、翁長雄志・沖縄県知事が就任することが決まった。現在副会長の阿部守一・長野県知事、鈴木英敬・三重県知事は引き続き務める。

 

2017年10月5日現在、47都道府県中、手話言語条例を制定しているのは、2013年に全国で初めて制定した鳥取県をはじめ、秋田県山形県群馬県埼玉県千葉県神奈川、県長野県愛知県三重県大阪府奈良県沖縄県の13県。市町村でのそれは、82市13町の95自治体計108自治体

 

手話を広める知事の会 宣言文pdf

 

 手話は、単なるコミュニケーション手段としてだけではなく、言語として一つの文化を形成している。

  我々は、手話言語が、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が知的で心豊かな社会生活を営むために大切に受け継いできたものであることを理解しなければならない。

  そして、手話の普及は、ろう者とろう者以外の人達が相互の違いを理解し、その個性と人格を互いに尊重することを基本として行わなければならない。

  全国を見渡すと、国内の全地方議会において、国に「手話言語法」の制定を求める意見書が採択され、また、昨年7月に設立した、この「手話を広める知事の会」にも47すべての都道府県が参加することとなった。手話言語条例を制定した自治体も108自治体となり、手話をめぐる動きは、さらなる広がりをみせている。

  こうした手話を取り巻く社会の気運の高まりをより大きなものとして、ろう者が、日常生活において安心して手話を用いることができ、積極的に社会参加できるような環境を作らなければならない。

  そこで我々は「手話を広める知事の会」として全ての都道府県が団結し、手話がろう者とろう者以外の人達とのかけ橋となり、ろう者の人権が尊重され、互いを理解し、共生する地域社会を実現していくことをここに宣言する。

 

 

 

 

私たち知事が47人いますが、手話を広めていこうという目的にためにすべて知事が会に参加し、一つにまとまりました。大きな輪が広がっています。みんな頑張ろうと燃えている。手話革命を起こしましょう。

 

 

 きょうゴールではなく、新たなスタートです。まだまだ深い山があるでしょう。それは法律の制定だけでなく、すべての社会の皆さん一人一人に手話言語を理解してもらうことが重要です。

 

障害者が暮らしにくい理由は、障害者の責任でしょうか。社会が責任を果たしていないのが問題なのです。

 

(2017年11月7日配信『共同通信』)

 

 

「手話を広める知事の会」設立イベント・手話言語フォーラム

 

「手話を広める知事の会」入会状況(2017年6月21日現在)43都道府県

 

北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

 

2016年3月3日に「手話言語法(仮称)」制定を求める意見書が国内すべての地方議会(1,788)で採決され、6月8日には全国手話言語市区長会が設立され、現在、250を超える市区長が入会している。

 

 また自治体の手話言語条例は2016年6月末現在、都道府県では、鳥取神奈川群馬長野埼玉沖縄千葉、三重など8県と、石狩市手話に関する基本条例など44の市町が制定している全52自治体

 

これらを契機に耳が聞こえない人たちがどこでも安心して手話を使えるような社会づくりを目指して、手話言語を全国に一層広げることを目的に、一般財団法人全日本ろうあ連盟と日本財団は連携して、手話言語条例を制定された県の知事をはじめ、趣旨に賛同する都道府県知事により「手話を広める知事の会」を2016年7月21日に参議院議員会館で開催した。

 

 

知事の会は、知事同士が連携し、障害の有無にかかわらず誰もが手話を理解できるような取り組みを全国的に進めるほか、手話による情報提供を義務付ける「手話言語法」の制定を国に働きかける。

 

会員になったのは33道府県の知事。会長には2013年10月に全国で初めて手話言語条例を定めた鳥取県の平井伸治知事が就任した。平井知事は「ハンドブックを作成し、学校に手話普及の支援員を派遣した結果、子どもの手話を学ぶ意欲が高まった」と、条例施行後の変化を手話で紹介。

 

設立総会で、鳥取県の取り組みを手話で紹介する平井伸治知事

 

副会長には2016年3月に条例を定めた長野県の阿部守一知事が就任、手話を交えてあいさつした。

 

同連盟の久松三二事務局長は「東日本大震災や熊本の震災の避難所で、ろう者は語る相手がいない孤独にさいなまれた」とし、「ろう者にとって手話は命」と強調した。

 

ろう者の人権が尊重され、互いを理解し、共生する地域社会を実現していく」とする宣言文は、長野県聴覚障害者協会の井出萬成(かずしげ)理事長=千曲市=と本木恵美子副理事長=飯山市=が手話で読み、阿部知事が音読した。

 

宣言文を手話で示す県聴覚障害者協会の井出理事長(右)と、読み上げる阿部知事(左隣)

 

 

 

 

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